カードのテキストが長すぎます!   作:ピンノ

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※三人称視点?です。



109話 魔女の幼体

 

 アンタレスが去り、その場に残されたスピカ。

 ……それから、アルケーとテロス。

 

 どうしたものかと困っていたスピカだったが、そんな時。

 

 ……アルケーが指先でつまみ、眺めている、平たく小さい物に気が付いた。

 

 「……えっと、それは……?」

 

 「知らない。……強いて言うなら、この矢の先に刺さっていた」

 

 「……そう、なんですね」

 

 あっさりとした返答のアルケーに対し、明確に興味を持っているような様子を見せるスピカを見て。

 

 ……アルケーは、無言で肩をすくめてそれを手渡した。

 

 「……えっと、これは……鱗、ですね……」

 

 「そのくらいは見てわかる。もっと言うなら蛇やトカゲの類……つまり、爬虫類のものだろう」

 

 「それと、これはあくまで見た感じだけど。微かに、君たち魔女特有の気配……みたいなものを感じるね」

 

 鱗を摘み上げ、よくよく観察するスピカの言葉に、アルケーとテロスが横から付け足す。

 

 「そうか?どちらかと言うと魔女というよりそこで倒れてるやつ。あと周りにもいるけど。……そいつらに近いのでは?」

 

 「確かにね。……と言うか、そもそも。この子たちは一体なんなんだい?」

 

 テロスが付け足した言葉に対してアルケーが反応し。

 ……それから、テロスが。さらなる情報をスピカに求めた。

 

 「──蛇の鱗。ということは、もしかしたら、ルクバトさんが射ったのはアンタレスさんではなくて……。……あ、すみません。えっと、そうですね。ただその前に、また起きてこられたら面倒ですし……この場から移動しながらでも、大丈夫ですか?」

 

 「……構わない」

 

 「うん。特に問題はないよ」

 

 「あ、あとはそれから。ちょっとだけ目的地ができましたので、少し急ぎながらになりますし、そこに向かう形にもなりますが……それでもいいですか?」

 

 更なる、スピカの言葉に。

 アルケーとテロスがまた再び、肯定し。

 

 ……それに対して、スピカは無言で空を飛び始めた。

 

 アルケーとテロスもまた、それを見て、無言でなんでもないことであるように、空を飛び、追従する。

 

 「……あ、その。……今更と言うか、あれですが。……お二方も空、飛べたんですね……」

 

 「まあね。……もしも飛べなかったら、どうするつもりだった?」

 

 「──えっ……と、そうですね。ううん、籠でも作ってこう……引っ張る、とか……?」

 

 「……空を飛ぶ人力車か。乗り心地が良さそうとはあまり思えんな」

 

 「そうかな?むしろ中々面白そうだけど……」

 

 アルケーとテロスの会話に、じんりきしゃ……?と、首を傾げるスピカだったが。

 

 しかし、その目的地というものはそれなりに優先順位の高いものらしく。

 ──彼女は静かに首を振って、切り替えた。

 

 「……えっと、それじゃあその……出発しますが、速度はどのくらいまで出せますか……?」

 

 「速度なら自信があるよ!何せ常時光速を超える速度で飛び回るヒト型探査機と一緒に宇宙の外側を旅をしてた時もあるくらいだからね。──光速の3倍くらいまでなら、永久に飛び続けても負担はないかな」

 

 「──それはわたしと出逢うよりも以前の話だろう。勝手に話を進めるのは、やめてほしい。……お前が良くても、わたしはそこまで速さには自信がない。そうだな。せいぜい、光速の2倍くらいにしておいてほしい」

 

 「……えっと、よくわかりませんが。その、光速を単位にするの、お好きなんですね……」

 

 「──ん?まあね。どうやらこの世界でも光の速度は同じみたいだし、他の世界でも大体光の速度は共通。……単純に単位として、都合がいいんだ」

 

 

 「……なるほど、です。……えっと、それでなのですが。その、あたし、そこまでスピードは出せませんので……光速の70%くらいの、あなた方にとってはかなりゆったりとした旅になるかと思いますが……いいですか?」

 

 光速の、70%。

 

 スピカの提案したそれは、この世界の魔女を基準にするなら極めて速く。

 ……その中のレグルスやアクベンスのような十二宮に限定するのなら、少し急いでいる程度、といったところの速度だった。

 

 「……問題ない」

 

 「そもそもわたしたち、別についていくだけだからね。あんまり気にしなくていいんだよ!」

 

 「……えっと、ありがとうございます」

 

 

 ……そうして。

 言葉の通り、光速のおおよそ70%前後の速度で。

 

 一向は、飛翔する。

 

 「……えっと、それで、先ほどの質問なのですが……」

 

 途中、スピカが話をし始める。

 

 音の速さを既に超えているため、それは音による言葉ではなく。

 音を介さない言葉……すなわち、テレパシーのようなものを用いての言葉だった。

 

 「──うんうん、それで?」

 

 それに対してテロスもまた。

 同じようにテレパシーのようなものを用いて、返事をする。

 

 「……急に攻撃を仕掛けてきたりしていた。魔女なのかも知れないとは思ったが……それにしては、スピカや他の魔女と比べて、少しばかり力の差が大きいように感じたし、それから、徒党を組んでいたのも。おそらくわたしたちが現状知っている魔女との相違点ではないかと感じている」

 

 アルケーも同じくテレパシーのようなものを使って、会話に混ざる。

 

 これは、単に最初にそれぞれが何をできるのか確認し合うことを怠ったからなのだろうが……それにしても。

 

 ──旅の最初の方は一体なんだったのだろうか、と思わざるを得ないだろう。

 

 「……あれらは、魔女の幼体……です。えっと、幼体とは言っても、そこまで大きな違いがあるわけではありませんから……。そうですね、魔女の製造工程はおおよそ人類の成長過程に近いものがありますから、人間で例えて……。『子供』と言うのが正しいかも、です」

 

 「──なるほど!ちなみに、彼女たちに正式な名称と言うか、こう……分類する時の名前とかってあるのかい?」

 

 「……名前、ですか。ううん、そういったものは特には……」

 

 

 「……ふむふむ。──なら、『魔法少女』とか、どうだい?」

 

 「……ええっと、魔法少女、ですか。……まあ、呼び名が無くて困っていた側面もありますし……そうしましょうか」

 

 ……それからさらに、『魔女の幼体』改め『魔法少女』についての話が、続く。

 

 「……えっと、それで……。その、魔法少女は。最初、群で今の戦いに勝利する事を目的とした集団として、現れました」

 

 「……群で」

 

 「──はい。実際、魔女は同族で集団を形成することはほとんどありませんし……出てきた時は、勢いもあって、十二宮に並ぶ新勢力として、数えられました」

 

 あくまでテレパシーのようなものであり、言葉の途中で呼吸をする必要は無いはずだが、スピカ一度、ここで言葉を切った。

 

 ──そして、一拍程度の間を置いて。

 また、言葉を続けて紡ぎ始める。

 

 「……なんとなく、少しだけ。……これでこの新しい勢力の登場で、風向きが変わって、この戦いも終わるのかなーって、少しだけ、期待した部分もあったのですが……」

 

 ここで、わかりやすく、スピカの声のトーンが一段落ちる。

 

 ──もちろん、発せられているのは声では無いが。

 しかし、あえて。ここではそう表現するのが適切だろう。

 

 「……正直に言えば、期待外れと言いますか。……その、最初に魔法少女と戦闘した十二宮はレグルスさんだったのですが……一度の戦闘で、大多数が脱落しまして……」

 

 スピカは淡々と、説明を続けていく。

 

 そして、アルケーとテロスはそれに対して。

 特に何か言葉を挟むことはなく。……ただ、言葉を待っていた。

 

 「……まあ、その。単純に十二宮と比べて弱いだけ、なら。……そんなものかと言うところで終わりなのですが。問題になったのは、その後です」

 

 スピカは、言葉を、選ぶように。

 慎重に考えながら、説明を継続していく。

 

 「……どうにも、群として行動していることそのものが、本来の彼女たちの在り方とは異なっていると言いますか。……構造自体は、ただの、魔女の幼体……子供と、変わらないことがわかりまして」

 

 ……あるいは、言葉を選んでいるのではなく。

 単純に、スピカが言葉を繋げていくことがあまり得意ではないため、言葉に途切れ目が生じるのだろうか。

 

 「それで、その……最終的に。確か、アクベンスさん……でしたかね。あの方は、そういった術に詳しいので。アクベンスさんによって、魔法少女の仕掛けが、おおよそ、解明されまして。……それで、その。どうやら彼女たちは、未熟な内になんらかの術を施されて、他の魔女によって操られた……そんな集団だと言うことが、わかりました」

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