ある日、ブルムンド王国の自由組合の建物では、フューズという人物が、俺とリムルが洞窟内で遭遇した3人組と話していた。
フューズは、帝国の動きに関する報告書を見ていた。
「…………東の帝国がジュラの大森林を越えようとする動きはない。今の所はな」
フューズはそう言って、その3人組に紙の束を転がす。
その3人組が疲れ切った顔でそれを見る中、フューズは口を開く。
「帝国は引き続き、情報部が監視している。………………で、聞こうか。ジュラの大森林はどうだった?」
フューズがそう聞くと、フューズから見て左側に座っていた男性が口を開く。
彼はカバル。
職業は
「大変だったんだぜ!よく無事に戻ってきたの一言くらいないのかよ⁉︎」
「………………報告を聞こう」
カバルの文句に、フューズは文句を流してそう言う。
すると、3人は次々と口を開く。
残りの2人は、真ん中に座る女性がエレン。
職業は
フューズから見て、右側に座っている男性がギド。
職業は
「帰ってきたばっかりだってのに…………全くよ……………」
「早くお風呂に入りたい…………」
「大変だったのは、旦那と姉さんの口喧嘩を宥めなきゃならなかったあっしの方だと思いますがね」
「ん?」
カバルとエレンがそう言う中、ギドはそう呟き、フューズは左の眉毛を吊り上げる。
それを見て、カバルは咳払いをして、報告する。
「おっ……………えっと……………。ううん!洞窟では、ヴェルドラの消失を確認。その後、内部を調査したが、何も確認出来なかった」
「………………何も?」
「何も…………です」
「う〜ん……………。洞窟については分かった」
「じゃあ、あっしらはこれで…………」
カバルの報告を聞いたフューズはそう言う。
フューズがそう問いかけると、エレンはそう答えて、フューズは報告に対してそう言う。
それを聞いた3人は、部屋から出ようとするが、次のフューズの言葉に驚く。
「三日間の休暇をやろう」
「「「へっ?」」」
「今度は洞窟ではなく、森の周辺の調査だ」
「「「えっ?」」」
「ヴェルドラが消えた後、魔物が活性化しているかもしれん。何でも良い。変化を見逃すな」
「「「ああ……………⁉︎」」」
「くまなく、丁寧にな。行っていいぞ」
フューズの言葉に、3人は唖然として、フューズは退出を許可する。
その後、建物から出て、街の方に出ると。
「行っていいぞじゃねえよ‼︎」
「何ですか⁉︎3日って⁉︎もっとお休み下さいよ!帰ってきたばっかりなんですよ‼︎」
カバルとエレンは、そんな風に叫ぶ。
フューズへの不満が爆発したのだ。
それを聞いていたギドは、後ろを振り返り、呟く。
「その文句、ギルマスに直接言って欲しかったでやんすよ」
「あんのクソすかしジジイがぁぁぁぁぁ‼︎」
「休みくらい寄越せーーーっ‼︎」
「「ハァァァァ……………」」
ギドは、本人に言わない文句を垂れる2人に対して、そんな風に呟く。
2人は文句を言っていたが、すぐに大きなため息を吐く。
「またあの森か……………」
「おいおい。文句ばかり言うなよ。虚しくなるぜ」
「早くお風呂に……………」
「失礼」
「ちゃす」
「は?」
「は?」
「あ?」
カバルとエレンはそんな風に嘆きの声を出す。
カバルがそう言い、エレンがそう呟くと、後ろから声をかけられる。
そこには、仮面を被った女性とロングコートを着た男がいた。
「ああ?何だ?アンタら?」
「ジュラの大森林へ向かうのでは無いだろうか?」
「そうだと言ったら?」
「なら、森を抜けるまで、俺たちを同行させてくれねぇか?」
「ん……………」
カバルの質問に、女性と男性はそう答える。
カバルが警戒心を少し見せていると、エレンが口を開く。
「良いわよ」
「は?ちょ…………お前!リーダーの俺が許可出す前に…………何なの?本当に⁉︎」
「良いじゃ無い!旅は道連れ世は情けってね。エレン。カバル。ギド」
「シズ」
「俺は
「よろしくね。シズさん、ハントさん」
「ったく……………出発は3日後だ。それでよけりゃあ、勝手についてこい」
「感謝する」
「おう」
エレンはあっさり了承する。
リーダーを無視して、あっさり了承した事にカバルがそう突っ込むと、エレンは自分も含めた三人を紹介する。
女性はシズ、男は絆翔と名乗った。
そう言って、4人は移動する。
一方、俺とリムルは、嵐牙を連れて、ある湖に来ていた。
「良いか、嵐牙。よぉく見てろよ」
「はい」
「リムル、変〜身!」
リムルがそう言うと、嵐牙はそう答える。
リムルはそう言って、黒嵐星狼へと姿を変えた。
何をするのかというと、新しいスキルの試し撃ちだ。
「からの〜黒稲妻!」
黒嵐星狼となったリムルから放たれたのは、黒い稲妻だった。
その稲妻は、湖の真ん中にあった岩をあっさり破壊して、周囲に湖の水が降り注ぐ。
「…………リムル、これ、威力強すぎないか?」
「ああ………。使い所を考えないとな………」
「黒稲妻………!さすがは、我が主!」
あまりに高すぎる威力に、俺とリムルはそう話す。
魔物に使ったら、オーバーキルだろうな。
その後、俺とリムルは、嵐牙の背中に乗って、村へと戻っていく。
「ああ………平和だなぁ………」
「ああ。平和が1番だ」
俺とリムルが、ドワルゴンからカイジン達を連れ帰ってから、数週間が経った。
カイジンはゴブリン達に、鍛治の技術を伝えている。
「鉄は熱いうちに打てってな!ガーハッハッハッ!」
カイジンは、温めた鉄を叩きながら、そんな風に笑いながら言う。
ドワーフ三兄弟、長男のガルムは、防具の作成方法を伝えている。
「なめす事で、防具の耐久性が上がるんだ」
ガルムは、防具の耐久性を上げる方法を教えていた。
次男のドルドは、細工の技術を伝えている。
三男のミルドは、建物の建築技術を伝えている。
こうして、俺たちは、新しい村を作り始めている。
「それにしても、ドワルゴンから戻ってきた時は、驚いたよなぁ」
「確かに。あれはなぁ………」
俺とリムルはそんな風に話をする。
それは、俺たちがドワルゴンにて、カイジンとドワーフ三兄弟をスカウトして、村に戻ってきたのだが………。
「リグルド…………」
「…………これ、どういう状況なんだ?」
「リムル様とタオリン様の噂を聞き、庇護を求めて、近隣のゴブリン村から集まってきたのです!」
『リムル様〜!タオリン様〜!お帰りなさいませ〜!』
そこには、たくさんのゴブリン達の姿があった。
俺とリムルがそう聞くと、リグルドはポーズを取りながらそう言い、ゴブリン達はそう言う。
まさか、俺たちの庇護を求めて、集まってくるとはな…………。
技術者に、聞いてみる事にする。
『技術者さん、これ、一体どれくらい居るの?』
『解。およそ、500くらいかと』
『ごっ………⁉︎』
俺がそう聞くと、技術者はそう返答してくる。
まさか、500とは………。
気になった俺は、技術者に聞いてみる。
『技術者さん。これ、俺たちが断った場合は、どうなんの?』
『現在、ヴェルドラが消失した事により、
『そうなるよなぁ………』
俺がそう聞くと、技術者はそんな風に返答をする。
確かに、淘汰されるのがオチだよな。
俺は、リムルと思念伝達で話し合う。
『リムル、どうする?』
『これは、受け入れるしかないだろ』
『だな』
そうして、ゴブリン達には、裏切らない事を条件に住むことを許した。
俺とリムルは、手分けして250匹のゴブリンに名前をつけた。
リムルは、前回とは違い、
どうなる事かと思ったが、新たに増えたゴブリン達も、問題なく住めそうだな。
俺たちが村に戻っている中。
「はい!じゃあ、オイラが、お手本を見せるっす!」
「「うん…………?」」
ゴブタの声がしたので、俺とリムルはゴブタの方を向く。
すると、ゴブタは複数のゴブリン達に、何かを教えていた。
ゴブタが力むと、ゴブタの影から、嵐牙狼族が現れる。
「おお………!」
「召喚に成功したのか」
それを見た俺とリムルはそう呟く。
そう。
ゴブタはいつの間にか、嵐牙狼族の召喚が出来る様になっていたのだ。
俺たちに忘れ去られそうになっていた時に、必死に祈っていたら、嵐牙狼族の召喚に成功して、無事に脱出出来たとのこと。
意外と天才肌なのかもしれないな。
ゴブタが他のゴブリン達に嵐牙狼族の召喚の仕方を教えているのを見ながら、そう考えていると。
「リムル様〜!タオリン様〜!」
そう言って、リグルドが駆け寄ってくる。
ちなみに、リグルドは、リムルがゴブリン・ロードから、ゴブリン・キングに昇格させた。
他の村長の纏め役としてだ。
リグルドを見ると、ゴブリン・キングになった事で、更に進化した様に見える。
「どうした、リグルド?」
「何かあったのか?」
「はい!リグルら警備班から、連絡がありました!森の中で、不審な者達を発見したそうです!」
「魔物か?」
「いえ、人間です」
「人間………⁉︎」
「領土拡大を狙った、どこかの国の調査隊かもしれません!」
俺とリムルがそう聞くと、リグルドはそう答える。
なるほどな………。
ヴェルドラが消えた影響は、魔物だけでなく、人間にまで波及するか。
ひとまず、確認してみるかな。
俺とリムルは、その人間達の元へと向かう。
その頃、森の中では。
「うぉぉぉぉぉ‼︎」
ジュラの森の中を、カバル達が爆走していた。
その後ろには、
「カバルの旦那が悪いんでやすよ!いきなり
「うっ、うるせぇ!リーダーに口答えするな!」
「リーダーのくせに迂闊すぎよ‼︎死んだら枕元に化けて出てやるんだから〜‼︎」
「ふははははは!そりゃ無理ってもんだ!何故なら俺も一緒に死ぬからな‼︎」
「イヤーーーーーーっ‼︎」
ギドはそんな風に叫んだ。
カバルがそう言うと、エレンはそんな風に恨み節を言う。
すると。
「ったく…………しょうがねぇな…………」
「私達が足止めをしよう」
「シズさん⁉︎」
「おいよせ!」
シズと絆翔はそう言うと、それぞれの剣を抜刀して、
それを見て、エレンとカバルがそう叫ぶと。
「ふっ!ハァァァァァ!」
「オラっ!ハァァァァァ!」
2人は
俺たちは、その人間達を発見する。
五人いて、2人が戦闘を行なっている。
どうやら、1人は剣に炎の力を付与して、戦闘を行なっており、もう1人は格闘戦も組み合わせて戦っていた。
巨大な蟻を倒して、2人はほっと息を吐く。
だが、巨大な蟻が一匹、倒しきれていなかった様で、その人達に襲い掛かる。
「リムル!行こう!」
「ああ!黒稲妻!」
俺とリムルはそう話すと、リムルは黒稲妻を発動して、俺はガヴガブレイドの強力な斬撃を放って、その蟻を倒す。
その際、戦闘をしていた人の仮面が飛び、リムルの頭に落ちる。
煙が立ち込める中…………。
「なあ………やっぱり、黒稲妻、威力が強すぎないか?」
「ああ………こりゃ、このスキルも封印決定だな」
俺とリムルはそう話す。
しばらくすると、煙が晴れて、その人間達が俺たちを見る。
「「「…………スライム?」」」
「スライムで悪いか?」
「ああ、いや………スライムが喋れるなんて………」
「信じられない………」
「あっしは其処の人のほうも気になりやす」
「ほら、そこのお姉さんのだろ?悪いな、怪我、してないか?」
その三人がそう言うと、リムルはそう聞く。
すると、三人はリムルや俺を見てそんな風に言う。
そう言って、リムルは自分の頭(?)に乗っかった仮面を、その女性に渡す。
すると、その人の顔は、見た事があった。
「ええ、大丈夫」
「助かった」
その女性は仮面を受け取ると、隣にいたロングコートを着た男と共にそう答える。
そう。
カイジンが言っていた、爆炎の支配者、
リムルの運命の人は、随分と早く出会えたな。
そういえば、俺って、ベスターが乱入したから、運命の人とか聞けてなかったな。
まあ良いけど。
その後、ゴブリン村へと案内し、仮設テントで休んでもらう事にした。
しばらくして、俺はリグルドに聞く。
「それで、あの5人はどうしてるんだ?」
「はい…………それなんですが……………」
俺がそう聞くと、リグルドは若干、気まずそうにそう言う。
すると、テントから声がしてくる。
「ちょっ!それ、俺が狙ってた肉!」
「酷くないですか⁉︎それ、私が育てていたお肉なんですけど!」
「旦那方!こと、食事においては、譲れないでやんすよ‼︎」
「おい、お前ら!気持ちは分かるけど、少しは静かに食えって!おい、俺の肉取るんじゃねぇ!」
そんな風に、外にまで声が漏れていた。
どうやら、焼き肉を食べているみたいだな。
首を傾げた俺とリムルが、リグルドを見ると。
「すみません………腹ペコだと言うので、食事を………」
「おお!良いじゃないか!」
「困っている人を助けるのは、良い事だよ」
「ははっ!ありがとうございます!今後とも、精進したいと存じます!」
「うんうん」
「リムル様、タオリン様。どうぞ」
「ありがとう」
俺とリムルを見たリグルドは、申し訳なさそうにそう言う。
リグルドとしては、勝手な事をしたのを申し訳ないと思っていたのだろう。
ただ、困っている人を助けるのは大切だ。
俺とリムルがそう言うと、リグルドはそう答える。
リグルが天幕の布を上げて、俺たちが中に入ると、必死の形相で、焼き肉を食べる三人の姿が。
ていうか、あの三人って、どこかで………。
すると、俺がそんな風に考えている中、技術者が答えてくれた。
『解。洞窟で遭遇した三人組です』
『ああ、あの三人組か』
技術者がそう言うと、俺はそう思う。
あのヴェルドラの封印されていた洞窟に入ってきた3人だったんだ。
ていうか、必死すぎるだろ。
リムルの運命の人の方を見ると、正座をしていて、仮面を着けているのにも関わらず、普通に食事をしていた。
器用だな。
一方、もう1人の男の方は、普通に食事をしていた。
そう思っていると、リグルドが声を出す。
「お客人。大したもてなしは出来んが、寛いでおられますかな?改めて、ご紹介しよう!こちらが、我らが主達、リムル様とタオリン様である!」
リグルドがそう言うと、必死に焼き肉を食っていた三人組は、口の中の肉を飲み込んで、口を開く。
「「「主⁉︎」」」
「主で悪いか?」
「あははは…………」
そう叫んだのに対して、リムルは少し不機嫌気味にそう答え、俺は苦笑する。
まあ、無理もないから。
すると、女性の冒険者の前の冒険者から口を開く。
「い、いや………」
「ただのスライムではないと思っていましたが………」
「あっしもまさか、スライムだけでなく其処の人が主とは思わなかったでやす」
困惑してるみたいだな。
まあ、無理もないか。
いきなりそんな事を言われても、信じられないのも、無理はない。
仮に俺があの冒険者達の立場なら、納得できないのも無理ないし。
すると、リムルが口を開く。
「初めまして!俺はスライムのリムル!悪いスライムじゃないよ!」
リムルはそんな風に言う。
それって、某有名RPGのスライムのセリフだよね。
それを聞いて。
「「「ぷっ………!」」」
俺、リムルの運命の人、隣の男はそれを聞いて吹き出す。
やっぱり、日本人なんだな。
あの男の人も含めて。
すると、冒険者の1人が頭を下げる。
「これは、失礼しました。まさか、魔物に助けられるとは、思ってもいませんでしたが………助かりました」
「あ!お肉、ありがとうございます!とっても美味しいです!」
「どうも、助かりやした………。こんな所で、ゴブリンが、村を建設中とは、思っていませんでした」
それを聞いて、3人組の冒険者達はそんなふうに言う。
まあ、そう思うのが普通だわな。
井沢静江さんと隣の男は、マイペースに食事を続けていた。
一つ、気になった事があるので、聞いてみる事に。
「それで、あなた達は、一体何をしにここに来たんだ?」
「俺は、カバル。一応、このパーティーのリーダーをしている。こっちが………」
「エレンです〜!」
「ギドと言いやす。お見知り置きを」
「………で、この人達は、行く方向が同じという事で、臨時パーティーになった……。」
「…………シズ」
「ちゃす。辛沢絆翔だ」
俺がそう聞くと、冒険者達はそう名乗った。
恐らく、あだ名とかの類だろうな。
正体を隠す為の。
男の方は、隠す気ゼロみたいだが。
リムルが、続きを促せた。
「…………で?」
「俺たちは、ブルムンド王国のギルドマスターから…………」
リムルがそう聞くと、カバルは疑う事をせず、ここに来た理由を話してくれた。
ジュラの大森林の周辺の国家の一つ、ブルムンド王国。
そのブルムンド王国のギルドマスターが、三人に、この森の調査を依頼したらしい。
暴風竜ヴェルドラの消滅で魔物の活発化が予想されてのこと。
やはり、ヴェルドラが消えた影響は、かなり大きいようだ。
それを聞いた俺たちは口を開く。
「なるほど………」
「俺らは、見ての通り、ただ街を作っている最中なんだが………ギルド的に問題あるか?」
俺らがそう聞く。
実際、ゴブリンが街づくりをしていたりするのは、ギルドとしても、気にする可能性はあるからね。
それを聞いたカバル、エレン、ギドの三人は、顔を見合わせる。
「いや、大丈夫だろ」
「そうね………。ギルドが口を出す問題じゃないしね。国はどうなんだろ?」
「うーん………。あっしには、分かりません」
「そっか………」
「話は分かった。今日は、ここに泊まると良い。ゆっくり、疲れを癒してくれ」
「「「ありがとうございます!」」」
「丁重に頼む」
「「はっ!」」
そうして、その5人は、泊まる事になった。
その後、俺はリムルと共に、シズさんと絆翔さんの元に向かう。
「…………ちょっと、良いか?」
「聞きたい事があるんだ」
「その………シズさんと絆翔さんって………」
「スライムさん。さっきのは、ゲームの話だよね?『悪いスライムじゃないよ』って」
俺とリムルはそう話しかける。
すると、シズさんはそんな風に言う。
やっぱり、日本人だったか。
シズさんはリムルを抱き抱えると、絆翔さんは口を開く。
「そのセリフって、ドラクエのスライムのセリフだからな。お前も日本人なんだろ?」
「はい。まあ、見ての通り、俺は仮面ライダーの力を得たんだけど…………絆翔さんもそうですよね?」
俺は絆翔さんの質問に、そう答えながら、腹を捲って、ガヴを見せる。
それを見た絆翔さんは。
「お前、ガヴの力を持ってたのか。道理で、ゴチゾウの姿があったわけだ。あと、さん付けはやめてくれ。妙に慣れねぇから。呼び捨てでいい」
「そっか………。会えて嬉しいよ!スライムさんとタオリンさんは、どうして?」
絆翔は、そんな風に言う。
どうやら、どこかでゴチゾウを見たみたいだな。
シズさんがそう言うと、リムルは口を開く。
「いやぁ………それがさぁ、刺されて死んじゃってさ」
「刺されて………?」
「気が付いたら、こんな素敵な姿に。」
「俺の場合は、通り魔に襲われそうな子供を助けたら、刺された」
「マジかよ…………」
「で、俺は人間とグラニュートっていう種族のハーフになっちゃった訳だ」
「まんまだな…………」
「そっか………2人は、転生者なんだね。大変だったね」
「シズさんと絆翔は、違うのか?」
俺とリムルはこの世界に来た経緯を話す。
それを聞いて、シズさんと絆翔はそう言う。
リムルがそう質問すると、シズさんは、表情を暗くしながら答えた。
「私は………召喚者だから」
「召喚…………」
シズさんがそう言うと、リムルはそう呟く。
召喚者………。
確か、ヴェルドラが言ってたな。
三十人以上の魔法使いで、長い日にちをかけて、異世界から呼び出す。
兵器としての役割を期待され、召喚者は、召喚主に逆らえないように、呪いをかけられるって………。
そんな風に考えている中、リムルはシズさんに質問する。
「シズさんは、いつ頃、召喚されたんだい?」
「…………ずっと昔。街が燃えて、炎に包まれて………」
「戦争?」
「空から爆弾が降ってきて………」
「空襲か………」
「お母さんと一緒に逃げていて………」
「お母さんは?」
リムルの質問に対して、シズさんはそう答えていく。
リムルがそう聞くと、シズさんは、目を伏せる。
やはり、名前的に、昭和頃の人だと思っていたが、太平洋戦争真っ只中の時代だったとは。
それも、太平洋戦争の末期辺りの。
空から爆弾というのは、焼夷弾の事だろう。
目を伏せたという事は、目の前で亡くなってしまったのだろう。
「…………すまない」
「………ううん」
リムルがそう謝ると、シズさんはそう首を横に振る。
周囲の空気が暗くなってしまう。
俺は絆翔に口を開く。
「そういえば、絆翔はどうしてこの世界に?」
「俺?俺は……………気づいたらこの世界にいたんだ」
「気づいたら…………?」
俺がそう聞くと、絆翔はそんな風に答える。
気づいたら来ていたとかもあるのか?
「おう。なんか…………ガヴの映画を見に行って、帰ろうとしたら、目に埃が入ってな。気がついたら、この世界に来てたんだ。それで、盗賊に襲われてた所を、シズさんに助けられたんだ」
「そうだったんだ…………」
絆翔はそんな風に言う。
どうやら、絆翔がいた年代は、俺とほぼ同じらしい。
この世界に偶発的に来るパターンもあるんだな。
すると、リムルは気分を変えようとしたのか、口を開く。
「そうだ!面白い物を見せてやるよ!」
「面白い物………?」
「大賢者。思念伝達で、シズさんと、ついでにタオリンと絆翔に、俺の記憶の一部を見せたい」
リムルはそんな風に言う。
シズさんが首を傾げる中、リムルがそう言うと、俺とシズさんと絆翔の周囲に、とある光景が映し出される。
それは、どこかの部屋で、恐らく生前のリムルの部屋だろう。
すると、パソコンの画面に何かが映っているのが見えた。
「………エルフさん?」
「何を見せてんだ?」
「うわぁぁ!違う!そうじゃない!そうじゃない!」
「綺麗だったよ?」
「お前、意外とムッツリなんだな」
「違う、違う!こっちこっち!」
シズさんが首を傾げる中、リムルは慌ててその景色を消す。
シズさんがそうフォローする中、絆翔はニヤニヤしながらそう言う。
おそらく、エロゲーの類だろうな。
すると、風景が変わり、戦後の日本が、どのように復興していったのかが、映し出される。
最終的に、東京上空の映像が映し出される。
「凄い………!まるで絵葉書で見た、ニューヨークの摩天楼のよう」
「戦争が終わって、平和になったよ。街も経済も、発展した」
「良かった………」
「こうして見ると、日本はかなり復興したんだな」
シズさんは、その光景を見て、そんな風に言う。
リムルがそう言うと、シズさんはホッとする様にそう言い、絆翔はそう呟く。
すると、リムルは口を開く。
「最終的には、こんな風にしたいからな。………そうだ、タオリン。お前の仮面ライダーの事も、教えてやれよ」
「………仮面………ライダー………?」
「分かった。じゃあ、俺の記憶から、仮面ライダーについて、見せるぞ」
「おっ!久しぶりに見れるのか!」
リムルはそんな風に言う。
確かに、あんな感じにしていきたいよな。
リムルの言葉に俺がそう言うと、風景が変わり、俺たちの目の前に、本郷猛………仮面ライダー1号の姿が映る。
「この人は………?」
「本郷猛。始まりの仮面ライダーである仮面ライダー1号だ」
「戦争が終わって、1971年に、仮面ライダーの歴史が始まったんだ」
シズさんがそう首を傾げると、絆翔と俺はそう言う。
そこから、一文字隼人、風見志郎、結城丈二、神敬介、山本大介、城茂、筑波洋、沖一也、村雨良、南光太郎、風祭新、麻生勝、瀬川耕司、五代雄介、津上翔一、城戸真司、乾巧、剣崎一真、ヒビキ、天道総司、野上良太郎、紅渡、門矢士、左翔太郎とフィリップ、火野映司、如月弦太郎、操真晴人、葛葉紘太、泊進ノ介、天空寺タケル、宝生永夢、桐生戦兎、常磐ソウゴ、飛電或人、神山飛羽真、五十嵐一輝とバイス、浮世英寿、一ノ瀬宝太郎、そして、ショウマといった歴代仮面ライダーの変身者が映し出される。
「この人たちは………?」
「仮面ライダーは、ドラマとして、放送されていて、今映った人たちは、それぞれの仮面ライダーの主役だよ」
「こんなに居たんだな………」
「しっかし、凄い数だな。久しぶりに見たけど」
シズさんがそう呟く中、俺はそう言うと、リムルと絆翔はそう言う。
これが、昭和の時代から始まり、平成を駆け抜け、令和の時代を切り開く仮面ライダー達だ。
そういえば、『お菓子の家の侵略者』で、新しい仮面ライダーである仮面ライダーゼッツが出たな。
どんな感じになっていくんだろうか。
気になるな。
すると、シズさんが胸を押さえる。
「シズさん⁉︎」
「大丈夫か?」
「………ええ。多分」
「……………」
シズさんが胸を抑えるのを見て、俺とリムルがそう聞くと、シズさんはそう言って、仮面を着ける。
絆翔は心配そうにシズさんを見ていた。
すると、カイジンの声が聞こえる。
「リムルの旦那に、タオリンの旦那。ちょっと良いかな?新しく家を建てる場所の相談がしたいんだが………」
「ああ」
「じゃあ!」
「じゃあ」
俺とリムルは、カイジンの元に行く。
すると、カイジンは、リムルに揶揄うように言ってくる。
「邪魔しちゃったか?」
「うるさい」
「照れんなよ」
「そんなんじゃねぇし」
「顔が赤いぞ」
「本当だ」
そんな話をしながら、村へと戻っていく。
だが、若干の胸騒ぎがする。
何か、とんでもない事が起こりそうな気がする。
一方、絆翔とシズさんは。
「シズさん。もう、限界なんじゃねぇのか?アンタの中の存在が、いつ暴れ出すか…………」
「うん……………」
絆翔がそんな風に言うと、シズさんはそう頷く。
果たして、シズさんの中に何が潜んでいるのか。
この時の俺たちは、気づけなかった。
今回はここまでです。
今回は、シズさんとヴァレンに変身する予定のキャラである辛沢絆翔というキャラが登場しました。
絆翔に関しては、キャラはほとんど辛木田絆斗と同じ感じです。
リムルとタオリンは、その2人とも話をする。
次回は、イフリート戦になります。
そこで、初めて変身する予定です。
戦闘になりますからね。
どんな感じになるのか、楽しみにしていて下さい。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
シズさんは、ビターガヴ・バキバキスティックフォームに変身する予定です。
ヴラムの変身者は、転スラ日記の話が始まる直前で登場する予定です。
そして、アニメ版で言うと、両翼会議の前に、オリジナルのエピソードを入れようかなと思っています。
ミューターに似た敵キャラが動き出す感じで。
そのオリジナルのエピソードには、自分が投稿している『この白狐の戦士に祝福を』と、今後投稿する予定のガッチャードの小説のキャラを絡ませる予定です。
あと、自分のこれまでに投稿していた転スラの小説で必ず居た大鬼族、蜥蜴人族、豚頭族のオリキャラは、現時点では出す予定はありません。
魔国暮らしのトリニティのキャラを入れようかなとは考えていますが。
今後の展開などでリクエストがあれば、活動報告から受け付けています。