転生したら赤ガヴだった件   作:仮面大佐

19 / 21
第17話 ジュラの夏

 梅雨が明け、夏が始まった。

 まあ、梅雨が始まった頃は、ゴブタがトレイニーさんに対して、失言をしたからな。

 蝉の鳴き声が辺りに響き渡る。

 俺たちが家に戻っていると、朱菜がひまわりに水をあげていた。

 

「ふぅ……………」

 

 朱菜はそう一息吐きながらながら水をあげる。

 そこに俺たちがやってくると朱菜は俺たちに気づいたのか、話しかける。

 

「あっ、リムル様!タオリン様!」

「おお!ひまわりか〜。夏っぽいな」

「はい。リムル様とタオリン様のお話を参考にして、似た花を植えてみました」

「ありがとう」

 

 朱菜がそう話しかけると、俺たちはそう言う。

 やっぱり、夏といったら、ひまわりだよな。

 まあ、ひまわりというよりは、ひまわり擬きだがな。

 風鈴の音が響く中、俺たちは麦茶を飲む。

 すると、背後から視線を感じて、振り返る。

 そこには、ひまわりがあっただけだった。

 

「あ……………?」

「ん……………?」

 

 俺たちは再び前を向く。

 すると、ひまわり擬きが、俺たちを見てくる気がする。

 

「ああっ………………」

「見られている………………?」

 

 俺とリムルは冷や汗を流しながら、そう思う。

 地味に怖いって。

 何で花が俺たちを見てくるんだよ。

 怖くなった俺たちは、リグルドの方へと向かう。

 街の様子を見ると、皆、暑さにまいっている感じだった。

 リムルはというと、熱変動耐性があるので、大丈夫だが。

 ちなみに、俺も暑さにやられかけている。

 ただの人間だから。

 リグルドの元に着くと、リグルドはヴェルドラを祀っている祠に手を合わせ拝んでいた。

 

「ジュラの夏って……………あっついんだなぁ………………」

「なあ、リグルド」

「ぬぅおっ……………ぬぅ……………」

「なんか、皆参ってるみたいなんだけど」

「う〜ん……………ええ。私どもの記憶でも、こんなに暑い夏は……………アハッ、初めてです」

 

 俺とリムルがそう言うと、リグルドはそう答える。

 リグルドの体から汗が蒸気になって出ていた。

 すると、嫌な予感がした。

 

「あっ、あれ?もしかして……………」

「森を切り拓いて、街を作ったから、自然環境に変化が出たのか……………?」

 

 俺とリムルはそう呟く。

 森が切り拓いて、街を作った事で、日光が当たりやすくなったから、そうなってもおかしくはない。

 まあ、無理もないけど。

 すると、リグルドが慌てて言う。

 

「い……………いえ!きっとこれは、暴風竜様が姿を消された為かと!」

「そ、そっか……………?」

 

 俺とリムルの言葉を聞いて、リグルドはフォローする様にそう言う。

 いや、それだと、どの道、俺らのせいになるんだよなぁ………………。

 俺がそう思う中、リグルドは俺たちに視線を合わせて、小声で言う。

 

「んん……………なんせ、神様のなされた事ですから。リムル様とタオリン様には…………」

「う〜ん………………」

「暴風竜様ですし。セーフです、セーフ。うん」

「ヴェルドラだもんな!ヴェルドラじゃあ、しょうがないよなぁ!」

 

 リグルドはそう言う。

 でも、結局はリムルが原因なんだよな。

 リムルがヴェルドラと接触して、リムルの中に取り込んだから。

 すると、リムルが思念伝達で胃袋の中のヴェルドラに謝る。

 

『ごめんな、ヴェルドラ!』

 

 そんな中、胃袋の中でイフリートと将棋をしていたヴェルドラが答える。

 

『構わん、構わん!細かい事は気にするな!アーハッハッハッハッ‼︎』

『……………そこ、指し間違えてますが』

『…………………え?』

 

 ヴェルドラが笑いながらそう言うと、イフリートはそう指摘する。

 精霊と竜が将棋をしているという、凄まじい光景が繰り広げられていた。

 


 

 その後、執務室に向かい、朱菜、紫苑と共に、事務作業を行う。

 その際、技術者に頼み込んでいた。

 

『技術者。森林開拓の自然への影響を調べておいてくれ』

『了』

 

 俺がそう言うと、技術者はそう答える。

 ヒートアイランド現象とかが起こって、倒れるのはあまりよろしくないしな。

 まあ、テンペストにエアコンの類は無いのだが。

 とはいえ、調べておく必要性はあるだろう。

 というより、さっきから、ペンギンみたいな大王の、『環境破壊は気持ちいいぞい!』という声が聞こえてくるのは、何故だろうか。

 そんな中、朱菜たちに話しかける。

 

「なあ、お前たち」

「「ん……………?」」

「その格好で暑くないのか?」

 

 そう。

 紫苑はスーツ、朱菜は和服を着ていた。

 暑くないのか、心配になったのだ。

 

「へっちゃらです。夏好きなんで」

「私どもは、仮にも役職を頂いておりますので。いつ如何なる時も、恥ずかしくない姿で働いております」

「気にしすぎて、倒れないでね」

「適度に水分補給をしてね」

「ご心配なく!どうしても暑い時は、見えない所から一枚抜きますから。今日みたいに!」

「ああ?」

「うわぁ………………」

「はっ⁉︎」

 

 俺とリムルの質問に対して、朱菜と紫苑はそんな風に答える。

 俺とリムルが気遣ってそう言うと、紫苑は堂々とそんな事を言う。

 そんな事を堂々と言うんじゃないよ。

 すると、朱菜は、紫苑を部屋から追い出す。

 

「えっ、あ…………ちょっ…………えっ?」

「リムル様、タオリン様!ちょーっと失礼します!」

「リムル様!これ、スースーして快適ですよ!」

 

 まだ言うか。

 そう思う中、紫苑は朱菜に連行されていった。

 ちなみに、俺の服装はショウマの服の半袖仕様となっている。

 そんな中、俺はリムルに話しかける。

 

「そうだ。そろそろ冷えてる頃だと思うから、回収しよう」

「お、良いね!」

 

 俺たちはそう話して、井戸がある場所へと向かう。

 そこで、カットしたスイカを食べる。

 

「はぁ〜……………美味い!」

「夏といったらスイカだよな!」

 

 スイカを食べ終え、井戸の方へと向かう。

 そこには、井戸水で冷やした麦茶、スイカ、トマト、胡瓜があった。

 それを回収して、ゴブタ達の方へと向かう。

 

「おぉ〜!リムル様、タオリン様!感謝感激っす!」

 

 ゴブタはそう言って、麦茶を飲む。

 

「んぐっんぐっんぐっ……………プハーッ!生き返るっす〜!」

「うんうん!」

「リムル様、タオリン様!冷たくてすっごく美味しいです!」

「皆、暑い中頑張ってくれてるからな。差し入れだ」

「だろ〜?夏といえば色々あるけど、これは外せないよな!」

「そういうもんなんすかね〜。他には、何があるんすか?」

 

 ゴブタ達は、頑張っているからな。

 脱水症で倒れるのは避けて欲しい。

 だからこそ、差し入れを渡しに来たのだ。

 ちなみに、俺はこっそり、ソルティライチを再現できないか、挑戦している。

 ソルティライチは、結構好きだからな。

 ゴブタがそう質問すると、リムルは答える。

 

「そうだな〜……………子供の頃は、よく虫捕りしたな!」

「えっ?スライムって、子供の時は虫捕るんすか?」

「…………………」

 

 リムルがそう答えると、ゴブタは困惑しながらそう言う。

 ここは異世界なんだから、そんな風に答えるなよ。

 俺はそう思いながら、肘打ちをする。

 

「ああ……………う〜……………えっと……………これこれ!こういう奴が好きだったんだぁ!」

「えっ……………?」

「どうした?」

「ああ、いや……………こいつなら、この近くにも居るっすけど……………」

「おっ!まじ〜?ちょうど良いから、虫捕りに行こうぜ!」

「うう………………」

 

 リムルがそう言うと、ゴブタ達のテンションが露骨に下がった。

 なんか、ゴブタ達、あんまりテンションが高くないな。

 むしろ、下がっている。

 なんか嫌な予感がするのは、気のせいか?

 そんな中、森の中を歩く。

 

「良いねえ、虫捕り!夏だねぇ!」

「楽しそうだね」

「自分、あまり気乗りしないっす」

「あ?何お前、クワガタ派?」

「クワガタも良いよな」

「いやあ…………そういう事じゃ…………あっ!」

 

 俺、リムル、ゴブタがそう話していると、虫の羽音が聞こえてくる。

 そっちを見ると、ものすごくデカいカブトムシが、こっちに向かって来ていた。

 なるほど、これが理由か。

 

「ああっ…………!」

「あっ…………!」

「デカっ」

「ああ………………!」

 

 それを見て、俺たちはすぐに避ける。

 だが、ゴブタは逃げ切れずに、カブトムシの角にぶつかる。

 

「ギャアアアアアア!!」

 

 カブトムシの角にぶつかったゴブタは、そのまま星となる。

 


 

 その後、無事に生還したゴブタと共に、水鉄砲対決をやる事に。

 ゴブタ達ゴブリンライダーと俺とリムルの戦いだ。

 

「油断したっすねえ、リムル様、タオリン様。皆、準備は良いっすか?」

「ええ!」

「ダス!」

「作戦開始っす!」

 

 ゴブタ達がそう話す中、俺とリムルは二手に分かれて、岩陰に隠れながら、水鉄砲を撃っていく。

 ゴブテ達のデカい水鉄砲でリムルの水鉄砲が吹き飛ばされる中、俺はゴブタの水鉄砲を吹っ飛ばす。

 一方、リムルは別の水鉄砲を撃とうとしたが、栓が抜かれていて、空砲となってしまった。

 考えたな。

 

「うっ……………!」

「リムル!」

「今っす!」

 

 俺がリムルに気を取られていると、ゴブタが俺の予備の水鉄砲を吹っ飛ばす。

 してやられたな。

 すると、ゴブタ達がリムルの前に現れる。

 

「チャ〜ンス。弾切れに在庫切れっすねえ、リムル様、タオリン様」

「やるな」

「全身くまなくビッチャビチャにしてやるっすよ。ビッチャビチャに……………!皆!一斉放火っす!」

 

 ゴブタ達はそう言って、水鉄砲を一斉に撃ってくる。

 俺がそれを躱す中、リムルには当たっている。

 ある程度当たると、リムルはゴブタ達に言う。

 

「汚ねえぞ、お前ら!」

「悔しかったら、反撃してみると良いっすよ。フハハハハハ……………!」

「うぷっ……………」

「それくらいにしておいた方が良くないか?」

 

 リムルがそう言うと、ゴブタはそう返す。

 やめておいた方が良くないか?

 ちなみに、俺は水鉄砲を躱している。

 すると、ゴブタが口を開く。

 

「ああ……………自分たちがあのリムル様とタオリン様を翻弄してるっす……………。何すか、この湧き上がる気持ち……………」

 

 ゴブタは、ご満悦だった。

 俺は嫌な予感がしたので逃げる。

 すると、リムルは反撃として、口から大量の水を放出する。

 水ビームは、しばらく進んでいって、凄い衝撃音を放つ。

 しばらくすると、水ビームが放たれた場所は、木が倒れ、地形が少し抉れていた。

 やりすぎじゃね?

 

「口から出すのは……………ずるいっす………………」

「ふぅ……………すまん、思わず」

「やりすぎじゃない……………?」

 

 ゴブタの抗議に、俺とリムルはそう言う。

 


 

 一方、嵐牙はため息を吐いていた。

 

「ああうぅ……………」

 

 そこに、紫苑がやってくる。

 紫苑は嵐牙に話しかける。

 

「どうしたのです、嵐牙。そんな所でため息を吐いて」

「うん?実は最近、リムル様とタオリン様が遊………………いや、お呼びが掛からぬのだ」

「ほう?」

「くぅん……………かつては、どこへ行くにも、背に乗ってくれて……………」

 

 嵐牙の言葉に、紫苑がそう反応する中、嵐牙は思い返す。

 俺たちとよく遊んだ頃を。

 

「その後には、ナデナデとか……………」

「ナデナデ………………」

「スリスリとか……………」

「スリスリ……………!」

「ペロペロした仲なのに……………」

「ペ、ペロペロ………………!?私だって、まだなのに!」

 

 嵐牙の独白に、紫苑はそんな風に反応する。

 それを聞いた嵐牙は、鼻で笑う。

 

「ハッ……………」

「むっ!」

「もしや、知らぬ間に、リムル様とタオリン様の不興を買ってしまったのでは……………」

 

 嵐牙が鼻で笑い、そう言う。

 すると、紫苑が反論をする。

 

「知りませんよ、この犬!」

「ん?」

「どうせ、タテガミが暑苦しいとかの理由では?夏だし」

「四六時中ベタベタしてるお前達の方が暑苦しいわ!粗忽女!」

「ぎっ………………!」

「こうなるか……………」

 

 紫苑の言葉に反論する嵐牙。

 だが、言い方があれだったからか、紫苑はキレて、臨戦態勢に入る。

 そして、紫苑と嵐牙は戦う。

 それを見ていたひまわり擬きは、花の部分を葉っぱで隠していた。

 

「第一秘書である私が、いつもおそばにいるのは当然でしょ……………!」

「我こそは……………従者として如何なる時も、お供せねば!」

 

 二人はそう言って、再び争いだす。

 それを、俺たちは見ていた。

 

「私だって、せめてスリスリ…………!」

「我が主達に不埒な真似は……………!不埒な真似は………………!」

 

 紫苑達は、そう言い争っていた。

 それを見ていた俺たちは。

 

「このクソ暑い中、よくやるよな」

「今度組ませてみるか」

 

 そんな風に話す。

 


 

 その後、洗濯物を干している紅丸達の方へと向かう。

 

「おっ、居た、居た」

にん?」

「紅丸、ちょっと良いか?」

「何ですか?また悪巧みじゃないでしょうね?」

「いやーねぇ。すげー暑いし、もうこうなったら、暑さを生かして、我慢大会でもやろうかなと思って」

 

 そう。

 紅丸に声をかけた理由は、我慢大会に参加するかどうかを聞きに来たのだ。

 まあ、悪くないと思い、俺も了承した。

 

「転んでもただでは起きない辺りはさすがですが、我慢大会って何ですか?」

「我慢大会ってのは、炎天下に暖房を焚いて、厚着をして、その上で鍋を食う。そして、最後までギブアップしなかった人が優勝って感じだ」

「そういう感じ」

 

 俺とリムルは、紅丸に我慢大会の概要を言う。

 ちなみに、俺とリムルは参加しない。

 俺とリムルには熱変動耐性があるから、試合にならないからだ。

 それを聞いたアキナは、ゴブタに話しかける。

 

「出れば良いじゃん。ふふ…………」

「う〜ん……………。『ここで目立ちたいっすけど……………これ、なんか嫌な予感がするっす』」

 

 アキナにそう言われるが、ゴブタは参加を渋っていた。

 そんな中、リムルは紅丸に話しかける。

 

「紅丸。お前のように強い男は、暑さなんかに負けないだろ?」

「んっ……………ふむ。なら、ここは一つ、俺の我慢強さを知らしめてやりましょう」

「頑張れよ」

 

 リムルがそう言うと、紅丸は満更でもない様子を見せる。

 それを見ていた紫苑は。

 

「良いじゃないですか。最近、良い所が全く無かったですし」

「うるさいぞ、そこ!」

「だって事実ですし〜」

「おのれ……………!見てろ、残念秘書!炎の戦士の生き様をな!」

 

 紫苑の言葉に、紅丸はそう叫ぶ。

 そうして、我慢大会が始まった。

 だが、紅丸、ガビルを始めとする参加者は、全員撃沈していた。

 

「おぉ〜っと!鍋の前に出場者全員がダウンだ〜!」

「これは、大変な事になりましたね」

「まさか、紅丸が負けた!?」

「どうしたんでしょうか?」

「紫苑、お前が作ったんだな………………」

 

 そう。

 出場者が食べた鍋は、紫苑が作ったのだ。

 それを見ていたゴブタは。

 

『出なくて良かったっす……………!』

 

 ゴブタは、不参加だった。

 その為、命の危険は免れた。

 その後、紅丸達を始めとする参加者達は、救護所に運ばれた。

 


 

 一方、ゴブタは、黒兵衛の工房へと向かっていた。

 中に入ると、熱気がゴブタを襲う。

 

「うわっ、あっつい!何すかこれ⁉︎」

 

 ゴブタがそう叫ぶ中、黒兵衛は作業をしていた。

 ひと段落すると、ゴブタは黒兵衛に話しかける。

 

「リアル我慢大会じゃないっすか!」

「はっはっは!鍛治工房なんだから、当たり前だべ」

「黒兵衛さん、すごい汗っすよ!大丈夫なんすか?」

「んん?ああ、おら鈍いから、平気なんだべ。あっ、そうそう。ゴブタ君の武器、武器。散々待たせて、ごめんだべ」

 

 ゴブタがそう言う中、黒兵衛は笑って、汗を拭う。

 そして、黒兵衛は、ゴブタの武器を取り出そうとする。

 それを見ていたゴブタは。

 

『黒兵衛さん……………真夏に何日も篭りっぱなしなのに、笑っていられるなんて………………』

 

 ゴブタは黒兵衛に対して、そう思っていた。

 すると、黒兵衛は武器を取り出す。

 

「いやあ…………なんか気づいたら、鍛え上がってたんだけど……………。フフフフフフフフ……………フフフフフフフフ……………!」

「マギー!マギー!マギー!」

 

 黒兵衛が取り出したのは、剣の柄の部分が、生きている様に蠢き、奇声を発する剣だった。

 それを、黒兵衛は目を赤く光らせながら笑う。

 それを見ていたゴブタは。

 

「うぅ……………やっぱり、ちょっと涼んだ方が良くないっすか………………?」

「マギー!」

 

 ゴブタはそれを見ながら、ドン引きしつつも、黒兵衛にそう言う。

 そんな剣の奇声は、俺たちの方にも届いていた。

 

「ん?なんか、やばい奇声がしたような気がしたのは、気のせいか?」

「気のせいじゃねぇの?」

 

 俺がそう言うと、絆翔はそんな風に言う。

 気のせい……………かな?

 明らかにやばい声が聞こえた気がするんだが。

 すると、シズさんが話しかける。

 

「タオリンさん。朱菜さんと一緒に水饅頭というのを作ってみたから、食べてみない?」

「良いのか?なら、お言葉に甘えて」

 

 シズさんは水饅頭を作ったそうで、俺はそれを食べる。

 美味い。

 

「美味しいよ」

「ありがとうね」

「……………まあ、あんな光景がなければ更に涼しく感じるんだろうがな」

 

 俺はそう言うと、シズさんは嬉しそうにそう言う。

 すると、絆翔はそう言う。

 俺たちが絆翔の視線の先を見ると。

 

「紫苑」

「ん?」

「私にも、リムル様を抱かせて下さい」

「え〜。ダメですよ。これは、秘書の仕事です」

「うう……………いや、そんなことは無いんだが……………」

「ホホホホホ……………そんな事はありませんとリムル様が」

「そんな事ありますわ。フフフフ……………」

「ホホホホホ……………」

「フフフフフ……………」

 

 朱菜と紫苑は、そんな風に話していた。

 スライム形態のリムルは冷たいからな。

 俺たちが苦笑しながらそれを見ていると、朱菜と紫苑による、リムルの取り合いが始まる。

 一進一退の攻防を繰り広げ、引っ張り合いになる。

 

「ん〜!良いから代わりなさい!」

「ん〜!いーやーでーす〜!」

「こらこら!仲良くしろ〜!仲良く〜!」

 

 朱菜と紫苑の争いは白熱していくが、リムルによって止められる。

 その後、折衷案として、リムルが少し大きくなって、2人はリムルに寄りかかる。

 水饅頭を食べている中、リムルが口を開く。

 

「………………それを見てると、俺が食われている様な気分になるよ」

「そうか?」

 

 リムルがそう言う中、紫苑と朱菜はリムルを抱いていた。

 まあ、スライムみたいだからかな。

 すると、朱菜と紫苑が口を開く。

 

「あっ。何だか、ぬるくなってきましたね」

「リムル様。もう少し冷たくなりませんか?」

「きっ…………!」

 

 紫苑と朱菜がそう言うと、リムルは青筋(?)を浮かべる。

 よし、リムルを揶揄うか。

 そう思い、思念伝達でリムルを揶揄う。

 

『お、照れてんのか?朱菜達の水枕さん?』

『お黙り!』

 

 俺がそう言うと、リムルはそう言ってくる。

 


 

 一方、畑の方では、リリナさんとゲルドがいた。

 

「猛暑が続く毎日でしたし、この日差しに加え、うまくこの土に馴染めなかったようで」

「色々と、試行錯誤してみたのですが、上手くいきませんでした……………」

「そうですか……………」

 

 リリナの言葉に、ゲルドはそう反応する。

 すると、リリナはすぐに口を開く。

 

「あっ、でも、数株は生き残ったので、希望はあります。どうぞ。せっかくだから、食べてみてください」

 

 どうやら、生き残ったのもあったそうだ。

 ゲルドは、トマトを二つ手に取って、見つめる。

 すると、ちょんまげのゴブリンの子供とコメルがそれを見ていた。

 ゲルドは頷くと、トマトをもぎ取って、その子供に渡す。

 

「ほら」

「ありがとう〜!」

「わ〜!はむっ。んぐんぐ……………はぁ〜」

 

 ココブというゴブリンの女の子とコメルは、ゲルドから受け取ったトマトを食べる。

 それを見て、ココブとコメルの頭を撫でて、ゲルドは去ろうとすると、リリナが話しかける。

 

「よろしいのですか?」

 

 リリナの質問に、ゲルドはただ手を振って答えた。

 すると。

 

「……………ありがとうな。コメルにもトマトをくれて」

 

 ラキアはゲルドにそうお礼を言う。

 ラキアの言葉にも、ゲルドは手を振って答えた。

 その後ろ姿は、逞しかった。

 


 

 その夜、俺とリムルとシズさんと絆翔は、スナックに赴いていた。

 トレイニーさんは、ドリンクを出す。

 

「はい、テンペストブルー」

「おお〜!涼しげ!」

「うふふ……………どうぞ、冷たいうちに」

「ん…………ん……………あっ、これ、ハッカみたいだな」

「アルコールの代わりに、涼しげなハーブを入れてみました」

 

 なるほどな。

 確かに、この猛暑にはちょうど良いかもしれないな。

 

「俺は子供じゃないって〜」

「涼しげで、猛暑の今年には、ピッタリだな」

「確かに、今年の夏は結構暑いよね」

「そうですね。………ですが、長い目で見れば、揺らぎのような物です。振り始めか……………振り戻しか……………。」

 

 まあ、そういうもんか。

 年によって、暑さとかは違うからな。

 リムルは、トレイニーさんの言葉に答える。

 

「生憎、俺はそんな長い目は持ってないんだ。」

「ウッフフフフ……………リムル様とタオリン様の力添えで、この森は大きく変わって来ています。そして、この街の皆さんは、その予期せぬ変化にもしっかり対応してます」

「大丈夫だよ。きっと上手くいくよ」

「頑張れよ!」

「ありがとう。トレイニーさん、シズさん、絆翔」

「お客様の心をほぐすのも、スナック樹羅の役割ですから」

 

 まあ、頑張っていくか。

 色々と、注目されているがな。

 すると、ドアが開く音がして、カイジンとミルドの2人がやって来る。

 

「いらっしゃいませ!」

「おっ。今日はママさんがいるぞい」

「あらっ、カイジンさん。お帰りなさい」

「予期せぬといえば……………」

「このお店って、元々トレイニーさんのお店じゃ無かったですよね?」

「あらあら。ウフフ……………」

「店名も、”ゴブリナ”の予定だった筈だけど……………」

「うふふふ……………皆さん、対応してますよ」

「アハハ……………」

「ちゃっかりしてんだよな…………」

 

 トレイニーさんは、しれっと店をゲットしてるよな。

 森の管理はしなくて良いんすか?

 そう思っていると、ゴブタが入ってくる。

 

「あっ、リムル様、タオリン様。こんな所に居たんすか?蛍が群れで出てるっすよ!見に行きましょうよ!」

「こらこら、ゴブタ君。お静かに……………」

「早く早く!こんな群れ、もう見れないかもしれないっす!」

「やれやれ。シズさんと絆翔も行く?」

「ええ」

「おう」

 

 そうして、俺とリムルとシズさん、絆翔はゴブタ達と共に、蛍の群れを見に行く事に。

 蛍の群れが光を出していた。

 小学生の頃、夏休みは全力だった。

 予定がなくても早起きして、寝落ちするまで夜更かしをした。

 ラジオ体操もやったよな。

 見る物全てが新鮮で、やりたい放題した物だ。

 そんな俺を、父さんと母さんは笑いながら見ていた。

 二人は元気なのかな。

 すると、シズさんが口を開く。

 

「懐かしいな……………」

「シズさん?」

「昔はこうして、お母さんと一緒に蛍を見に行ってたんだ」

「そうなんだ……………」

「そっか」

 

 俺も、蛍を見たのは久しぶりだ。

 小学生の夏休みの頃、田舎の爺ちゃんと婆ちゃんの家に父さんと母さんと一緒に行って、爺ちゃんと婆ちゃんと一緒に蛍を見た。

 それはもう、見る事が出来ない光景だが。

 すると、シズさんが口を開く。

 

「……………リムルさんとタオリン君のおかげだね。毎日が凄く楽しい。昔の私に言っても、信じられなかったんだろうな…………」

「そっか……………そう言ってくれて、嬉しいよ」

 

 俺とシズさんは、そう話す。

 こうして、夏の1日が終わる。

 


 

 その翌日の早朝、ジュラの森の夏の恒例の出来事が起こる。

 それは、野良スライムの大量発生だった。

 その野良スライムの一団は、テンペストの近くにやってくる。

 俺とシズさんと絆翔とラキアとコメルが家の方でそれを見ていると、リムルは野良スライムと一緒に遊んでいた。

 Aの形、手の形、考える人の形になった。

 野良スライムの方は、Aの形と手の形はギリギリ出来たが、考える人の形には出来なかった。

 すると、野良スライムは仲間達の方へと去っていく。

 それを、リムルは寂しげな雰囲気で見送る。

 すると。

 

「リムル様〜!」

「ああ?」

『リムル様〜‼︎』

「「群れに帰っちゃやだ〜!!」」

「俺の群れはお前らだろ」

「賑やかだな」

「だな」

「…………まあ、悪くはない」

「そうだね」

 

 リムルが野良スライムの一団に向かおうとした風に見えたのか、リグルド達は、必死に止めようとする。

 これもまた、夏の出来事。




今回はここまでです。
今回は、夏の出来事の話です。
色々と夏を過ごしているタオリン達。
ラキアも、馴染めている様で。
次回は湖での話になります。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
転スラの4期が始まりましたね。
漫画版では描かれなかった改善する前のダンジョンの文句を言う冒険者のシーンがありましたね。
今後の展開などでリクエストがあれば、活動報告から承っております。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。