カードのテキストが長すぎます!   作:ピンノ

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※香澄視点です。


42話 挑戦あるいは不適格

 

 ……また1日が経ちまして、気が付けば放課後になっていました。

 

 今日こそ、なんかこう……いい感じの『チーム』を見つけたいですね……。

 

 本音を言いますと、少しばかり「もういいんじゃないかな……」という諦めの気持ちもあるのですが、まだ、もう少しくらいは頑張ってみようと思っています。

 

 「……今日は助っ人を連れてきたわ」

 

 「助っ人だよ!香澄ちゃんが困ってるって聞いて来たよ!」

 

 

 ……。

 

 ……雪菜さんが連れて来たのは、有栖さんでした。

 

 有栖さんには、あたしの……『マジカル☆スピカ』の一件のことがバレてしまっているので、その、こうして雪菜さんといるところに来られると、少し身構えてしまいます。

 ──まあ、なんだかんだ約束は守っていくれているみたいなので、多分突然バラしたりとかはしないとは思うのですが……これは理屈的なものではなく、ある種の、感情的な……と言いますか、本能的な……と言いますか。

 

 ……とにかく、そんな感じのものなので、許してほしいです。

 

 

 ……えっと、それで。

 

 雪菜さんは、有栖さんに声を掛ける際に、大まかな事情は話してあったみたいで、特に説明をする必要などは無さそうでした。

 

 

 ……それから、今日の方針について考えよう、といった流れになりまして。

 

 「……うーん、まず、エンジョイ系で探すのは無理だと思う!」

 

 有栖さんが、まず一言目にそう言いました。

 

 

 「えっと、その……ですが、いわゆるガチな『チーム』だとあたしには、ちょっと……」

 

 有栖さんの言うことは、昨日も雪菜さんに言われたことではあるのですが、しかし、あたしにも、諦め難い部分なのです。

 

 「そうは言うけど……香澄ちゃんって今よりもソーサラーとしてもっと強くなるために『チーム』を探してるんだよね?」

 

 「えっと、まあ……その、そう、ですね……」

 

 

 ……その言い方だと、少しニュアンスが違うような気がしないでもありませんが、まあ、訂正するほど間違えてはいない……と、思います。

 

 「それで、結果だけで言うなら、香澄ちゃんはボクや雪菜ちゃんに勝ってるよね?」

 

 ……まあ、過程を無視して、結果だけで言うのなら……そう、なるんでしょうか……?

 

 

 「うーん……まあ、だからといってと言うか……実際、香澄ちゃんが言うように、いわゆるガチ寄りの『チーム』でも……やっぱりレベルが合わないっていうか……その、色々噛み合わなくてムリな気もするんだよね」

 

 

 「……まあ、それはそうなのよね」

 

 

 ……あたし自身思っていたこととは言え、有栖さんのあんまりな一言に、雪菜さんも同意しました。

 

 えっと、じゃあ、どうしたらいいのでしょうか……?

 

 

 「──話は聞かせてもらった!つまり、『チーム』を組んでる連中が、揃いも揃って弱すぎて話にならない……そういうことだな!」

 

 

 ……知らない人が突然話しかけてきました。

 

 えっと、今あたし達がお話をしているのは、ちょっとした休憩スペースみたいなところです。

 

 ですので、多分偶然居合わせた人が、中途半端にあたし達の話を聞いてしまったってことなんだと思いますが……。

 

 

 特に聞かれて困るようなことも話していない筈……と思ったのですが、なんだかそうでもないような気がしてきました。

 

 

 ……何と言いますか、ハタから見たらあたし達、すごく生意気なこと言ってる下級生にしか見えないのではないでしょうか……?

 

 例えば、たった今有栖さんの言った「レベルが合わない」という言葉は、あたしが色々とチグハグだから、「低い」とも「高い」とも言わずに、そう言ったんだと思いますが、何も知らずに聞いてそんな風に読み取る人はいないでしょう。

 

 

 ……もしかして、「1年生のくせに調子乗ってんじゃねえぞ!」とか言われてまとめてボコボコにされたりするんじゃないでしょうか……。

 

 

 「……え、えっと、その……あたしがもっと強くなりたくて……それで、その、お二人に、あたしなんかでも、入れるような『チーム』を、探していただいてた、だけ、なんです……!」

 

 

 気が付けば、堰を切ったように、言い訳があたしの口から飛び出していました。

 

 

 「なるほど。昨日の『チーム』じゃあ、レベルアップには繋がらねえって判断したわけだ。……お前みてえな向上心のある奴は、アタシは好きだぜ」

 

 

 ……あ、ダメです……。これ、多分前提からズレてるので、認識を合わせていただくのは、その、ちょっと大変なパターンです……。

 

 「アタシとしては、是非とも、お前みたいな奴にうちの『チーム』に入ってもらいてえ」

 

 

 ……認識のズレがある、という、その上で、なのですが。

 

 「……えっと、あたしとしては、ちょっとお断りしたい……です」

 

 

 「ほう……?」

 

 ……猛禽類のような鋭い目が、あたしを睨みます。

 えっと、そういうところが、その、あたしが嫌だなぁと思うところ、と言いますか……。

 

 「その、何と言いますか……たぶん、着いていけない……と、思いますので……」

 

 結局、やる前から諦めてしまう自分を変えるのは難しいんだということを、自分で自分に突きつけているかのようで、自分で言ってて、情けないような恥ずかしいような、気持ちでいっぱいですが、流石に、その……段取り、と言いますか。

 

 あたしとしては、まだ、小さい一歩を踏み出すところから、目指したいんです……。

 

 先輩みたいな、その、熱血っぽさそうなところに入るのは……多分、十歩くらいに相当するかと思いますので……。

 

 

 「……おお」

 

 ──有栖さんが、なぜか、感心したかのような声を漏らしました。

 

 

 「……なるほど、上等だ。なら、試してみようぜ……!」

 

 ──そして、なぜか、先輩は、さらに鋭くなった視線で、あたしのことを射殺さんとばかりに睨みつけてきます。

 

 

 ……もしかして、その、ワードチョイスか何かで、間違えてしまったのでしょうか……?

 

 「……え、えっと、口下手で……上手く言葉で伝えることができなかったみたいで、すみません……」

 

 ……こういう時は、ひとまず、謝ります。

 本当に、その、口下手で、ごめんなさい……。

 

 

 「──いいじゃねえか。少なくとも、マイクパフォーマンスは一流だな」

 

 何が気に入らなかったのか、先輩は、その場で、見せつけるように、デッキを生成しました。

 

 

 ……経験として、こうなったら、もう、話し合いでは解決しないと思います。

 今まで……というほど長い経験ではありませんが、少なくとも、雪菜さんや有栖さんは、そうでした。

 

 

 ……その、どうしてこう、ソーサラーは、バトルがそんなに好きなのでしょうか……?

 

 

 「……分かりました。えっと、ご期待に添えるかは、自信がありませんが……」

 

 

 ……観念したので、とりあえずあたしも、デッキを生成します。

 

 生成するデッキは、もちろん、《星辰の魔女》です。

 

 昨日の件で、あたしが《星辰の魔女》というデッキを使うことは、学校の中で、少し知られているようです。

 

 ですので、ここで《遊星の魔法少女》を使えば、ただでさえややこしい状況が、何重にもややこしさを増してしまうでしょう。

 

 もちろん、そういった事情がなかったとしても、この場に雪菜さんもいますので、《遊星の魔法少女》デッキを使うのは、論外なのですが……。

 

 

 ……えっと、とにかく、こうしてバトルが始まりました。

 それで、あたしは、案の定『フルオート』的な形でのバトルとなりまして。

 

 

 ……。

 

 ……。

 

 「……いやあ、負けたぜ!なるほどな!大口を叩くだけはある。少なくとも、アタシ達の『チーム』じゃあ、確かに、あんたの期待に添えないだろうよ」

 

 バトルを始める前とは一転して、落ち着いたような雰囲気になったので、誤解を解くチャンス……と、思ったのですが。

 

 ──その雰囲気のまま、「次が詰まってるみてえだし、アタシはそろそろ退散するぜ!」と、言い残して、誤解を解く間も無く、去って行ってしまいました。

 

 

 ……嵐のような人、というのは、きっとああいう人を指すのでしょう。

 

 

 ……と、言いますか。

 ──その、次、とは……?

 

 

 あたしがそう思って顔を上げると、上級生が何人か見物していたようで、その人たちが、列を作っているようでした。

 

 

 ……これは、後から知ったことなのですが。

 

 思ってた以上に、最初の有栖さんや雪菜さんとの会話、そして、先輩との会話が、色々な人に聞こえていたらしく。

 

 それで、また、『校内掲示板』で、あたしのことが、『生意気な後輩の噂』として話題になってしまっていたようです。

 

 

 ……ですが、そのことは知らなかったあたしは、そもそも、もう、会話を試みる気力も残っておらず。

 

 思考を放棄し、下校時間になるまで、『フルオート』でひたすらにバトルをし続ける、マシーンのようになってしまっていたのでした……。

 

 

 ……。

 

 「……で、いい『チーム』なかったね」

 

 バトルをしていない雪菜さんと有栖さん以外の全員が疲弊した、もはやお通夜のような雰囲気の中で、有栖さんは、ポツリと呟きました。

 

 

 ……そう、ですね……。

 

 ……何と言いますか、こんなに戦闘狂ばかりの学校とは思ってませんでしたので、その、この先、他の生徒たちとうまくやって行けるか、あたしとしても、不安に感じていたところでしたので。

 

 あたしは、黙って、小さく、頷きを返しました。

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