カードのテキストが長すぎます!   作:ピンノ

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分類名と視覚的に区別しやすくするため、カードの名前のカッコを《》から【】に変更しました。

※今回も有栖視点です。



21話 灯火あるいは幻

 

 失敗した。

 

 こうも容易に『不可視』を突破されることは正直なところ、予想していなかった。……けれど、現実としてそうなってしまった以上、受け入れるしかない。

 

 今考えるべき問題は、相手の盤面の【獅子の魔女レグルス】だ。

 

 「ボクのターン!」

 

 とりあえず、ターン開始のドローと、【保管された物語】の効果で手札を8枚に増やして、考える。

 

 ……【月の姫君】のコストは、12。

 

 カウントダウンとしては、次のターン開始時に、墓所へと移る。

 ……その時になって、ようやくボクの手札に【霊薬の煙】が加わり、継続的な回復を得ることになる。

 

 そして。

 

 さらに、手札のカードの内の1枚に目を向ける。

 

 【泡沫の恋】

 コスト4。マジック。《分類:旅立ちの始点》

 自分の盤面に【海の姫君】1枚を出現させる。

 このカードが《分類:読了の栞》を持っているなら、このカードのコストは0になり、上記の効果は発動せず、代わりにカードを1枚引く。

 

 このカードで出現させる、【海の姫君】という、【月の姫君】と似た名前の『ファントムカード』が、重要な意味を持っている。

 

 【海の姫君】

 コスト4。エンティティ。ファントム。攻撃力3、体力4《分類:旅立ちの始点》

 出現時、自分の墓所から【海の姫君】以外のコストの最も高いランダムなエンティティ1枚を盤面に出す。その後、このエンティティは自分の効果で出現させたエンティティを対象とした『ライフリンク』を持つ(この効果によって『ライフリンク』を持つのはこのエンティティのみである)

 被破壊時、自分の手札とデッキと墓所にある【泡沫の恋】は《分類:読了の栞》を持つ』を得る。

 

 つまり、【海の姫君】を盤面に出すことによって、その時、墓所に【月の姫君】があれば、ボクは同時に、【月の姫君】を盤面に出すことができるということだ。

 

 【月の姫君】は、攻撃力と体力の数値が高いだけでなく。

 自身へのダメージ抑制効果を持っているため、盤面に残りやすい、継続的な回復リソースとしての役割も持つ。

 だから、【月の姫君】のカウントさえ終了すれば、状況は大きく変わる。

 

 けれど、それは早くても次のターンだし、その上、【獅子の魔女レグルス】を放置するわけにもいかない。

 

 けれど、今のボクに【獅子の魔女レグルス】を破壊できるカードはない。

 

 デッキには入っているけれど……使うなら、それをまず引く必要がある。

 そして、それのコストは6だから、仮に引けていたとしても、まだ使えない。

 

 使うとしても、次のターン……つまり、【月の姫君】と【霊薬の煙】を、1ターン遅らせる必要が出てくる。

 

 まあ、問題は今のターンをどうするか、だけれど。

 

 【獅子の魔女レグルス】を今破壊できないのであれば、今は一先ずその【獅子の魔法レグルス】を破壊できるカードを手札に加えて、それから残ったコストで回復に専念してダメージに備えておく、というのが無難だろう。

 

 一応その他の選択肢として、【泡沫の恋】を使ってしまって、墓所から【幸運の青鳥】を盤面に出す、という手もあるけれど。

 

 ……【獅子の魔女レグルス】の効果は、毎ターン終了時に発動する効果だ。

 またすぐに処理されて、むしろ状況は悪化するだけだろう。

 

 「コスト1【斧と女神】を使用するよ!」

 

 【斧と女神】

 コスト1。マジック。《分類:旅立ちの始点》

 手札のカードの内、最もコストの低いカードを1枚デッキに戻し、自分のソーサラーは『次の自分のターン開始時、デッキから最もコストの高いカードと最も低いカードを1枚ずつ引き、その後、その2枚の内どちらかをデッキに戻す。その時、コストの高いカードをデッキに戻したなら、そのターン中のみ使える追加のコストを1得て、相手のソーサラーに『自分のターン開始時、手札のカード1枚をデッキに戻す』を付与する。コストの低いカードをデッキに戻したなら、その後、さらに手札のカードを1枚選んでデッキに戻す』を持ち、さらに、『次の自分のターン開始時、自分の手札とデッキと墓所にある【斧と女神】は《分類:読了の栞》を持つ』を持つ

 このカードが《分類:読了の栞》を持っているなら、このカードのコストは0になり、上記の効果は発動せず、代わりにカードを1枚引く。

 

 デッキに入っているカードは、その『コスト6のカード』が最も高いコストだから、これで、次のターンに確実に手札に加えることができる。

 

 もし、この効果以外でそれが手札に加わったなら、それはそれで、2枚目になるそのカードをデッキに戻して、追加コストを得たり、相手の手札を1枚減らしたりすることに使えばいい。

 

 「さらに今度はコスト3!【少女の灯火】!」

 

 【少女の灯火】

 コスト3。マジック。《分類:旅立ちの始点》

 自分の手札に【幸福の幻】を1枚加える。

 このカードが《分類:読了の栞》を持っているなら、このカードのコストは0になり、上記の効果は発動せず、代わりにカードを1枚引く。

 

 手札に、【幸福の幻】というカードが加わる。

 

 【幸福の幻】

 コスト1。マジック。ファントム。《分類:旅立ちの始点》

 自分の体力を2回復し、カードを1枚引く。

 自分のソーサラーは『自分のターン終了時、自分の手札のカードを1枚にデッキに戻す』を持つ。

 これを使用した時、これのコストが2以下なら、これと同じカードを生成し、コストを+1して手札に加える。

 これのコストが3以上だったなら、自分の手札とデッキと墓所にある【少女の灯火】は《分類:読了の栞》を持つ。

 

 「そして【幸福の幻】!」

 

 【幸福の幻】の効果で、体力を2回復して、カードを1枚引く。

 さらに、コストが2になった【幸福の幻】も手札に加わるので、これで手札の枚数は8枚。……そして、これで、ボクの体力は残り18になった。

 

 【獅子の魔女レグルス】の攻撃力の高さと、被破壊時効果によるダメージはすごく厄介だけれど、【保管された物語】のダメージ減衰も加味すれば、一先ずはすぐにやられるような体力ではないだろう。

 

 「ターンエンドだよ!」

 

 そして、ターン終了時。

 

 ……ボクは【幸福の幻】の対価として、カードを1枚、デッキに戻す。

 さらに、【保管された物語】の効果も使うので、もう1枚戻して、手札の枚数は6枚になった。

 

 そして、その一方。

 

 【人馬の魔女ルクバト】2枚の効果と、ターン開始時のドロー、さらに、【保管された物語】の効果で、手札は一気に4枚増えて。

 香澄ちゃんの手札の枚数は、上限の10枚に達していた。

 

 【人馬の魔女ルクバト】は、片方がコスト1で、もう片方がコスト9になったから。

 次のターンで、片方の【不可避の一矢】の供給は終わりになる。

 

 「【レグルス】で攻撃」

 

 まずは、元々盤面にいたエンティティ、【獅子の魔女レグルス】による攻撃で、ボクの体力は14になる。

 

 「【不可避の一矢】2枚。対象は相手ソーサラー」

 

 さらに、【不可避の一矢】が2枚で、4のダメージ。

 体力は、残り10。

 

 「【ハマル】の召喚」

 

 最後に、余ったコストでとりあえずカードを使った、とばかりに。

 香澄ちゃんは、コストを使い切った。

 

 「終わり。……あとカードを1枚デッキに戻す」

 

 香澄ちゃんの手札の枚数は、これで6枚。

 

 「ボクのターン!」

 

 ターン開始時のドロー。

 そして、【保管された物語】で1枚引く。

 

 ……さらに、【斧と女神】の効果で、デッキから最もコストの高いカードと、最も低いカードを引いて、手札は一時的に10枚──上限枚数になった。

 

 そして、【レグルス】を処理できるカードは、今回のターン開始時のドローで引けた。

 だから、【斧と女神】で引いてきたものと合わせて被ったので、そのカードは2枚……片方は、不要だろう。

 

 ──【斧と女神】の選択。

 ボクはコストの高い方……【魔法使いとの邂逅】を、デッキに戻した。

 

 これで、ボクはこのターン追加コストを得て、さらに相手……香澄ちゃんは、次のターン開始時、カードを1枚デッキに戻さなければならなくなる。

 

 ……これでようやく。

 ボクにも少しだけ、光明が見えてきたんじゃあ、ないだろうか。

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