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※有栖視点です。
追加コストを合わせて、今のターン、使用可能なコストは7。
手札の【月の姫君】のコストは13になり、墓所へと送られ、入れ替わるように、手札に【霊薬の煙】が加わった。
これで、手札のカードは9枚だ。
──【泡沫の恋】で【海の姫君】と【月の姫君】を出すこともできる、けど。
そうすれば、盤面の【獅子の魔女レグルス】と【白羊の魔女ハマル】を残すことになってしまう。
そうした場合、【獅子の魔女レグルス】で攻撃して、【白羊の魔女ハマル】でエンティティに攻撃での全体デバフで【獅子の魔女レグルス】を巻き込んで被破壊時効果を誘発し、【不可避の一矢】2枚で……。
見えているカードだけでも、【保管された物語】のダメージ減衰の上から12点のダメージになる。
【月の姫君】はターン終了時にソーサラーと自分自身を回復する効果を持っている。
あとは【霊薬の煙】……は、回復効果が自分のターン開始時だから使うのを我慢して、【幸福の幻】の回復効果で、4点回復にはなるから、一応、体力14にすることができて……。
それでギリギリ耐えることはできるけれど。
倒しきれないなら、【獅子の魔女レグルス】を【白羊の魔女ハマル】で倒す必要がなくなって、【獅子の魔女レグルス】を盤面に残すだろう。
そうしたら、【獅子の魔女レグルス】のターン終了時効果で、【月の姫君】が破壊されるから、【海の姫君】も、『ライフリンク』で倒れる。
そのパターンでは【白羊の魔女ハマル】が盤面ではなくソーサラーに攻撃するようになる変化と【獅子の魔女レグルス】の被破壊時効果がそのターンでは発動されない変化を加味すると。
──こちらの盤面は更地になった状態で、ボクの体力は残り5で、【獅子の魔女レグルス】と【白羊の魔女】ハマルを盤面に残すことになる。
この計算は、あくまで見えているカードだけで計算した場合だから、1番都合よくてそれ、ということでもある。
……やっぱりどっち道、【獅子の魔女レグルス】を破壊しないことには、逆転の可能性は無さそうだ。
かなり怖い状況にはなるけれど、やるしかない!
「コストを6使って、【魔法使いとの邂逅】!」
【魔法使いとの邂逅】を使用した瞬間。
盤面に、大きく立派な鬣を生やしたライオンと、重厚で鋭利な斧を片手に担いだブリキ人形、そして、農夫のような姿の、カカシが現れた。
【魔法使いとの邂逅】
コスト6。マジック。《分類:旅立ちの始点》
自分の盤面に【勇敢なる獅子】と【心持つブリキ人形】、【知性あるカカシ】を1枚ずつ出現させ、自分の手札に【銀の靴の少女】を1枚加える。
このカードが《分類:読了の栞》を持っているなら、このカードのコストは0になり、上記の効果は発動せず、代わりにカードを1枚引く。
【勇敢なる獅子】
コスト4。エンティティ。ファントム。攻撃力5、体力5《分類:旅立ちの始点》
『猛進』
【心持つブリキ人形】
コスト4。エンティティ。ファントム。攻撃力4、体力5《分類:旅立ちの始点》
『防衛』
【知性あるカカシ】
コスト4。エンティティ。ファントム。攻撃力5、体力4《分類:旅立ちの始点》
『誘引』
一瞬にして、強固な盤面が形成された。
『防衛』は、相手エンティティによる攻撃のターゲットを自身に絞る効果で、『誘引』は、相手のカードの効果によって対象を選択する時、これを持つエンティティに絞らせる。
これらがあれば、【獅子の魔女レグルス】や【白羊の魔女ハマル】は【心持つブリキ人形】しか攻撃できないし、【不可避の一矢】は【知性あるカカシ】へと撃たざるを得ない。
さらに、その上で。
【銀の靴の少女】
コスト0。エンティティ。ファントム。攻撃力3、体力3《分類:旅立ちの始点》
『猛進』
戦闘時、ダメージを与え合う前に戦闘相手のエンティティを破壊する
自分のターン開始時、これは手札に戻る。
これが盤面から離れるとき、自分の手札とデッキと墓所にある【魔法使いとの邂逅】は《分類:読了の栞》を持つ。
「コスト0!さっき手札に加わった【銀の靴の少女】を召喚するよ!そして、そのまま【獅子の魔女レグルス】に攻撃だ!」
【銀の靴の少女】の効果によって。
『猛進』を持つ彼女は、【獅子の魔女レグルス】に攻撃する。
突如として眼前に現れた【銀の靴の少女】に、【獅子の魔女レグルス】は、その大剣で斬り払おうとしたけれど。
それよりも早く、【銀の靴の少女】が手に持ったバケツで水をかけると、【獅子の魔女レグルス】は、瞬く間に霧散した。
その場に残ったのは、一振りの大剣。
主人を失い、地面に突き刺さった大剣は、最後に一人でに浮き上がると、まるで弾丸のような勢いで、ボクの胸元を貫いた。
──けれど、ボクはまだ生きている。
【保管された物語】は、相手のターン中にしか働かないから、5のダメージを受けて、体力は残り5。
極めて心許ないけれど、盤面の状況は、かなり盤石だ。
「あとは、コスト0で、【仙禽の報恩】」
【斧と女神】で引いた、コストの低かった方。
《分類:読了の栞》が既に付与されているから、ただカードを1枚引くだけのカードでしかない。
本当は回復もしたいけれど、【幸福の幻】は2コストになっているし、【霊薬の煙】も、同じく2コスト。
コスト1で使えるカードは、現状、手札にない。
追加コストの1コストは、勿体ないけれど、今回は使おうにも使うことができないのだ。
「ターン終わり!」
また、カードを1枚デッキに戻して、手札のカードは、これで7枚だ。
リソースは充分にある。
これなら、まだ……。
「──反撃の準備は整った?」
【人馬の魔女ルクバト】2枚が、【不可避の一矢】を1枚ずつ手札に加えて、その内の1枚が、自動的に盤面に引き摺り出されて破壊された後。
──ターン開始時のドローと【保管された物語】でカードを引いた後、【斧と女神】で付与された効果でカードを1枚デッキに戻しながら。
……香澄ちゃんは、こちらにその青い目を向けてそう言った。
香澄ちゃんの手札のカードは8枚で、使用可能なコストは、7。
「あなたのこのターンの生存確率は4分の1……つまり、25%。祈ってみる?」
時間はあげるよ、と、彼女はそう言い切った。
「いらないよ!ボクが信じるのは、ボク自身と、それから仲間や、友達だけさ!」
「……そう。なら、せめてその人たちに祈るといいわ」
香澄ちゃんは、その青い目を一度閉じて、言い捨てた。
「【ハマル】で【ブリキ人形】に攻撃」
【白羊の魔女ハマル】が、【心持つブリキ人形】へと迫る。
【心持つブリキ人形】は、その斧で応戦しようとしたけれど。
突如として立ちこめた、白い霧によって【白羊の魔女ハマル】は姿を消した。
よく見れば、消えた【白羊の魔女ハマル】は、自身の効果で破壊されていることがわかるけれど。
……それは、墓所ではなく手札へと加わっていった。
霧の力によって、ボクの盤面のエンティティ全てが、その力を少しだけ削られ、疲弊したような姿を見せる。
……そして、同時に、【白羊の魔女ハマル】が自分の効果によって自壊したことにより、ボクと香澄ちゃんの両方に、白い煙のようなものが纏わり付いた。
自分の盤面が空になったのを確認するかのように、自分の盤面を一瞥した後、香澄ちゃんは手札のカードに触れた。
「【ズベン】」
……そうして、そこに現れたのは。
巨大な天秤。天秤は、ぐらり、と傾き、そして。
突如として、【心持つブリキ人形】と【知性あるカカシ】、【銀の靴の少女】が消し飛ばされた。
「……残念。ハズレ。次はせめて……その、お友達にでも、ちゃんと祈ることね」
その様子を見て、欠伸を噛み殺しながら、香澄ちゃんは言った。
【天秤の魔女ズベン・エル・ゲヌビ】
コスト5。エンティティ。攻撃力5、体力5《分類:星辰の魔女》
召喚時、お互いの盤面のエンティティの枚数を比較して、多い方のエンティティを少ない方と同じ枚数になるようにランダムに破壊する。
ターン終了時、自分と相手の盤面のランダムなエンティティ1枚ずつにそれぞれ5ダメージを与える。
被破壊時、これが破壊したエンティティの数と同じ値だけ、お互いのソーサラーにダメージを与える。
「【不可避の一矢】1枚。対象はソーサラー」
【知性あるカカシ】が破壊されて、盤面からいなくなったことで、自由にターゲットを選べるようになった【不可避の一矢】が、ボクを射抜く。
これで、ボクの残り体力は、3。
「おしまい」
香澄ちゃんが静かにそう宣言すると、天秤を持った《魔女》が、それを天高く掲げた。
すると、その2つの皿から眩い光が漏れて……。
──その光に焼かれて、【勇敢なる獅子】と、【天秤の魔女ズベン・エル・ゲヌビ】は霧散した。
最後に残った、天秤は。
持ち主を失い、天高く浮き上がる。
【獅子の魔女レグルス】の大剣とはまた違って、ただただ上へと昇っていく。
そして。
2つの皿は水平になり。
ボクに4のダメージ、香澄ちゃんに5のダメージを与えながら。
……それは、更なる光を放って、破裂した。