転生したら赤ガヴだった件   作:仮面大佐

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第9話 オークロード

 ひょんな誤解から、大鬼族と戦闘になってしまった俺たちだが、誤解も解け、大鬼族を連れて、村へと戻る。

 宴が行われているが、現在、緊張感が凄まじかった。

 何せ、リムルに全員の視線が向けられていたからだ。

 

「はむっ」

 

 リムルが肉を口に入れると、全員が固唾を飲んで待っている。

 すると、リムルが震え出す。

 

「リ、リムル様………?」

「お口に、合いませんでした……?」

 

 リグルドとリグルが不安そうにそう聞いてくる。

 でも、この反応なら。

 

「うんっっっまぁぁい!」

 

 リムルがそう言うと、周囲から歓声が上がる。

 リムルは、人間の姿を得て、やっと味覚を得たのだ。

 それは美味いだろう。

 肉を焼いたであろうゴブイチがホッとすると、リグルドは肩に手を置く。

 そこから、本当の意味で宴会ムードになっていた。

 みんな酒を飲んだり、食べ物を食べたりして大いに盛り上がる。

 俺も、焼き串を食べている。

 そんな中、俺は、カイジン、リグルド、リグル、シズさん、絆翔と一緒に、大鬼族のリーダーから話を聞いていた。

 大鬼族のリーダーの言葉を聞いたカイジンは、酒を吹き出す。

 

「ぶっ〜!豚頭族(オーク)が、大鬼族(オーガ)に仕掛けてきただって?そんな馬鹿な⁉︎」

「事実だ」

「あり得るのか?そんな事?」

「分かりません」

「分かんないけど、異常なのは確かだな」

「ええ」

「だろうな」

「そんなにおかしい事なんすか?」

 

 カイジンが飲み物を吹き出してそう聞くと、リーダーはそう答える。

 それを聞いて、俺たちがそう話してる中、ゴブタが肉を食べながらこちらに来る。

 

「ゴブタ」

「当然だ。大鬼族と豚頭族じゃあ、強さの桁が違う。格下の豚頭族が仕掛ける事自体、あり得ない」

 

 リグルが反応する中、カイジンはそんなふうに言う。

 確かに、俺が知るゲームだと、オークとオーガでは、オーガの方が強いというのが、お約束とも言えるのだから。

 すると、リーダーは忌々しそうに顔を歪めながら言う。

 

「だが、奴らは来た。いきなり俺たちの里を襲撃してきた。武装し、鎧を身につけ、森を埋め尽くす程の圧倒的な戦力。あの忌まわしい豚どもに………里は蹂躙され尽くしたのだ!」

「豚頭族が鎧を?」

「ああ。人間の着用する様な、フルプレートメイルだ」

 

 リーダーはそんな風に悔しそうにそう言う。

 リーダーの言葉に、カイジンがそう聞くと、リーダーはそう答える。

 それを聞いた俺たちは、つぶやく。

 

「だとすると……」

「やはり、オークだけで動いているとは思えませんな」

「オークたちがそんな高価なものを大量に用意できるわけがない。不自然だ」

「その通りだ。軍勢の中に、仮面をつけた魔人がいた」

「仮面の魔人………」

「あれは上位魔人だ。間違いない。」

 

 俺がそう呟くと、リグルドとカイジンはそう話す。

 リーダーは、そう語った。

 なるほどな。

 

「そいつとリムル様とタオリン様を間違え、戦いを挑んだという訳ですな?」

「ああ」

「………………つまり、どういうことっすか?」

「豚頭族が誰か魔王の勢力のいずれかに与した、ということではないか?」

「なるほど……っす?」

 

 リグルドがそう聞くと、リーダーはそう答える。

 ゴブタは、リグルの説明を聞いても、いまいちピンと来ていない様だった。

 魔王と聞くと、シズさんが言ってた事を思い出す。

 シズさんは、魔王、レオン・クロムウェルによってこの世界に召喚された。

 無論、そいつとは限らないが。

 

「魔王か………」

「しかし魔王が何故?」

「分からぬ。はっきりしているのは、300人ほどいた同胞は、たった6人しか残ってないということだ」

「…………少なくとも、レオン・クロムウェルでは無さそうね」

「だな。だとすると、別の魔王か…………」

 

 リグルドとカイジンがそう話すと、リーダーはそう言う。

 それを聞いたシズさんと絆翔は、そんな風に話をする。

 すると。

 

「なるほどな。そりゃあ、悔しいわけだ」

「リムル」

「リムルさん」

「リムル」

 

 リムルは、そう言いながらこちらに来る。

 俺とシズさんと絆翔がそう反応する中、リーダーは口を開く。

 

「肉はもう良いのか?リムル殿」

「ちょっと食休み。………お前の妹、凄いな」

「うん?」

 

 リーダーがそう聞くと、リムルはそう言う。

 そう言うリムルの視線の先には、ホブゴブリン達に囲まれたリーダーの妹さんだった。

 

「薬草や香草に詳しくて、あっという間にゴブリン達と仲良くなった」

「箱入りだったからな。頼られるのが嬉しいんだろう」

「………で、お前ら、これからどうすんの?」

「どう………とは?」

「今後の方針だよ」

「確かにな。再起を図るにせよ、他の地に移り住むにせよ、仲間の命運は、君の采配にかかってるはずだろ?」

 

 リムルがそう言うと、リーダーはどこか誇らしげにそう言う。

 ちなみに、紫色の髪の大鬼族は、ゴブリンたちと一緒に踊っていて、黒の大鬼族は、肉を豪快に食べていた。

 リムルと俺は、リーダーに今後の方針についてを聞く事にした。

 すると。

 

「知れた事。力を蓄え、再度挑むまで」

「当てはあるのか?」

「うっ………」

 

 リーダーは迷いなくそんな風に言うと、リムルはそう聞く。

 それを聞かれたリーダーは何も考えていないのか、リムルの問いには答えず、酒を飲む。

 思念伝達で、リムルと話し合う。

 

『これ、完全にノープランだよな?』

『だな………。ちょっと、提案してみるか』

『何を?』

『まあ、見てろって』

 

 俺とリムルはそんな風に話し合う。

 どう見ても、ノープランだったからだ。

 リムルがそう言うと、リーダーに提案する。

 

「…………提案なんだけどさ、お前たち全員、俺たちの部下になる気はあるか?」

「なっ………部下?」

「まっ、俺たちが支払うのは、衣食住の保障のみだけどな」

「確かに。拠点があるのと無いのとだと、大分違うだろ?」

「しかし………それでは、この街を俺たちの復讐に巻き込む事に………」

 

 リムルがそう提案すると、リーダーはそんな風に言う。

 俺とリムルがそう言う中、リーダーは申し訳なさそうにそう言う。

 それを聞いて、俺たちは口を開く。

 

「まあ、別に、お前たちの為だけって訳じゃ無い」

「数千の武装した豚頭族が攻めてきたんだろ?誰か魔王が糸を引いているかも知れない。」

 

 俺とリムルがそう言うと、リグルドが口を開く。

 

「豚頭族どもは、このジュラの大森林の支配権を狙っているやもしれませんな」

「だとすると、遅かれ早かれ、ここも狙われるだろうな」

「うん。この街だって、決して安全とは言えないだろうな」

「そんな訳で、こちらとしても、戦力は多いに越したことはない」

「それに、もし、お前たちに何かあったら、俺たちも一緒に戦う。俺たちは、仲間を見捨てない」

「ああ」

 

 リグルドがそう言うと、絆翔もそう言う。

 俺とリムルはそう語る。

 実際、他人事ではないだろうからな。

 それを聞いたリーダーは。

 

「なるほど………。少し、考えさせてくれ」

「分かった。じっくり考えてくれ」

「さてと、俺はもう少し、肉を貰ってこようかな」

「俺も」

 

 リーダーはそう言うと、どこかへと歩いていく。

 俺とリムルは、肉を貰いに行く。

 まあ、すぐには答えは出ないだろうからな。

 そんな中、リーダーは森の中を歩いていて、青色の髪の大鬼族がリーダーに話しかける。

 

「悪い話では無い。だが、決めるのはお前だ。我らは、お前と姫様に従う。」

 

 その大鬼族は、リーダーにそう声をかけて、リーダーは奥に向かっていく。

 すると。

 

「くっ…………!俺にもっと、力があれば………!」

 

 リーダーは近くにあった木を殴ると、そんな風に呟く。

 その翌日、俺とリムルが居る天幕に、リーダーがやって来る。

 

「………決めたのか?」

「大鬼族の一族は戦闘種族だ。人に仕え、戦場を駆ける事に抵抗はない。主達が強者なら、尚の事喜んで仕えよう」

「ああ」

「契約は、豚頭族の首魁を討ち滅ぼすまでで良いか?」

「その後は、自由にしてもらって構わない」

「俺たちに協力して国を作るのも良いし、旅立つのも選択肢にあるな」

 

 リムルがそう聞くと、リーダーはそんな風に言う。

 俺とリムルの言葉を聞いたリーダーは、息を吐いて、その場に跪く。

 

「昨夜の申し出、承りました。あなた様方の配下に、加わらせて頂きます」

「うむ」

「ああ」

 

 リーダーは跪きながら、そんな風に言う。

 何だか、弱味に付け込む様な形になってしまったな。

 この決断は、自分の不甲斐なさを飲んだ、一族の頭としての物だろう。

 すると、リムルは人間態になる。

 

「顔を上げろ」

「君達を受け入れる。皆をここに呼んでくれ。」

「はっ」

 

 そう言って、リーダーは、残りの大鬼族達を呼びに行った。

 俺とリムルは。

 

「リムル」

「ああ。俺たちに出来る事は、あの頭の決断を、悔いなき物にしてやるだけだ」

「だな」

 

 そんな風に話をする。

 しばらくすると、残りの大鬼族達がやって来る。

 俺とリムルは、思念伝達で話し合う。

 

『それで、どうする?』

『そうだな……………。まずは俺から名前をつける。低位活動状態(スリープモード)になったら、あとは頼む』

『分かった』

 

 俺とリムルは、名付けに関してそう話をする。

 そんな風に話し合った後、リムルが口を開く。

 

「俺たちの配下になった証に、名をやろう。」

『あっ………⁉︎』

「俺たち、全員に………?」

「名前がないと不便だろ?」

「しかし………」

「お待ちください。名付けとは本来、大変な危険を伴う物。それこそ、高位の………」

「大丈夫だよ」

「ですが………。」

 

 リムルはそんな風に提案する。

 それを聞いて、姫様はそんな風に言う。

 おそらく、姫様が言いたいのは、低位活動状態(スリープモード)の事だろ?

 今回も、分担して行うから、問題ないだろ。

 

「それとも、俺達に名前を付けられるのは嫌か?」

「そういう事では………」

「異論などない」

「お兄様………」

「ありがたく頂戴する」

「若がそう言うのなら」

「うん。じゃあ、始めよう」

「君は…………」

 

 俺とリムルは、大鬼族達に名付けをすると、リムルは気を失ってしまい、残りは俺が名付けを行った。

 それぞれ、リーダーを紅丸、姫様を朱菜、紫の髪の大鬼族を紫苑、青髪の大鬼族を蒼影、黒髪の大鬼族を黒兵衛、爺さんを白老と名付けた。

 その翌日、大鬼族全員が進化したそうだ。

 鬼人という種族に。

 俺たちがそうしている中、ジュラの大森林に起こった異変は、確実に侵食を続けていた。

 一方、ジュラの大森林の中央に広がるシス湖。

 その周辺には、湿地帯が広がっていて、蜥蜴人族(リザードマン)が支配する領域となっている。

 

「ほ、報告します!シス湖南方にて、豚頭族の軍勢を確認!我ら、蜥蜴人族の領域への侵攻と思われます」

「豚頭族だと?戦の準備をせよ。豚ごとき、蹴散らしてくれるわ」

「数はどのくらいなのだ?」

「それが………」

「どうした?歯切れが悪いぞ。早く言え」

蜥蜴人族「それが………豚頭族の軍勢、その数………およそ20万………。」

 

 偵察していた蜥蜴人族が戻ってくると、そう報告する。

 親衛隊長がそう聞くと、偵察がそう言い淀み、副隊長はそう聞く。

 すると、偵察はそう答える。

 その言葉に、親衛隊長と副隊長が叫ぶ。

 

「バ………バカな⁉︎我々の20倍もの軍勢だと?」

「ちゃんと確認したのか?間違いとかじゃなく?」

「魔力感知と熱源感知で、何度も確認しました。この命に賭けて、真実であります」

「………ご苦労。下がって休むが良い」

「はっ!」

 

 信じられない情報を聞いて、副隊長がそう聞くと、偵察兵はそう答える。

 首領がそう言うと、偵察部隊は、下がっていく。

 首領は呟いた。

 

「20万だと………?そのバカげた数の豚どもの胃袋をどうやって、満足させる事が出来ると言うのだ?」

「そもそも奴らは、勝手気ままで、協調性のない連中」

「20万などと言う途方もない数を、統率出来ようはずもない」

「噂ですが、豚頭族の軍勢が、大鬼族の里を滅ぼしたとか」

「「何だって⁉︎」」

 

 首領がそう呟くと、側近達はそう話していく。

 大鬼族の里が、豚頭族に滅ぼされたというその噂に側近達は驚く。

 そんな中、首領がポツリと呟く。

 

豚頭帝(オークロード)

『あっ………』

「20万もの軍勢をまとめ上げている豚頭族が居るのならば……伝説のユニークモンスター、豚頭帝の存在を疑わねばなるまい」

「ん………」

「豚頭帝ね………」

 

 首領は、豚頭帝の存在がいる可能性があると考えていた。

 首領の言葉に、側近達が騒めく。

 

「オ………豚頭帝」

「いや………しかし………」

「だが、万が一そうであるなら、豚頭族どもが、大軍をまとめ上げる事ができた理由の説明はつきますな」

「しかし、その目的は………?」

「そんな事はどうでもよろしい!問題は勝てるかどうかですぞ!」

 

 側近達がそう言う中、首領が口を開く。

 

「本当に豚頭帝が生まれたのだとすれば、勝利は厳しいだろう」

 

 その言葉に、部下達が騒めく。

 首領は、言葉を紡ぐ。

 

「豚頭帝は、味方の恐怖の感情すらも食らう、正真正銘の化け物なのだからな。………可能性の話だ。………だが、打てる手は全て打つべきだ」

「打てる手………」

「と言いますと?」

「援軍を頼むべきだろうな。………息子よ!我が息子はおるか?」

 

 首領は、豚頭帝の脅威を分かっているのか、そんな風に判断していた。

 首領がそう叫ぶと、その息子が現れる。

 

「ここにおりますよ。………ですが、親父殿。その呼び方は、些か不粋ではありませぬか?我輩には、ガビルというゲルミュッド様から頂いた名前があるのですから」

 

 その息子は、そんな風に言いながら現れる。

 そう、ゲルミュッドは、この蜥蜴人族にも、ガビルという名前を付けていたのだ。

 

「呼び方など、どうでも良かろう」

 

 首領がそう言う中、ガビルの妹である親衛隊長とガビルが目を合わせる。

 副隊長は、ガビルの幼馴染だ。

 

「お前にやってもらいたい事がある」

「………伺いましょう」

 

 一方、俺たちは、白老とシズさんがゴブタ達をしごいているのを見ていた。

 理由は、ゴブタがお気楽に剣術を習いたいと言ったからだ。

 

「ほらほら!打ち返してこんか!」

「皆!かかってきなさい!」

 

 そう言って、ゴブタ達を滅多打ちにする。

 まさに鬼コーチだな。

 ていうか、シズさんって、意外とスパルタなのかな。

 

「…………シズさんって、意外とスパルタなんだ…………」

「そりゃなぁ…………子供達に対して、走り込み校庭100周か、階段往復兎跳びか、模擬戦50連戦か、お絵描きかって選択させてたらしいからな。まあ、それって丸くなった頃で、昔はもっとやばかったからな。子供達に対しては鬼なのに対して、昔は悪魔みてぇにスパルタだったからな!あははは!」

 

 俺がそう呟くと、絆翔はそんな風に言う。

 それは鬼すぎない?

 ていうか、それで丸くなった?

 昔はどれだけやばかったんだろうか。

 まあ、太平洋戦争真っ只中の時代から来たらしいから、無理もないけど。

 あと、それ以上はやめておいた方が………。

 すると。

 

「ひっ⁉︎」

「絆翔君?そんな風に話している暇があるなら、一緒に修行する?」

「い、いえ!結構です!」

「そう?」

 

 突如、木刀が飛んできて、絆翔の横に突き刺さる。

 シズさんがそう話しかけると、絆翔はそう断る。

 俺、リムル、紅丸は苦笑する。

 すると、紅丸がある話をする。

 

「豚頭帝?」

「何だそれ?」

「まあ、簡単に言うと………化け物です」

「本当に簡単だな」

 

 紅丸が、豚頭帝の話をしてきて、俺とリムルがそう聞くと、紅丸はそう答える。

 すると、絆翔が口を開く。

 

「確か…………数百年に一度、豚頭族の中に生まれると言われている、ユニークモンスターだよな?」

「ああ」

「ユニークか………」

「何でも、味方の恐怖の感情すらも食う為、異常に高い統率能力を持つんだとか」

「うへぇ………」

「里を襲った豚頭族どもは、仲間の死にまるで怯む事が無かった。あるいは………と思いまして」

「なるほど………」

 

 絆翔がそう聞くと、紅丸はそう答える。

 恐怖の感情すらも食うって、やばいな。

 つまり、死という恐怖に怯まない無敵の軍隊が出来るわけだ。

 それはやばいな。

 

「まあ、可能性で言えば、非常に低い話です」

「ふ〜ん?」

「他に、里が襲われる理由に心当たりはないか?」

「そうですね。………関係あるかは分かりませんが、襲撃の少し前に、ある魔人が里にやってきて、『名をやろう。』………と言ってきたんですが、あまりに胡散臭かったので、追い返しました所、悪態をつきながら帰っていきましたね」

 

 俺とリムルがそう聞くと、紅丸はそう答える。

 魔人か………。

 大鬼族の里の襲撃の際にも、魔人が居たという事は、関係ありそうだな。

 そいつが豚頭族達を、大鬼族の里に誘導したという可能性もありそうだよな。

 

「魔人か…………」

「そいつから、恨みを買っているかもしれないって事か」

「仕方ありませんよ。主に見合わなけりゃ、こっちだってごめんだ。名を付けてもらうのも、誰でも良いってわけじゃありませんからね」

「(ゴチゾウの鳴き声)」

 

 俺とリムルがそんな風に言うと、紅丸はそう言う。

 紅丸のその言葉に、嵐牙も頷いていた。

 俺たちは、主に相応しいと認められたのか。

 それは嬉しいな。

 そして、ゴチゾウもどこか誇らしげにしていた。

 すると、紅丸が何かを思い出そうとする。

 

「なんて名前だったかな?確か………ゲラ、ゲリ、ゲレ、ゲロ?」

「フッ!」

「ん?」

 

 紅丸が名前を思い出そうとすると、嵐牙と紅丸が背後に視線を向ける。

 すると、木の影から、蒼影が現れる。

 

「ゲルミュッドだ」

「そう、それだ」

「ゲルミュッド………。何か、どっかで聞いた事がある名前だな」

「確か、リグルのお兄さんに、名前を付けた奴だったな」

「あちこちで名前を付けてんのか?なぜ?」

「分からん」

「ていうか、名付けって命懸けの行為なんだろ?よくそんな事出来るな」

 

 蒼影がそう言うと、俺とリムルはそう話す。

 どうやら、色んな場所で、ゲルミュッドという奴が暗躍しているみたいだな。

 確かに、命懸けの行為をよくもまあ出来るよな。

 すると、蒼影が報告する。

 

「報告がございます。リムル様、タオリン様」

「うん」

「蜥蜴人族の一行を目撃しました」

「蜥蜴人族?豚頭族じゃなくて?」

「はい。湿地帯を拠点とする彼らが、こんな所まで出向くのは異常ですので、取り急ぎ、ご報告をと」

「ふ〜ん」

「何やら、近くのゴブリン村で、交渉に及んでいる様でした。ここにも、いずれ来るかもしれません」

「分かった」

 

 蒼影はそう報告する。

 蜥蜴人族も、豚頭族の襲撃に備えようとしているのか?

 俺は、白老とシズさんにコテンパンにされたゴブタ達を見ながらそう思った。

 一方、ガビル達は。

 

「全く、親父殿と来たら………。『ゴブリン村を巡り、協力を取り付けてこい。』……だと?豚頭族に恐れをなすなど、誇り高き蜥蜴人族の振る舞いとは思えぬ。昔は、あんなにも大きく偉大な男だったというのに」

「ねぇねぇ、ガビル様は、いつ首領になるの?」

「む?」

 

 ガビルはそんな風にボヤいていた。

 首領の判断に納得がいっていない様だった。

 部下の質問に対して、ガビルが止まって答える。

 

「いやいや。少々不遜なことを言ってしまったが、我輩など、親父殿には遠く及ばんよ」

「そうかな?今のガビル様なら、きっと全盛期の首領にも劣らねぇぜ」

「然り」

「いや………そんな事は………」

「だって、ガビル様、名持ち(ネームド)だし」

「うん。その槍捌きにおいて、右に出る者なし」

「あんた、今立たないで、いつ立つんだよ?」

「えっ⁉︎」

 

 ガビルは謙遜するかの様にそう言う。

 すると、部下達はそんな風に煽てていく。

 部下達の言葉に、ガビルは満更でもない表情を浮かべる。

 

(うん………う〜ん………。えっ、何?ひょっとして………我輩ってば、結構いけてる?)

 

 そう思うガビルだった。

 ガビルは、咳払いをする。

 

「ううん!そうだな………親父殿も年だ。少々強引なやり方でも、我輩が支配者に足る力を持っている所を、お見せしよう」

『おお〜!』

「それでこそ、安心して引退していただけるという物」

「じゃあ!」

「フフッ……!うむ!豚頭族の軍勢の撃退を持って、蜥蜴人族の首領の座を、受け継ぐ事にしよう!」

「さっすが、ガビル様だぜ!」

「ヒュ〜ヒュ〜!」

「かっくいい〜!」

「至極、当然」

 

 ガビルはそんな風に宣言する。

 それを見た部下達は、ガビルを煽てて、ガビルコールを始める。

 それを見て、ガビルは満更でもなさそうだった。

 

「フフフッ……。ふ〜ん。行くぞ!ふ〜ん!我輩に着いてこい!お前達の未来は明るい………ゲホッ!ゲホッ!」

『おお〜!』

 

 ガビルはかっこつけた余り、咳き込んでしまうが、移動を再開する。




今回はここまでです。
今回は、大鬼族達に名付けをする感じです。
絆翔は、余計な一言を言ったせいで、シズさんの怒りを買ったという。
そして、リムルとタオリン達の村に、ガビル達が向かっていた。
蜥蜴人族の副隊長は、現時点では、ベイクに変身する予定です。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
今後の展開などでリクエストがあれば、活動報告から承っております。
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