カードのテキストが長すぎます!   作:ピンノ

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※有栖視点です。



18話 推測あるいは推定

 

 【仙禽の報恩】

 コスト1。マジック。《分類:旅立ちの始点》

 自分のソーサラーは『次の次のターン開始時、自分が前のターンとその前のターン中にマジックやエンティティの効果によってカードを引いていなかったなら、そのターン中のみ使える追加のコストを1だけ得て、カードを2枚引く。条件を満たしていなかったなら、自分の盤面に【飛び去る仙禽】を1枚出現させる』と『次の次のターン開始時、自分の手札とデッキと墓所にある【仙禽の報恩】は《分類:読了の栞》を持つ』を持つ。

 このカードが《分類:読了の栞》を持っているなら、このカードのコストは0になり、上記の効果は発動せず、代わりにカードを1枚引く。

 

 これが、ボクが最初に使用したカード。

 …… そして、これと関連する『ファントムカード』が、こう。

 

 【飛び去る仙禽】

 コスト2。エンティティ。ファントム。攻撃力3、体力1《分類:旅立ちの始点》

 『猛進』

 

 要するに、2ターン後に追加コストと2ドローか、『猛進』持ちエンティティを出すか、ということを選べるカード。

 

 様子見として使うなら、まあかなり無難なカードって言えるんじゃないかな。

 

 マジックに《分類:読了の栞》が追加されるのは……まあ、メリットでありデメリットでもある。

 

 これが付くと、もうこのカードは同じように使えない。

 ただの0コスト1ドローカードになってしまう。

 

 まあ、ある意味それはそれで強いこともあるんだけどね。

 

 ボクのデッキの勝利効果の発生……レジェンダリーの勝利条件が満たされるのは、大まかに言えば、この《分類:読了の栞》が、デッキの全ての《分類:旅立ちの始点》を持っているマジックカードに付与されていること。

 

 だからそういう点では、この分類が付与される効果は、メリットでもあると言えるんだ。

 

 つまり、カードは使わないといけないけれど、何も考えずに使っていくと、デッキというリソースの有限性が他の人のデッキより高いから、たまに酷いことになる、っていうだけのお話なんだよね。

 

 「ターンエンド!」

 

 「【ルクバト】の効果」

 

 ボクがターンの終わりを宣言すると、香澄ちゃんの手札の中の、公開されている1枚……【人馬の魔女ルクバト】の矢が、頭上へと放たれて、香澄ちゃんの手札のカードの枚数が増えた。

 

 【人馬の魔女ルクバト】と【不可避の一矢】。

 何が本命かは一旦置いておいて、嫌なカードだ。

 

 だって、あれが手札にあるだけで、それだけで手札のリソース量が段違いになる。そんなカードだ。

 

 ターン開始のドローも合わせて、彼女のカードの枚数は7枚。

 

 なんだかんだ、溢れないようにしなきゃなのは前提だけど……その範囲に収められるのなら、手札の枚数が多いというのは、それだけで強い。

 

 「【ハマル】の召喚」

 

 コストを2使用して、エンティティを召喚してきた。

 

 それは、霧のような、モヤのような……あるいは煙のような、そんな、実体を持たなさそうな白いもくもくに身を包んだ、《魔女》だった。

 

 【白羊の魔女ハマル】

 コスト2。エンティティ。攻撃力2、体力1《分類:星辰の魔女》

 召喚時、1ターンの間『不可視』を持つ。

 攻撃時、対象がエンティティであるなら、処理を行う前に盤面のエンティティ全ての攻撃力と体力を-1する。この効果によって自壊したなら、墓所ではなく手札に加わり、お互いのソーサラーは、次の相手のターン開始時まで、『自分のターン終了時、自分の盤面のエンティティ全ての攻撃力と体力を-1する』を持つ。

 

 『不可視』は、相手のカードで対象に選ぶことができない、っていう効果。

 

 つまり、カードの効果でダメージを与えるとか、エンティティの攻撃でダメージを与えるとか、そういうことができないっていうことだね。

 

 ……まあ、『盤面全体』にダメージ、とか『ランダム』なエンティティ1枚にダメージ、とかなら通せるから、完全無敵という訳ではないけど。

 

 まあ、問題なのは、攻撃時効果の方だろうね。

 

 『不可視』は1ターンしか付与されないみたいだし、どう見ても本命ではない。

 

 盤面全体へのデバフ。

 ……味方にも影響があるのは使い所が難しそうだけれど、牽制としては充分な効果だ。

 

 しかも、時間差があって、合計2回起動する効果。

 

 これは、即座に効果が起動して攻撃力と体力を-2するよりも、強い場面が多いから、むしろ、この時間差は強みだと思う。

 

 例えば、これだけで攻撃力や体力が1とかの小粒のエンティティが一気に価値を失うから。

 序盤の、小粒しか出せないようなタイミングを、潰してしまうことができてしまう。

 

 それも、コスト2のカード1枚で。

 

 まあ、今考えるべきなのは、多分そこではなくて。

 

 ……自分にも影響を及ぼすことが、どういう意味なのか、ということが気になっている。

 

 単純に強すぎる効果への帳尻合わせならいいけれど、これがメリットに転じるのなら、酷い話だ。

 

 デメリット効果に見せかけたメリット効果、なんて。

 

 『羊の皮を被る狼』みたいで、いかにもそれっぽいんじゃあ、ないだろうか。

 

 「ターンエンド」

 

 ボクのことはまるで意に介していないとばかりに、香澄ちゃんは、無感情にターンを終えた。

 

 ターン開始のドローをして。

 

 「コストを1支払って、【福呼びの鳥】を使うよ!」

 

 それは、たった今引いたカードだった。

 

 本当は最初の引き直しの時に引いて確保しておきたかったカードだけれど、充分間に合ったって言えると思う。えらい!

 

 【福呼びの鳥】

 コスト1。マジック。《分類:旅立ちの始点》

 デッキに【幸福の青鳥】を1枚加え、そのコストを0にする。その後、手札に【幸運の青鳥】を1枚加える。

 このカードが《分類:読了の栞》を持っているなら、このカードのコストは0になり、上記の効果は発動せず、代わりにカードを1枚引く。

 

 効果によって、手札にカードが増えたけれど、カードを引く効果じゃないから、【仙禽の報恩】の『条件』には、全く影響がない。

 

 そして、その手札に増えたカードは、これ。

 ……デッキにもカードが増えたけれど、内容は、全く一緒だ。

 

 【幸運の青鳥】

 コスト8。エンティティ。ファントム。攻撃力4、体力3《分類:旅立ちの始点》

 『神速』

 『不可視』

 召喚時、手札とデッキの【幸運の青鳥】を全て除外し、自分の盤面のランダムなエンティティ1体の体力を2回復する。その後、自分の手札とデッキと墓所にある【福呼びの鳥】は《分類:読了の栞》を持つ。

 手札にあるこのカードは、カードを1枚引くたびにコストを-1する。

 

 『神速』は、盤面に出たばかりのターンからでも攻撃ができる、という能力のことを指している。

 『猛進』と違うのは、ソーサラーを攻撃相手に指定することもできる、という点で、そういう意味では、完全に『猛進』の上位互換だ。

 

 そして、これの『不可視』は、【白羊の魔女ハマル】と違って、付与されている期間に制限がない。

 

 ……まあ、同じ『不可視』でも用途が違うってだけだろうけどね。

 

 デッキからコスト0の【幸運の青鳥】を引ければ万々歳だし、引けなくっても少しずつ手札の【幸運の青鳥】のコストが下がっていく。

 ──そして、どっち道、盤面に【幸運の青鳥】は出すことになる。

 

 まあ、辿る経緯が違うだけで、結果は同じところに収束する、そういうカードだ。

 

 さて、残った1コスト。

 

 1コストで使えるカードを引くカードもあるけれど、それを使って次のターンに【飛び去る仙禽】を出すべきか、否か。

 

 出すべきだね、うん。

 

 自壊の欠点……というより、自壊をメインにしたい相手への対処の1つとしては、盤面に出しておいたエンティティを、できるだけ残さないようにする、というのがある。

 

 そうすれば、自壊の数を稼ぐ必要があってそうしたい時、わざわざ盤面に出して自壊するという、2行程をターンの内に要求できるから。

 

 問題は、このカードを使ってまでそうするべきかってところだけど。

 

 こっちの情報については、最初から隠匿なんて期待してない。

 

 「さらにコスト1、【旅立ちへの支度】!」

 

 【旅立ちへの支度】

 コスト1。マジック。《分類:旅立ちの始点》

 自分のデッキに《分類:読了の栞》を持つカードが10種類以上あり、自分のデッキに《分類:読了の栞》を持たない《分類:旅立ちの始点》を持つマジックがなく、そのターンの使用可能なコストの上限が10なら、自分のソーサラーに『次の自分のターン開始時、このバトルに勝利する』を付与する。

 もし、上記の条件を満たしていないなら、デッキから《分類:読了の栞》を持たない《分類:旅立ちの始点》を持つマジックを1枚引き、自分の領域に【保管された物語】を1枚生成し、設置する。その後、このカードは墓所ではなくデッキに加わる。

 

 ……ちなみにこれは豆知識だけれど、『使用可能なコストの上限』に、追加コストは計上されない。

 そうでなければ、【仙禽の報恩】の追加コスト効果で勝利ターンを早められたりするんだけど、ね。

 

 カードを使った瞬間、たくさんの背の高い本棚の幻が、まるで大きな図書館のような風景が、あたりに広がる。

 

 【保管された物語】

 コスト6。フィールド。ファントム。《分類:旅立ちの始点》

 お互いのソーサラーは自分のターン終了時、手札のカードを好きな枚数だけデッキに戻してよい。その後、これの効果によって、前の自分のターン終了時にカードをデッキに戻していたなら、そのソーサラーは『次の自分のターン開始時まで、受けるダメージを-1する』と『次の自分のターン開始時、カードを1枚引く』を持つ。

 なお、これが場に出てから1ターン経過するまで、お互いのソーサラーはこれの効果を使用できない。

 

 強い効果のカードだけれど、使うことに躊躇いがあったのは、これが──【旅立ちへの支度】が、勝利条件を持つカード……レジェンダリーだから。

 

 今ボクがしているように、普通、レジェンダリーの情報は憶測に推測を重ねて予想するものである。

 だから、こうしてあっさりバラすのは、本当は、あまり強い動きではない。

 

 雪菜ちゃんから聞いた話からの判断だけど、多分、香澄ちゃんはボクのデッキを知っているから。

 

 だから、ボクは、これを見せてもいいって、考えたんだ。

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