カードのテキストが長すぎます!   作:ピンノ

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※香澄視点です。



139話 学校と生徒会

 

 辿り着いた場所は、先ほどの場所からあまり遠くないところでした。

 

 ……そこは、上空。そして、地上を見下ろすような形で、【ラサルハグェ】さんのニセモノが、静かに佇んでいるのが見えます。

 それから、その眼下には。……あたしたちの通う学校の校舎が、あります。

 

 あとは……そうですね。見たところ学校では、先程の雪菜さんや有栖さんのように、主に生徒会の面々が、《魔法少女》の群勢に対応しているようです。

 そして、特に体育館の中には、かなりの人が集まっていて。おそらく、避難所として運用されているところ……という感じではないでしょうか。

 

 ぱっと見での推測ではありますが、そこを守るために、生徒会の皆さんが頑張っていた……というように、見えます。

 

 ……対応に当たっている人数が多いとは言え。

 中に避難している方々はまだ全滅していないようですし、生徒会の皆さんは、相当、頑張っているみたいです。

 

 ──とりあえず。

 これ以上にご迷惑をおかけしないよう、早急に対処した方が、いいでしょう。

 

 ……地上を見下ろし、密かに《魔法少女》たちに指示を出している【ラサルハグェ】さんのニセモノは、まだこちらに気づいていないみたいです。

 

 「──身に纏う鎧は堅牢の守護。手に持つ剣は致命の凶刃。攻防一体の理を以て勝利を攫う……と。たしかそんなことを、昔おっしゃっていましたっけ……?とりあえず、そんなあなたの戦術を。少しだけ、参考にさせてもらいます。【アンタレス】さん」

 

 ……【アンタレス】さんの魔法は、シンプルです。

 毒を作り出す力。そして、武器や防具を出現させる能力。

 

 言ったしまえば。ただ、それだけに過ぎません。

 そして、作り出せる武器についても……剣や槍くらいしか作る事ができず、銃や弓なんかは、作れません。

 

 「……ここからだと少し遠い……ですね。【アルデバラン】さん。ついでに、あなたの牛を、ちょっと借ります」

 

 ……そうして、今度は。

 突如としてそこに現れた大きな牛が。その背にあたしを乗せ、【ラサルハグェ】さんのニセモノの方を、じっと見据えます。

 

 ──強靭な肉体と、空を駆ける脚と、それからまるで槍のように長く鋭い角を持つ、そんな牛を生み出して、操る魔法。

 これは【アルデバラン】さんの魔法で。これもまた、かなりシンプルな効果ですが。単純に、その牛のスペックが高いのと。それから、生み出す数に限りがないことが、大きな特徴です。

 

 「……行きましょう。──いざ突撃!です」

 

 ……と。あたしが、そう牛に命令を下しますと。

 それは、空を踏み締めて。まさに、目にも止まらぬといった勢いで、突進していき。

 

 ──その直後。その角が、身体を貫くと思われた、次の瞬間。

 直前でこちらに気づいた【ラサルハグェ】さんのニセモノは、ギリギリのところでその身を躱し。

 

 「……っ!こ、子供たちよ!」

 

 ……反射的な動作で。

 その時、ほぼ同時に、勢い余ってそのまま突っ込んでいく牛から降りた、あたしの方へと。

 

 その指を向け、周りにいた《魔法少女》たちに、攻撃命令を下しました。

 

 ──そして。

 少し遅れて、あちこちから、様々な種類の魔法攻撃が、こちらへと飛来してきます。……が。

 

 それを無視して、あたしは。

 

 ……手に持った、鞭のようにしなる刀身を持つ長い剣を。

 目の前の、【ラサルハグェ】さんのニセモノをめがけて、思いっ切り振るいます。

 

 ……これによって。つまり、自分が受ける攻撃を、完全に無視したことによって。

 飛んできた魔法攻撃は、確かに、あたしの体に命中しました。

 そして、命中したものの中には。頭や手といった、鎧を着ていない部分に当たったものも、ありました。

 

 ……ですが、しかし。【アンタレス】さんの魔法によって作り出し、体に纏っていた鎧は、単純な金属の外殻というわけではなく。

 それは、『それを身につけている』ということで、一種の概念的な防御を獲得する事ができる代物ですので。……結果、こちらが受けたダメージは一切なく。

 

 ……代わりに。着弾した魔法攻撃による爆炎などによる視界不良や、勢いよく突進していた牛から降りたばかりで体勢が整っていなかったことにより、狙いが大きくずれて肘のあたりをわずかに掠った程度で終わってしまった、あたしの攻撃はと、言いますと。

 

 その、わずかにできた肘の辺りの傷口から、まるで侵食していくかのように。

 ……【ラサルハグェ】さんの姿をした使いが、ボロボロと、崩れていく様子が見えます。

 

 「──そ、んな……」

 

 そうして。視線がぶつかり合った、一瞬。

 【ラサルハグェ】さんのニセモノは、目を見開いて、小さく呟き。

 

 ……その姿がブレて、1匹の蛇へと、姿を変えまして。

 そして、消えてしまう寸前に。

 

 ──あたしは、またも鱗を1枚剥ぎ取って。それを、手に入れました。

 とりあえずは、これで3枚目……ですね。

 

 「……これで3枚、だけど。どうだい?何か、わかりそうかい?」

 

 そうして。鱗を3枚、まとめて指先で摘んで見つめるあたしに対して。

 ……ひょっこりと現れたミニテロスさんが、そんな風に、声をかけてきました。

 

 ……そう、ですね。

 うっすらと……ではありますが。何となく、【ラサルハグェ】さんのニセモノとはまた違う、それよりももっと大きな何かへと繋がる、そんな道筋……のようなものが、ぼんやりと感じられます。

 

 ──多分ですが。

 おそらく、そこに本体がいる……と、いうことなのでしょう。

 

 ですが、まだあまりにも微弱でぼんやりとした反応なので。

 ……これだけだと、うまく捉え切れるような気がしません。

 

 多分、あと何枚か、同じように鱗を集める必要がありそうです。

 

 ……まあ、ですが。

 ただ集めていくだけでどうにかなりそうなのは、助かります。

 まだまだ【ラサルハグェ】さんのニセモノの反応はたくさんあるようですので、このまま、同じことをもう少し繰り返していきましょう。

 

 ……と。

 方針を心の中で定めたところで。

 

 ふと、学校の方へと、視線を向けてみます。

 ……そちらの方では。どうやら《魔法少女》たちによる攻撃が突然に止まったことで困惑しているらしいみんなの姿が、遠目に見えます。

 

 せっかくなので、生徒会のみんなにも声をかけていきたい気持ちはありますが……。

 

 ……しかし、あまり、時間をかけるのもよくないでしょうし。

 それに、今起こっている状況について説明するのも、かなり大変です。

 

 ……ですので、そうですね。

 これが終われば、時間はありますし。お話がしたければ、その時にすればいい、というふうに考えましょう。

 

 つまり。ここは、気付かれないように、そっと立ち去ることにします。

 ……まだ、この世界に同じような使い魔は大量に存在しているみたい、ですが。

 しかし、もう近場にはいないようですので。多分、この辺りはしばらくは安全と言って、いいでしょう。

 

 ──逆に言うと、次が、少し遠いので。

 効率よく回っていくルートを考えた方がいいかも……です。

 

 

 ……。

 

 ……少し、どのように回っていくかを、考えまして。

 

 そうして、よく考えたら。

 そもそも、全部を倒す必要もなさそうなことに気が付いたので、その時々で1番近いところに、行くような形でいいか、と思い直しました。

 

 

 「……よし、じゃあ、えっと。次に行きます、ね」

 

 ……こちらを眺めているミニアルケーさんとミニテロスさんに、何となく。

 そんな風に、一声掛けまして。

 

 あたしは、また、出発しました。

 ……次に向かう場所は、都会の方……ですね。

 

 少し前に、プロのソーサラーによる『ファントムビルド』の大型大会を見に行った場所の近く、です。

 

 ──と。まあ、そんな感じで。次から次へと、向かっていきまして。

 そうして、おおよそ。追加で10枚ほどの、鱗を手に入れた時。

 

 「……これなら、やっと。本物の【ラサルハグェ】さんの場所が、わかりそう……です」

 

 ……ようやく。

 本体の、具体的な場所がどこなのか、わかるようになりました。

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