【完結】信頼度MAXオペレータ短編詰め 作:むとう
不意に頭に乗った手に、フロストリーフはきょとんとその手の持ち主を見上げた。
「あっ、悪い!」
「いや……」
すぐに発せられた謝罪の言葉に、ゆるく首を振る。
ここはドクターの執務室だ。任務の報告のために訪れていた。今はその報告の終わり。いつもならば言葉で贈られる労いが、今日はなぜだか手までついてきた。
おそらく、他のオペレーターと間違えたんだろう。たまにねだられて頭を撫でているところを見ることがある。フロストリーフ自身はそれをほしいと望んだことはないが、
「なんだか不思議な感じだな……」
数秒ではあったが、頭を撫でられた感覚を思い出して呟いた。
フロストリーフは経験豊富な傭兵だ。文字を学ぶよりも前から、斧を持っていた。その斧で敵を屠り、求められることをした。ロドスでも指折りの戦闘回数をこなしている。だが同時に、己はまだ成熟しきれていないことは知っていた。「大人」と呼ぶには幼く、区分としては「子ども」だろう、という客観的な視点は持っている。たとえ他の者たちよりも妙に落ち着いていたとしても。
しかしドクターはフロストリーフの「不思議だ」という言葉をどう受け止めたのか、再び手を上げた。そしてフロストリーフの頭に置く。おそらく「もっと撫でてくれ」と言っているのだと勘違いしたのだろう。
しかしフロストリーフはその勘違いを否定しなかった。
わしわしと頭を撫でられるのを、無言で受け入れる。こんなふうに労られたことが今まであっただろうか?
傭兵時代を振り返る時、フロストリーフはいつも乾いた空気を感じる。命じられたままに戦った。望まれるままに腕をふるった。時に仲間を失くしながらも前進した。そういうものだと思っていた。己の生きる場所は戦場しかないと知っていた。生きるために生きていた。そう生きることが自分にとっては当たり前なのだと信じていた。
けれどロドスに拾われて、治療を受けてからはじめて立った戦場でそれは誤りだったと知った。フロストリーフの心は生きるために、そうしなければ生きられなかったために凍りついていただけで、それらに耐えられるほど強いわけではなかった。かつての己は心を殺し続けて、戦うための兵器だった。けれどフロストリーフは目覚めてしまった。人として生きることを思い出してしまった。……その時にはもう、フロストリーフの戦友たちは皆、過去のものになってしまっていたが。
フロストリーフはそっと目を伏せる。ドクターの手は温かかった。
かつての戦友たちは今の己を見て、なんて言うだろうか。なにも知らずに死ねなかったフロストリーフが、こんなふうに他の人間の体温を感じて、心を動かしていることに。人として生きていることに。
フロストリーフは傭兵で、そしていまだ幼かった。大人とは呼べず、子どもと呼ばれる程度には。だが、あと数歩で大人へと変わる境にいる。己の未来を考える。自分はいったいどんな大人になるだろうか。かつては考えたこともなかった先へ思いを馳せる。灰色だった世界は色鮮やかな色彩を持っていた。
だが。ああ、だが……、今享受している〝子ども扱い〟は存外に悪くはなかった。