シズさんから、暴走したイフリートを分離してから、1週間が経過した。
だが、シズさんは、未だに目を覚まさない。
俺とリムルは、シズさんのそばに居た。
「まだ目を覚まさないな。」
「そうだな………。それはそうと、タオリン」
「ん?」
「お前は言ったよな?シズさんを助ける方法があるって」
「ああ。…………話すよ。イフリートを分離したシズさんをどうやって助けるのか」
俺がそう呟く中、リムルはそう聞いてくる。
そういえば、話していなかったな。
俺とリムルは、お互いに向き合う。
さて、何から話すかな。
「まず………一つ言っておくと、現在、シズさんの命は、風前の灯だ」
「どういう事だよ………⁉︎」
「イフリートが、シズさんの命を延命していたんだ」
「それじゃあ………助ける方法は無いって言うのかよ………⁉︎」
俺は端的に、シズさんの現状を話す。
それを聞いたリムルは、悔しそうにそう言う。
やはり、そういう反応になるよな。
でも、助けられないことはない。
「いや、あるよ。シズさんを助ける方法」
「ど、どうやって助けるんだ⁉︎」
俺がそんな風に言うと、リムルは食いついてきた。
気持ちはわかるけどね。
俺は口を開く。
「…………シズさんに、ビターガヴを埋め込むんだ」
「ビターガヴ……………?」
俺はそんな風に言う。
それを聞いて、リムルは首を傾げた。
俺は説明をした。
俺のユニークスキルである技術者の力を使って、シズさんの生命力を補いつつ、ビターガヴを移植する。
技術者の解析によると、シズさんはユニークスキルとして、
技術者の力で、シズさんのユニークスキルに介入して、ビターガヴをシズさんに統合出来れば、助けられるかもしれない。
ビターガヴは、カリエス/仮面ライダーカリエスのブリードガヴと同じく、腰に当てれば自動的に統合が開始されるそうだ。
「……………それで、助かるんだよな?」
「……………確実に助かる保証はない。けど、何もやらないよりはマシだと思う」
「そう…………か…………」
リムルが不安げな表情でそう聞いてくる。
俺は正直にそう答える。
何もしないよりは、マシだとは思うけど。
すると。
「………スライムさん、タオリン君。」
「シズさん!」
「目が覚めたんだ…………!」
シズさんが目を覚ました事に、リムルは安堵の表情を浮かべる。
シズさんは、微笑を浮かべる。
「さっきの話、全部聞かせて貰ったよ」
「……………聞いてたんだ…………」
シズさんは微笑を浮かべながらそういう。
聞いてたんだな。
シズさんは、口を開く。
「ありがとう。でも、もう大丈夫だよ。最後に二人に出会う事が出来て……………」
シズさんは満足げにそんな風に言う。
それを見て、シズさんの本心からの言葉では無いと察した。
「…………シズさん。あなたは、心残りがあるんじゃないんですか?」
「………………え?」
「ドワルゴンでの占いで、あなたは5人の子供達に囲まれていた。その子供達は、あなたにとって、大切な人なんじゃないの?」
「………………」
俺はそんな風に言うと、シズさんは黙り込む。
ドワルゴンでの占いでは、シズさんの周りに、5人の子供がいたのだ。
こんなに優しい人が、未練なんて無いとは思えない。
そして、そんな人を死なせたくない。
そんな気持ちがあったのだ。
「俺は、あなたを救いたい。あなたは、俺たちよりも辛い境遇の中で生きてきた。だから、あなたも幸せになってほしい!俺たちが作り上げる街で、皆が笑って、幸せな姿を見て欲しいんだ」
「タオリン君…………」
「俺も、シズさんを救いたい。少しでも可能性があるなら、それに賭けてみようぜ。」
「………………私も生きたい。あの子達が幸せに過ごす姿を見たい」
俺はそんな風に訴える。
シズさんの姿が、タオリンと重なったのだ。
絶対に助けたいと思ったのだ。
それを聞いたリムルがそう言うと、シズさんはそう言う。
それを聞いて、俺は頷いて、シズさんに近寄る。
「……………シズさん、ごめん。お腹…………出してもらっても良いかな?いや、助ける為には必要で……………」
「うん。それは分かるよ。でも…………恥ずかしいから、あんまり見ないでね…………」
俺はそう言うと、シズさんはそう言って、お腹を出しつつ、顔を布団の中に入れた。
気まずいけど、早くしよう。
『技術者、頼む』
『了。
俺がそう言うと、技術者に主導権が渡る。
流石に、ビターガヴを移植するなんて、普通には無理だろう。
だからこそ、技術者に主導権を渡したのだ。
俺の体は、シズさんの腰にビターガヴを当てる。
『告。個体名
『うん』
技術者がそう言うと、俺はそう頷く。
すると、シズさんが光り、ビターガヴが埋め込まれていく。
しばらくすると、シズさんから出ていた光は消える。
『告。個体名
『よかった…………』
技術者はそう報告して、俺はほっと一息吐く。
良かった…………上手くいって…………。
シズさんは、問題なさそうだった。
リムルは、シズさんに尋ねる。
「シズさん……………大丈夫なのか?」
「うん。まるで、全盛期の頃みたい。ありがとうね、タオリン君」
「いや、助かって良かったよ」
リムルがそう聞くと、シズさんはそんな風に言う。
俺は、シズさんが助かって、ホッとする。
助けられて良かった。
シズさんがお腹の方を見ると、そこにはビターガヴがついていた。
「…………助ける為とはいえ、ビターガヴをつける事になってごめん」
「ううん。タオリン君が純粋に私を助けたいというのは、伝わってきたから。上手く隠せば、どうにかなるかも」
俺はそう謝る。
お腹に口がある状態というのは、気味悪がられそうだし。
それに対して、シズさんはそう答える。
俺は、ある提案をする。
「なあ、リムル。シズさんの体をコピーさせて貰えば?」
「ええっ⁉︎いや、流石にそんな事は…………」
「うん。リムルさんも、もしかしたら、人間の街に行くかもしれないから、その時に便利だよ」
俺がそう提案すると、リムルはそう言う。
リムルは渋るが、俺とシズさんの説得を受けて、シズさんを捕食して、すぐに吐き出す。
その際、2人は若干照れ臭そうにしていた。
そして、リムルが人間の姿になる。
リムルは、幼いシズさんの様な姿になった。
ちなみに、リムルもビターガヴをつけていた。
ビターガヴを付けているシズさんをコピーしたからか。
すると、外から声が聞こえてくる。
「おや、これは皆さんお揃いで。皆さんもお見舞いですかな?」
「ええ、リグルドさんもっすか」
「はい、シズ殿の着替えをお持ちしたところです。リムル様、タオリン様、失礼します」
外から、リグルドとカバルの声が聞こえてくる。
そう言って、リグルドが入ってくる。
どうやら、エレン達も居るみたいだな。
すると、皆が驚く。
それはまあ、当然の反応だな。
すると、嵐牙が現れる。
「我が主………!」
「「「え?」」」
「その姿は………⁉︎」
「「「えぇぇぇぇ⁉︎」」」
「そっちの小さい女の子が………リムルの旦那ぁ⁉︎」
「マジかよ…………⁉︎」
「やぁ。………その通りだよ。そこに居るのは、リムルだ。」
嵐牙とリグルドがそう言うと、エレン達は驚き、カバルと絆翔はそう言う。
それに対して、俺はそう言う。
俺たちは、事情を話す事に。
すると。
「み、見ないでぇぇぇ‼︎」
「うわっ⁉︎」
シズさんはそう叫んで、リムルに布団を投げつける。
まあ、裸だったからな。
間接的に、自分の裸を見られたようなものだし、流石に恥ずかしいよな。
ちなみに、俺は視線を逸らしていた。
流石に、そんな事をしたら、変態のレッテルを貼られてしまうからな。
そんな中、ギドが口を開く。
「本当に………リムルの旦那でやんすか?」
「間違いありません!」
「見くびるな!姿形が変わったくらいで、分からないと思うか‼︎」
「まあ、無理もねぇけどな」
「ああ、いや………。そういう事じゃ無くて………何か、ちっこいシズさんぽいっつーか………」
「本当だよ、リムル」
「ああ、ホレ」
ギドがそんな風に言うと、リグルドと嵐牙はそう叫ぶ。
それを聞いて、絆翔とカバルはそんな風に言う。
リムルがそう言うと、人間としての姿から、スライムとしての姿に戻る。
すると、カバルとギドが驚いた様な表情を浮かべる。
「ふへ〜………」
「見事なもんでやんすね………」
カバルとギドがスライムの姿に戻ったリムルを見ながらそう言う中、エレンさんは、シズさんの方に向かう。
「良かったよ〜!シズさんが助かって!」
「うん。タオリン君のおかげで、助かったよ」
シズさんは、泣くエレンを宥めていた。
やっぱり、この三人は、良い人達だと確信出来るな。
すると。
「タオリンさん、シズさんを救ってくれてありがとう!」
「いや。俺もリムルも、シズさんには死んでほしくなかったから」
エレンは俺にそんな風にお礼を言う。
すると。
「……………確かに。師匠を救ってくれたのはありがてぇ。でも、もっと他に方法があったんじゃねぇか?」
そんな風に声を出す人がいた。
絆翔だ。
「貴様!我が主に不敬だろう!」
「いや、リグルド。いい」
絆翔に対して、リグルドが激昂すると、俺はリグルドを抑える。
絆翔の気持ちは分かるからだ。
俺は絆翔と向き合う。
「シズさんにビターガヴを勝手に移植したのは謝る。でも…………それしか方法が無かったんだ。ごめん」
俺はそう謝る。
シズさんに勝手にそんな事をして、絆翔にも思う所があったみたいだ。
俺はそれを受け止め、そう謝る。
それを聞いた絆翔は。
「…………なんて、分かってるよ。お前が何の考えもなしに、シズさんにビターガヴを移植するような奴じゃないのは分かるしな。ただ、そう言われる可能性があるって事、忘れんなよ」
「うん」
絆翔はそんな風に言う。
もちろん、シズさんと親しい人からしたら、俺は勝手にシズさんを弄った人と見られてもおかしくないのは分かってる。
そんな風に罵られるのも覚悟の上だ。
「……………大丈夫だよ。ビターガヴというのを移されても、私は私だから。だから…………絆翔君も気にしないで。私を気遣ってくれるその気持ちだけで嬉しいから」
「…………おう。リグルドさんも、悪いな」
「いえ。ですが、タオリン様への侮辱は、やめて欲しいですな」
「おうよ」
シズさんはそんな風に言うと、絆翔は俺を見るシズさんの顔を見て、何かを悟った様な表情を浮かべて、そんな風に言いつつ、リグルドに謝る。
和解してくれて良かった…………。
俺は、エレン達に話しかける。
「ただ、シズさんはビターガヴに慣れさせたいから、この村に残る事になる」
「まぁそれは仕方ないぜ」
「慣れないのに、無理はいきやせんからね」
「シズさんと別れるのは辛いけど仕方ないね」
「私も皆と旅ができて楽しかったよ。ただちょっと危なっかしいから心配かな」
俺はそう言う。
シズさんのビターガヴを、慣れさせる必要があるからな。
そういう意味では、この村に留まった方が良い。
シズさんの言葉にギドとエレンはカバルを見る。
「ん?あ!おいこら!なんだその目は!」
「だってねぇ」
「ああ」
「お前だってこの前落とし穴にハマってたじゃねーか、
「あっ、あれは姉さんが急に押すからでやす!」
「ちょっとぉ私のせいにしないでよぅ。あの時は突然蜘蛛が落ちてきて……あの時はシズさんが蜘蛛を取ってくれたのよねぇ」
「あれ以来シズさんや絆翔さんが罠探し手伝ってくれやした」
「ホレみろ!俺だけじゃないじゃん!」
カバルがそう言うと、三人はそんな風に言い争いをしていく。
三人らしくていいな。
でも……………。
「ねえ、リムル、シズさん、絆翔。カバル達って、シズさんや絆翔に頼りすぎなんじゃないかな…………?」
「俺もそう思う」
「右に同じくだな」
「ははは…………」
「「「うん!うん!」」」
俺はそう呟く。
それを聞いたリムル、絆翔がそう言い、シズさんが苦笑すると、リグルドと嵐牙はそう頷く。
すると。
「それじゃあ、俺も滞在して良いか?」
「絆翔もか?」
「何だよ、その言い方は。別に良いだろ。気に入ったんだよ。ここ」
「うん!絆翔が良ければ滞在して!」
「おう!世話になるぜ」
絆翔はそんな風に聞いてくる。
それを聞いたリムルがそう聞くと、絆翔はそう答える。
俺は、絆翔に滞在を許可した。
その日は、夕方になってしまったので、エレン達は村に泊まった。
その翌日。
「色々と世話になったな。じゃあ、そろそろお暇するわ」
「国に帰るのか?」
「ああ、ギルマスにこの森の調査報告とシズさんと絆翔さんのことも、報告しないといけないからな。ここの事は、悪い様には言わない」
「リムルさん達のことも、伝えておくね」
「旦那達も何かあったら頼るといいでやすよ」
「ああ、そうさせてもらうよ」
「皆、元気でね」
「シズさんも」
「タオリンの旦那。シズさんを助けてくれて、ありがとうございます」
「気にしないで。俺が助けたいと思って、助けたんだから」
カバル達は、ブルムンドに帰ることになった。
俺たちがそう話すと、カバル達は立ち去ろうとする。
すると、何かを思い出したのか、立ち止まる。
「あっ………と、最後にもう一つ。シズさんと絆翔さんに、話があります」
「俺たちに?」
「どうしたの?」
カバルがそう言うと、絆翔とシズさんは首を傾げる。
すると、三人は頭を下げる。
「「「シズさん、絆翔さん!ありがとうございました!」」」
「三人とも………」
「お前ら…………」
「俺、あなた達に心配されない様なリーダーになります!」
「あなた達と冒険できた事、一生の宝にしやす!」
カバル達はそう言って、頭を下げた。
シズさんと絆翔が呆気に取られる中、カバルとギドはそう言う。
そして、エレンはシズさんを抱きしめる。
「ありがとう………。シズさんの事、お姉ちゃんみたいって、思ってました。絆翔さんも、かっこいいなと思ってます」
「三人も、元気でやってね。それと、いつでも会いに来て良いよ」
「おう。その時は歓迎するぜ」
エレンがそう言うと、シズさんと絆翔はそう言う。
やっぱり、三人は良い人たちだ。
この三人が、シズさんの仲間で、本当に良かった。
すると、リムルが声をかける。
「ところで、お前らの装備、ボロッボロだな」
「「「ひどっ!」」」
「「あははは!」」
「ははは…………」
リムルがそう言うと、三人は装備を隠す様にして、俺と絆翔は笑い、シズさんは苦笑した。
そうして、俺たちはカイジン達が作った試作品の防具を渡す。
「おおっ!憧れの
「スゴい!なにコレ⁉︎軽い上に頑丈、ていうかめっちゃキレイ!」
「いっ、良いんでやすか、あっしにはもったいない代物で⁉︎牙狼の毛皮まで使用されってやっせ⁉︎」
「餞別だよ。ウチの職人の力作さ」
「職人?」
「おーい」
三人は、受け取った装備を見て、そんな風に言う。
リムルがそう言い、ギドが首を傾げ、俺が呼ぶと、カイジン達が出てくる。
「まっ、力作つっても、試作品だけどな」
「着心地はどうだい?」
「細工は隆々ってね」
「うん、うん」
「「喋れよ!」」
カイジン達が出てきてそう言うと、ミルドだけは頷いて、俺とリムルはそう突っ込む。
ミルドが喋らないのは、相変わらずみたいだな。
気を取り直した俺は、彼らを紹介する事に。
「紹介するよ。右から、カイジン、ガルム、ドルドにミルドだ」
「カイジン⁉︎マジで⁉︎」
「腕利きで超有名な鍛治職人の⁉︎」
「ガルムにドルド、ミルドってあのドワーフ三兄弟⁉︎」
「ありがとうございます!これ、家宝にします!」
「嬉しいです!」
「夢の様でやんす!」
俺がそう紹介すると、カバル達はそう言う。
そんな風に、三人は喜んでいた。
やっぱり、カイジンは相当有名な鍛治職人なのだな。
三人は、今までのことを吹き飛ばす大はしゃぎしたのち、帰って行った。
その後、俺とリムルは、シズさんと絆翔と一緒に話をするべく、テントへと向かっていた。
だが、この時の俺は、知らなかった。
俺とリムルを中心として、世界が激動の時代になっていく事を。
そして…………。
干上がった荒野に、一体の
すると、そこに一体の鳥のようなマスクをし、白い紳士服を着ており、杖を持った者が近づいていく。
その者が、豚頭族を見つめると。
「お前に名前と食事をやろう」
その者がそう言う。
豚頭族は、その者を見つめると、問う。
「…………あなたは?」
「ゲルミュッド。俺の事は、父だと思うがいい」
豚頭族がそう聞くと、その魔人はゲルミュッドと名乗った。
ゲルミュッドがそう言うと、豚頭族は訝しげな表情を浮かべる。
それを見たゲルミュッドは。
「………このまま死ぬか?」
そう問う。
それに対する豚頭族の答えは。
「………名前を………そして、食事を……」
「お前の名は、ゲルド」
「ゲルド…………」
「やがて、ジュラの大森林を手中に収め、
その豚頭族がそう言うと、ゲルミュッドはその豚頭族にゲルドの名を与える。
そして、ゲルミュッドはゲルドに肉を与え、ゲルドはその肉を食べる。
これが、やがて大きな出来事に繋がってくる事は、誰も知らない。
今回はここまでです。
今回は、シズさんが救われる話です。
シズさんは、タオリンのサポートの元、ビターガヴを移植され、無事に生きながらえる事が出来ました。
そして、リムルもビターガヴを移されたシズさんをコピーした事で、ビターガヴを得ました。
これにより、シズさんとリムルはビターガヴに変身が可能になりました。
一応、シズさんはバキバキスティックフォーム、リムルは全てのビターガヴのフォームに変身が可能になる設定です。
そして、次回は大鬼族達が出てきます。
絆翔も、ヴァレンに変身が可能になるのも近いです。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
リムルのビターガヴは、上記の通り、全てのフォームになる事が出来ますが、オリジナルのフォームを出すのかは、検討中です。
今後の展開でリクエストがあれば、活動報告から承っております。