カードのテキストが長すぎます!   作:ピンノ

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※香澄視点です。



71話 進化あるいは大地

 

 「えーっと、じゃあ。うちの番。だねー?」

 

 間延びした声で確認を取ると、奈々実さんはカードを1枚引きました。

 

 ……現状、奈々実さんの盤面は、2枚が攻撃できない状態にあり、もう1枚は、加算されていた攻撃力が元に戻っている状態です。

 

 横に並べることが主軸というだけのデッキであれば、雪菜さんのデッキとは極めて相性が悪い、ということになりますが……。

 

 

 「んー……。まずは、攻撃できる【原生の捕食者】で【レリック・ゴーレム】に攻撃するよー」

 

 奈々実さんの命令に反応して。

 全身に雪と霜を纏って動きが鈍っていた【捕食者】は、獲物を前にして力を振り絞って鉤爪を振るい、元々傷を受けていた【レリック・ゴーレム】へとさらなる損傷を齎すと……。

 

 ──その鋼鉄の塊とも言うべき巨大な拳による反撃に遭い、バラバラに、粉砕されました。

 

 

 ……えっと、つまり、それは攻撃力に-1のデバフを受けていた【原生の捕食者】でしたが、攻撃時の効果で攻撃力が+1されるため、それの攻撃力は2になりまして……。

 

 【レリック・ゴーレム】の体力を3まで削り、反対に、その【原生の捕食者】は、体力が0に……つまり、破壊されました。

 

 

 「うん。あとはー……【相食む原生】。効果の対象はもちろん残ってる【原生の幼樹】と【原生の捕食者】だよー」

 

 

 しかし、破壊された自分のエンティティを見て、むしろ狙いどおりとばかりに頷くと、今度は、マジックカードを、1枚、使用しました。

 

 

 【相食む原生】

 コスト1。マジック。《分類:原生の侵食》

 自分の盤面の《分類:原生の侵食》を持つエンティティ2枚を選び、お互いにそれぞれの攻撃力と同じ値だけダメージを与える。その後、この効果によってエンティティが破壊され、なおかつ破壊されなかったエンティティがあるなら、それの攻撃力と体力を破壊されたエンティティのものと同じ値だけ加算し、体力を最大まで回復させる。それから、相手のデッキにこれと同じものを1枚加える。

 

 

 選択された、2枚のエンティティは、どちらも攻撃力が1ですので……。

 

 【原生の幼樹】と、【原生の捕食者】は、それぞれ1のダメージを受けて、体力が1の、【原生の捕食者】が、破壊されました。

 

 ……そして、破壊されなかった方、つまり、【原生の幼樹】が、破壊されたエンティティの攻撃力と体力を引き継ぐようですので……。

 

 ──【原生の幼樹】の攻撃力が2、そして、体力が4になりました。

 

 

 「そしてー……あとは、これかなー。【原生の進化】」

 

 ……それから、奈々実さんが手を触れたのは、ついさっき──つまり、このターンの開始時のドローで、引いたカードのようです。

 

 コストを3支払い、奈々実さんがそのカードを使うと。

 

 奈々実さんの盤面に、さらに新たな【原生の捕食者】が2枚現れ出て。

 ……そして、デッキから手札にカードを1枚、加えました。

 

 

 【原生の進化】

 コスト3。マジック。《分類:原生の侵食》

 自分の盤面に【原生の捕食者】があるなら、それ1枚に『被破壊時、自分の盤面に【適応した捕食者】を1枚出現させる』を付与し、その後、破壊する。

 自分の盤面に【原生の捕食者】がないなら、自分の盤面に【原生の捕食者】を2枚出現させ、デッキからコストの最も高いカードを1枚引く。

 

 

 それにしても、奈々実さんのカードは、比較的マジックカードが多いような、そんな印象です。

 

 

 ……えっと、それで、このカードはと言いますと……。

 

 条件で効果が分岐するタイプのようで、今回は、盤面の展開と高コストカードのサーチを選んだ、ということのようです。

 

 

 ……ちなみに、今回は発動しませんでしたが、一応、上の方の効果で盤面に出てくる方も見てみますと……。

 

 

 【適応した捕食者】

 コスト4。エンティティ。攻撃力4、体力4《分類:原生の侵食》

 『猛進』

 これがエンティティを破壊した時、これの体力が0以下でないなら、これの体力を最大まで回復し、攻撃力と体力を+1する。その後、カードを1枚引く。

 召喚時、お互いの盤面に【原生の捕食者】を1枚出現させる。

 

 

 あたしの見落としというわけでなければ、『ファントム』との旨が記載されていませんので、これはこれで、単体でデッキにも入っているカードのようです。

 

 それで、このエンティティカードの性能ですが。

 

 ……攻撃力と体力の数値が高く、おまけに【捕食者】よりもやや条件は厳し目に見えるものの、攻撃力だけでなく体力まで成長していくタイプのようで。

 ──盤面の強さで言えば、状況にもよるかとは思いますが、【捕食者】が2枚出てくるよりも、多分、かなり強いのではないでしょうか……。

 

 ……しかし、あえてそうしなかったのには、きっと、理由があるのでしょう。

 

 

 「うん。じゃー……うちも手札の公開を宣言するよー。──【侵食の大地】」

 

 【侵食の大地】

 コスト8。フィールド。《分類:原生の侵食》

 自分のターン中、これが手札にあるなら、任意のタイミングで公開してよい。

 自分のターン終了時、手札にあるこれが既に公開されていて、お互いの盤面で破壊された《分類:原生の侵食》を持つエンティティの合計が10枚未満なら、自分の盤面に【原生の捕食者】を1枚出現させる。 10枚以上なら、代わりにこれを手札から領域へと設置する。

 これが領域にあるなら、お互いのソーサラーは自分の盤面にエンティティを召喚する度に、それに『被破壊時、自分の盤面に【原生の捕食者】1枚を出現させる』を付与する。

 お互いのソーサラーは、自分のターン中に自分の盤面に《分類:原生の侵食》を持つエンティティを出現させるたびに自分の体力を1回復する。(上限は1ターン中に5回まで)

 自分のターン開始時、自分の盤面に、自分のデッキから相手の盤面のエンティティのコストの合計値以下で、コストの最も高いランダムな《分類:原生の侵食》を持つエンティティを1枚出現させる。その後、お互いの盤面で破壊された《分類:原生の侵食》を持つエンティティの合計が60枚以上であり、10ターン目以降なら、この試合に勝利する。

 

 

 ──奈々実さんが宣言すると。

 雪菜さんの展開している猛吹雪の中に、大樹が茂る森林の影が、地面に落ちました。

 

 

 ……随分と長めの効果ですが、要するに。

 手札にあるなら毎ターン終了時に自分の盤面に【原生の捕食者】を1枚出現させて、その時破壊されていた《分類:原生の侵食》を持つエンティティの数が10枚以上だったら、このカードが自動的にフィールドとして自分の領域へと設置される……と、いうことです。

 

 ──そして、条件はやや重そうな感じはしないでもありませんが、勝利効果も持っているので。これは間違いなく、レジェンダリーに分類されるカードでしょう。

 

 

 「──あとはー……さっきマジックカードで出した【原生の捕食者】2枚で【レリック・ゴーレム】に攻撃したら、ターンを終わるよー」

 

 

 言い終わると、先ほど現れたばかりの【原生の捕食者】が2匹、【レリック・ゴーレム】へと飛び掛かります。

 

 ……流石の、大型エンティティと言えど、度重なる損耗に耐えきれなかったようで。

 その2匹を道連れに、破壊されてしまいました。

 

 

 ……そして、ターン終了時。

 

 手札の【侵食の大地】が1枚と、【原生の幼樹】が1枚、【原生の捕食者】を盤面に出現させまして……。

 

 ──【原生の幼樹】の効果で、そのまま2枚は『防衛』を、持ちました。

 

 ……盤面の状況は、すっかり1ターン前のものと、全く同じです。

 違いがあるとすれば、【レリック・ゴーレム】が破壊され、代わりに、そこには無傷の、可愛らしい雪だるまのような白い猿が1匹……と、いうところでしょう。

 

 

 「──私の、ターンです」

 

 ……いつも通り、合計3枚のカードを加えまして。

 5ターン目の、雪菜さんの番が、回ってきました。

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