008
後日談と言うか今回のオチ。
オチも何も今回は始まった時点ですべての物語が終わっていたのだから、そんなもの冒頭でやり尽くしている。
なので今回は本当に後日談のみだ。
まあ、結局のところ間違いのスペシャリストであるところの僕は今回、勘違いと言うどうしようもなく馬鹿らしい責任感で一人暴走していたというだけだ。
なんだよ、狂い続ける物を放置できないって……。
狂ってるのは僕の羞恥心の方じゃないか。
そんなこんなで括裏の一件が正真正銘すべて終えた翌日である。
考えるのは、当然戦場ヶ原のこと。
重さを無くしていた時とはいえ、それらが解消した今となっては戦場ヶ原だって罪悪感に見舞われているかもしれない。
ただ、対処法が対処法だけに僕の方からも戦場ヶ原に括裏のその後や彼女に対する思いなどを聞くことはできない。
戦場ヶ原が彼女をもういない者のように扱う限り僕もそう扱う他ない。
それがどれだけ間違っていようとも彼女たちは間違い続けなければならない。
罪を犯し、過ちを犯し、間違い続け、脱線し尽くし、間違いさえも間違いで終わらせた僕の彼女。
戦場ヶ原 ひたぎ。
戦場ヶ原を友と呼び、彼女を励まし続け、嘘を付き、亀に咎められた少女。
括裏 くくり。
彼女たちは、決別した。
決して再び繋がることの無いよう、互いが互いを思い、思ったがゆえに同じ鞘に戻ることが無いよう。
その二人の距離は果てしなく遠くなってしまっただろう、だがそれは彼女たちの思いの大きさに比例しているとも言える。
これは僕の勝手な妄想なのだが、もしかしたら戦場ヶ原は僕に括裏くくりという人物を知っていてほしかったのかもしれない。
彼女が忘れなければならない人物を僕に覚えていて欲しいのではないか、と勝手にそう思っている。
自分のかつていた親友を僕に教えたかったと……。
自分でも恥ずかしい妄想だと思う、ただまあそうであってくれればいいなと言う僕の願望が大半を占めているのも事実ではあるのだが。
僕は、まだ戦場ヶ原のことをほとんど知らない。
だからこそこんな小さなことでも、彼女がこれから忘れて行かなければならないことでも知ることができたことがうれしいのだ。
近い将来で、僕は戦場ヶ原のことをより多く知ることになるだろう。
それと同じくらい僕も彼女に僕自身のことを教えて行かなければならない。
僕も彼女もこれから多くのことを間違っていくだろう。
だがこの僕らの出会いは間違いではなかったと、正しかったのだと。
そういう風に笑い合えるようにと切に願う、恥ずかしながら……。
「阿良々木君?」
「なんだ戦場ヶ原?」
とりあえず今は、この瞬間を楽しもう。
「デートをします」