※香澄視点です。
「さあ、経過ターンで見れば、そろそろ中盤戦ってところだね!……優勢とは言えないけど、こっちももっと盛り上げていかないと!」
「……デッキの強さ。それから、相手が初見のデッキであることで露見する、カードバトルそのものへの理解度。その両方がわたし達の想定を上回って伴うことで、ひとつの確かな実力として現れている。……これは、あの世界とこの世界、つまり、スピカと香澄。それが、分かち難いものであることの証明と認めるべき、か」
……と。そんな言葉と共に。
テロスさんとアルケーさんによる、先攻5ターン目、ですね。
それは、まず最初に、【彼方なる霊園】が墓所へと送られていきまして。
その後、向こうの盤面の【手向けの鐘】のターン開始時効果、それから、あたしの盤面への【無名の魔女】の出現。そして、フィールドカード【綴じられた世界アカシック・インデックス】の効果とターン開始時のドローを合わせた2ドローを経て、開始しました。
これで、向こうの体力が残り17になりまして、そして手札のカードは10枚、それから、墓所にあるフィールドカードの種類が8つ……となります。
何か認めていただけたようですが、しかし、試合は続きます。
……ということは、もしかして。先ほどの発言は「試験合格だよ!おめでとう!」という意味ではなく、「実力は認めたからここから本気を出すぞ」みたいなことなのでしょうか……?
「……まずは、コスト3。エンティティカードの召喚を行う」
「召喚するカードは【夢幻の支配者ヒュプノステイパー】!」
そうして、まず最初に使用されたそのカードは。またも、あたしの知らないレジェンダリーカードです。
その姿は、まるで動物のバクを連想させるフォルムをしており。そして、すやすやと眠っていますので……なんだか、とても無害そうな存在に見えます。
色艶の良い綺麗な毛並みも、触れたらとても暖かそうです。
抱きしめてお布団に潜り込んだら、1週間は眠っていられそうな……と、すみません。まだ、試合中でした。
……それで。
あのカードの効果についてはと、言いますと。
【夢幻の支配者ヒュプノステイパー】
コスト3。エンティティ。レジェンダリー。攻撃力1、体力3《分類:夢現の鏡界》
召喚時、相手のエンティティカード1枚を選択し、それに次の相手のターン終了時まで『これは攻撃できない』を付与する。その後、自分の盤面に【ミラージュ・ドリーム】がないなら【ミラージュ・ドリーム】を1枚設置する。既に設置されているなら代わりにこれは『猛進』を持つ。
攻撃時、相手のランダムなエンティティカード1枚に次の相手のターン終了時まで『これは攻撃できない』を付与する。
これが盤面を離れる時、これは手札に戻る。
……効果を読んだ上で改めてその姿を見てみますと。
眠っている姿は、『攻撃できない』ということを表しているのでしょう、ということがわかります。
そして、それから。じっくりと、辺りを見渡してみますと。
……もしかしたら気のせいかな、というくらいの変化ですが。なんとなく、周囲の色々なものが、やや、ぼんやりとして見えるような。
……そんな気がします。
【ミラージュ・ドリーム】
コスト6。フィールド。ファントム。《分類:夢現の鏡界》
お互いのソーサラーは、お互いのターン終了時、『これは攻撃できない』を持つ自分のエンティティカード全ての体力を-1して、そのカードの枚数と同じ値だけ自分の体力を回復する。
自分のターン終了時、これが10ターン目以降で、お互いの盤面のエンティティカードの合計8枚以上が『これは攻撃できない』を持っていたなら、この試合に勝利する。
……何と言いますか、これまでは空間が劇的に変化するようなフィールドカードばかりでしたので。こんな風に、ぱっと見では違和感の少ないようなフィールドカードは、少し珍しいような気がしますね。
「次、今度はコスト1のマジックカードの使用を宣言するよ!」
「……使用するカードは、【旅立ちへの支度】」
そして、次に。テロスさんとアルケーさんが使用した、カードは。
……間違いなく、有栖さんのレジェンダリーカード、です。
効果としては、勝利効果の条件を満たしていないなら、デッキから《分類:読了の栞》を持たない《分類:旅立ちの始点》を持つマジックを1枚手札に加えるという効果と、それから、自分の領域に【保管された物語】を1枚生成して設置、それから、あのカード自身をデッキに戻す、というものです。
……まず、勝利効果については、おそらくあのデッキでは達成できないであろう条件ですので。多分、無視していいと思います。
そして、《分類》で絞ってカードを引く効果についても、どうやらデッキに《分類:旅立ちの始点》を持つカードが存在しない様子で、発動せず。
……そしてさらに。領域へとフィールドカードを設置する効果についても、既に向こうの領域には【ミラージュ・ドリーム】が設置されておりますので、ただ墓所へと送られるだけに終わります。
もっとも、だけ、とは言いつつも。
それは、勝利効果へと繋げるための行為にはなっていますので、全くの無駄ではないのでしょうが……。
──その、何と言いますか。
あのデッキは、大分レジェンダリーカード故の単体のカードパワーの高さで誤魔化してはいますが。
……カードの能力の噛み合いはあまり良くない、と言いますか。
いわゆる、シナジー……というものが、あまり強くないように感じます。
「……さらに、手札のカードの公開を宣言する」
「公開するカードは、【天空の老翁セフィロト・アルス】」
向こうのデッキのカード同士の結びつきについて考えていると。
……今度は、天岳姉妹の妹の方、天岳舞さんのレジェンダリーカード、ですね。
【天空の老翁セフィロト・アルス】
コスト10。エンティティ。レジェンダリー。攻撃力0、体力25《分類:天涯の魔導》
自分のターン中、手札にあるこのカードは任意のタイミングで公開してよい。
手札にあるこのカードが公開されたとき、自分の手札に【原初の魔導】を1枚加える。
自分のターン終了時、手札にあるこれが既に公開されているなら、デッキからマジックカードを1枚引く。
これはカードの能力によって破壊されず、除外されない。
召喚時、相手の盤面のエンティティ全てに12ダメージ。その後、墓所にマジックカードが12種類以上あるなら、【終局の魔術】を自分の手札に1枚加える。
攻撃時、相手の盤面のエンティティ全てに6ダメージを与える。
自分のターン終了時、これに『次に受けるダメージを0にする』を付与する。
……カードの公開時効果によって、向こうの手札に、【原初の魔導】というカードが、1枚加わります。
【原初の魔導】
コスト1。マジック。ファントム。《分類:天涯の魔導》
相手の盤面のエンティティカード1枚に1ダメージを与え、カードを1枚引き、自分のソーサラーを1回復し、自分の手札に【原初の魔導】1枚を加える。その後、自分の墓所にマジックカードが6枚以上あるなら、自分の領域に【天空魔導都市】を設置する。
「──そして、そのまま【原初の魔導】を使用するよ!」
「……効果の対象としては、【無名の魔女】を選択する」
……その宣言の直後。
小さな炎が飛び、あたしの盤面の【無名の魔女】へと1のダメージが与えられまして。それによって、【無名の魔女】は破壊されました。
それから、向こうのソーサラーの体力が18へと回復して……手札のカードが、上限枚数の10枚に達します。
「……これで、ターンの終了を宣言する」
「そして、ターン終了時。わたし達は【綴じられた世界アカシック・インデックス】でこっちの盤面のエンティティカード全部の《分類》を《分類:原生の侵食》に変更することと、それから、同じく【綴じられた世界アカシック・インデックス】の効果で手札のカードを3枚捨てて、【不沈の太陽アッシズ・ラー】の効果で手札のカードを1枚除外することを宣言するよ!」
そうして、ターンが終了しまして。
……ターンの終了時。
【手向けの鐘】と【夢幻の支配者ヒュプノステイパー】の《分類》が書き換えられ、その後、宣言通りに、カードが3枚捨てられました。
……そして、その中に、公開されていたカードがありまして。どうやら【天空の老翁セフィロト・アルス】を、捨てたみたいです。
それから、さらにその後。
【ミラージュ・ドリーム】の効果で『これは攻撃できない』を持つ向こうのエンティティカード全ての体力が-1されますので、【手向けの鐘】が破壊されまして。その後、ソーサラーの体力が、その効果で体力を-1した枚数分……つまり、2回復しまして。
その上で、【手向けの鐘】の被破壊時効果も、働きます。
さらに、【叛乱の機構ルシフェル】が墓所から手札へと戻っていき。ついでとばかりに、領域に【創造者無き世界】を設置しようとしましたが……それは墓所へと送られまして。
向こうの手札の公開されている【侵食の大地】の効果で【原生の捕食者】が現れますが、その直後。
【不沈の太陽アッシズ・ラー】の効果で、向こうの盤面のエンティティが全て、焼き払われていきます。
ただ、これで破壊された【夢幻の支配者ヒュプノステイパー】は手札へと戻っていきまして……。
──それから、手札のカードが1枚除外され。
その【不沈の太陽アッシズ・ラー】の手札除外を条件に発揮される効果によって。再び、向こうのソーサラーを守る、バリアのようなものが現れます。
……色々と起こりましたが、整理しますと。
向こうの体力が19。それから、手札の枚数が9枚。
──そして、墓所にあるフィールドカードの種類が、10種類……と、なりました。