カードのテキストが長すぎます!   作:ピンノ

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※香澄視点です。



本編 10.夏休み(後半②)
120話 本あるいは吹雪の竜


 

 ……考えるまでもなく当たり前のことではありますが。

 やっぱり、このバトル、いつもの『フルオート』的な現象が起こる気配がありません。

 

 つまり、今回は自分の力で戦わなければならない、ということになりますが。

 先程の、自分のカードが全部変化した、という漠然とした感覚は本当だったようで。

 

 ──手札のカードが、全部初見です……!

 

 えっと。初手の引き直しは……どうしましょう。

 真剣に考えているフリをして誤魔化してはいますが、プレッシャーやら何やらもあって、頭が真っ白になりそうです。

 

 ……と、とりあえず。

 コストが低いカードだけ残して、引き直し……で、行くことにします。

 

 えっと。そうすると、つまり。

 手札にあるカードの内、コストが1と2のカード、つまり、これとこれを残すので……3枚引き直し、という事になりますね。

 

 ……そして。あたしが、悩んでいた間に、向こうは既に引き直しを終えていたみたい、ですので。つまり、向こう側が何枚カードを引き直したかわかりません。

 つまり。後になって、これがどれほど重要になってくるかはわかりませんが。少なくとも一つ、これで情報を逃してしまった事になります。

 

 しっかりしないと、ですね。

 気を引き締めて。切り替えて、行きたいと思います。

 

 「──さて、それじゃあ準備はいいかい?」

 

 「……もっとも、まだと言われても待つ気はない。わたし達に、今出せる限りの全力を見せろ」

 

 テロスさんとアルケーさんが、揃って。そう、宣言をします。

 どうやら、お二方両方が相手のようです。

 

 ──お二方が、相手ではありますが。

 一応、体力の方は25で、コストについても、0スタートで10まで毎ターン1ずつ上昇、と。どうやら、その辺りの基本的なルールに、変わりはないようです。

 

 

 ……そして。

 宣言が行われ。あたしの思考が、別な方向へと向かいかけた、その次の瞬間。

 

 

 ──突然に。

 どこからともなく、大きな本が現れました。

 

 

 それは、大きく開かれているようですが……。

 しかし、その開かれたページは。何も描かれていない、真っ白なものでした。

 

 ……お二方は、まだ、カードの1枚も使っていません。

 しかし、あれは紛れもなく、カードが生み出す幻影によるもの、です。

 

 と、いうことは。

 ……つまり。何らかの効果によって盤面、もしくは領域へと出現……あるいは設置されたもの、と考えるべきなのでしょう。

 

 ……突然のことではありましたが、理解は、どうにか追いつきまして。

 見てみれば、向こう側の領域に【綴じられた世界・アカシックインデックス】という名前のフィールドカードが設置されていることが、わかります。

 

 えっと。とりあえず、効果を知らなければお話になりません。

 ……ですので。そのフィールドカードの効果を、読んでみることにします。

 

 

 【綴じられた世界・アカシックインデックス】

 コスト10。フィールド。レジェンダリー。《分類:開闢と終焉》

 自分のターン開始時、自分のデッキに重複するカードが無いなら、デッキにあるこれは自分の領域へと設置される。

 これは相手のカードの効果で破壊されず、除外されない。

 これが領域へと設置された時、自分のソーサラーに『自分が受けるダメージを-1する』を付与する。

 お互いのソーサラーは、自分のターン中に一度まで、自分の盤面のエンティティカード全ての《分類》を全て消去し、代わりに任意の《分類》を付与して良い。

 これが領域にあるなら、自分は領域にフィールドカードを2枚まで設置できる。

 自分のターン開始時、他のカードによるターン開始時効果が働くよりも先に、自分の領域にあるこれ以外のフィールドカードを墓所へと移動させる(この効果では被破壊時効果は発動しない)。

 自分のターン終了時、手札にあるエンティティカードかマジックカードを任意の枚数だけ捨てても良い。この効果でカードを1枚以上捨てたなら、自分の墓所にあるフィールドカード全てに『これは除外されず、デッキや手札へと加わらない』を付与し、自分のソーサラーに『次のターン開始時、カードを1枚引く』を付与する。その後、墓所にあるフィールドカードが39種類以上なら、お互いの領域と盤面にあるカード全ての効果を失わせて、この試合に勝利する。

 

 

 ……まず、コストが10というところからも、やっぱりこれは効果によって自動的に設置されたカード、という事に間違いはなさそうです。

 

 それで。最初はその設置条件から、ですね。

 えっと、『自分のターン開始時、デッキに重複するカードが無いなら』……と、書いてあります。……それで、他に条件は無さそうですので。

 

 ……?

 

 ……ということは。

 いえ、その。さすがにまさかとは思いますが……。

 

 ……。

 

 ──もしかして。

 向こうのデッキは、全てのカードがデッキに1枚の、いわゆる、ハイランダーデッキ、というやつ……?なのでしょうか?

 

 ……と、とりあえず。

 思わぬ方向性の衝撃に、一瞬、思考が固まるところでしたが。

 どうにか持ち直して、読み進めます。

 

 『相手のカードの効果で破壊されず、除外されない』そもそも、フィールドカードを破壊したり除外するカードは、少なくとも、あたしが知っている中では、かなり珍しいです。

 ですので、この効果が発揮されることはあまり無さそうですがとりあえず。あれは破壊も除外もできない……と、いう事ですね。

 

 それから、設置時に無条件で自分側のソーサラーに被ダメージ-1。

 

 そして、お互いに影響する効果で、それぞれのターン中にそれぞれの盤面のエンティティを対象とした《分類》消去と任意の《分類》付与。

 ……どちらが効果を使ったとしても、それぞれ自分側の盤面のエンティティカードにしか効果が無い、というのは覚えておく必要がありそう……?なのでしょうか。

 

 そして、自分の領域に設置可能なフィールドカードを2枚にする効果と、ターン開始時にあれ以外の自分のフィールドカードを捨てさせる効果と、あとはターン終了時にカードを捨てて代わりに色々効果が付くやつと……。

 

 ──それから勝利効果、ですね。

 条件は『墓所にあるフィールドカードが39種類以上なら』です。

 ……何だかやたらと条件が重い気がしますが、どうなのでしょうか。

 

 もし仮に、デッキのカードが全部フィールドカードだったとして、その場合でも、デッキの全部のカードを墓所へと送る必要があります。

 

 ただ、常に発揮されている効果は、かなり強そうです。

 特に、無条件でのダメージ軽減は、おそらく、かなり試合が長引く……のではないでしょうか。

 

 「……とりあえず、効果は理解できたかい?」

 

 あたしが顔を上げて目線を向けた事に、気がついた様子で。

 目が合ったテロスさんが、そう言ってきました。

 

 ……あたしはそれに対して。それほど自信はありませんでしたが、おおよそは大丈夫だろうと思いましたので、とりあえず首を縦に振ります。

 

 「なら、次の行動に移るよ!」

 

 「……わたし達は、カードの公開を宣言する」

 

 テロスさんが、そう言って。

 それから、アルケーさんが、宣言します。

 

 「──公開するカードは、【氷晶の銀世界エターナルブリザードドラゴン】」

 

 そうして、お二方が。

 ……声を揃えて、カードの名前を読み上げました。

 

 

 ……。

 

 ……そのカードは、知っています。

 それは、雪菜さんの、レジェンダリーカードです。

 

 そして、それが手札で公開された事によって。

 辺りが突然、吹雪の中へと変化しまして。

 ……そして、その向こう側。

 相手の手札に浮かび上がる、まるで突き刺すような二つの鋭い光が、じっと、こちらへと向けられます。

 

 カードの公開。

 それも、レジェンダリーカード。

 

 ……これまで、観客としてしか自分で見たという経験がありませんでしたが。

 

 正面から、こうして自分へとそれが向けられると。

 中々に、強いプレッシャーを感じるような、気がします。

 

 「……これを公開した事によって、こちらの領域には【吹き荒れる銀世界】が設置される」

 

 「これで、ターンは終わり!そっちの番だよ!」

 

 ……と。そうして、向こう側のターンは終わりまして。

 ターン終了時には、特に何かをするでもなく。

 

 ──こちらへと、ターンが移ってくるようです。





※他のカードの効果との兼ね合いなどの調整から、【綴じられた世界アカシック・インデックス】の、『手札のカードを捨てる事を条件としたドロー効果』のドロー発生タイミングを、『手札のカードを捨てた時』から『手札のカードを捨てた次のターン開始時』へと変更しました。紛らわしい事になってしまい、大変申し訳ございませんが、どうかご了承ください……。(2025/12/02)
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