カードのテキストが長すぎます!   作:ピンノ

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※香澄視点です。



64話 笑みあるいは渋面

 

 ……とりあえず、効果は置いておきまして。

 

 今しがた朽木選手の手札に加わった2枚のカードは、【千の貌の化身】というエンティティカードと、【窮極たる銀の鍵】というマジックカード……みたいです。

 

 そして、盤面へと出現したエンティティは【灰色の織り手】という、コスト2の、攻撃力0、体力1のエンティティのようでした。

 

 何やら出現時に発動する効果を持っているみたいですが……相手の盤面に作用するものだったためか、今回は不発だったみたいです。

 

 

 何を考えているのかいまいちよくわからないような笑みを浮かべ、朽木選手は、そのまま、【窮極たる銀の鍵】を、使用しました。

 

 

 ……これは、見かけ上は何の効果もないように見えたので、効果の把握を後回しにしていたため、後から録画を見返したことで分かったことではあるのですが。

 

 ──そのマジックカードの効果は、自分の手札のカードのコストを変動させる、というものでした。

 

 

 ……具体的には、自分の手札のカードを2枚を選んで、片方のコストを+1、もう片方を-1するという、コスト1の、カードです。

 

 

 そして、それから、さらに。

 ……盤面に、【千の貌の化身】が、コスト1で召喚されまして。

 

 その効果によって、朽木選手はカードを引き……そして、1枚をデッキへと戻しました。

 

 ……ちなみに、何枚かのカードの効果を読むことを諦めたことで、少しだけ余裕が生まれたので、効果を読んでみますと……。

 

 

 【千の貌の化身】

 コスト1。エンティティ。ファントム。攻撃力1、体力1《分類:外神の狂瀾》

 召喚時、カードを1枚引いて、そのコストを+1する。その後、自分の手札のカードを1枚デッキに戻す。

 被破壊時、手札に既に公開されている【這い寄る無貌ナイアーラトテップ】があるなら、それのコストを-1する(最小値0。複数枚あるなら、それら全て)。その時、既にコストが0の【這い寄る無貌ナイアーラトテップ】があるなら、それを手札から盤面に出現させる。

 自分のターン終了時、お互いの盤面の、これを除いた中で最もコストの低いエンティティ1枚を破壊する。

 

 

 ……えっと、召喚時効果の、カードを1枚引く、という効果自体は無難に強そうですが、デッキに戻す、というのと、引いたカードのコストを+1する、というのが、難しそうです。

 

 

 ……ですが、このカードは、どうやら【這い寄る無貌ナイアーラトテップ】が手札で公開された状態で存在し続ける限り毎ターン生成されるようですので。

 

 デメリットがあること自体は、妥当に思えます。

 

 

 ……えっと、あとは、それから……。

 

 あたしが、そんなことを考えていると、どうやら、ターンの終了が宣言されたようで。

 

 

 ……ターン終了時。

 

 

 コストが0の、【白痴の魔王アザトース】が破壊され……。

 

 それは、手札へと加わっていきました。

 

 

 ……えっと。その……おそらく効果が複雑すぎて、頭を使い過ぎるせいなのではないか、と思いますが。

 

 何だか、あれらのカードを見ていると、頭が痛くなってくるような……そんな、気がします。

 

 

 ……しかし、そんなことは、言い訳にしかならないでしょう。

 そんなことを言って、理解を完全に放棄する、というのでは。

 

 今までと、何も変わりません。

 

 

 ……そして、そんなことを、考えている間にも、当然、時間は進みます。

 

 

 ……気が付けば。

 凪宮選手の2ターン目が、今から始まる、ところでした。

 

 

 ……試合の状況が既に不利だと判断しているのか、あるいは別な理由か、凪宮選手は、険しく顔を顰めながら、朽木選手の方を見ており、そして、当の朽木選手は、焦点の定まらない目つきで、未だに、ニタニタと笑っています。

 

 そんな、2人による対照的な睨み合いの絵図は、凪宮選手がため息をついて、カードを引いたことで、終わりました。

 

 

 ……そして。

 

 ──凪宮さんが、引いたカードにそのまま手を触れて。

 手札の公開を宣言した、ようです。

 

 

 公開されたのは、【智慧の戦神オーディン】というカードで、こちらは、ターン開始時に、コスト1のそこそこ強めのエンティティカードを生成してくれるカードです。

 

 そして、あとは、おまけで『神速』も持っていますし、多分、かなり強い部類のカード……ではないかと、思います。

 

 

 ……それで、えっと。

 

 一応、効果の全体像としては、こんな感じです。

 

 

 【智慧の戦神オーディン】

 コスト7。エンティティ。攻撃力7、体力8《分類:戦神の黄昏》

 『神速』

 自分のターン中、これが手札にあるなら任意のタイミングで公開してよい。

 自分のターン開始時、手札にあるこのカードが既に公開されているなら、【ヴァルハラの勇士】を1枚手札に加える。

 召喚時、手札のカードを2枚除外し、その後、手札に【ヴァルハラの勇士】を2枚加えた後、自分の手札にある全ての【ヴァルハラの勇士】のコストを0にする。

 攻撃時、自分の墓所にあるカードをランダムに1枚除外し、自分の盤面の【ヴァルハラの勇士】全ての攻撃力を+1する。

 被破壊時、これは墓所に加わらず、除外される。

 

 

 ……改めて見てみましても、単純にステータスが高いのと、その上で、『神速』効果持ちであるというのが、その、わかりやすく、強そうな感じがします。

 

 

 ……それで、このカードが手札に加えたりする、【ヴァルハラの勇士】というカードはと言いますと……。

 

 

 【ヴァルハラの勇士】

 コスト1。エンティティ。攻撃力1、体力1《分類:戦神の黄昏》

 『猛進』

 召喚時、ランダムな自分の墓所のカードを1枚除外し、これの体力を+1する。

 攻撃時、これの攻撃力を+1する。

 

 

 コスト1で召喚できる、『猛進』次のエンティティです。

 ……コストが1なので、当然といえば当然ですが、攻撃力や体力が、相応に、低いです。

 

 

 ……が、しかし、召喚時や攻撃時に+1する効果を加味しますと。

 むしろ、攻撃力や体力が両方1のまま、ということはほとんどありませんので、極めてコストパフォーマンスの良いカード……と、言えると思います。

 

 

 ……えっと、それから。

 

 凪宮選手は、朽木選手のフィールドカードの効果を利用したようで、自分の体力に2のダメージを、受けました。

 

 

 ……そして。

 

 凪宮選手は、コストを2支払い、手札から、エンティティを、召喚しました。

 

 

 ……そしてそれは、本来は、3コストのカードでした。

 ですので、朽木選手のフィールドカードの効果によって、追加で、1のダメージを、受けます。

 

 

 ……コストが、変動しているカード。

 

 

 ……ということは、つまり、おそらく。

 先程フィールド効果を使ったのは、このカードのためだったのでしょう。

 

 

 ……召喚時効果も合わせて、盤面に、長い槍を持った天使のようなヒト型のエンティティが、2枚、現れます。

 

 

 【戦乙女ワルキューレ】

 コスト3。エンティティ。攻撃力2、体力1《分類:戦神の黄昏》

 『猛進』

 『挺身』

 これが相手のエンティティを破壊した時、それを墓所へと加えずにゲームから除外し、自分の手札に【ヴァルハラの勇士】を1枚加える。

 召喚時、自分の手札のカード1枚を選択し、それをゲームから除外する。その後、自分の盤面に【戦乙女ワルキューレ】を1枚出現させる。

 

 

 ……そして、その時。

 

 

 盤面に2枚の【戦乙女ワルキューレ】が、姿を現した、その瞬間。

 

 ──巨大な一本の大樹によって、世界が……覆われました。

 

 

 【世界樹ユグドラシル】

 コスト0。フィールド。《分類:戦神の黄昏》

 自分のターン中、自分のカードが除外されたなら、デッキにあるこれは領域へと設置される。お互いのソーサラーは、自分のターン中1度まで、自分の墓所にあるカードを1枚除外して良い。この効果でカードが除外された時、そのソーサラーは、カードを1枚引き、2回復する。

 お互いのソーサラーは、自分のカードを除外するたびに、自分の領域にあるフィールドのコストを+1する。

 自分のターン終了時、これのコストが元のコストと異なるコストであるなら、その差分の半分の値(端数切り捨て)だけダメージを、相手の盤面のエンティティとソーサラーに、古いエンティティから順に割り振って与え、その後、これのコストが10以上であったなら、自分の手札に【終末の劫火スルト】を1枚加えて、これは破壊される。

 被破壊時、コスト0の【世界樹ユグドラシル】を自分の領域に設置する。

 

 

 ……突然このカードが出てきたのは、【戦乙女ワルキューレ】の召喚時効果で、手札のカードを除外したから、でしょう。

 

 

 ……そして、【終末の劫火スルト】は、その、いわゆる、出せば次のターン勝ちのカードです。

 

 挙動としては、あたしのデッキの、【アルケー】に近く、召喚時に、コスト10の勝利効果マジックを手札に加える……と、いうものです。

 

 

 出てくるかどうかは分かりませんし、どうせ出てくるにしても当分先なので、一旦置いておきまして。

 

 

 ……勝利効果を持つカードを生成するカード。

 つまり、これは、レジェンダリーのカード、ということです。

 

 

 ただ、凪宮選手は、このターンだけで、合計3のダメージを受けています。

 

 レジェンダリーのカードを出すことができたのは大きいかも知れませんが、朽木選手の盤面にいるのは攻撃力が1のエンティティと0のエンティティなので、もう1ターン待ったほうが安全だったような気はしますが……。

 

 

 まあ、あたしの意見なんていうものよりも、プロの判断の方が正確でしょうし……試合を早めた方がいいという判断をした、ということなのでしょう。

 

 

 ……しかし、対する朽木選手の笑みは消える様子はなく。

 

 そのまま奇妙な不気味さを引きずり、試合は、進んでいくようでした。

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