転生したら赤ガヴだった件   作:仮面大佐

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第15話 魔物の街の住人

 俺は、日記をつける事にした。

 このテンペストでの日常を振り返る為にだ。

 さて、まずは、書き始めるとしようか。

 まずは…………。

 森を混乱の渦に陥れた豚頭魔王(オークディザスター)の脅威から、一月余り。

 俺、リムル、ゴブリン達しかいなかった小さな村は、数多くの仲間が増えて、その人口は、やがて1万を突破した。

 賑やかになっていった。

 だが、人口が増える事は、喜ばしい事なのではあるが、同時に、面倒な事にもなっていったのだった。

 会議室では。

 

「納得しませんぞ!」

「これは、秘書の管轄です。これだけは譲れませんので」

「それはこちらとて、同じ事です!」

「まあまあ、2人とも、落ち着いて…………」

 

 そう。

 一万以上の魔物が住む街ともなると、その意見の一致に、時間が掛かる事もある。

 現在進行形で、紫苑とリグルドの2人でそうなっている。

 

「私の考えでは…………!」

「いや、しかし…………」

「ならば、この案は…………!」

「待って下さい!」

「異議あり!」

 

 と、こんな風にだ。

 紫苑とリグルドだけでなく、ゲルドやガビルも加わる。

 それを見ていたカイジンが口を開く。

 

「参ったな。全然決まんねぇぜ…………」

 

 カイジンがそう言うと、紅丸が立つ。

 

「やはり、ここはリムル様やタオリン様にご意見を!」

「うむ」

「異論はない」

「皆の士気にも関わりますからな」

「朱菜!準備は良いか?」

「はい」

 

 紅丸がそう言うと、朱菜が入ってくる。

 皆の視線が朱菜に向く中、朱菜は背中に隠していた物を出しながら言う。

 

「では…………ちょっとおしゃまなこちらのお洋服と…………元気で可愛いこちらのお洋服。リムル様とタオリン様には、どちらがお似合いでしょう?」

 

 そう。

 この会議の議題は、俺とリムルに似合う服で揉めていたのだ。

 それくらいで揉めないでくれる?

 確かに、タオリンの元になったショウマも、一度女装した事があるけどさ。

 すると、全員が俺とリムルを見る。

 俺とリムルは、紅茶を飲んで。

 

「なぁ…………」

「それって、そんなに大事か?」

「はい!」

 

 俺とリムルがそう聞くと、皆はそう答える。

 力強く言うね。

 そんなに、俺たちに女物の服を着させたいのか?

 結局、リムルはオレンジ色の、俺は水色の服になった。

 俺とリムルは、色んな事が書かれた木の板に、ハンコを押していた。

 

「ふぅ…………」

「これで全部か?」

「そうだな。街づくりも進んできたし、今日は皆の仕事ぶりを視察するか?」

「それ、良いな」

 

 俺とリムルはそう話す。

 色々と、エージェントが居て、仕事が進んでいるからな。

 すると、紫苑とエージェントが入ってくる。

 

「「失礼します」」

「おお、紫苑。お疲れ〜」

「お疲れ様です」

「タオリン様、木の板を持ってきました」

「ああ、ありがとう」

 

 紫苑が入ってくると、俺とリムルはそう言う。

 エージェントは、俺に木の板を渡す。

 この街に、紙は無いからな。

 すると、紫苑はテーブルにでっかい木の塊を置く。

 

「さてと…………」

「おい、何する気だ?」

「今日も、リムル様の為に!張り切り………ますよ!」

 

 紫苑がそう言うと、剛力丸を抜いて、その木の塊を板状に切断する。

 周囲に木の板が飛び、俺は机の下に逃げる。

 そんな中、リムルは。

 

「なあ、紫苑。俺を思ってくれるなら、良い方法がある」

「てーい!」

「張り切らない事さ」

「てりゃー!」

「室内で剛力丸を振り回すな!」

 

 リムルがそう呟く中、俺はそう叫んだ。

 ちなみに、エージェントは俺の事を守っていた。

 その後、紫苑は、お茶を持って来てくれることに。

 

「リムル様!お茶をお持ちしま…………あ!」

「タオリン様、お茶をお持ちしました」

「ありがとう。…………あ」

 

 俺は、エージェントが淹れてくれたお茶を飲む。

 すると、紫苑が入れたお茶という名の劇物は宙を飛び、リムルにかかる。

 

「すいません……………」

「大丈夫。失敗くらい誰にでもあるさ。…………毎日だけどな。そして、君が淹れたこのお茶も、お茶じゃなくて劇物だけどね

「一体、何があったら、お茶がそうなるんだろう……………」

 

 紫苑が謝る中、所々、強調しながらそう言う。

 俺は、リムルの為にタオルを持って来た。

 俺が渡したタオルで自分の体を拭きながらリムルは言った。

 

「いや、しかし。本当に有能な秘書だよ、紫苑君は。パーフェクトだ。動かなければ!見た目だけは!」

「ハッ…………!」

 

 リムルの皮肉たっぷりな発言に、紫苑はお盆を落とす。

 流石にリムルは言い過ぎだと思うが、この流れは、だいたい読めた。

 

「リ…………リムル様…………。そ…………そんな…………お褒めに預かり、光栄です!」

 

 紫苑は、そう言った。

 紫苑からしたら、褒め言葉に聞こえてたのだろう。

 実際には、リムルの皮肉が込められていたが。

 


 

 その後、俺とリムルは、紅丸達がいる警備員の居る建物に向かう。

 すると。

 

「何も、紅丸様がお出にならずとも…………」

「良いのさ。まっ、行ってくる」

 

 そんな会話をして、紅丸が外へと出てくる。

 俺とリムルは、紅丸に話しかける。

 

「何だよ。総大将自ら見回りか?」

「大変じゃないのか?」

「俺には、これしか能が無いんで。その代わり、誰にも負けませんよ。この街と、リムル様とタオリン様の笑顔、必ず守ってみせます」

 

 紅丸は、爽やかな笑顔でそう言う。

 かっこいいな。

 女の子だったら、迷わず惚れそうだな。

 

「あいつめ…………殺し文句をナチュラルに……………。これだから、イケメンは」

「そっか…………。頑張れよ」

「はい。では」

 

 そう言って、紅丸は出ていく。

 すると、数秒後に。

 

「すみません!今そこで女の子に渡されたんですが、これ、どうしたら良いでしょうか⁉︎」

 

 そう言って、紅丸が戻ってくる。

 外には、ゴブリナが三人いた。

 それを聞いた俺たちは。

 

「ほぉ…………」

「なるほどな…………」

 

 そう言って、ニヤリと笑みを浮かべると。

 

「「そいつは難儀だなぁ!」」

 

 良い笑顔で言う。

 それを見た紅丸は。

 

「……………すげぇ、良い笑顔ですね」

「相談乗るよ」

「紅丸様〜!こっち向いて〜!」

 

 俺がそう言う中、ゴブリナがそう言う。

 


 

 今度は、ゴブタやリグル達がいる場所に向かう。

 

「何か人増えたよな」

「ああ。森中の魔物が集まって来てんだよ」

「お!あれ、何て種族?」

「あ?どれどれ?…………うおー!」

 

 ゴブチとゴブトは、そう話す。

 まあ、色んな種族の交流が増えるのは、いい事だと思うよ。

 すると、ゴブチとゴブト、ゴブゾウは、花を持っているゴブリナを見ていた。

 見惚れているな。

 

「今度、可愛い子居たらさ」

「うん」

「街の案内するって言ってさ」

「うんうん」

「ナンパ!」

「出会い!」

「「それだ〜!!」」

 

 そう言って、ゴブチとゴブトは興奮する。

 それを見ていたリグルは。

 

「……………おい、お前ら。自警団だって事、忘れるなよ」

 

 リグルは、二人にそう注意する。

 すると、ゴブタが口を開く。

 

「そうっすよ」

「「「うん?」」」

 

 ゴブタがそう言うと、リグル、ゴブチ、ゴブトがゴブタの方を向く。

 

「自分達の行動一つで、街の印象が決まるんすからね。浮ついていると、手痛いしっぺ返しを食らうっすよ」

「お!自覚が出て来たね、ゴブタ君」

「少しは成長したみたいだな」

「へっへへ…………。人は学び…………成長するんすよ!」

 

 俺とリムルが感心しながらそう言う。

 ゴブタはそう言って俺たちの方を向くが、ゴブタの顔は左頬が赤く腫れ、手形が付いていた。

 多分、ナンパして、叩かれたんだろうな。

 それを見た俺とリムルは。

 

「ああ……………」

「成長……………しような」

 

 ゴブタにそう声をかける。

 


 

 今度は、黒兵衛の工房に向かう。

 

「お〜い、黒兵衛」

「あ…………おお、リムル様とタオリン様じゃねえべか」

 

 リムルがそう言いながら中に入ると、黒兵衛が俺たちに気づいて、そう声をかける。

 

「何してたんだ?」

「朱菜様から頼まれた包丁を鍛えてたんだべ」

「おお〜」

 

 俺がそう聞くと、黒兵衛はそう答える。

 なるほどな。

 リムルがその包丁を持っていると、黒兵衛が取る。

 

「丁度、これから仕上げだべよ」

「そっか。悪い、邪魔しちゃったな」

「また来るよ」

 

 俺とリムルはそう言って、黒兵衛の工房を後にする。

 それを見ていた黒兵衛は思っていた。

 黒兵衛は、豚頭族(オーク)によって、大鬼族(オーガ)の里を滅ぼされ、里から離れた時、もう鉄を打てないと思った。

 黒兵衛は、自分が紅丸達のような力や頭もない事は理解していた。

 すると、金槌を手に取る。

 

「…………だけんど、まだ鉄を打てる。リムル様とタオリン様の為。街の皆の為。おら自身の為。……………目の前の、何でもない鉄の塊に、何でもないおらの全てを込めるだけだべ!」

 

 黒兵衛はそう言いながら、朱菜の包丁を鍛える。

 しばらくして、作業を終えて、ハルナに包丁を渡す。

 

「朱菜様。黒兵衛様からお届け物です。」

「まあ!包丁!もう出来たのですね!」

 

 朱菜は、ハルナから包丁を受け取り、早速使う。

 

「では、早速…………」

 

 朱菜がそう言いながら、玉ねぎを切ろうとすると、玉ねぎだけでなく、まな板や壁をも切ってしまう。

 それを見ていたハルナは。

 

「朱菜様すっごい……………」

 

 そう言いながら驚き、ゴブイチや朱菜が唖然となる。

 一方、そんなことを知らない黒兵衛は。

 

「ふう〜。包丁、気に入ってくれたべか?」

 

 汗を拭いながらそう言う。

 


 

 一方、蒼影の所では。

 

「今日の鍛錬はここまでだ。持ち場に戻れ」

「はっ!」

 

 蒼影がそう言うと、部下達は持ち場に戻る。

 蒼影を木の影から見ている蒼華は。

 

「蒼影様…………」

「何をしているんだ?……………なるほどな」

 

 蒼華が蒼影を見ていると、蒼影の目の前に一匹の黒猫が現れる。

 蒼影は、黒猫をじっと見ると、黒猫のおでこをつつく。

 

「……………お前は今死んだ。フッ、バカめ」

 

 蒼影は、黒い笑みを浮かべながらそう言う。

 それを見ていた蒼華は。

 

「あっ…………やだ……………素敵」

 

 腰を振りながらそう言う。

 それを見ていた俺たちは。

 

「君も大概だね」

「確かにな」

「あはははは……………」

 

 俺とリムルがそう言って、蒼酩は苦笑を浮かべる。

 


 

 俺たちは、次にヴェルドラと出会った封印の洞窟へと向かう。

 そこは、現在、水辺を好む蜥蜴人族(リザードマン)達の住居兼貴重な回復薬の原料であるヒポクテ草の栽培地となっていた。

 すると、ガビルの叫び声が聞こえる。

 

「な〜んだ、その動きは!そんな様をリムル様とタオリン様にお見せする気か‼︎」

「はぁ…………申し訳ありません!ガビル様‼︎」

「大恩あるリムル様とタオリン様に認めていただく為、我々は立ち止まらぬのだ!」

「ガビル様!もう一度!もう一度挑戦させて下さい!」

 

 ガビルとその部下達は、そんなふうに話していた。

 それを見ていた俺とリムルは。

 

「あいつら、意外と生真面目な連中なんだな」

「確かに」

「よかろう!基本から行くぞ!」

 

 俺たちがそう見てると、ガビル達は何かを始める。

 

「さんはい!ジュラの森の!」

「奥深く」

「あっ、よいしょ!」

「みんなが焦がれる、その姿!」

「然り!」

「強く!」

「清しく!」

「美しい!」

「光り輝く、一番星!」

「男の子なら、恥をかいても、誇りを……………欠くなよ!ぬあ〜っハッハッハッハッハッハッ!!」

「嗚呼ガビル様、ガビル様!龍人族(ドラゴニュート)の希望……………!」

 

 すると、ガビル達はそんな風に歌い出した。

 え、何これ?

 こんな下らない事を一生懸命練習しているのか?

 そんな風にドン引きしている中、ガビルは叫ぶ。

 

「ん〜…………!ストーップ!愚か者!そこは…………『ああ〜リムル様!タオリン様!大同盟の希望〜!』……………に変えろと言ったではないか!全く!貴様らはまだまだ愛が足らん!愛を持って、ヒポクテ草を育てるのだ!」

「はい!ガビル様‼︎」

 

 すると、ガビルはそんな風にストップをかける。

 俺とリムルが、そんなやり取りを呆れた目で見ていると。

 

「すいません!すいません!すいません!」

「あんなのですが、悪い人じゃないんです!」

 

 妹と幼馴染が、俺たちに頭を下げる。

 そんな中。

 

「…………そっか。それで、蒼酩。開発の方はどうなってるの?」

「はい。カイジン殿達の協力の元、試作段階ですが、ヴラスタムギアとベイクマグナムが完成しました」

 

 俺がそう聞くと、蒼酩はそう答えながら、ある物を見せる。

 それは、ヴラスタムギアとベイクマグナムだった。

 

「おお〜!新たな変身アイテムか!」

「ただ…………完全には完成していなくて。もう少し、技術者が欲しいところですが…………」

「……………分かった。その点は色々と考えておくよ」

「ありがとうございます」

 

 ヴラスタムギアとベイクマグナムを見て、リムルがそう言うが、蒼酩はそう説明する。

 まだ、変身には使用できないのだと。

 それを聞いて、俺はそう答えた。

 


 

 その後、俺たちは戻り、仕事を再開する。

 

「ふぅ〜…………」

「ところで、新区画の建設状況は、どうなってるんだ?」

「先ほど、資料を頂きました」

「こちらになります」

 

 俺とリムルがそう言うと、紫苑とエージェントはそう言って、資料を渡してくる。

 

「どうした!急に本物の秘書っぽいぞ、紫苑!」

「え〜そんな…………!」

「……………まあ、それよりさっさと作業をしよう」

 

 俺とリムル、紫苑がそんな会話をする中、リムルの影の中の嵐牙は。

 

「フ〜ハ〜…………フ〜ハ〜…………」

 

 息を荒くしていた。

 どうやら、特訓をしているようだ。

 目を閉じて瞑想すると、嵐牙は目を開き、雷を発射する。

 発射された雷は、爆発する。

 

「おお!これは…………!ウォーっ!」

 

 嵐牙は、爆風に耐えて、体を揺らす。

 

「ぶるるるるるるる!この力!主達に見せて撫でてもらおう!」

 

 そう思い、嵐牙は木の影から出てくる。

 

「主達よ!見て下さい!何やら、凄い技を……………!」

 

 嵐牙は、俺たちに撫でてもらおうとしたのか、出てくる。

 だが、その言葉は、途中で止まる。

 何故なら、目の前には、崩れた建物があり、そこから、俺たちが出てくる。

 

「「知ってる……………」」

 

 というより、建物を壊すなよ!

 俺たちの近くで、ゴブタが柱に引っかかっていたが、倒れる。

 


 

 その後、白老の元に、ゴブタと共に向かう。

 俺たちは、盆栽を見ていた。

 

「う〜ん。良いねぇ…………」

「何すか?このちっちゃい木?」

「盆栽って言うんだ」

「リムル様とタオリン様より教えて頂いたものじゃ」

 

 俺とリムルが盆栽を見ている中、ゴブタはそう聞いてくる。

 ゴブタの質問に、俺と白老が答える。

 ゴブタは、盆栽の一つを持つ。

 

「よっ。ほっ。そっ。すっ」

「ああ…………落とすなよ〜」

 

 ゴブタは、その盆栽を手や足に置くので、リムルはそう言う。

 白老が口を開く。

 

「…………剣士として生まれ、剣と共に生きて数百年。……………しかし、こうして剣を忘れる事で、新たな世界が見えてくるとは…………まさに、目から鱗ですじゃ」

「そう言ってもらえて嬉しいよ」

「そうしてると、ただの枯れたジジイっすね……………。そろそろ引退した方が…………」

 

 白老がそう言う中、俺がそう言うと、ゴブタがそう言う。

 すると、白老は剣を抜刀して、盆栽とゴブタの髪を一部切り飛ばす。

 

「あ……………」

 

 ゴブタが汗を垂れ流す中、俺たちはそそくさとその場から後にして、白老は言う。

 

「剪定じゃ。動くな」

「全然、剣忘れてないっす!」

 

 そんな会話を聞きながら、俺たちは移動する。

 


 

 次は、寺子屋へと向かう。

 ここは、街の子ども達が通っている。

 ある教室を覗くと、リリナが子ども達に字を教えていた。

 それを見ていると、リグルドが声をかける。

 

「リムル様、タオリン様!」

「あっ」

「どうしたんだ?」

「見て下さい。生徒の描いた尊敬する人の顔が、リムル様ばかりですぞ」

「あれ?俺は?」

「あ…………も、勿論、タオリン様もいらっしゃいますよ!」

「え?俺を?」

「ハッハッハッ…………。羨ましいですなあ。まあ、ご覧下さい」

「慕われてるな」

 

 リグルドがやってくると、そんな風に言う。

 リムルばかりなのだと聞いて、俺がそう聞くと、リグルドは慌ててそう言う。

 そう言って、その絵が描かれている木の板を受け取る。

 

「何だよ、照れ臭い」

「どれどれ…………?」

 

 俺たちがそれらを見ると、リムルの割合が多かった。

 ただし、スライムの状態のリムルばかりが。

 

「ヤッハハハ…………!この子など、リムル様の威厳をよく表現していて…………」

「力作揃いだね」

「単にスライムとしての状態の方が、描くのが楽だからじゃない?」

 

 そう。

 スライムの状態のリムルなら、丸を描いて、目を描くだけで完成だからな。

 リムルの目からは光が消えていた。

 なんか、涙が出てくる……………。

 すると、子供達が出てくる。

 

「あっ!リムル様ー!タオリン様〜!」

「またなー」

「帰っちゃうの?」

「ちゃんと勉強しろよな〜」

 

 子供達が声をかける中、俺たちはそう言って、その場を後にする。

 


 

 リグルドが子供達の絵を持って移動する中、リムルは唸っていた。

 

「う〜ん……………」

「どうした、リムル?」

「なあ、この辺って、俺以外にスライム居ないの?」

「今時分は、あまり見かけませんな」

「今時分ねえ…………」

 

 リムルがそう聞くと、リグルドはそう答える。

 まあ、確かに、リムル以外のスライムって、見た事ないよな。

 すると、目の前に居た朱菜、ハルナ、黒兵衛、白老、ゴブタに話しかける。

 

「お〜い、お前ら〜。俺以外のスライムって、見た事ある?」

「ふむ…………。暑くなると見るかのう」

「夏が近いって感じるべ」

「透き通った姿が涼しげで、ジュラの夏の風物詩ですね」

「ほお〜」

「へぇ……………」

 

 まあ、透き通ってるから、夏の風物詩と言われても、納得がいくな。

 すると、ゴブタがリムルにとって、聞き捨てならない事を言う。

 

「そうそう!冷やして食うと、美味いんすよ!こう…………ツルッと!」

「へぇ……………」

「………………」

 

 あ、食われてるんだな。

 ゴブタがそう言うと、周囲の人たちはやばい笑みを浮かべる。

 

「あら〜。良いですわねぇ…………」

「いやぁ………珍味、珍味」

「フフフフフフフ………………!」

 

 朱菜とリグルドがそう言うと、その場にいる全員が、不気味な笑い声を出す。

 リムルが不安そうに俺を見る。

 嫌がらせや好奇心も込めて、俺は言う。

 

「……………スライムって、ところてんみたいな感じなのかな………………」

 

 俺がそう言うと、リムルはその場から逃走する。

 

「リムル〜。どこ行ったんだ?」

「リムル様〜。何処ですか〜?」

「リムル様ー!」

「何処行ったべさ〜!」

「冗談でありますよー!」

 

 リムルが逃げたのを見て、朱菜達はそんな風に言う。

 まあ、リムルからしたら、冗談では済まないのだが。

 俺は、リムルに嫌がらせが出来たことに少し喜びながら、リムルを探す。

 


 

 その後、朱菜達の作業場へと向かう。

 

「朱菜ちゃん!」

「あ…………」

「これは何処に運ぶ?」

「ありがとうございます!裁断するので、机の方にお願いします」

「朱菜ちゃん、ちょっと良いかな?」

「あっ、は〜い!すぐ伺いますね。………ゴブイチ、ごめんなさい。今日の夕食の仕込み、お願い出来る?」

 

 朱菜は、皆に頼られていた。

 リムルは人間態になり、俺と一緒に紅丸に話しかける。

 

「皆、朱菜を頼りにしてる」

「随分頼もしくなったよな」

「役職を貰って、張り切ってるんですよ。自慢の妹なんですが、なんだかんだ、遠い存在になっていく気がします」

「おいおい。無敵の侍大将が何言ってんだ」

「まあ、紅丸の言う事にも一理あるかな。あの時だって……………」

 

 俺とリムルがそう言うと、紅丸は感慨深くも、どこか遠くを見つめるように口を開く。

 俺は、ある時の事を思い出していた。

 それは、戦闘訓練をしていた時だ。

 

「良いか。集団での戦闘は、相手との距離が……………」

「お兄様ー!お兄様はいらっしゃるの?」

「グッ…………!」

 

 紅丸がリグル達にそう話す中、朱菜が紅丸の物と思わしきパンツを持ちながら現れる。

 ちなみに、俺も木剣を持って参加していた。

 

「もう!お兄様!何度言えば分かるんです!脱いだら脱ぎっぱなしにしない事!それから、部屋も散らかしっぱなしでしたよ!寝床の下の物は、きちんと片付けておきました。あと、ほら〜!」

 

 朱菜がそう言う中、朱菜はタオルを出して、紅丸の顔を拭く。

 それを見て、周りの人たちは何とも言えない表情を浮かべていた。

 

「目ヤニついてて汚い!夕暮れまでには帰ってきて下さいね!お夕食、準備してますから」

 

 そう言って、朱菜は去っていく。

 それを思い出した紅丸は口を開く。

 

「……………遠い存在っていうか、母ちゃん的存在になっていく気が……………」

「あ〜。母ちゃんには敵わないな、侍大将」

「そうだな」

 

 俺たちはそう話す。

 確かに、今の朱菜って、お母さんみたいな感じがするよな。

 すると、朱菜がこちらにやって来る。

 

「お兄様〜!男前な服が〜!」

 

 そう言って、朱菜は服を見せて来る。

 それを見て、俺たちは苦笑を浮かべる。

 

「「アッハハハ……………」」

「黒もありますよ!」

 

 朱菜がそう言う中、紅丸は視線を逸らす。

 


 

 その後、俺たちは帰る事にした。

 

「もう夕暮れですね。」

「あいつ、働きすぎてないかな?」

「まあ、少し心配になるよね」

「ああ…………あいつ、真面目ですからね。」

「俺たち、ちょっと見に行ってから帰るよ!行くぞ、タオリン!」

「うん」

「行ってらっしゃい。お気をつけて」

 

 俺たちは、ゲルドの所に向かう。

 遡る事、朝ごろには、ゲルドを中心として、大工仕事をしていた。

 

「まずは、こちらから…………」

「ええ」

「今日は、ここまでだな」

「うんうん」

「夕方までに仕上げるぞ!」

「おう!」

「今日中には基礎工事は完成させたい!そっちは頼めるか?」

「お任せを!」

「仕上げてみせます!」

 

 ゲルドがミルドと相談すると、周囲の人たちにそう指示を出す。

 猪人族が、荷物を荷台に括り付ける。

 その荷台は、狼達が運ぶ。

 

「準備が整い次第、新区画に運ぶぞ!」

「ワフ!」

「ここは大丈夫そうだから、隣の区画のフォローに行くぞ!」

「おう!」

 

 ゲルドも移動しようとする。

 すると、ゲルドの視線に折れたたんぽぽが目に入る。

 

「うん?……………ちょっと待ってろ」

 

 ゲルドは仲間にそう言うと、折れてしまったたんぽぽを補強する。

 そうして、今日の作業を終える。

 俺とリムルは、ゲルドに話しかける。

 

「だからさあ、働きすぎだって」

「たまには、仕事以外にも目を向けたらどうだ?」

「我ら一族を受け入れて下さった、リムル様とタオリン様の為にも……………」

「俺たちの事は良いからさあ…………」

「……………善処します」

 

 そう言って、俺たちは工事現場から後にする。

 


 

 その夜、俺たちはスナックに向かう。

 そこには、シズさんと絆翔の姿もあった。

 

「まあ!皆さんがそんなに頑張っているなら、街の完成ももうすくですね」

「そうだね」

「随分と発展していってるよな」

「まあね」

「でもまあ、もっと皆には、自由に生きて欲しいんだよな」

「そうだな。俺たち自身がそうだし。なのに、二言目には、リムル様とタオリン様の為。リムル様とタオリン様の為って……………。」

「あらあら……………贅沢な悩みですね。ウフフフフフ……………」

 

 トレイニーさんとシズさんと絆翔がそう言う中、俺たちはそう愚痴る。

 トレイニーさんは笑いながらそう言って、グラスに飲み物を注ぐ。

 すると、シズさんが口を開く。

 

「皆、きっと恩返しがしたいんじゃないかな?リムルさんとタオリン君に」

「俺たちに?」

「ええ。道を示してくれるから。居場所を作ってくれたから。それは無邪気に。不器用に」

「まあ、居場所を作ってくれたから、恩返しがしたいんだろうぜ。それを無下にする訳にもいかねぇだろ?」

「居場所…………ねぇ……………」

 

 シズさんがそう言うと、トレイニーさんと絆翔はそう言う。

 俺たちは考える。

 俺たちは、これからも、あいつらの居場所で居続けられるのか。

 まあ、それはそれとして。

 

「……………で?トレイニーさんはここで何を?」

「森の管理はどうしたんですか?」

「ウフフフフフ…………。はい。ぶどうジュースお代わりね。ポテチもありますよ」

「アハハハ……………」

「ちゃっかりしてるよな」

 

 俺とリムルの質問に、トレイニーさんはそう誤魔化す。

 


 

 次の日の早朝、俺たちは近くの丘から、街を眺める。

 

「行くか!」

「だな」

「はい!我が主たちよ!」

 

 俺たちは、嵐牙の背中に乗り、街へと戻る。

 すると、ゴブリン達が声をかけて来る。

 

「あっ!リムル様!タオリン様!」

「リムル様!タオリン様!」

「あっ!リムル様!タオリン様だ!」

「おはようございます!」

「今日もいい天気ですなぁ!」

「おはよう!リムル様!タオリン様!」

「おはよう!」

「おはようさん!」

 

 俺たちは、挨拶をしてくるゴブリン達にそう返して、とある建物の前で、嵐牙を止める。

 

「とうとう完成だな!」

「凄いな!」

「ええ!我らの新しき議事堂です!」

 

 新しい議事堂が完成したのだ。

 俺たちが嵐牙から降りてくると、リグルドが話しかけてくる。

 

「おはようございます!リムル様、タオリン様。今度の宴の準備はいかが致しましょう?」

「宴?」

「何かあったっけ?」

「ぬわっ…………ハッハッハ。お忘れですかな?リムル様と我々ゴブリンとの出会い、500日目記念ですよ」

 

 リグルドがそう話しかけてくると、俺とリムルは首を傾げる。

 すると、リグルドはそんな風に言う。

 めんどい彼女か!

 細かいよな。

 すると、嵐牙も声を出し、周囲に人たちが集まってくる。

 

「ならば!我らとの出会いの記念も!」

「旦那方。竣工祝いはやんねえとな。」

「宴なら何でもアリっす!」

大鬼族(オーガ)の名付け記念もお忘れなく」

「我輩達もぜひお仲間に!」

「宴ですね!」

 

 すると、皆が俺とリムルを胴上げしてくる。

 

「宴!フォー!宴!フォー!」

「うう……………分かった、分かった!」

「やるから!全部やるからな!」

 

 皆に対して、俺たちはそう言う。

 出会いの数だけ、賑やかになる。

 今日は、どんな日になるのかな。

 こんな風に、これまでのテンペストでの日常を綴っていく。




今回はここまでです。
今回から、転スラ日記の話に入っていきます。
テンペストの日常を描いていきます。
そんな中、ヴラスタムギアとベイクマグナムは試作品が出来たものの、変身には使えないという。
本格的に変身に用いるには、ベスターがやってきてからです。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
昨日から、転スラの映画である蒼海の涙編が公開されましたが、いい映画でした。
ゴブタも大活躍でしたし、リムルのある技がかっこよかったです。
今後の展開などでリクエストがあれば、活動報告から承っております。
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