カードのテキストが長すぎます!   作:ピンノ

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※香澄視点です。



70話 防衛あるいは起動

 

 「……私のターン、です」

 

 先行3ターン目。

 

 ターン開始時に働く効果と、ターン開始時のドローを合わせまして、手札の枚数は、7枚になりまして。……そして、さらに、盤面の【レリック・タービン】による効果で、このターン中のみの一時的な追加のコストを獲得しました。

 

 現状、雪菜さんはかなり有利そうに見えますが。

 

 ……見ていると、むしろ少し、困っていそうな感じがします。

 

 

 雪菜さんのデッキは、どちらかと言うと相手の動きに合わせるデッキだと思いますので、こうして全く情報がないままに進行していくと、どう判断すればいいのかがわからず、困ってしまうのでしょう。

 

 ……おまけに、奈々実さんは大会などの表舞台にはあまり出て来たことがありませんので。情報は、本当に少ないです。

 

 ──とは言え、2年前の全国大会に出ていたようですし、校内ネットを探したらいくつか動画はありましたので、全く情報がないというわけではありませんが……。

 

 

 ……カードに成長という概念がある以上、古い情報はどこまで信頼していいのかわかりません。

 

 

 「……レリック・ゴーレムを召喚します」

 

 悩んだ末に雪菜さんが選んだカードは、コスト4の……大型エンティティでした。

 

 ……ただし、大型ではありますが、どうにも眠っているかのような……あるいは、まるで電源が入っていないかのような……。

 

 それは、そんな印象を受ける、巨大なヒト型の、鉄塊でした。

 

 

 【レリック・ゴーレム】

 コスト4。エンティティ。7/7《分類:なし》

 『防衛』

 このエンティティは攻撃できず、攻撃されても反撃できない。

 ターン開始時、これがダメージを受けた状態であるなら、これは自身の能力を全て失う。

 

 

 ……【レリック・タービン】同様、分類のないカードですが、ダメージを受けていないターンであれば、相手を傷つけない壁として使え、そうでないなら、相手のソーサラーへの直接攻撃が狙える……と、いったところでしょうか……?

 

 コストの割に攻撃力が高いので……起動したら、かなり強そうに見えます。

 

 それに、雪菜さんが毎ターン手札に加えているカードのうちの1枚……【銀の双眸】は。

 コスト2なので今のターンに続けて使うことはできませんが、自分と相手のエンティティに2のダメージを与える効果がありますので、能動的に起動させることも……多分できます。

 

 

 「……これで、ターンを、終了します」

 

 

 ……もう、使えるコストは0ではありますが。

 雪菜さんは、自身の手札をもう一度見回した後に、ターンの終了を宣言しました。

 

 ──そして、宣言と同時に、【レリック・タービン】の効果で再びコストの最も低いカードが捨てられて……再度、次のターンの追加コストが、確約されます。

 

 

 「……じゃあー……うちの番、だねー」

 

 ──ターン開始時。

 相変わらずのマイペースさを崩さずに、奈々実さんはのんびりとカードを引きます。

 

 

 「んー……そろそろ何かしないと……退屈だよねー?」

 

 

 ……そしてようやくここに来て、奈々実さんは手札のカードへと、その手を伸ばしました。

 

 

 「コスト3でー……【原生の幼樹】を召喚するよー」

 

 宣言と共に、奈々実さんが手札のカードにその指先が触れたと同時、盤面に、あたしの背丈とちょうど同じくらいの、細く小さい樹木のような……あるいは、触腕のようなものが、姿を現しました。

 

 

 【原生の幼樹】

 コスト3。エンティティ。攻撃力1、体力3《分類:原生の侵食》

 召喚時、自分の盤面に【原生の捕食者】を2枚出現させる。

 自分のターン終了時、自分の盤面に【原生の捕食者】を1枚出現させ、その後、自分の盤面の【原生の捕食者】全てに『防衛』を付与する。

 

 

 ……そして、さらに、その【幼樹】が小さくうねり、先端の蕾のような指先のようなものが一瞬だけ開くと。

 

 ──そこに、蝉のような羽に、大きな鉤爪が目を引く……黒っぽい色の、【幼樹】の半分ほどの大きさの、タカアシガニのようなシルエットの生き物が。

 

 ……2匹、現れました。

 

 

 【原生の捕食者】

 コスト2。エンティティ。ファントム。攻撃力1、体力1《分類:原生の侵食》

 『猛進』

 攻撃時、これの攻撃力を+1する。

 

 

 「……」

 

 雪菜さんは何も言いませんし、ぱっと見いつも通りの無表情に見えますが……よくよく見てみれば、その実かなり嫌そうな表情です。

 

 「うーん……とりあえず、【原生の捕食者】2枚で片方を【レリック・タービン】、もう片方を【レリック・ゴーレム】に向けて攻撃するよー」

 

 掛け声と、ほぼ同時に。

 ソレは、脚の長い蟹のような外見とは裏腹に、俊敏な動きで羽ばたき、獲物へと迫り。そして、そのまま、その鉤爪で、その命を狩り取らんと、大きく振り下ろしました。

 

 

 ──そうして、その内の片方……【レリック・タービン】は大破し、機能を停止してただの残骸へと成り果てましたが。

 

 ……もう片方、【レリック・ゴーレム】は、その表面に傷が付いただけのように見えます。

 

 

 ……そうして。

 

 

 「よーし……ターンを終わるよー」

 

 傷を受け、その身を起こさんとする鉄の巨人には目もくれず。

 

 奈々実さんは、のんびりとした口調で、ターンの終了を宣言しました。

 

 

 ……そして、それと同時に。

 また再び、【幼樹】が1匹の【捕食者】を追加で呼び寄せて。──合計3枚の【捕食者】全てに、『防衛』効果が、付与されました。

 

 

 「……。私のターン、ですね」

 

 いつもと同じく、合計3枚のカードを手札へと加えていきまして。

 

 そして、先ほど破壊された【レリック・タービン】が遺していった追加コストも獲得し、それから、【レリック・ゴーレム】が、その壁のような巨躯を立ち上げて、臨戦態勢に入り……雪菜さんが、ターンを迎えます。

 

 

 「……【ホワイトモンキー】、を召喚します。召喚時効果は【銀の抱擁】です」

 

 

 雪菜さんは、まず最初に、コスト3のエンティティを、召喚しました。

 ──その外見は、白くて、まるで小さな雪だるまのように見える……1匹の猿でした。

 

 

 ……そしてその猿は、何かを唱えるように指先をクルクルと回して。

 そうしたら、吹雪が、局所的に強まって……。

 

 まだ攻撃していない、攻撃力1の【原生の捕食者】を、包みました。

 

 

 【ホワイトモンキー】

 コスト3。エンティティ。1/4《分類:氷晶の銀世界》

 召喚時、自分の手札にコスト3未満のマジックがあるなら、それと同様の効果を発揮する(ただし対象を選択する必要があるなら、対象選択を行わず、代わりに対象として指定できる条件を満たしたものの中からランダムに対象を決定する)。

 

 

 一見、普通にマジックを使用した方が強そうに見えますが……。

 手札のマジックを消費することなく使用できることを考えると、温存できる分の得を生み出せるカード……と、いうことでしょう。

 

 

 ……あとは、えっと、今効果で発動させた【銀の抱擁】の効果が、相手の盤面のエンティティ1枚に《分類:氷晶の銀世界》を付与して、その上で、それが攻撃力2以上なら攻撃力を-1したり、それよりも少ないなら1ターンの間攻撃できなくしたりできるので、相手の盤面にエンティティがいるなら積極的に使いたいカードではあるかと思いますが……。

 

 ──例えば、ちょうど今のように。

 【銀の抱擁】は1ターンに1枚しか加わらない都合上、一気に盤面を展開された時に困ることがあるかと思いますが。

 

 ……そういった時に、複数枚目の【銀の抱擁】として使える……と、いう役割もありそうです。

 

 

 「……追加で、手札から【銀の抱擁】を2枚……【原生の捕食者】1枚と【原生の幼樹】に使用します」

 

 

 ……そうして、攻撃力2の【原生の捕食者】の攻撃力を1にして。

 それから、攻撃力1の【原生の幼樹】に、1ターンの間『攻撃できない』効果を付与しまして。

 

 

 ──しかし、攻撃できるようになった【レリック・ゴーレム】には、攻撃指示を出さず。

 

 雪菜さんは、ターンの終了を、宣言しました。

 

 

 ……それから、さらに。

 

 ターン終了時に、フィールドの【吹き荒れる銀世界】のダメージ効果によって、自分の盤面と領域にある《分類:氷晶の銀世界》を持つカードの枚数と同じ数だけ、相手の盤面の《分類:氷晶の銀世界》を持たないランダムなエンティティに1ダメージを与えますので……。

 

 【銀の抱擁】が付与されなかった【原生の捕食者】へと、1のダメージが2回与えられて、破壊されます。

 

 

 ……あとは、自分のターン終了時に相手の場に《分類:氷晶の銀世界》を持つエンティティがあるなら、【銀世界の主エターナルブリザードドラゴン】はそのエンティティの数だけ-1する効果がありますので……コストが-3されて、27になりまして。

 

 

 ──そうして、ようやく再び。

 奈々実さんの方へと、ターンが移っていきました。

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