カードのテキストが長すぎます!   作:ピンノ

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125話 宝瓶宮の魔女あるいは幼子の魔法

 

 軽い、ちくりとしたような感覚と共に、3ターン目が始まります。

 具体的に言いますと、なんだかこう、強い日差しに焼かれているかのような……。

 

 ──あ、そうでした。

 えっと、確かあちら側の今のフィールドカードの内の片方……【永劫の太陽】というフィールドカードの効果で、ドローに反応してそのソーサラーに1ダメージを与える、というものがありました。

 

 おそらく、それによるダメージ……と、いうことなのでしょう。

 こうしてしっかりとファントムビルドをするのは初めてなので、なんと言いますか、ダメージを受ける時ってこんな感じなんだ、というような。そういったところにも、新鮮な感覚がありますね。

 

 1のダメージを受けましたので、こちらの現在の体力は49、です。

 数字的にはかなり余裕がありそうですが、これから先、向こう側がどう動いてくるかは分かりませんし、ダメージは受けないに越したことはないでしょう。

 

 ……と、いうことは。

 あたしのフィールドカードである【エンドレス・プラネット】の効果に、エンティティカードの召喚時にドローをする効果がありますので……このターンは、あまりエンティティを召喚しない方がいい、ということになるのではないでしょうか。

 

 ──それを意識した上で、改めて手札のカードを見て行きます。

 使えるコストは3ですので、えっと……。

 

 ……よし。

 それなりの時間をかけて考えて、おおよそ、このターンでやることを決めました。これなら、そこまでダメージを受けることには繋がらないでしょうし、【エンドレス・プラネット】のカウントもいい感じに増えそうです。

 

 

 「……まずは、エンティティカードを召喚します。──【サダルメリク】さん、お願いします」

 

 

 【極夜の宝瓶宮サダルメリク】

 コスト1。エンティティ。攻撃力1、体力2《分類:極夜の魔女》

 召喚時、手札のカードを1枚デッキに戻す。その後、①と②の効果の中からランダムに1つ発動する。

 『①自分の手札に【宝瓶の毒水】を1枚加える』

 『②自分の手札に【百薬之長】を1枚加える』

 自分のターン終了時、カードを1枚引く。

 

 

 コストを1使って、エンティティカードを召喚し。

 その召喚時効果で手札のカードを1枚デッキに戻して、ランダム効果が働き。その後、【エンドレス・プラネット】によるドローが入ります。

 それによって、【永劫の太陽】による1ダメージを受けることになりますが、体力はまだ48もありますので、まだ焦る必要はない……でしょう。

 

 ……それから、ランダム効果について、ですね。

 今回発動したのは①の効果、でした。つまり、それで手札に加わったカードはと言いますと……。

 

 

 【宝瓶の毒水】

 コスト0。マジック。ファントム。《分類:極夜の魔女》

 盤面のエンティティカード1枚を選択し、それの体力を最大まで回復させる。その後、そのエンティティに『次の自分のターン開始時まで、これは攻撃できない』と『相手のターン終了時、これは破壊される』を付与する。

 

 

 手札に加わったのは、コストが0のマジックカードですね。

 自分のエンティティカードに使えば【エンドレス・プラネット】の効果でカード能力による破壊が無効ですので、ほぼノーリスクで体力全快にできて、相手のエンティティカードに使えば、ターン終了時に破壊することができる……という感じ、だと思います。

 

 ……そして。あたしの周りに浮かぶ三つの弓の内、まだ矢が番えられている二つの、その片方から矢が発射され、向こうのソーサラーに1ダメージが入って体力が23になり……。

 さらに、これで領域にあるあたしの【エンドレス・プラネット】のコストが5に到達しましたので、これで、次からはランダム発動効果が選択可能になったはずです。

 

 後は、【永劫の太陽】の効果で【サダルメリク】さんに、受けるダメージ倍化と『拙速』が付与されましたが……。

 攻撃力が元々1しか無いので、『拙速』で攻撃をすると、そのターン中攻撃力が端数切り捨てで半減になってしまうため、つまり0になるから……攻撃をする意味は無さそうですから、特に意味はないと思っていいでしょう。

 

 

 「……次に、マジックカードを使います。使うのは【極夜の意思】で、対象は【サダルメリク】さんです」

 

 

 ……一通り確認をし終えたので、次の行動に移ります。

 ここで使用するのは、このターンの初めに【ルクバト】さんのランダム効果で手に入ったばかりの、コスト2のマジックカードです。

 

 コストこそ2ですが、対象を手札に戻して、それからコストの3回復と1ドローが入りますので、実質的にはコストは-1コストと思っていいでしょう。

 

 ドロー効果が入りましたので、またも日差しが強まり、肌を焼いてきます。

 ……これで残り体力は47、それから手札の枚数が9枚、ですね。

 

 

 「マジックカード、【幼子の魔法】を使います。……それで、発動させる効果は①と④、です」

 

 【幼子の魔法】

 コスト3。マジック。《分類:極夜の魔女》

 ①と②と③と④の効果の中からランダムに異なる効果が2つ発動する。

 『①相手の盤面のエンティティ全てに1ダメージを与え、自分の盤面のエンティティ全てと自分のソーサラーを2回復する。』

 『②自分の盤面の最も攻撃力の低い《分類:極夜の魔女》を持つエンティティ1枚に『拙速』を付与する。』

 『③相手の盤面のランダムなエンティティ1枚に2ダメージを与える。これを2回行う』

 『④4ダメージを相手の盤面のエンティティと相手ソーサラーに古いエンティティから順に割り振って与える』

 

 

 まず、最初に選んだ①の効果によって、相手の盤面の【無名の魔女】を破壊し、それから自分の盤面……にはエンティティカードがありませんから意味がありませんが、自分のソーサラーに2回復が機能しますので、これで体力が49まで戻ります。

 

 そして、次の効果である、④の効果によって。

 相手の盤面には既にエンティティが存在しないので、4ダメージ全てが、ソーサラーへと与えられます。

 

 ただ、【綴じられた世界アカシック・インデックス】によって付与されているダメージ軽減がありますから。実際に与えられたダメージは3ダメージ、ということになりますね。

 

 ……しかし。ランダム発動効果に反応して、このターン最後の矢が放たれて。追加でさらに1ダメージが入りましたので。結局、この行動によって与えられたダメージは4ダメージ、ということになりました。

 

 つまり、向こうの残り体力は19、という形になりまして。そして、それから【エンドレス・プラネット】のコストは6に、なりました。

 あと4回でこれが破壊されて、新しい、おそらく強化版と言えるであろうフィールドカードへと張り替えられることになりますから、引き続き、ランダム発動効果のカウント稼ぎを狙って行きたい所、ですね。

 

 ──とりあえず、これでコストは使い切りましたし、このターンにやれることはもうないでしょう。

 

 「……これで、あたしはターンを終わります」

 

 ……あたしは、ひとまずターン終了の宣言を行いまして。

 

 ターン終了時。【永劫の太陽】による回復効果が働き、こちらの体力は、全快である50まで戻ります。

 

 そして、それから。あれだけ激しく照り付けていた太陽もまた……本の1ページへと収められて消えて行きます。

 

 つまり、これで、【永劫の太陽】も墓所へと送られましたので。【綴じられた世界アカシックインデックス】の墓所のフィールド種類カウントは6、ということになりますね。

 

 「……まだお互い3ターン目が終わったばかりってくらいのところなのに、中々容赦がないねぇ」

 

 「即座に決着がつけられそうなら、無理のない範囲でそれを狙う。確かに、それは決して悪くない考え方だ」

 

 

 【永劫の太陽】がフィールドから無くなった後。

 テロスさんとアルケーさんが、カードを引きながら、そんなことを言ってきます。

 

 ……確かに、言われてみればと言いますか。そういえば、まだ試合は始まったばかりと言ってもいいくらいの時間でしたが。

 

 ダメージ軽減が無かったら、大変なことになっていそうなくらいに。

 あたしのデッキは、さっきからダメージを飛ばし続けているんですね……。

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