転生したら赤ガヴだった件   作:仮面大佐

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第16話 春の空気と異世界からの来訪者

 豚頭帝(オークロード)戦から暫くが経った。

 この世界に、意外な客の姿があった。

 

「ここはどこなんだ…………?」

「兄ちゃん…………俺、お腹空いたよ…………」

「待ってろ。すぐに食い物を見つけてやるから」

 

 森の中を、二人組の男性が彷徨っており、子供の方がそう言う中、大人の方はそう答える。

 その2人は……………。

 


 

 目の回るような忙しさだったが、皆のおかげで、ひと段落する事ができた。

 リムルは紫苑に尋ねる。

 

「で、俺の今日の予定は?」

「本日は、特に急ぎの予定はありません」

「おお!良いねぇ!」

「たまには、ゆっくりお休みください」

「確かに……………休暇とか無かったからな。たまにはのんびり羽を伸ばすか」

「よ〜し!仕事の事なんかぜ〜んぶ忘れて、ダラダラするぞ〜!」

「ハハハハハ!どうぞ、気が済むまで」

 

 そうして、俺とリムルは休む事にした。

 だが……………これまで、仕事がたくさんあったのに、急に休んで良いと言われると、妙に落ち着かないな。

 ヴラスタムギアとかの改善も行いたいが、どうしたもんか…………。

 そんな風に考えていると、リムルが入ってくる。

 

「なあ……………なんかない?」

「ん?」

 

 どうやら、リムルも同じ考えに至ったそうだ。

 


 

 その後、俺たちはゴブタと会い、話をする事に。

 

「………………で、結局、リムル様は仕事場に戻ったんすか?」

「何もしなくて良いって言われると、ソワソワしちゃってさ」

「確かに。これまで、仕事が多かったからな」

 

 ゴブタがそう聞くと、俺とリムルはそう答える。

 俺とリムルがそう言うと、ゴブタが口を開く。

 

「た〜っ!折角の休み、楽しまないとダメっす!」

「お………………おう」

「最近は、面白い店も増えたんすよ」

「へぇ」

「頼れる自分が案内するっす!」

 

 こうして、ゴブタの案内の元、俺たちは暇を潰す事にした。

 ゴブタを始めとするテンペストの住人達とも、仲良くなる事が出来ていて、今では仲間として受け入れられている。

 ゴブイチの店に寄り、焼き串を食べる。

 

「へい、お待ち」

 

 ゴブイチに金を払って、俺たちは焼き串を食べる。

 ちなみに、俺とリムルは、フルーツの盛り合わせを持っている。

 

「どうっすか?この辺の屋台、美味いっすよね」

「んもう〜」

「美味いな」

「あっちには!土産物屋もあるっすよ。」

「へぇ……………」

「ここだけの話、早くお姉ちゃんの店とかも欲しいっすねえ」

「お〜お〜!」

 

 いや、その店は、どうだろう……………。

 紫苑や朱菜にキレられて、終わりな気がするな。

 というより、リムルには、シズさんという運命の人が居るんだから、あんまりそういう事はしない方が良いんじゃ……………。

 すると、後ろからリグルの声が聞こえてくる。

 

「あいつ、どこ行った?」

「お……………?ハッ!?」

 

 後ろを向くと、リグルと白老が誰かを探していた。

 それで、ゴブタのこの反応。

 どうやら、サボりの様だな。

 すると、ゴブタが叫ぶ。

 

「やばい!リグル隊長と師匠っす!」

「おおお〜⁉︎」

「ちょっと待って!」

 

 ゴブタが走り出したのを見て、俺とリムルも追いかける。

 ちなみに、リムルは果物を落としたが、俺は落とさずに追いかける。

 それで、ある建物の陰に隠れる。

 

「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ……………」

「気のせいかのう?」

「上手く撒かれましたね」

「フ……………いやあ、休日を楽しむのも、一苦労っすね」

「……………いや」

「お前、さてはサボりだな?」

 

 ゴブタがそう言う中、俺とリムルはそう突っ込む。

 その後、俺はゴブタをリグルと白老の元に連れて行った。

 そして、ゴブタは俺に対して『裏切り者ォォォォォッ⁉︎』と叫びながら、リグルと白老に連行されて行った。

 ていうか、サボってる奴が言えるセリフではないと思う。

 


 

 一方、紅丸は、玄関の方で刀の手入れをしていた。

 朱菜は、紅丸に話しかける。

 

「あら?お兄様、今日は控えの日なんですか?なら……………」

「いや。例え休日でも、心身の鍛錬と武具の手入れは欠かせない物だ。穏やかな日だからこそ、守りの剣は磨かれなければならない。リムル様や閻魔殿、お前や街の皆の為にな」

 

 紅丸はそう言う。

 すると、鹿おどしの音が響く。

 

(お兄様……………)

 

 朱菜がそう思う中、紅丸は刀を納刀する。

 朱菜は、紅丸の背中を摩り、頬を紅丸の背中にくっつける。

 すると。

 

「でも……………!」

「おっ⁉︎」

 

 朱菜は紅丸を立たせて、外に出す。

 

「お掃除しますので、外でやってくださいね。」

「……………………」

 

 朱菜はそう言いながら扉を閉めて、紅丸は呆気に取られる。

 


 

 一方、俺たちは、ゲルドの元に向かっていた。

 どうやら、ゲルドも休みを貰ったそうだ。

 

「何だかんだ、俺たちも仕事中毒だったみたいでさ」

「ああ。ゲルドの事、言えないよね」

「リムル様とタオリン様は、何事も楽しんでおられますから。う〜ん……………」

「うん?」

「俺はただ無心に働く事のみで……………。いざ、休みを頂いても戸惑うだけでして……………。何も手につかず、街の皆から浮いてしまっている感じで……………」

「ん………………」

 

 俺とリムルがそう言うと、ゲルド自身も戸惑っているのか、そんな風に言う。

 ゲルドがそう言う中、ゲルドの周囲には、ホブゴブリンの子供達が集まっていた。

 

「子供…………好きなのか?」

「いや……………ああ………………その……………」

 

 リムルの質問に、ゲルドがどう答えようかと悩む中、ゲルドによじ登ろうとしていた子供が落ちる。

 すると、ゲルドはキャッチする。

 

「うっ…………ああっ!」

「おっと。危ないぞ」

「アッハハ!アハハハハ…………!」

「好きと言うよりは……………座っていると、なぜかこうなるんですが……………」

「慕われてるな」

 

 なるほどな。

 俺とリムルは、それを微笑ましく見ていた。 

 


 

 一方、蒼銘は、蒼華達と共に蒼影の指示を受けていた。

 一応、いざという時には、蒼影と共に動く想定なので、蒼銘も訓練に参加しているのだ。

 

「いざという時、動けないのでは意味がない。休める時に、交代で休みを取る様に」

「ハッ!」

 

 蒼影の指示を聞いて、蒼銘達は休む事に。

 無論、交代で。

 そんな中、蒼銘は蒼華に話しかける。

 

「はぁ………………」

「どうしたんだ?」

「蒼銘か。蒼影様は、ああ仰っているのに、蒼影様自身は、決して休まれない。このままでは、お体を壊しそうで……………」

「ああ……………蒼影様なら大丈夫だよ。ほら」

 

 蒼華がそう言う中、蒼銘は後ろの方を指差す。

 そこには、蒼影がもう一人いた。

 分身を使って、休んでいたそうだ。

 

「交代で……………⁉︎」

「みたいですね」

 

 蒼華が驚く中、蒼銘はそう言う。

 


 

 一方、俺はリムルとは別行動を取っていた。

 すると。

 

『告。この街にマスター以外のグラニュートの生命反応を確認しました』

『俺以外の?どこだ?』

『近くにいます』

『分かった。すぐに向かう』

 

 技術者はそんな風に報告する。

 俺以外のグラニュートという単語に、俺は反応していた。

 何かあるかもしれないと思い、すぐに向かった。

 すると、ある二人組が目に入る。

 

「あれって…………ラキアとコメル⁉︎」

 

 俺が見たのは、ラキア・アマルガとコメル・アマルガの2人だった。

 仮面ライダーガヴに登場したキャラだ。

 どうして迷い込んでるんだ…………?

 すると。

 

『告。個体名ラキア・アマルガと個体名コメル・アマルガは、死亡してからこの世界に辿り着いた様です』

『死亡した?コメルはともかく、ラキアは死んでないはずだけど…………』

『正確には、ラキア・アマルガはショウマ・ストマック達とは手を取らなかった世界線の個体です』

『そういう事か…………』

 

 技術者はそう報告する。

 なるほどな。

 ラキアがショウマとは味方にならなかった世界線の方か。

 つまりは、未来の一ノ瀬宝太郎/仮面ライダーガッチャードデイブレイクの様な、IFの世界線。

 俺は2人に近寄る。

 

「大丈夫か?」

「っ⁉︎お前は……………人間?」

「お兄ちゃん…………誰?」

「俺はタオリン=テンペスト。この森の近くにある魔国連邦(テンペスト)って国の盟主の内の1人さ」

 

 俺がそう話しかけると、ラキアとコメルはそんな風に言う。

 まあ、警戒されるのも無理はないけど。

 俺はそう言う。

 

魔国連邦(テンペスト)?聞いた事がないが……………お前は一体……………⁉︎」

「まあ、そうなるよね。俺もグラニュートさ。人間とハーフの…………ね」

「っ!そのガヴは…………⁉︎」

 

 ラキアは警戒心を出しながら、そんな風に言う。

 俺はそう言いながら、腹を捲る。

 つまりは、赤ガヴを見せたのだ。

 

「お前…………あの赤ガヴと同じガヴを持っているのか……………⁉︎」

「まぁ…………ね。話すよ。俺が何者なのかを。まあ、こんな所で話すのも何だし、来てくれ」

「兄ちゃん……………」

「……………分かった。話は聞いてやる」

 

 ラキアは驚いた様な反応をして、俺はそう言う。

 そうして、俺はラキアとコメルの2人を俺の部屋へと連れて行く。

 部屋に着くと。

 

「お茶です」

「ありがとう」

「っ!お前……………ストマック社とも繋がりがあるのか…………⁉︎」

「えっ⁉︎」

「……………そうなる事は分かってた。だからこそ、しっかりと話しておくべきだと思ったんだ」

 

 エージェントがお茶を持ってくると、ラキアは露骨に警戒心を見せる。

 だからこそ、しっかりと伝える為に来たのだ。

 俺はそこから話す。

 俺は元々、この世界の存在ではなく、前の世界で死亡して、仮面ライダーガヴの力を得て、転生したのだと。

 そして、ラキアとコメルの事を知っているのは、前世では仮面ライダーガヴの物語は、テレビで放送されていた事も伝えた。

 エージェントも出せる様になったのは、ユニークスキルの効果であると。

 そんな風に話をしていく。

 

「……………本当なのか?」

「ああ。嘘は言っていない。本当に転生したんだ。君たちと一緒に」

 

 ラキアがそう聞くと、俺はそう答える。

 嘘は何一つ言っていないのだから。

 すると。

 

「……………兄ちゃん。この人、嘘を言ってないよ」

「コメル……………?」

「俺、何となく分かるんだ。この人は本当の事を言ってるって」

 

 コメルはそんな風に語る。

 伝わってくれたみたいだな。

 それを聞いたラキアは。

 

「……………そうか。変な誤解をしてしまって、悪かった」

「いや。そうなるのも無理はないからな。気にしてないよ」

 

 ラキアはコメルの言葉を信じたのか、俺に謝る。

 まあ、ラキアの反応は正しいからな。

 俺は口を開く。

 

「……………それで、2人はどうするんだ?」

「…………分からない。グロッタを倒して、コメルの仇を討つ事は出来た。だが…………コメルと再会出来た事は嬉しいが…………どうするのかはまだ決まってない」

 

 俺がそう聞くと、ラキアはそう語る。

 どうやら、そのIFルートでも、グロッタを倒す事が出来たらしいが、相討ちで終わったみたいだな。

 俺は口を開いた。

 

「…………ならさ、この魔国連邦(テンペスト)に住むのはどうだ?」

「何?」

「行く宛も無いだろ?なら、ここを拠点にして生活するのもありだと思う」

 

 俺はそう提案する。

 ラキアとコメルも、魔国連邦(テンペスト)で過ごすのもありだと思って。

 

「…………どうしてそこまで…………」

「…………この街は、人間と魔物。その両方が楽しく暮らせる街にしたいと思ってる。それは、グラニュートだって同じだ。ストマック社によって、色々と壊された兄弟の時間をもう一度過ごして欲しいと思ってるから」

 

 ラキアが訝しげな表情をしながらそう聞くと、俺はそう答える。

 ストマック社の闇菓子によって、2人の人生は滅茶苦茶にされた。

 だからこそ、この世界では幸せに過ごして欲しいと思ったのだ。

 すると。

 

「……………少し、コメルとも話をさせて欲しい」

「うん。答えはすぐには出ないかもしれないけど…………待ってるから」

 

 ラキアはそんな風に言う。

 それを聞いた俺はそう言うと、そのまま去って行く。

 2人が話し合って決める事だから。

 


 

 その後、俺たちは、執務室に向かっていた。

 リムルが分身などをして、朱菜に気づかれるかどうかという感じのをやって、朱菜に気づかれた。

 その後、リムルは俺に話しかける。

 

「それにしても…………ラキアとコメルって奴を受け入れるのか?」

「うん。2人には、幸せになって欲しいから」

「そっか」

 

 リムルがそう聞くと、俺はそう答える。

 リムルがそう呟く中、ドアがノックされる。

 

「失礼します」

「おっ!リリナさん、珍しいね」

 

 そう言って入ってきたのは、リリナ。

 リムルがドワルゴンから帰ってくるまでの間にやって来た、ゴブリンの村のリーダーの一人であり、リグルドとは旧知の仲だそうだ。

 

「どうしたんですか?」

「季節柄、畑の準備の頃合いですが、如何しましょう?」

「おお」

「それだ!早速、明日の朝、皆を集めてくれ!」

「はい!それでは、皆に声を掛けますね。」

「頼む」

 

 そう言って、リリナは執務室を後にする。

 畑か………………。

 そういうのも、アリかもな。

 そう思う中、リムルは俺に話しかけてくる。

 

「タオリン」

「うん?」

「折角だし、シズさんと絆翔も連れて行くか?」

「だな」

 

 俺たちは、シズさんと絆翔も連れて行く事にした。

 


 

 畑作をやる理由は、人口増加に伴う、街の自給率向上の為だ。

 ちなみに、シズさんは、作業をしやすい様にもんぺ姿になっていた。

 

「古来より、飯の美味い土地は、良い土地だと言う。うちもぜひそうありたい」

「という訳で、今日は皆も力を貸して欲しい」

「分かりました!」

 

 俺たちがそう言うと、皆が返事を返す。

 そして、話し出す。

 

「街で売ってる様な野菜も、俺たちで作れるのかなあ」

「お手伝い楽しそう!」

「いっちょ皆で頑張ろうぜ!」

「腹が減っては何とやらと言いますからな」

「子供達を、飢えさせたくはないですな」

「確かに」

「そうだろ、そうだろ!アッハハハハ〜!」

 

 皆がそう話して、リムルは笑う。

 すると。

 

「分かります!美味しい物を、食べたいですよね!」

「よし!植え付け開始だ!」

「お〜!」

「あははは……………」

「相変わらず、ヤベェ気配だな…………」

  

 紫苑がそう言いながら鍋を持ってくるので、俺はそう叫ぶ。

 それを聞いて、シズさんは苦笑し、絆翔はそう呟く。

 シズさんも、紫苑の料理は恐ろしく感じたそうで、曰く。

 

「………………料理を見て、命の危険を感じたのは、初めてかも」

 

 との事だ。

 シズさんは、戦時中の日本から来たという事もあり、食べれる物は食べれる時に食べておくという主義だが、流石に紫苑の料理は無理だそうだ。

 


 

 俺たちが分担を決めてる中、ゴブタ達は。

 

「オイラ達もいっちょやるっす!」

 

 ゴブタ達は、畑を耕し始める。

 そんな中、ゴブトとゴブツが話し始める。

 

「だりーよなぁ……………」

「だよなぁ」

「は〜……………サボりてえ」

「おらは結構面白いだす」

「た〜!つまんねえ事言ってるし」

「お〜い、ゴブタ、聞いてんのか〜?」

 

 ゴブトがそう言いながらゴブタに話しかけるが、ゴブタは横には居らず、木陰でサボっていた。

 

「って、あ〜!あいつ、やってるふりしてサボってやがる!」

「ゴブタ!何サボってんだよ!」

 

 それを見たゴブトとゴブツは、ゴブタに近寄りながらそう言うが、ゴブタは口を開く。

 

「違うっすよ。瞑想の修行をしてたんすよ。」

「瞑想!」

「そうか!瞑想!」

 

 そう言って、ゴブトとゴブツもサボる。

 ゴブゾウが一人で畑を耕す中、黒兵衛がやって来る。

 

「お〜い!ゴブタ君!」

「うわっ……………黒兵衛さん!」

 

 黒兵衛が声を掛けた事に驚いて、起き上がるゴブタ。

 

「リムル様とタオリン様から頼まれていた物が出来ただよ」

「マジっすか!やったー!待ち侘びたっすよ!」

 

 黒兵衛がそう言うと、ゴブタは嬉しそうにガッツポーズを取る。

 黒兵衛が言う物とは、以前、ガビルがやって来た際に、ゴブタがガビルを倒した事で、ご褒美として作らせたのだ。

 

「あん時のすっね!いやぁ死ぬかと思ったっすよ」

「フッ……………ゴブタ君。そいつは一振りで大地を砕き切り裂く…………オラの会心の業物だべ」

「す……………すげえっす!これさえあれば、まさに鬼に金棒………………金棒………………っす?」

 

 ゴブタがそう言う中、黒兵衛はそんな風に言う。

 ゴブタがそれの布を取ると、そこにあったのは、金棒ではなく、鍬だった。

 

「うおおおおおおお!」

 

 ゴブタがその鍬を使って、畑を耕すと、凄い速度で耕されて行く。

 

「すげえぞ、ゴブタ!」

「硬い地面があっという間に!」

「耕されて、耕されて!」

「「まるで鍬が体の一部みてえだ!」」

 

 ゴブトとゴブツはそれを見て、ゴブタを褒める。

 だが、当のゴブタは。

 

「うぉぉぉん!自分には、これがお似合いって事っすかーーーっ!」

 

 そんな風に泣いていた。

 それを見ていた俺たちに、黒兵衛が話しかける。

 

「なんか、間違ってただか?」

「………………」

「渡すタイミングと、言い方を間違えたな……………」

「あははは……………」

「…………どんまい」

 

 まあ、大地を砕き切り裂くのは、間違ってないな。

 それを見て、俺たちは苦笑していた。

 


 

 一方、紫苑は、沢山の大豆を前にして、見ていた。

 

「何ですか?この豆。随分とたくさん蒔きますね」

「それは大豆」

「へぇ……………」

「上手くいけば、色んな物に加工できるよ」

「そうね。味噌や醤油、納豆とかも良い感じね!」

「色々と美味いもんが作れるからな!」

 

 紫苑が首を傾げながらそう言うと、俺とリムルはそう言う。

 そういえば、シズさんは戦時中の日本の出身だから、納豆は好きなのかもな。

 ちなみに、俺は納豆が大好きだ。

 だから、楽しみだ。

 そんな中、紫苑は首を傾げる。

 

「なっとー?」

「ああ。納豆というのはな、保存が効いて、長く食べる事が出来るんだ」

「へぇ……………」

「あと、簡単に言えば、腐った豆!」

「腐った……………?」

 

 俺は紫苑に納豆がどういう物かを伝える中、リムルはそんな風に言う。

 すると、紫苑が叫ぶ。

 

「リムル様は腐った物が好き…………!リムル様は腐った物が好き…………!」

「訂正する!発酵な、発酵!」

「今後のお食事にご期待下さい!腐った物を食卓一杯漁ってきますので!」

「やめろ紫苑!メモを取って、何を作る気だ⁉︎紫苑〜‼︎」

 

 リムルの叫びが響く。

 言い方が悪かったな。

 というより、言い方がかなり簡潔気味なんだよ。

 俺とシズさんと絆翔はそれを見て、苦笑していた。

 


 

 その後、ガビル達に水田を案内していた。

 稲を育ててもらう為だ。

 

「という訳で、ガビル達には、稲を植えてもらう」

「お〜!ありがたき幸せ!では、歓喜の歌を〜!」

「それは良い」

「湿地に生息しているお前達にはピッタリだろ?」

「はっ!ここなら如何なる戦いでも……………負けませんなあ!何なら、技のキレを水渦槍(ボルテックススピア)の演武で……………!」

「それも良い」

 

 というより、ここは水田だぞ。

 ここで戦う訳じゃないからな。

 俺は念の為に、釘を刺しておく。

 

「言っとくが、米の改良と栽培は割と本気で取り組んでるからな。浮かれたりしてると……………」

「何と失礼しました」

 

 分かってくれたか。

 俺たちとしても、たまには白米を食べたい。

 

「我ら一同。その気持ちに応えるべく……………神聖な舞を〜!」

 

 ガビル達はそう言って、ざるをどこからともかく出してきて、踊りだす。

 どじょう掬いじゃねぇか。

 

「あ、びっちゃばっちゃ!びっちゃばっちゃ!よいよいよいよい!」

「良いから早く始めてくれませんかねぇ」

「賑やかだね……………」

「ガビル達はこういう奴らだったよな……………」

 

 そうだ、こういう奴らだった。

 ダメだこりゃ。

 


 

 何とか作業を始めたのを見て、俺たちは移動する。

 すると、ゴブタが話しかけて来る。

 

「リムル様とタオリン様だ!リムル様〜!タオリン様〜!」

「おお、ゴブタ!」

「どこ行くんすか?」

「ああ。リリナさんに先に作ってもらってた春野菜の畑があるんだ。一緒に見にいくか?」

「行くっす!」

「よし、じゃあ頼む」

 

 ゴブタがそう話しかけると、俺たちはそう答える。

 俺たちは、春野菜のエリアに向かう。

 

「「「おお〜!」」」

 

 それを見て、俺たちは感嘆の声を出す。

 

「すげーっすね!もう出来てるじゃないっすか!」

「今日は賑やかで、何だか嬉しいですね」

「だろ?今年は畑も大きく作るんだ。皆、初めての奴も多いけど、面倒見てやってくれ」

「はい!私はこの街の農業担当ですから!任せて下さい!」

 

 頼もしいな。

 すると、ゴブタは案山子に気づく。

 

「あ?何で畑の真ん中に人形があるんすか?」

「案山子だよ。カラスよけの」

「でも、あまり効果が無いんですよ。折角の春野菜も、こんな有様です」

 

 リリナはそう言って、一つの春キャベツを取り出す。

 その春キャベツは、齧られていた。

 

「げ!俺の好きな春キャベツ!」

「齧られてるね………………」

「まあ、カラスに案山子はあんまり効かねぇからな…………」

「あいつら、頭良いんすよ!こんなチャチなんじゃダメっす!自分に任せて下さい!」

 

 リムルとシズさんがそう言うと、絆翔はそう言う。

 ゴブタはそう言うと、作業を始める。

 

「おりゃあああ!出来た。どうっすか?この逞しい肉体。そして、精悍な顔立ち。これでもう安心すよ!ちょっと隠れて見てみましょう!」

「精悍……………?」

「どうかな……………?」

 

 その案山子は、ゴブタに似た様なデザインとなった。

 ある種の不安を抱きながら、俺たちは隠れる。

 

「これならあいつらもビビって、絶対に大丈夫っす」

 

 俺たちが見ている中、その案山子は、動物達に攻撃されまくり、壊れてしまった。

 ゴブタが、ムンクの叫びみたいな顔になった後、壊された事実に撃沈していた。

 

「あう……………あう……………あう……………」

「これ吊るしてみ」

「何です?これ?」

「これは何なの?」

「目玉君って言ってな。カラスよけのアイテムだ」

「懐かしいな、これ」

 

 まあ、案山子よりもそっちの方が良いかもな。

 その後、俺、リムル、紅丸、シズさん、絆翔の五人で、稲を植えていく。

 

「ふぅ……………」

「良い感じじゃないか?」

「うん」

「よっしゃ!」

 

 俺とリムルとシズさんがそう話す中、蒼影は、別の場所で、クナイを地面に刺していた。

 それも、等間隔に。

 

「凄い……………」

「確かに……………」

「フッ。巡回警備の時間だ。行くぞ」

「はっ!」

 

 蒼影はそう言って移動する。

 そんな中、蒼華と蒼銘は、地面に突き刺さったクナイを一本ずつ取って、つぶやく。

 

「種まき…………したかったのかな…………?」

「そうかな……………?あっ」

 

 そう呟く中、蒼影が二人が持っていたクナイを糸で回収する。

 

「遅れるな」

「はっ、はい!」

「分かりました!」

 

 二人はそう返して、蒼影に向かう。

 


 

 一方、朱菜達は、炊き出しの準備をしていた。

 

「朱菜様!鍋の準備ができました!」

「ありがとう」

「「ただいま」」

 

 ハルナと朱菜がそう話す中、ガルムとドルドの二人が帰って来る。

 

「ガルムさん!ドルドさん!お帰りなさい!」

「おや、朱菜ちゃん達も畑に行くのかい?」

「ええ。仕事がひと段落したので、炊き出しに」

「頑張る皆さんの為に、お昼には温かな物を食べていただこうと思いまして」

「おお。そりゃ良い」

「あとは任せて行ってきな」

「ありがとうございます!」

「では、行ってきます!」

 

 ハルナと朱菜はそう言うと、畑の方に向かう。

 それを見ていたガルムとドルドは。

 

「良い娘だなぁ。兄弟」

「そうだなぁ。兄弟」

「「んっ!」」

 

 そう話すと、猛然と作業を始める。

 

「お尻と足首がキュッと!」

 

 ガルムは板にデザインを書いて、それを積み重ねていき、ドルドはミシンを使う。

 

「いける!いけてる!」

 

 二人が作業をする事しばらくして、作業は終わり、もんぺ服が出来上がった。

 それを見ていた二人は。

 

「もんぺ姿いいなあ、兄弟」

「そうだな、兄弟。流行らそう」

 

 二人は満足していた。

 周囲は、布やら糸や裁縫道具で散乱する中、それを見ていたカイジンは。

 

「…………………お前ら、仕事熱心だな」

 

 そう言うと、上から梁が落ちてきた。

 


 

 一方、畑の方では、ゲルドは色んな人たちに呼ばれていた。

 

「ゲルドさ〜ん!」

「おう」

「ゲルドもさ〜ん!」

「待ってろ。すぐに行く」

 

 ゲルドは、物を運搬していた。

 そんな中、俺とリムルは、ゲルドに話しかける。

 

「お〜い、ゲルド」

「ああ……………」

「折角だし、ゲルドも植えてみろよ」

「いや……………俺は運搬役で………………」

「良いから、良いから」

「はっ、はぁ……………」

 

 俺とリムルがそう言うと、ゲルドはそんな風に言う。

 最終的に、ゲルドは俺たちの言葉に折れて、苗を植える事に。

 

「そうそう。等間隔に」

「苗を潰すなよ」

「ん…………う〜ん……………」

「これで良いですかね?」

「ああ。これで、夏には実が一杯食べれるぞ」

「実が………………」

 

 俺がそう言うと、ゲルドはその苗を見ていた。

 しばらくの静寂の末、口を開く。

 

「……………見にきても良いでしょうか?時々……………」

「おう」

「皆で見に行こう」

 

 俺たちはそう話す。

 


 

 その後、昼飯になった。

 

「ずっと中腰は流石に堪えるのう…………」

「何言ってるだ。誰よりも正確で速かっただ」

「ヌホホホホ。年の功よ」

 

 白老と黒兵衛は、そう話す。

 そんな中、ゴブタは鍬を持ちながら言う。

 

「自分のご褒美って、本当にこれなんすかね?」

 

 ゴブタは、若干不安になっていた。

 一方、朱菜は皆にお昼ご飯を配っていた。

 

「はい!」

「ありがとうございます!」

「お兄様もお昼いかがですか?」

「うん」

 

 朱菜の受け取った昼食を持ちながら、子供が移動するのを見ながら、朱菜は紅丸に尋ねる。

 すると、子供達が紅丸に質問をする。

 

「紅丸様!」

「うん?」

「どうしたら、紅丸様みたいに強くなれるんですか?」

「うんうん!」

「そうだな……………」

 

 子供達の質問に、紅丸は子供達に視線を合わせる。

 

「好き嫌いなんかせず、何でもよく食べる事かな。そして……………まずは…………」

「わっ!」

 

 紅丸はそう言いながら、石を握り潰す。

 

「強い体を作るんだ。」

「うわ〜!分かりました!紅丸様!ありがとう!」

「おう!午後も頑張ろうな!」

「は〜い!」

「しっかり食って、強くなれよ!ちびっ子ども!」

 

 それを見た子供達が目を輝かせると、紅丸はそう言う。

 子供達は駆け出して、紅丸はそう言う。

 そんな中、朱菜が話しかける。

 

「お兄様もどうぞ」

「ああ」

 

 朱菜はそう言って、お盆を渡す。

 そんな中、味噌汁の中に人参が入っている事に気づいて、紅丸は朱菜に言う。

 

「いや……………だからちょっと、人参避けてくれって……………!」

「あら?強くなれませんよ。はい」

 

 紅丸は、朱菜に人参を避ける様に言う。

 それに対して、朱菜は紅丸に有無をいわせずにお盆を渡す。

 


 

 俺たちはおにぎりを食べながら周辺を見る。

 春の空気がガツンとくる。

 土の匂いは意外と強い。

 空気を胸に、飯を腹に。

 ただそれだけで、満たされる。

 ただそれだけで、実感できる。

 そんな中、シズさんが口を開く。

 

「懐かしいな……………」

「シズさん?」

「子供の頃、よくお母さんと一緒に、畑で作物を育ててたのを思い出すよ」

「そっか………………」

 

 シズさんは思い出していた。

 かつて、魔王レオン・クロムウェルによって召喚される前、よくお母さんと一緒に、作物を育ててた事を。

 

「寂しくないのか?」

「………………確かに、もうお母さんと会えないのは寂しい。でも、新しく出来た第二の故郷で、こんなにも楽しい。だから、寂しくないよ」

「そっか。じゃあ、俺たちも手伝わないとな!」

「ああ!」

「一緒に頑張ろう。絆翔君も」

「わーってるよ」

 

 俺たちは、作業を再開する。

 それを見ていたラキアとコメルは。

 

「…………本当に、この街の連中は優しいな。グラニュートの世界とは違う」

「…………兄ちゃん。俺、この街に住みたい」

「…………そうだな。俺も、この街は悪くない」

 

 2人はそんな風に話をしていた。

 魔国連邦(テンペスト)の事を気に入っていたのだ。

 


 

 そんな感じで作業をしたら、夕方になっていた。

 俺たちは、口を開く。

 

「じゃあ、無事、植え付けの終了を祝って、乾杯!」

「お疲れさん!」

 

 俺たちは、食事をする事にした。

 

「んぐ、んぐ……………プハーッ!美味しい〜!」

「おっ!ロールキャベツ!」

「秋には無事に稲がなると良いなぁ」

「お疲れ。良い働きぶりだったな」

「貴殿もな」

「お疲れ様です」

「我輩の水田の舞はいかがでしたかな?」

「ヤッハハ…………失敬。見ておりませんで」

「うーわっ!美味そうな匂い!たまんねぇ!」

「鍬さばきなら、自分に任せて欲しいっすね!」

「よっ!ゴブタ!」

 

 そんな風に、皆が作業の疲れを労い、ご飯を食べていく。

 そんな中、俺とリムル、シズさん、絆翔はトレイニーさんと一緒にいた。

 

「皆さん、お疲れ様でしたね」

「まあ、本当に大変なのは、これからだろうな」

「そうですね。収穫までは色々……………でも、今年はきっと良い作物が取れますよ」

「うん。きっと良い作物が出来るよ」

「おお。お墨付き!トレイニーさんは植物の専門家だしな」

「ええ。ですから……………」

「「うん?」」

「待っていたんですよ、私。お、さ、そ、い……………」

 

 トレイニーさんはそう言って、リムルの麦わら帽子を自分に被せながら、そう言う。

 あ、やべ。

 この人誘うのを忘れてた。

 すると、トレイニーさんは涙を浮かべながら、スコップでその辺の土を掘る。

 

樹妖精(ドライアド)なのに……………管理者なのに……………。ずっとずーっと、そこの木の陰から……………」

「ごめんなさい!収穫時にはちゃんと声をかけますので………………!」

「あー。泣かせた、泣かせた」

「な〜にやってんだよ」

「機嫌なおして下さい。ほら、ポテチありますよ!」

「…………………ぐすん」

「アハハハハ…………………」

 

 こうして、俺たちはトレイニーさんを宥めるのに、苦労した。

 その後、ラキアは俺に話しかけていた。

 

「……………タオリンだったな」

「うん?」

「……………お前は本当に慕われているんだな。エージェントを使役しているからといって、ストマック社と同じと見てしまって、悪かった」

「気にしてないよ。むしろ、そうなってもおかしくないと思ってるし」

 

 ラキアはそんな風に言う。

 まあ、ストマック社が使役しているエージェントを連れていたら、警戒されてもおかしくないし。

 すると。

 

「コメルもこの街を気に入っているみたいだしな。……………世話になっても構わないか?」

「うん。大丈夫だよ」

「助かる。これから世話になる。よろしくな」

「ああ」

 

 ラキアはそんな風に頼み込む。

 それを聞いて、俺はそう答えつつ握手をする。

 こうして、ラキアとコメルが仲間になったのだった。

 ちなみに、皆にも紹介を行い、2人にも名前の上書きを行った。

 とはいえ、ガビルみたいに名付けの上書きを行っただけに過ぎず、名前はそのままだが。

 それもあってか、ラキアとコメルは進化したらしい。

 ちなみに、ラキアはグラニュート界では土木作業をやっていたのもあって、ゲルドの所で手伝ったりしている。

 コメルは、子供達が通っている学校に通っている。

 ラキア曰く、『楽しそうでホッとした』らしい。

 


 

 それから数日、トレイニーさんの事を知ってか知らずか、梅雨が始まった。

 異世界にも、梅雨はあったのだ。

 それを、俺、リムル、シズさん、絆翔、ゴブタは外から見つめていた。

 

「今日も雨っすか。毎日これじゃあ、気が滅入るっすね」

「まあ、梅雨だしな」

「あらあら。そんな事を言わないで下さい。雨は必要なんです。天からの恵みを大地がたっぷりと受け止めて、緑は茂り、虫たちが増え、小動物が繁殖し、またそれが土に……………」

 

 ゴブタがそう言い、俺が嗜める中、トレイニーさんはそう言うと、ポテチを食べて、口を開く。

 

「あら、新味。そうして、森は着々と大きくなっていくのですから」

「そうなんですね」

「へぇ……………だからちょっと太ったんすね。」

「おっ……………⁉︎」

「ちょっ……………⁉︎」

「お前…………⁉︎」

「あ」

 

 トレイニーさんがそう言う中、ゴブタはそう言う。

 すると、雷鳴が響き、雨足が強くなる。

 俺はゴブタに言う。

 

「おい!早く窓を閉めろ!」

「はいっす!」

 

 トレイニーさんを怒らせると、自然環境に影響を与えかねんな。

 というより、ゴブタ、それはあまりにも失言だろ!

 こうして、外は嵐となったのだった。

 そして、中も。

 シズさんは、黒笑を浮かべながら、ゴブタに近寄る。

 

「ゴブタ君。前にも言ったよね?そういうのは言っちゃいけないって」

「は、はいっす………………」

 

 シズさんは、ゴブタに対して、説教をおこなった。

 ゴブタは、白くなって撃沈した。




今回はここまでです。
今回は、転スラ日記の話です。
そして、ラキアとコメルが仲間になりました。
ラキアに関しては、ルートストマックで死亡した直後の時系列です。
ラキアとコメルに関しては、幸せになって欲しかったので。
そして、作物を植えて、梅雨に入っていく。
ラキアも、仮面ライダーヴラムへと変身しますが、それはもう少し後です。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
今後の展開で、こんな感じにやって欲しいとか、強化フォームの登場タイミングとかでリクエストがあれば、活動報告から承っております。
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