魔王ゲルドを討伐したその翌日。
それぞれの種族の代表が集まった。
テンペスト側からは、俺、リムル、鬼人達、シズさん、絆翔だ。
あとは、豚頭族にゴブリン、トレイニーさんだ。
戦後処理の話し合いだ。
ちなみに、
反逆の罪に問われているのだろう。
だが、それは置いておいて、一つ言いたい事がある。
「では、議長リムル=テンペスト、並びに、副議長タオリン=テンペスト。始めてください」
そう。
リムルが議長で、俺が副議長なのだ。
そこは、森の管理者であるトレイニーさんが議長じゃないの⁉︎
俺は内心、そう突っ込んだ。
『なんで俺たちが議長やら副議長なんだよ!?』
『仕方ない。俺もサポートするから、どうにかしよう』
『………だな』
『一応、
『だな』
俺たちは、そう思念伝達で話し合って、リムルが口を開く。
「えー………。こういう会議は初めてで苦手なんだ。だから思ったことだけを言う。その後皆で検討してほしい」
俺が皆に確認の合図を送るとその場にいる全員がうなずいた。
それを見て、リムルは口を開く。
「まず最初に明言するが、俺たちは豚頭族の罪を問う考えはない。」
「え…………?」
「被害が大きかった蜥蜴人族からしたら、不服だろうが、聞いて欲しい。豚頭族達が、何故侵攻をしたのかを」
リムルがそう言うと、豚頭将軍は呆気に取られていた。
そんな中、俺とリムルは話した。
豚頭族が侵攻を行った理由は、住む地域に襲った飢饉による飢餓である事を。
「…………同じ立場だったならば、他の種族の物であっても、同様の判断をしたかもしれない」
「まあ、これに関しては、建前なんだけどな」
「…………では、本音を伺ってもよろしいかな?」
俺とリムルがそう言うと、首領はそう聞いてくる。
首領の言葉に、俺たちは頷き、リムルが答えた。
「豚頭族の罪は全て俺達が引き受けた。文句があるなら俺達に言え」
リムルはそう言う。
すると、豚頭族の代表で、生存した豚頭将軍が口を開く。
「お…………お待ちいただきたい!いくらなんでも、それでは道理が………!」
「それが、魔王ゲルドと俺たちが交わした約束だ」
「あっ………う………うう………」
俺の言葉に、豚頭将軍は言葉を失い、座る。
豚頭族は、顔を俯かせた。
やはり、
すると、蜥蜴人族の首領が口を開いた。
「なるほど………。しかし、それは少々狡いお答えですな」
『まあ、簡単には受け入れられないだろうな。』
『まあ、それが普通だもんな』
それを聞いた族長は、そんなふうに言う。
俺たちがそう思念伝達で話していると、紅丸が前に出る。
「魔物に共通する、唯一不変のルールがある。弱肉強食。立ち向かった時点で、覚悟は出来ていたはずだ」
「………お前達も里を滅ぼされているけど、文句は無いのか?」
「ないと言えば、嘘になりますが………。次があれば、同じ無様は晒しませんよ」
紅丸はそんな風に言う。
リムルの問いに対して、紅丸はそう答えた。
鬼人達にとっても、豚頭族は里を滅ぼした元凶だ。
思うところはあるんだろうな。
紅丸の言葉に、鬼人達は頷く。
それを見た俺と首領が口を開く。
「そうか………」
「なるほど、正論ですな。………ですが、一つ、どうしても確認させていただきたい」
「何だ?」
「豚頭族をどうなさるのですか?」
「……………」
「豚頭族の罪を問わぬということは、生き残った彼ら全てを、受け入れるおつもりですか?」
首領の言いたい事も分かる。
ちなみに、豚頭族の生き残っている部族全員で出てきたそうだ。
生き残る為に。
俺とリムルは頷き合い、語り出す。
「確かに、数は減ったとはいえ、10万の豚頭族が居る」
「それで、だ。夢物語の様に聞こえるかもしれないが、皆で協力出来ればと考えている」
「協力?」
「………と、言いますと?」
「どういう事ですか?」
俺とリムルはそんな風に言う。
俺たちがそう言うと、蜥蜴人族達が反応して、全員の視線が俺たちに集まる。
そこから、考案している事を語っていく。
「蜥蜴人族からは、良質の水資源と魚を。ゴブリンからは住む場所を。俺たちの町からは、加工品を提供する」
「………で、その見返りとして、豚頭族からは、労働力を提供して欲しい」
「おおっ………!」
「ジュラの大森林の各種族間で、大同盟を結び、相互に協力関係を築く。多種族共生国家とか出来たら、おもしろいと思うんだけどなぁ」
俺とリムルはそんな風に語っていく。
俺とリムルの言葉に驚いたのか、豚頭将軍達が尋ねてくる。
「わ………我々が………!その………同盟に参加させて貰えると言う事ですか?」
「帰る場所も行く当ても無いんだろう?」
「居場所を用意してあげるから、しっかり働けよ。サボるなよ?」
豚頭将軍の問いに対して、俺とリムルはそう答える。
俺たちがそう言うと、豚頭族達は涙ぐみ、一斉に頭を下げる。
「ははっ!」
「勿論!勿論ですとも!命懸けで働かせて貰います!」
「うん」
「蜥蜴人族はどうだ?」
「うむ。是非、協力させていただきたい」
「トレイニーさんも、良いかな?」
「宜しいでしょう。私の守護する
「おおっ………!」
俺たちの言葉に、豚頭族達は頭を下げ、蜥蜴人族達もそう言う。
どうやら、話は纏まったみたいだな。
すると、トレイニーさんが立ち上がる。
「では………森の管理者として、私、トレイニーが宣誓します。リムル様とタオリン様を、ジュラの大森林の新たなる盟主として認め…………」
「盟主⁉︎」
「俺も?」
「本来、盟主は1人なのですが、お二人とも才能をお持ちでいらっしゃるので、お二人を盟主とすることに異論はありませんね?」
トレイニーさんがそう言うと、リムルはそう叫び、俺もそう呟く。
そこはトレイニーさんじゃないんだ…………。
俺がそう思う中、トレイニーさんは跪いた。
無論、ゴブリンに蜥蜴人族、豚頭族、鬼人達、シズさんと絆翔もだ。
それを見た俺たちは。
『辞退は………!』
『無理だな。まあ、俺たちで頑張ろう』
『分かったよ………』
俺とリムルは、そう思念伝達で話し合い、そう結論づける。
「い…………いいよ、やるよ!やりますよ!じゃあ、あの、そういう事みたいなんで、皆、宜しく頼む!」
「俺の方もよろしく」
「ははっ!」
俺とリムルがそう言うと、俺たちはそう答える。
こうして、ジュラの森大同盟が決まったのだった。
その後、鬼人達の元に、あの豚頭将軍がやって来る。
「何か用か?」
「…………弱肉強食とは言っても、憎しみはそう簡単に割り切れるものではない。我らは………
紅丸がそう聞くと、豚頭将軍はそう言う。
すると、その豚頭将軍は頭を下げる。
「詫びて………詫びきれはしない。虫の良い話であるのは、重々承知している。だが………どうか、この私の首で、ご容赦願えないだろうか………!」
豚頭将軍は、死を覚悟をしていたのか、決して顔を上げようとしなかった。
すると、紅丸が口を開いた。
「…………戦いの後、今後もリムル様とタオリン様の下にあり続けたいと伝えたら、俺たちに役職を下さった」
「私は
「白老は指南役、蒼影は隠密。村に残ってる朱菜と黒兵衛にもだ。………で、俺は侍大将の座を賜った。軍事を預かる役所だ。そんな所に就いちまった以上、有能な人材を勝手に始末するわけにはいかんだろう」
紅丸達は、自分たちの役職を言って、紅丸達はそう言うと出口へと向かい、豚頭将軍は頭を上げる。
すると、紅丸は歩みを止め、2人の豚頭将軍に尋ねる。
「………リムル様とタオリン様に仇なす存在ならば、容赦はしないが、同盟に参加し、盟主と仰ぐのならば、敵では無い」
「あ………仇なすなど、滅相も………!あの方々は、我らを救ってくださった。従いこそすれ、敵対など、あり得ん!」
「では、俺たちは同じ主をいただく仲間だ。せいぜい、リムル様とタオリン様の役に立て。それを、詫びとして受け取っておこう」
紅丸がそう言うと、豚頭将軍はそう答える。
紅丸はそう言い残して、外へと向かっていく。
豚頭将軍は立ち上がり、紅丸達の背中を見つめる。
「父王、ゲルドの名に誓って」
そう言って、頭を下げる。
それを、影から見ていた俺達は。
『紅丸って、器が大きいな。』
『俺たちも見習わないとな。アイツらに名前をつけないとな』
『だな。新たな豚頭族の指導者として』
俺たちは、思念伝達でそう話して、豚頭将軍を呼び出す。
「お前は、
「豚頭族達を、しっかり導くんだぞ」
「「はっ!」」
リムルが名付けを行うと、俺はそう言う。
こうして、新しき王ゲルドは、
その後、10日かけて、リムルは生き残った10万の豚頭族に、名前をつけた。
その結果、リムルは
ちなみに、蜥蜴人族の首領にも、アビルの名をつけた。
で、ガビルは、判決されようとしていた。
まあ、一族の事を思っての行動だが、そうなるのも無理はなかった。
『我輩は死罪であろう。それで良い。そうでなければ、示しがつかん。ただ………心残りがあるとすれば………聞いてみたかった。何故、あの2人は、我輩を助けてくれたのかと。こんな………何の価値もない間抜けを』
ガビルは、そう思っていた。
自分のしでかした事の重大さを理解しているが故に、死罪となるのは覚悟していた。
そんな中、ガビルは俺とリムルにその理由を聞きたいと思っていた。
すると、アビルが口を開く。
「顔を上げい」
「ん………」
「判決を申し渡す」
『せめて、堂々と、死罪を受け入れようぞ』
アビルはそう言うと、判決を下そうとした。
それを聞いたガビルは、死罪を受け入れようとしていた。
だが、アビルの口から出たのは、意外な言葉だった。
「ガビルを破門し、追放する。二度と蜥蜴人族を名乗る事は許さぬ」
「はっ………?」
「即刻、追い払うが良い!」
「なん………だと⁉︎」
アビルの下した判決は死罪ではなく、勘当と追放だった。
アビルの判決に、ガビルは驚いていた。
ガビルは他の蜥蜴人族に連れられ、外へと追い出される。
「ぐっ………!」
「忘れ物だ。ほら」
そう言って、一本の槍と荷物を渡す。
その槍は、先ほどまで、アビルが持っていた
「あ………ああっ………!」
アビルは餞別として、水渦槍を息子に譲渡したのだった。
ガビルは泣きながら、頭を下げる。
ガビルが移動していると。
「ガビル様〜!」
「ん?」
「わ〜い!」
「ガビル様〜!」
そこに現れたのは、ガビルの部下達だった。
「待ってましたよ、ガビル様!」
「ったく、待ちくたびれたぜ」
「時は金なり」
「な………何をしておるのだ、お前達!我輩は破門になったのだぞ⁉︎」
「ガビル様が破門なら、皆、破門ですよ!」
「然り!」
「お前ら………バカだな」
ガビルの部下がやってきたのを見て、ガビルが驚きながらそう聞くと、部下達はそう答える。
ガビルはそう言ったが、実際には嬉しかったのだ。
破門になったのに、自分を慕って着いてきてくれる事に。
ガビルは、顔を背け、涙を拭うと。
「………しょうがない奴らであるな。分かった!まとめて面倒みてやろう。我輩に着いてくるが良い!」
「ヒュウ!流石だぜ。」
「かっくい〜!」
「至極、当然!」
ガビルと部下達は、どこかへと向かっていく。
一方、ある城では、白いタキシードの男性と、ラプラスが話していた。
「折角お膳立てしたのに、新しい魔王が生まれへんかったんは、痛いんちゃうか?」
「……………そうだな」
ラプラスの言葉に、白いタキシードの男性はそう言って、ワインを飲む。
そして、ラプラスの方を見る。
「…………しかし、面白い物が見れたよ。あのスライムに魔人。どうしたものかな?」
「せいぜい頑張ってや。もし、協力が必要なら、格安で請け負うたるわ。魔王、クレイマンはん」
そう言って、ラプラスは煙と共に消えた。
クレイマンと呼ばれた白いタキシードを着た男は。
「フッ、フフ。」
そう、笑う。
一方、俺たちの街は、徐々に発展していっている。
これも、ゲルドのおかげだ。
ゲルドの指揮する豚頭族改め、
技術を教えたカイジン曰く。
「鍛えればドワーフに劣らぬ技術を持てるかも知れん!」
と語っていた。
その為、頼れる労働力となっていた。
ただ、責任感が強すぎるが故か、ゲルドは、ワーカーホリック気味になっていた。
その為、俺とリムルが定期的に飲みに誘っている。
ある日、俺とリムルが昼食を食べに食堂に行くとそこでは、ガビル達が飯を食べていた。
「ガビル……………?」
「お前ら、何してんの?」
「あっ………いやあ、ハハハ!このガビル!リムル殿とタオリン殿のお力になりたく、馳せ参じましたぞ!」
「ガビル様、かっこい〜!」
「当然である」
俺とリムルがそう聞くと、ガビル達はそう言う。
それを聞いた紫苑は。
「では、斬りますね」
そう言って紫苑は剛力丸を構える。
それを見たガビルは焦った。
「あっ!いやいやいや………!是非とも、我輩達を配下に加えていただきたいのです!必ず、お役に立ってご覧に入れますので。何卒」
「何卒………」
「ガビル様がこう言ってますので………」
「兄は反省しているのです」
「彼に償いの機会をお与えください」
ガビル達は慌てながらも、そんな風に言って跪く。
ガビル達がそう言う中、親衛隊長と副隊長とその配下達が現れる。
「親衛隊長と副隊長まで?」
「来てたのか」
「私たちは、兄と違って、勘当になった訳ではありません」
「何⁉︎」
「首領アビルが、見聞を広めよと、私たちを送り出してくれたんです」
「我輩を慕ってついて来たのでは?」
「違います」
「違う」
「ガーン!」
「なるほどね………」
そうして、ガビル達が仲間になった。
リムルは、親衛隊長と副隊長、その配下に名前を付ける。
ガビルとよく居るあの3人組は、青色の奴がカクシン、緑色の奴がヤシチ、あと一人はスケロウの名前をつけた。
名前をつけた事により、ガビル達は、
ちなみに、蒼華と名付けられた親衛隊長と蒼華の配下は、人間に近い姿になって、蒼影の部下として動く事になった。
一方、副隊長は
その理由としては。
「私は戦闘はあまり得意ではなくて。副隊長も、推薦の形で収まったので」
との事だ。
その為、新たなアイテムの開発などを行う様に頼んだ。
ヴラスタムギアなども、作る必要があるからな。
ちなみに、考えたのは俺だ。
あと、それぞれの部門にエージェントを配置する事になった。
そうすれば、皆の負担も減るかと思って。
こうして、ガビル達も仲間になったのだった。
今回はここまでです。
今回は、ジュラの森大同盟についての話し合いです。
話し合いの結果、リムルとタオリンを中心に、ジュラの森大同盟が成立しました。
そんな中、クレイマンの暗躍は続く。
果たして、どうなるのか。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
いよいよ来週、蒼海の涙が公開しますね。
どんな感じになるのか、楽しみです。