カードのテキストが長すぎます!   作:ピンノ

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以前からも少しいただいていたので今更ではありますが、先日、誤字報告をいただきました。
ありがとうございます!
もちろん、誤字は無いことに越したことはないので、極力ないようにはしているつもりですが……それでもすり抜けてしまうものは、あります。(ありました)

ですので、いただいた報告は、誤字が無くなり、作品としての質の向上に繋げさせていただくことができるという点でとてもありがたいですし、そして、そこまで読み込んでいただいているのだと思うと、その点でも、嬉しい気持ちはあります。

また、誤字報告とかは特にしていないよ、という方も、ここまで読んでくださっている、というだけで、とてもありがたいです!
誤字脱字に気を付けつつ、これからも、皆さんに読んでいただけるような話を書けるよう、頑張りたいと思っています。

※香澄視点です。



本編 4.イミテーション
34話 動画あるいは検証


 

 学校の、お昼休みです。

 

 案の定授業にはちゃんとついて行けている自信はありませんが、今日もあたしは元気です。

 

 前世でもちゃんと勉強をしたような覚えがないので、まあ、仕方がない……という事にしても、いいでしょうか……?

 

 既に学問は少しばかり苦戦していますが、そんなあたしにとっても、お昼休みは癒しの時間です。

 何せ、授業が目の前であたしをおいて進んでいかない時間ですので……。

 

 昼食を終えたあたしは、ぼんやりと、スマホを眺めます。

 スマホの画面には、前に見た、天柄さんが優勝した地方大会の決勝の録画が流れています。

 

 録画、といってもあたしが撮ったものではなく、誰かが、撮ったものを『校内掲示板』に流したものではありますが。

 

 ……あ、えっと、うちの学校には『校内掲示板』というものがありまして。

 

 簡単に言えば、学籍番号とパスワードで認証した人が、読んだり書き込んだりできるサイトです。

 

 学校側が管理しているので、学校側で、不適切だと判断された場合、その書き込みや話題が消されてしまうので、何でもかんでも書き込める、という訳ではないのですが……。

 

 そうですね……例えば、昨日の朝に、『【急募】小テストの出題問題』とか『安価で小テスト回答する』みたいな話題が立てられていたのですが、気が付けば消えていました。

 

 他にも、学校側が不適切だと判断しなかった場合でも、理由の記入が必要ですが、申請を出して、消してもらうということもできます。

 

 ……これについてはあまり例がないので、仮に、と頭につける必要があるのですが。

 

 もし、仮に今あたしが見ている動画について、天柄さんや有栖さんが『戦術の拡散につながる為』とか、『あまり見られたくないから』とかで削除申請を送った場合、学校側によって削除されるので、見ることができなくなります。

 

 

 ちなみに、今見ているこれは掲示板の中でも『地方大会で副会長が激戦を繰り広げてた件』という話題の一言目のところ……つまり、話題主のコメントに貼り付けられている動画を再生している状態でして。

 

 動画を縮小表示にすれば、この話題について話している他の人たちのコメントを見ることもできます。

 

 音を出して動画を流すのは、流石に迷惑かなと思ったのと、自分がスマホで何をしているのかが周りにわかってしまうのは、なんだか少し恥ずかしいので、音は、無音にして見ています。

 

 ──今度、イヤホンでも買いに行きましょうかね……。

 

 

 何度も、動画を止めて巻き戻して止めて巻き戻して、ということを繰り返して、少しずつ、あの時何が起こっていたのかを理解していきます。

 

 

 ……まあ、とは言っても完全な理解まで及んでいる、という程の自信はないのですが……。

 

 

 あたしがそうやって動画を見ていると。

 

 ──いつの間にか、雪菜さんの顔がすぐ近くにあったということに、気が付きました。

 

 

 「……随分熱心に見るのね」

 

 ……心なしか、雪菜さんが、少し引いているように見えます。

 

 「あ、いえ、えっと、繰り返し見ないと、ちゃんと理解できないので……」

 

 恥を忍んで、本当のことを言います。

 すみません……あたし『ファントムビルド』あんまりよく分かってないんです……。

 

 「ふうん。まあ、勉強熱心なのは、いいことではあるのかしらね」

 

 そんなあたしの思いが、通じたのか通じていないのかはよく分かりませんが……一応、理解を示してくれるようでした。

 

 

 「……えっと、その、雪菜さんは、試合を見る時とかって、どういうことを意識してるとかって、あったり……します、か?」

 

 とりあえず、今度は逆にこっちから聞いてみます。

 実際、どうやったらあんな風に素早く色々と理解できるのか気になりますので……。

 

 「……?そうね。特にこれといって特別何か意識してるとかはないわ」

 

 

 ……そうなんですね。

 やっぱり、才能とか、積み上げてきた知識や経験……の違い、ということですかね……。

 

 「まあ、強いて言うなら、普段通りって感じかしらね。どっちか応援したい方に自分を当てはめて、その視点から主観的に見るって言うか……」

 

 ふむふむ。

 状況の理解力の強化につながるかと言えば、そんなことはあまりなさそうですが。確かに、もし自分がその場にいたら〜〜というのは、見方として面白そうです。

 

 「……なる、ほど?ですね」

 

 「ちゃんと理解できないって言ったって、状況がわからないとか、試合の流れに置いていかれるとか、そう言う訳じゃないんでしょ?」

 

 雪菜さんは、続けて「なら別にわざわざ他の人のやり方を参考にすることなんて……」ということを言いますが、いえ、その。

 

 

 ……ううん、この際なので、『転生』とかその辺りのことは隠しつつ、相談してしまいましょうか……。

 

 

 ……。

 

 

 「──と、いうこと、なんです」

 

 ……結局、自分が試合をしている時だけ何故かこう……上手くいく、みたいなお話と、その後不思議と記憶が曖昧だったりする、と言うお話をしてしまいました。

 

 

 「……なるほどね。おそらくだけど、試合中になると極度の集中状態に入る、とかそういうのが、原因じゃないかしら?」

 

 

 少し考えて、雪菜さんはそう結論づけました。

 

 「……自分の実力と思えない、という考えについても、再現性があるなら、むしろその認識の方が間違えているようにも考えられると思うわ」

 

 ……そう、なのでしょうか?

 

 

 「でも、そうね。実のところあんたの目の色が変わる現象とか、色々と気になってはいたし……ちょっと軽く検証してもいいかしら?」

 

 「えっと、検証、ですか……?」

 

 なにか、怪しげな実験でもされるのでしょうか……?

 と言うか、目の色が変化するって何なのでしょうか……あたしはそんな面白生物ではないと思いますが。

 

 「そんな身構えなくていいわよ。例えば、『ファントムビルド』ではなく『イミテーション』をやった場合どうなるか、とか、そんな風にある程度類似したシチュエーションで再現性の範囲を確かめるだけよ」

 

 『イミテーション』、ですか。

 ……言われてみれば、小さい頃に両親とやってみたきりなので、少し、興味はあるかも知れません。

 

 「……それなら、やってみたいかも?です」

 

 あたしがそう言うと、雪菜さんは少し嬉しそうな表情をしました。

 

 ……しかし、すぐに気恥ずかしくなったのか、咳払いで誤魔化すと、いつもの表情に戻ってしまいました。

 

 「……そ。じゃあ、今週末、私の家でいいかしら?」

 

 「あ、はい、よろしくお願いします……?」

 

 

 ……?

 

 ……家、ですか?

 

 「ああ、家って言うか……アパートだけど」

 

 いえ、そうではなくて、ですね……。

 

 

 ……勢いで「はい」と言ってしまいましたが。

 

 あたし、誰かのお家にお邪魔したことないのですが、大丈夫、なのでしょうか……?

 

 

 しかし、今週末は特に予定がある訳でもないので、ここで「やっぱりなしで」と言うのも変な気がしますが……どうしたらいいのでしょうか。

 

 「よし、じゃあ決まりね」

 

 

 結局、雪菜さんが自分のスマホのカレンダーにその予定を書き込んでいる様子を、あたしは、ただ眺めることしか、できませんでした……。

 

 

 ……。

 

 ……お昼にそんなことはありましたが、それ以外はいつも通りで、相変わらず難解な授業も、終わりまして。

 

 放課後に、なりました。

 

 あたしは、また、『カードショップ・ミラージュ』でバイトをします。

 

 

 「あ、いらっしゃいませ……」

 

 からん、と扉の開く音に気がついたので、挨拶をします。

 

 まだまだ小さい声で、ちゃんと聞こえているかは分かりませんが、それでも、こうして声を出せるようになったのは、成長……と言えるかも知れない?のではないでしょうか。

 

 扉の辺りに立っていたのは、よく知っている人……雪菜さんでした。

 ──雪菜さんは、周りの商品に目をくれず、こちらに真っ直ぐ歩いてきます。

 

 

 ……そして、あたしの前に立ちまして。

 

 「……その、あそこのショーケースにあるレジェンダリーのカード買いたいんだけど……開けてもらえる?」

 

 

 何だか少し、気恥ずかしそうな様子でそう言いました。

 

 ……もしかして、今週末に使う用……っていうこと、なのでしょうか?

 

 雪菜さんの謎の熱意にビビりながら、あたしは、店長がショーケースを開ける姿を見る雪菜さんの背中を、何も言えずに、ただ見つめることになりました……。

 

 

 ……何と言いますか……今週末、絶対行かないと、ですね……。

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