ある夏の日。
俺たちは、会議室に集まっていた。
理由は、リムルに呼ばれたからだ。
リムルの真剣な表情に、皆が固唾を飲む。
すると、リムルがテーブルに手を叩きながら口を開く。
「この季節に、まだ足りない物がある。何か分かるか?」
「う……………分かりません」
「もったいぶらずにさっさと言えよ」
「やれやれ…………」
「それは……………夏祭りだ!」
「うぐっ……………!」
「ああ…………」
リムルがそう言う中、リグルドがそう言うと、絆翔と俺はそう言う。
リムルがそう言うと、リグルドは怯み、俺は納得する。
夏祭りなんて、随分と久しぶりな気がするよな。
そう思う中、リムルはリグルドに近寄る。
「俺はこの街で、夏祭りをやりたい!」
「なっ⁉︎ナツ…………マツ…………リ…………?」「まあ、ぶっちゃけて言えば、夏の宴会だよ」
「宴……………!」
リムルはリグルドに対して、そんな風に言う。
リグルドは、夏祭りという聞きなれない単語に疑問符を浮かべていたが、俺のフォローに、笑みを浮かべる。
やっぱり、宴会が好きな人が多いんだよな。
「ふん。こんな物とか〜」
「よーしきた〜!」
「いよ〜!」
「こんな物とか!」
「はぁ〜……………!」
「こんなものをやる!」
「おお!」
リムルはそう言って、木の板に書いた盆踊りや出店そして打ち上げ花火を絵で説明した。
皆初めて見るものばかりで興味津々だった。
俺はそれを見て、口を開く。
「準備期間は1週間だ。出来るか?」
「はっ!我ら一同に………!」
「お任せください!」
「よし!皆の全力を見せてくれ!」
「はい!」
こうして、魔物達の全力の準備が始まる。
色んな所で、準備が進められていく。
ガルムとドルドは、垂れ幕やら提灯を作成していた。
「ふぅ…………」
「う〜ん……………?」
「おっ」
「うん?」
「これは……………流行るっ!」
作業する中、浴衣やら装飾が描かれた木の板を持ちながら、そう確信する。
そんなこんなで作業は順調に進み、俺たちが視察する頃には、櫓も上手い具合に出来ていた。
この街は、宴によって進化し続けるのだろう。
俺は、そう思った。
そうして、祭り当日の昼。
「ほお〜!凄いなあ!」
「良い感じだな」
「うむ!」
「屋台の準備も、ほぼ終わっております」
「おお〜!お面屋!懐かしい〜!」
「どういうのがあるのか、見に行くか」
俺たちは、屋台を見て回る事に。
ちなみに、リムルは紫苑に抱えられていた。
お面屋には、スライムのリムルのお面がたくさん置かれていた。
「うん?」
「どうした?」
「俺が言うのもなんだけど……………不気味だなぁ………………」
リムルはそう言いながら、体を震わせる。
まあ、紅丸とかがこれを着けると、確かに怖いよな。
ちょっと揶揄うか。
「フッフフ……………不気味だなんて」
「ん?うわあーーっ!?」
「そう言うなよ」
「そんな事無いですよ〜」
「全くだな」
「フフフフフフフ………………」
俺たちは、リムルのお面をつけながら、リムルを見て、不気味な笑いをする。
揶揄う事ができて、俺は満足した。
その後、着物があると言うので、俺たちは着付けをする事に。
「はぁ〜……………!紫苑さん!」
「リムル様……………!」
「可愛い〜!」
2人は、そう言ってくる。
「えへへ……………やっぱり女物」
「フフフフ」
「リムルは女物だな………………」
そう。
リムルは女物の着物を着せられていたのだ。
ちなみに、シズさんも着物を着ており、花柄だった。
「タオリンさん……………似合うかな?」
「ああ。似合ってるよ」
「ありがとう」
シズさんがそう聞いてくると、俺はそう答える。
やっぱり、シズさんは似合ってる。
「朱菜とシズさんは相変わらず似合ってるとして……………」
「そんな〜……………」
「ありがとう」
「紫苑も、今日は何だか、楚々として見えるな」
「ううう……………!聞いてください!胸にサラシをギュウギュウ巻かれたんです!」
俺とリムルは、そう言う中、紫苑は涙を浮かべながらそう言う。
まあ、紫苑って、胸が大きいしな。
無理もない。
すると、目元に影を浮かべた朱菜が言う。
「フフフフ……………私思ったんです。大きなお胸は着付けに邪魔……………大きなお胸は着付けに邪魔……………大きなお胸は、着付けに邪魔なんです。他意はありません」
「あっ…………う…………うん…………」
「そ、そうか……………」
「うううっ…………苦しい……………」
「帯、緩めますね」
朱菜って、怒らせると本当に怖いな。
ていうか、貧乳な事、気にしてるんだな。
これ以上はやめておこう。
それを聞いていた絆翔は、気まずそうにしていた。
一方、それを見ていたシズさんは。
「アハハハ………………」
苦笑を浮かべていた。
シズさんも、胸は大きい方なので、気まずく感じたのだろう。
その後、俺たちは街へと向かう。
街は、着物を着た人たちで盛り上がっていた。
日本の夏祭りを可能な限り再現する。
それが、今回のコンセプトだ。
「食べ物などは、普段の屋台売りでも応用出来そうですね」
「そうだな」
朱菜とリムルはそう話す。
そんな中、俺たちはたこ焼きの屋台へと到着する。
朱菜が、ゴブイチからたこ焼きを受け取り、俺たちに渡す。
「こちらも、試行錯誤の末、何とか再現できたんじゃないかと思います。どうぞ」
「うっひょ〜!たこ焼きだ!」
「ありがとう」
「熱々をお楽しみ下さい!」
そう言って、俺たちはたこ焼きを受け取る。
久しぶりだな。
たこ焼きを食べるのは。
まあ、たこ焼き擬きだがな。
俺とリムルは、たこ焼きを頬張る。
やっぱり、たこ焼きは美味いよな。
それにしても、ここは海なんてないから、どうやってタコを手に入れたのだろうか?
チラリと見ると、何か、とんでもない物が見えた気がする。
それを見て、一瞬で悟った。
リムルには、知られない方がいいと。
すると、シズさんが話しかける。
「どうしたの?何か見たの?」
「いや、何でもない」
「そっか……………。それにしても、美味しいよね」
「うまうま」
「うめぇな!」
俺とシズさんは、そう話す。
リムルは、タコの代わりに入れられている物を見ようとするが、朱菜が阻止する。
一方、ガルムとドルドは。
「フフフフ……………」
そんな風に、目に隈を浮かべながらも、笑みを浮かべていた。
その視線の先には、リリナとハルナが居た。
「はい!どうぞ!」
「まあ!ありがとう、ハルナさん。ウフフフフフ……………」
「いいえ〜。気にしないでください。ウフフフフフ……………」
ハルナはリリナにリンゴ飴を渡して、そんな風に話す。
それを見ていたガルムとドルドは。
「良いなあ、兄弟」
「ああ」
「ああ………………」
「イケる!」
「イケる……………」
ガルムとドルドがそう話す中、男の子も見ていて、そう言う。
その後、紅丸、紫苑と合流して、かき氷屋に向かう。
「ここが、俺とタオリンのプロデュースの店!」
「かき氷?この時期に氷なんてあるんですか?」
「ん!」
「あ……………」
「まあ、食ってみな」
「ああ……………ありがとうございます!」
俺とリムルは、かき氷を紅丸達に渡す。
鬼人達は、かき氷を食べる。
「はむっ」
「おおっ……………!冷たい!そして甘い!」
「うんうん!」
「う〜ん……………ああ……………!」
「氷がまるで雪のようにフワフワです」
「うん。甘くて美味しい」
「かき氷機の刃は、黒兵衛謹製だからな」
気に入ってもらえて、嬉しいよ。
すると、黒兵衛が話しかける。
「リムル様!氷の補充をお願いするべ!」
「おっしゃい!」
黒兵衛にそう言われて、リムルはスライムの姿に戻り、ジャンプする。
「
リムルはスキルを使って、桶に氷を出す。
リムルが着地すると、皆が歓声を上げる。
一方、氷の出どころを知った紅丸は、固まっていた。
「うっう……………」
「黒兵衛!俺の分も頼む!」
「俺も頼むよ」
「はいだべ!」
俺とリムルが、黒兵衛にかき氷を頼む中、紅丸は呟いた。
「これ……………食べて大丈夫な氷なんですか?」
「え?ダメなの?」
「腹、凍りませんかね……………」
「美味しければ問題ありません」
「食べてダメなら、既に影響が出てると思うがな」
「ええ」
「こういう使い道があるなんてね…………」
紅丸達はそう話す。
食べてダメなら、腹が凍るとかの影響は出ると思うが、大丈夫だろ。
「そして、俺の一押しはこれだ!」
「おお〜!」
「青い⁉︎」
そう言ってリムルが出したのは青いシロップのブルーハワイだった。
良く再現できたな。
「この鮮やかな青を再現するのは至難だったなあ。ちなみにこれはブルーハワイと言って…………あ?」
リムルがそう言う中、周囲の人たちの様子がおかしい。
「これは、リムル様の色だ!」
「おぉ〜!確かにそうだ!」
「空の色の様に清々しくて雄大で冷たい氷と優しい甘みが心地良い…………」
「まさにリムル様!」
「リムル様味⁉︎」
「リムル様…………味!」
ああ、そうなるか。
まあ、ブルーハワイの色味とリムルの色味って、似てるもんな。
それを聞いていたリムルは、恐怖で顔を引き攣らせていた。
すると。
「あら〜…………」
「本当に…………」
「お?」
「リムル様って……………」
「美味しいんですね〜」
「フフフフフフフ……………」
紫苑と朱菜はそう言って、リムルのお面を被りながら笑みを浮かべる。
周囲の人たちも、リムルのお面をつけていた。
俺とシズさんは、リムルに話しかける。
「リムル、大丈夫か?」
「リムルさん、大丈夫?」
「時々、こいつらが怖い」
「アハハハ………………」
「主人を食べようと考えてんのか?」
まあ、スライムって、本来は捕食される立場だからな。
無理もない。
その後、俺とリムルは、散策していた。
勿論、シズさんや絆翔も連れて。
「さあさあ!寄ってらっしゃい、見てらっしゃい!英雄ガビルとデスパンダの死闘!」
「色んな店があるなぁ」
「ああ。賑やかだな」
「うん。皆、楽しそう」
そんな風に俺たちは散策をする。
ちなみに、ガビルの所は、本来は、勇者にする予定だったらしいが、シズさんと絆翔の2人に止められた結果、今に至る。
シズさん曰く、魔王と勇者は、特別な存在らしい。
しばらくすると、金魚すくいのエリアに着く。
「白老が金魚すくい屋かあ」
「雰囲気あるね」
「自分も手伝ってるっすよ!」
「ホホホホホ…………。中々に集中力のいる遊びですな。何なら、指南しますぞ」
「なーに。俺はその昔、”音速のポイ”と呼ばれていたんだ。見てろ〜!」
「頑張って、リムルさん!」
「頑張れよ」
「やったれ!」
ゴブタや白老が金魚掬いをやっていたのだ。
そうして、リムルが金魚すくいに挑戦する事に。
「ふんっ!」
「うちの金魚は、生きが良いっすよ〜。」
「まずは一匹」
リムルはそう言いながら、金魚を掬おうとする。
すると、とんでもないサイズの金魚が現れる。
その金魚は、リムルのポイを喰らう。
「とあぁ〜!」
「デカっ!?」
「………………」
「今の何っ⁉︎」
「フン……………気を抜くと、指を持っていかれるっすよ」
「ああいう時はまず、ポイの峰で急所を突くのですじゃ」
ポイの峰で急所を突くって、前世では聞かないパワーワードなんだけどな………………。
それには、俺、リムル、シズさん、絆翔は、苦笑を浮かべるしかなかった。
「さっきのお魚、おっきかったねえ」
「でも、前の方がもっと大きかったよ〜」
「え?」
「お客さん、もっかいどうっす?次は上手くとれるかもしれませんよ!」
「ハハハハハ!何事も鍛錬ですじゃ」
異世界の金魚、怖えな。
そんな中、大通りでは、蒼影、蒼華、蒼銘が歩く中、ゴブト達が射的を経営していた。
「さあさあ!寄ってらっしゃい!見てらっしゃい!」
「射的はいかが〜?豪華賞品が当てるだけで貰えるよ〜」
「特賞は、一分の一リムル様〜!等身大だよ〜!あのリムル様を好きなように出来ちゃうよ〜!」
ゴブトとゴブチがそう言う中、蒼影はクナイを取り出して、ぶん投げる。
それは、景品の一つに当たった。
「おお〜!」
「えええ……………⁉︎」
「流石は蒼影様!百発百中ですね!」
「お見事です!」
人たちが歓声を上げ、蒼華と蒼玉がそう言う中、ゴブトがクナイが刺さったガビルの人形を持ちながら、蒼影の方に来る。
「ちょっとー!本物の武器、投げつけないで下さいよ!これあげますから、お引き取り下さい!」
ゴブトはそう言いながら、人形を蒼影に渡す。
その人形を見ていた蒼影は、顔を顰めつつ、蒼華に話しかける。
「これはお前にやろう」
「えっ!」
蒼影はそう言って、蒼華に人形を渡して、去っていく。
蒼華は嬉しそうにしている中、蒼樹はぼそっと呟いた。
「それ……………君のお兄さんの人形なんだよ?」
そう呟いていた。
後日、アビルの元に、蒼華の手紙が来た。
『前略。父上様。生まれて初めて、殿方から贈り物を頂きました』
そう書かれていたが、蒼銘の描いた人形の絵を見て、アビルはこう呟いた。
「そのぶっ刺された人形は、お前の兄なんだがなあ……………」
アビルがそう呟いた事を、蒼華は知らない。
一方、俺たちは。
「くっそー。全然取れなかった」
「いや、あんな金魚が居るなんて、聞いてないしな」
「無理もないよ」
俺たちはそう話す。
すると、ある店が目に入る。
つたくじという店で、トレイニーさんが居た。
「つたくじ?」
「トレイニーさん?」
「あっ、リムル様、タオリン様、シズ殿、絆翔殿。つたくじ、遊んでいきませんか?よく当たりますよ。」
「……………
トレイニーさんの言葉に、シズさんはそう言う。
まあ、無理もない。
「ウフフフフフ……………街の今後を占う意味で、一回どうです?」
「占うって……………」
「ポテチじゃないですか。胡散臭いな……………」
「あらあら。胡散臭くなんてありませんわ。さあさあ、どうぞどうぞ」
「ん〜……………んじゃ、うすしおでも。当たれ!」
本当か?
街の今後を占うというよりは、どのポテチが当たるかってだけだろ。
リムルがそう言いながら、蔦を引くと。
「きゃー!」
「あ?」
「んんん〜……………」
「……………何してるんですか?」
「なんか、悶えてますけど」
「はっ……………あっ、すみません。びっくりしまして……………。流石は盟主様、欲張りですね。ですが、私は景品ではありませんよ。さあさあ、もう一度どうぞ」
リムルが引くと同時に、トレイニーさんは身悶える。
それを見て、俺と絆翔がそう言うと、トレイニーさんはそう言う。
まさかとは思うが………………。
「その蔦……………体にくっついているんですか?」
「え……………?そ……………そんな訳ありませんわ……………」
「へぇ……………。じゃあ今度は…………これ」
何考えてんだ、この人。
リムルは訝しみながらも、別の蔦を引く。
すると。
「ああ〜!そこはダメです!弱いんです〜!」
「これ、本当に景品に繋がってるんですか?」
「あ……………まあ、その…………絡まっちゃったみたい……………」
「ダメじゃないですか」
「アハハハ……………」
絡まってるじゃん。
どうすんだよ。
その後、何とか俺が絡まりを解き、無事にポテチを手に入れた。
リムルはうすしおで、俺はコンソメだ。
一方、ゲルドとラキヤとコメルは。
「うーん……………!」
「いいんじゃない?」
「そうだな」
ゲルドは魔獣退治という物をやっており、ラキヤ達はゲルドのサポートを行なっていた。
「えい!」
「ん!」
ココブという小さいゴブリンは、ボールを投げるが、ゲルドの足元に転がる。
「うう…………う…………うう…………」
「うっ、うーん……………」
「はい!これどうぞ!」
ココブは、泣き出しそうになっていて、ゲルドが困っていた。
すふと、コメルがボールを拾う。
「はい」
「わあっ!エヘヘへ…………!」
「もう一回やるか?」
「わぁ〜…………!うん!」
「うむ」
ココブは、コメルからボールを受け取って、もう一度投げる。
すると、今度は胸の的に当たる。
「フン!ガオ〜!」
ゲルドは大袈裟にリアクションを取り、ココブは喜ぶ。
それを見ていたラキヤ達は。
「楽しいね!兄ちゃん!」
「そうだな」
ラキヤとコメルはそんな風に話をしていた。
その後、盆踊りが始まろうとする。
「皆さん……………いよいよ、盆踊りが……………始まります。櫓のある広場に………集まってください」
子供のアナウンスが流れる中、ガビルははっぴを着る。
「シュッ!諸君!いよいよ、我輩たちの晴れ舞台であるぞ!」
「おお〜!」
「いざ!ボンダ〜ンス!」
そう言って、盆踊りが始まる。
俺たちも踊る。
そんな中、ガビルは独創的な踊りをする。
まあ、独自解釈って事で良いか。
しばらくして、踊り終えると、ガビルがやってくる。
「リムル様!タオリン様!ハァ……………いかがでしたかな?我らの踊りは…………!」
「あっ?ああ…………お前ら、ここに居たのか」
「えっ!」
「良かったな!皆と踊れて。楽しかったよな」
「ガビール!」
お前って、ナチュラルに毒を吐くよな。
流石に可哀想だったので、褒めておくか。
「まあ、独自の踊りをしてて、よかったよ」
「タオリン様〜〜〜っ‼︎」
俺がそう言うと、ガビルは俺に抱きつく。
やめろ、苦しいから。
一方、嵐牙は建物の上から祭りを見下ろしていた。
すると、ハルナが嵐牙に話しかける。
「嵐牙さ〜ん!」
「ん?」
「たこ焼き買ってきましたよ〜」
「もちろん、薄味、ネギ抜きです」
「おお!良いのか!?」
嵐牙はそう聞くと、ハルナ達の前に着地する。
「フフフフ。熱いから、気をつけてくださいね」
「はうっ!あうっ!あうっ!」
「大丈夫ですか?」
「ハフハフハフハフ…………くぅん」
嵐牙は、熱々のたこ焼きに驚くが、食べる。
そして、口を開く。
「宴も祭りも、皆を一つにする」
嵐牙はそう言う。
その後、二つの山車があった。
片方はリムルの、もう片方はブルキャンバギーを模したねぶただった。
「こんなの作ってたのか」
「リムル様はこちらに、タオリン様はこちらに乗ってください」
そう言われて、リムルと紫苑と朱菜、俺とシズさんと絆翔に分かれる。
「お掴まり下さ〜い」
「そーりゃっ!よいやさ!ほいさ!」
リグルドがそう言うと、力自慢のボブゴブリンと猪人族が二つの山車を引っ張る。
「リムル様〜!タオリン様〜!」
山車が通る中、皆が歓声を上げる。
すると、シズさんが話しかける。
「タオリンさん、応えてあげたら?」
「ああ」
そう言われて、俺は手を振る。
なんか、慣れないな。
俺は口を開く。
「なんか…………慣れないな。申し訳なさとかもあるし…………」
「上に立つ者の責務みたいな物じゃない?」
そういうもんか。
まあ、いずれは慣れるか。
その後、山車から降りて、皆で黒兵衛とカイジンの花火を見る事になった。
もう帰れないからこそのノスタルジーか。
夏の祭りは、リムルの我儘であるのと同時に、俺の我儘でもある。
かつて、父さんと一緒に夏祭りに行って、よくはちゃめちゃした物だ。
焼きとうもろこしを食べたり、かき氷を食べてキーンとなったり、射的をしたり。
そんな思い出を忘れたくなくて、リムルの我儘にも賛同したのだろう。
すると、シズさんが話しかける。
「こんな感じなんだね、夏祭りは。」
「ああ。これが戦争が終わって、皆が平和になった証かもしれないな」
「……………この光景を、お母さんにも見せたかったな……………」
「シズさん……………」
シズさんもそう思っているのだろう。
すると、花火が打ち上がる。
花火のようにパッと開き、サッと消えていく。
それもまた、夏の風情だろう。
この街の未来が、どうなるのかは分からない。
繁栄していくのか、人間によって滅ぼされるのか。
未来は、未だに暗闇の中だ。
ただ、今この時だけは、そんなしがらみを忘れて、楽しむ。
それで良いのかもしれない。
そして、俺、リムル、シズさん、絆翔は、自然と口が開き、言う。
「「「「た〜まや〜!」」」」
「あの…………リムル様、タオリン様?」
「たまやって何ですか?」
「アハハハ〜何だっけ?忘れた。」
「俺も」
そう言う中、紫苑と朱菜がそう聞いてきて、俺たちはそう答える。
花火が上がり、皆が歓声を上げる。
「一気に行くべ」
「はい!」
黒兵衛と作業員がそう話す。
花火が上がる中、カイジンは言う。
「今年の夏は、こいつで……………打ち止めだ!」
カイジンはそう言って、ボタンを押す。
すると、一際大きい花火の筒から、花火が打ち上がり、リムルの顔が夜空に咲く。
街からも歓声が上がる。
「ふんっ!」
「お疲れ!」
黒兵衛とカイジンは、そんな風に腕を合わせる。
2人のはっぴには、黒兵衛には『鍵屋』、カイジンには『玉屋』と書かれていた。
その後、祭りは終わり、提灯の火も消された。
「祭りが終わると、街の静けさが際立つな」
「そうですね」
「ああ………………」
これもまた、祭りならではだろう。
先ほどまであった喧騒が、静かになる。
すると、リムルが口を開く。
「なあ」
「うん?」
「空って、こんなに広かったか?」
リムルがそう言うので、俺たちは空を見上げる。
祭りが終わり、灯りが消えた事で、空の広さを感じる。
すると、リグルドが話しかける。
「祭りはいかがでしたか?リムル様、タオリン様」
「おう、リグルド!お疲れ〜」
「楽しかったよ。とても」
「こんなに楽しいなら、何度でもやりたいな!」「ハハハ…………そうですなあ。では早速、次の宴の相談ですが……………」
え?
リグルドの言葉に、俺たちは呆気にとられる。
「え?もう決まってんの?」
「ええ!」
「ああっ……………」
「その次も、その次も…………ふふ」
「楽しみですね!」
「早速準備しましょう!」
「だな」
リグルド達はそう言う。
やっぱり、朱菜達も我儘なのかもな。
そう思うのだった。
余談だが、紫苑が着物を着崩した際に、朱菜からとんでもないオーラが出てきた。
今回はここまでです。
今回は、夏祭りの話です。
皆で夏祭りを行い、楽しみました。
次回は、お盆の話になります。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
今後の展開などでリクエストがあれば、活動報告から承っております。
ルートストマックのラキアだったり、コメルを出しているので、デンテも出そうかなと思っています。
意見があれば、受け付けています。