転生したら赤ガヴだった件   作:仮面大佐

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第14話 ジュラの森大同盟

 魔王ゲルドを討伐したその翌日。

 それぞれの種族の代表が集まった。

 テンペスト側からは、俺、リムル、鬼人達、シズさん、絆翔だ。

 蜥蜴人族(リザードマン)からは、首領と側近。

 あとは、豚頭族にゴブリン、トレイニーさんだ。

 戦後処理の話し合いだ。

 ちなみに、蜥蜴人族(リザードマン)の中に、ガビルの姿は無かった。

 反逆の罪に問われているのだろう。

 だが、それは置いておいて、一つ言いたい事がある。

 

「では、議長リムル=テンペスト、並びに、副議長タオリン=テンペスト。始めてください」

 

 そう。

 リムルが議長で、俺が副議長なのだ。

 そこは、森の管理者であるトレイニーさんが議長じゃないの⁉︎

 俺は内心、そう突っ込んだ。

 

『なんで俺たちが議長やら副議長なんだよ!?』

『仕方ない。俺もサポートするから、どうにかしよう』

『………だな』

『一応、豚頭族(オーク)の処遇は、話し合った通りにな』

『だな』

 

 俺たちは、そう思念伝達で話し合って、リムルが口を開く。

 

「えー………。こういう会議は初めてで苦手なんだ。だから思ったことだけを言う。その後皆で検討してほしい」

 

 俺が皆に確認の合図を送るとその場にいる全員がうなずいた。

 それを見て、リムルは口を開く。

 

「まず最初に明言するが、俺たちは豚頭族の罪を問う考えはない。」

「え…………?」

「被害が大きかった蜥蜴人族からしたら、不服だろうが、聞いて欲しい。豚頭族達が、何故侵攻をしたのかを」

 

 リムルがそう言うと、豚頭将軍は呆気に取られていた。

 そんな中、俺とリムルは話した。

 豚頭族が侵攻を行った理由は、住む地域に襲った飢饉による飢餓である事を。

 

「…………同じ立場だったならば、他の種族の物であっても、同様の判断をしたかもしれない」

「まあ、これに関しては、建前なんだけどな」

「…………では、本音を伺ってもよろしいかな?」

 

 俺とリムルがそう言うと、首領はそう聞いてくる。

 首領の言葉に、俺たちは頷き、リムルが答えた。

 

「豚頭族の罪は全て俺達が引き受けた。文句があるなら俺達に言え」

 

 リムルはそう言う。

 すると、豚頭族の代表で、生存した豚頭将軍が口を開く。

 

「お…………お待ちいただきたい!いくらなんでも、それでは道理が………!」

「それが、魔王ゲルドと俺たちが交わした約束だ」

「あっ………う………うう………」

 

 俺の言葉に、豚頭将軍は言葉を失い、座る。

 豚頭族は、顔を俯かせた。

 やはり、飢餓者(ウエルモノ)の効果が消えた事で、抑え込まれた感情が出て、罪悪感が募っていた。

 すると、蜥蜴人族の首領が口を開いた。

 

「なるほど………。しかし、それは少々狡いお答えですな」

『まあ、簡単には受け入れられないだろうな。』

『まあ、それが普通だもんな』

 

 それを聞いた族長は、そんなふうに言う。

 俺たちがそう思念伝達で話していると、紅丸が前に出る。

 

「魔物に共通する、唯一不変のルールがある。弱肉強食。立ち向かった時点で、覚悟は出来ていたはずだ」

「………お前達も里を滅ぼされているけど、文句は無いのか?」

「ないと言えば、嘘になりますが………。次があれば、同じ無様は晒しませんよ」

 

 紅丸はそんな風に言う。

 リムルの問いに対して、紅丸はそう答えた。

 鬼人達にとっても、豚頭族は里を滅ぼした元凶だ。

 思うところはあるんだろうな。

 紅丸の言葉に、鬼人達は頷く。

 それを見た俺と首領が口を開く。

 

「そうか………」

「なるほど、正論ですな。………ですが、一つ、どうしても確認させていただきたい」

「何だ?」

「豚頭族をどうなさるのですか?」

「……………」

「豚頭族の罪を問わぬということは、生き残った彼ら全てを、受け入れるおつもりですか?」

 

 首領の言いたい事も分かる。

 ちなみに、豚頭族の生き残っている部族全員で出てきたそうだ。

 生き残る為に。

 俺とリムルは頷き合い、語り出す。

 

「確かに、数は減ったとはいえ、10万の豚頭族が居る」

「それで、だ。夢物語の様に聞こえるかもしれないが、皆で協力出来ればと考えている」

「協力?」

「………と、言いますと?」

「どういう事ですか?」

 

 俺とリムルはそんな風に言う。

 俺たちがそう言うと、蜥蜴人族達が反応して、全員の視線が俺たちに集まる。

 そこから、考案している事を語っていく。

 

「蜥蜴人族からは、良質の水資源と魚を。ゴブリンからは住む場所を。俺たちの町からは、加工品を提供する」

「………で、その見返りとして、豚頭族からは、労働力を提供して欲しい」

「おおっ………!」

「ジュラの大森林の各種族間で、大同盟を結び、相互に協力関係を築く。多種族共生国家とか出来たら、おもしろいと思うんだけどなぁ」

 

 俺とリムルはそんな風に語っていく。

 俺とリムルの言葉に驚いたのか、豚頭将軍達が尋ねてくる。

 

「わ………我々が………!その………同盟に参加させて貰えると言う事ですか?」

「帰る場所も行く当ても無いんだろう?」

「居場所を用意してあげるから、しっかり働けよ。サボるなよ?」

 

 豚頭将軍の問いに対して、俺とリムルはそう答える。

 俺たちがそう言うと、豚頭族達は涙ぐみ、一斉に頭を下げる。

 

「ははっ!」

「勿論!勿論ですとも!命懸けで働かせて貰います!」

「うん」

「蜥蜴人族はどうだ?」

「うむ。是非、協力させていただきたい」

「トレイニーさんも、良いかな?」

「宜しいでしょう。私の守護する樹人(トレント)族からも、森の実りを提供いたしましょう。当面、豚頭族達の飢えを癒す事は、出来るかと思います」

「おおっ………!」

 

 俺たちの言葉に、豚頭族達は頭を下げ、蜥蜴人族達もそう言う。

 どうやら、話は纏まったみたいだな。

 すると、トレイニーさんが立ち上がる。

 

「では………森の管理者として、私、トレイニーが宣誓します。リムル様とタオリン様を、ジュラの大森林の新たなる盟主として認め…………」

「盟主⁉︎」

「俺も?」

「本来、盟主は1人なのですが、お二人とも才能をお持ちでいらっしゃるので、お二人を盟主とすることに異論はありませんね?」

 

 トレイニーさんがそう言うと、リムルはそう叫び、俺もそう呟く。

 そこはトレイニーさんじゃないんだ…………。

 俺がそう思う中、トレイニーさんは跪いた。

 無論、ゴブリンに蜥蜴人族、豚頭族、鬼人達、シズさんと絆翔もだ。

 それを見た俺たちは。

 

『辞退は………!』

『無理だな。まあ、俺たちで頑張ろう』

『分かったよ………』

 

 俺とリムルは、そう思念伝達で話し合い、そう結論づける。

 

「い…………いいよ、やるよ!やりますよ!じゃあ、あの、そういう事みたいなんで、皆、宜しく頼む!」

「俺の方もよろしく」

「ははっ!」

 

 俺とリムルがそう言うと、俺たちはそう答える。

 こうして、ジュラの森大同盟が決まったのだった。

 


 

 その後、鬼人達の元に、あの豚頭将軍がやって来る。

 

「何か用か?」

「…………弱肉強食とは言っても、憎しみはそう簡単に割り切れるものではない。我らは………大鬼族(オーガ)の里を………!」

 

 紅丸がそう聞くと、豚頭将軍はそう言う。

 すると、その豚頭将軍は頭を下げる。

 

「詫びて………詫びきれはしない。虫の良い話であるのは、重々承知している。だが………どうか、この私の首で、ご容赦願えないだろうか………!」

 

 豚頭将軍は、死を覚悟をしていたのか、決して顔を上げようとしなかった。

 すると、紅丸が口を開いた。

 

「…………戦いの後、今後もリムル様とタオリン様の下にあり続けたいと伝えたら、俺たちに役職を下さった」

「私は武士(もののふ)。リムル様の護衛役で、秘書を兼ねてます!」 

「白老は指南役、蒼影は隠密。村に残ってる朱菜と黒兵衛にもだ。………で、俺は侍大将の座を賜った。軍事を預かる役所だ。そんな所に就いちまった以上、有能な人材を勝手に始末するわけにはいかんだろう」

 

 紅丸達は、自分たちの役職を言って、紅丸達はそう言うと出口へと向かい、豚頭将軍は頭を上げる。

 すると、紅丸は歩みを止め、2人の豚頭将軍に尋ねる。

 

「………リムル様とタオリン様に仇なす存在ならば、容赦はしないが、同盟に参加し、盟主と仰ぐのならば、敵では無い」

「あ………仇なすなど、滅相も………!あの方々は、我らを救ってくださった。従いこそすれ、敵対など、あり得ん!」

「では、俺たちは同じ主をいただく仲間だ。せいぜい、リムル様とタオリン様の役に立て。それを、詫びとして受け取っておこう」

 

 紅丸がそう言うと、豚頭将軍はそう答える。

 紅丸はそう言い残して、外へと向かっていく。

 豚頭将軍は立ち上がり、紅丸達の背中を見つめる。

 

「父王、ゲルドの名に誓って」

 

 そう言って、頭を下げる。

 それを、影から見ていた俺達は。

 

『紅丸って、器が大きいな。』

『俺たちも見習わないとな。アイツらに名前をつけないとな』

『だな。新たな豚頭族の指導者として』

 

 俺たちは、思念伝達でそう話して、豚頭将軍を呼び出す。

 

「お前は、豚頭魔王(オークディザスター)ゲルドの遺志を継いで貰うべく、名をゲルドとする」

「豚頭族達を、しっかり導くんだぞ」

「「はっ!」」

 

 リムルが名付けを行うと、俺はそう言う。

 こうして、新しき王ゲルドは、猪人王(オークキング)へと進化した。

 その後、10日かけて、リムルは生き残った10万の豚頭族に、名前をつけた。

 その結果、リムルは低位活動状態(スリープモード)になった。

 ちなみに、蜥蜴人族の首領にも、アビルの名をつけた。

 で、ガビルは、判決されようとしていた。

 まあ、一族の事を思っての行動だが、そうなるのも無理はなかった。

 

『我輩は死罪であろう。それで良い。そうでなければ、示しがつかん。ただ………心残りがあるとすれば………聞いてみたかった。何故、あの2人は、我輩を助けてくれたのかと。こんな………何の価値もない間抜けを』

 

 ガビルは、そう思っていた。

 自分のしでかした事の重大さを理解しているが故に、死罪となるのは覚悟していた。

 そんな中、ガビルは俺とリムルにその理由を聞きたいと思っていた。

 すると、アビルが口を開く。

 

「顔を上げい」

「ん………」

「判決を申し渡す」

『せめて、堂々と、死罪を受け入れようぞ』

 

 アビルはそう言うと、判決を下そうとした。

 それを聞いたガビルは、死罪を受け入れようとしていた。

 だが、アビルの口から出たのは、意外な言葉だった。

 

「ガビルを破門し、追放する。二度と蜥蜴人族を名乗る事は許さぬ」

「はっ………?」

「即刻、追い払うが良い!」

「なん………だと⁉︎」

 

 アビルの下した判決は死罪ではなく、勘当と追放だった。

 アビルの判決に、ガビルは驚いていた。

 ガビルは他の蜥蜴人族に連れられ、外へと追い出される。

 

「ぐっ………!」

「忘れ物だ。ほら」

 

 そう言って、一本の槍と荷物を渡す。

 その槍は、先ほどまで、アビルが持っていた水渦槍(ボルテックススピア)だった。

 

「あ………ああっ………!」

 

 アビルは餞別として、水渦槍を息子に譲渡したのだった。

 ガビルは泣きながら、頭を下げる。

 ガビルが移動していると。

 

「ガビル様〜!」

「ん?」 

「わ〜い!」

「ガビル様〜!」

 

 そこに現れたのは、ガビルの部下達だった。

 

「待ってましたよ、ガビル様!」

「ったく、待ちくたびれたぜ」

「時は金なり」

「な………何をしておるのだ、お前達!我輩は破門になったのだぞ⁉︎」

「ガビル様が破門なら、皆、破門ですよ!」

「然り!」

「お前ら………バカだな」

 

 ガビルの部下がやってきたのを見て、ガビルが驚きながらそう聞くと、部下達はそう答える。

 ガビルはそう言ったが、実際には嬉しかったのだ。

 破門になったのに、自分を慕って着いてきてくれる事に。

 ガビルは、顔を背け、涙を拭うと。

 

「………しょうがない奴らであるな。分かった!まとめて面倒みてやろう。我輩に着いてくるが良い!」

「ヒュウ!流石だぜ。」

「かっくい〜!」

「至極、当然!」

 

 ガビルと部下達は、どこかへと向かっていく。

 


 

 一方、ある城では、白いタキシードの男性と、ラプラスが話していた。

 

「折角お膳立てしたのに、新しい魔王が生まれへんかったんは、痛いんちゃうか?」

「……………そうだな」

 

 ラプラスの言葉に、白いタキシードの男性はそう言って、ワインを飲む。

 そして、ラプラスの方を見る。

 

「…………しかし、面白い物が見れたよ。あのスライムに魔人。どうしたものかな?」

「せいぜい頑張ってや。もし、協力が必要なら、格安で請け負うたるわ。魔王、クレイマンはん」

 

 そう言って、ラプラスは煙と共に消えた。

 クレイマンと呼ばれた白いタキシードを着た男は。

 

「フッ、フフ。」

 

 そう、笑う。

 


 

 一方、俺たちの街は、徐々に発展していっている。

 これも、ゲルドのおかげだ。

 ゲルドの指揮する豚頭族改め、猪頭族(ハイオーク)達は、テンペストの発展に貢献している。

 技術を教えたカイジン曰く。

 

「鍛えればドワーフに劣らぬ技術を持てるかも知れん!」

 

 と語っていた。

 その為、頼れる労働力となっていた。

 ただ、責任感が強すぎるが故か、ゲルドは、ワーカーホリック気味になっていた。

 その為、俺とリムルが定期的に飲みに誘っている。

 


 

 ある日、俺とリムルが昼食を食べに食堂に行くとそこでは、ガビル達が飯を食べていた。

 

「ガビル……………?」

「お前ら、何してんの?」

「あっ………いやあ、ハハハ!このガビル!リムル殿とタオリン殿のお力になりたく、馳せ参じましたぞ!」

「ガビル様、かっこい〜!」

「当然である」

 

 俺とリムルがそう聞くと、ガビル達はそう言う。

 それを聞いた紫苑は。

 

「では、斬りますね」

 

 そう言って紫苑は剛力丸を構える。

 それを見たガビルは焦った。

 

「あっ!いやいやいや………!是非とも、我輩達を配下に加えていただきたいのです!必ず、お役に立ってご覧に入れますので。何卒」

「何卒………」

「ガビル様がこう言ってますので………」

「兄は反省しているのです」

「彼に償いの機会をお与えください」

 

 ガビル達は慌てながらも、そんな風に言って跪く。

 ガビル達がそう言う中、親衛隊長と副隊長とその配下達が現れる。

 

「親衛隊長と副隊長まで?」

「来てたのか」

「私たちは、兄と違って、勘当になった訳ではありません」

「何⁉︎」

「首領アビルが、見聞を広めよと、私たちを送り出してくれたんです」

「我輩を慕ってついて来たのでは?」

「違います」

「違う」

「ガーン!」

「なるほどね………」

 

 そうして、ガビル達が仲間になった。

 リムルは、親衛隊長と副隊長、その配下に名前を付ける。

 ガビルとよく居るあの3人組は、青色の奴がカクシン、緑色の奴がヤシチ、あと一人はスケロウの名前をつけた。

 名前をつけた事により、ガビル達は、龍人族(ドラゴニュート)に進化した。

 ちなみに、蒼華と名付けられた親衛隊長と蒼華の配下は、人間に近い姿になって、蒼影の部下として動く事になった。

 一方、副隊長は蒼酩(そうめい)という名前をつけて、技術職に就く事になった。

 その理由としては。

 

「私は戦闘はあまり得意ではなくて。副隊長も、推薦の形で収まったので」

 

 との事だ。

 その為、新たなアイテムの開発などを行う様に頼んだ。

 ヴラスタムギアなども、作る必要があるからな。

 ちなみに、考えたのは俺だ。

 あと、それぞれの部門にエージェントを配置する事になった。

 そうすれば、皆の負担も減るかと思って。

 こうして、ガビル達も仲間になったのだった。




今回はここまでです。
今回は、ジュラの森大同盟についての話し合いです。
話し合いの結果、リムルとタオリンを中心に、ジュラの森大同盟が成立しました。
そんな中、クレイマンの暗躍は続く。
果たして、どうなるのか。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
いよいよ来週、蒼海の涙が公開しますね。
どんな感じになるのか、楽しみです。
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