※香澄視点です。
奈々実さんに手番が回ってきまして。
ターン開始時、カードを1枚引いたことで手札の枚数が上限である10枚に達したと同時。
【侵食の大地】の効果で、盤面にエンティティが現れました。
現れたのは、攻撃力4、体力4の、中型エンティティ……【適応した捕食者】でした。
雪菜さんの盤面のコストは、現在6ですが、コスト4のエンティティが出てきたのは、デッキに6コストや5コストのエンティティカードが入っていないのか、それとも、先程の【憤怒の原生イーラ】のように、条件を満たすまではカードの効果から盤面に出すことができないカードが多いのか……。
もし前者の方でしたら、手札に【憤怒の原生イーラ】を3枚引き切っている形になりますが、確率としてはやや低いので。
おそらくは、後者の方と思っておいた方がいいのではないでしょうか。
……そして、さらに。
【侵食の大地】は、『自分のターン中に自分の盤面に《分類:原生の侵食》を持つエンティティを出現させるたびに自分の体力を1回復する』効果も持っていますので、【適応した捕食者】が盤面に現れたと同時に体力も1回復したようです。
「……うーん、まさか盤面のカードを手札に戻して対抗してくるとは思ってなかったけどー。でもやっぱりー……ちゃんと処理した方が良かったんじゃないー?」
奈々実さんが、手札のカードに、手を伸ばします。
……それは、カードの位置からして、おそらく、先程手札に戻ったカード……つまり、【憤怒の原生イーラ】でしょう。
「じゃー、【憤怒の原生イーラ】を、もう一度召喚するよー」
そして、予想通りまた再び、それは盤面へと召喚されまして。さらに、その効果によって、お互いの盤面に、【原生の捕食者】が2枚ずつ現れました。
これにより、奈々実さんの体力も、最大まで回復した形になりましたね……。
「それからー……【原生の捕食者】2枚で、そっちの【原生の捕食者】に攻撃するねー」
……鏡合わせのような戦闘が発生し、それぞれが相打ちで破壊されまして。
つまり、『自分の盤面のエンティティが破壊された』ということでもありますので、【憤怒の原生イーラ】の攻撃力が増し、6になりました。
「──で、あとは【相食む原生】を、【憤怒の原生イーラ】とー……【適応した捕食者】に使うよー」
……【相食む原生】は、少し前のターンに奈々実さんが使っていたカードですが、同時に、【憤怒の原生イーラ】の、召喚時効果によって、手札に加えていたカードでもあります。
先程のターンでは、【相食む原生】を使用するにもコストを1必要とするので、だから使わなかった、ということなのでしょうけれど……。
……えっと、それで。
両方ともが、お互いの攻撃力分のダメージを受けましたので。
これで、【適応した捕食者】が破壊されて、一方、【憤怒の原生イーラ】は、盤面に残りました。
……ですので。
【相食む原生】の効果で、【憤怒の原生イーラ】の攻撃力が、一気に10になり、体力も9に。
その上で、【憤怒の原生イーラ】の体力も、全快しました。
──そして、さらに。
【憤怒の原生イーラ】が、『自分のターン中、これがダメージを受けて破壊されなかった』ので。
相手の盤面のランダムなエンティティ1枚……つまり、現状雪菜さんの盤面には【氷海の影ブラックオルカ】しかいないので、そこに、3のダメージが、通ります。
それから、またも『自分の盤面のエンティティが破壊された』ということでもありますので……。
さらに、攻撃力が加算されて、その攻撃力は11、ということになったようです。
「……じゃあ、ターンを終わるねー」
ターン終了時、奈々実さんは、【吹き荒れる銀世界】の効果を利用して、カードを1枚捨てました。
……捨てる前の手札は9枚で、次のターン開始時のドローでも手札の枚数は溢れない計算ですが、また手札に戻されることをケアした形……と、いうことでしょうか。
ターン終了時の【憤怒の原生イーラ】の効果により、盤面の全てのエンティティが1のダメージを受け……。
さらなるランダム対象の3ダメージも加わり、元々ダメージを負っていた【氷海の影オルカ】は破壊されて、【侵食の大地】の効果で付与されていた被破壊時効果が発動し……そこに【原生の捕食者】が現れました。
……そして、同時に、盤面に並んでいた【原生の捕食者】も破壊されましたので。これで、『お互いの盤面で破壊された《分類:原生の侵食》を持つエンティティの合計』は、21枚、ということになりました。
──さらに。
ターン開始時効果で、奈々実さんの盤面の【ひび割れた氷塊】がダメージを受けて破壊されましたので……。
「……うえぇ。もうなんていうか、やりたい放題って感じだね」
──小声で、隣で見ている有栖さんが、そう呟くのが聞こえました。
……そして、えっと、今まで、試合の内容に集中していましたので、あまり気にしていませんでしたが、試合を見ている他の方々も、少しばかり、ざわついているようです。
……まあ、その、無理もないかな、と、思います。
気が付けば、奈々実さんの盤面に先程現れた【憤怒の原生イーラ】は。
なんと、攻撃力12、体力9と……まさしく、バケモノのようなステータスへと、変貌していましたから。
──しかも、その上で、【憤怒の原生イーラ】は2回召喚されていますので……つまり、【相食む原生】は、まだもう1枚ありますから、さらにステータスが伸びていくことも、予想されます。
……8度目のターンを迎え、いつものように手札にカードを3枚加える雪菜さんの表情も……心なしか、少し、険しいように見えるような……そんな気がします。
「……【原生の捕食者】で、【憤怒の原生イーラ】を攻撃します」
反撃によるダメージで破壊されたものの、【原生の捕食者】の攻撃により、攻撃時効果も合わさり、【憤怒の原生イーラ】が、2のダメージを受けました。
……えっと、【憤怒の原生イーラ】の被ダメージ時の効果は、自分のターン中限定ですので、回復したり、ダメージを飛ばしたりするようなこともなく。
【憤怒の原生イーラ】の体力は、これで7に、なりました。
「……【ホワイトモンキー】を召喚して、効果は【銀の双眸】を宣言します」
召喚された【ホワイトモンキー】の効果により、【銀の双眸】の効果……つまり、自分と相手の盤面のエンティティ1枚ずつに2ダメージを与える効果が、発生します。
ただ、【ホワイトモンキー】の発動させる効果は、対象がランダムにはなってしまいますが……。
──お互いに盤面には1枚ずつしかエンティティがいないので、関係ありません。
……召喚に反応し、【侵食の大地】が、またその効果を発揮しますが。
雪菜さんは、気にする様子もなく、次のカードに手を触れます。
「コスト2で、【グレートマンモス】を召喚、します」
──それは、まるで雪山か……あるいは、氷山でした。
そして、それを、見上げまして。
それが、巨大な象……いえ、マンモスであったとわかったのは、首が痛くなるくらいに、目線を上へと上げた頃でした……。
【グレートマンモス】
コスト10。エンティティ0/10《分類:氷晶の銀世界》
自分のターン終了時、自分の領域に《分類:氷晶の銀世界》を持つフィールドがあるなら、手札にあるこのカードのコストを-1する。
召喚時、お互いの盤面に【ひび割れた氷塊】を3枚ずつ出現させる。
自分のターン終了時、自分の盤面のエンティティすべては攻撃力が0になり、『防衛』を持つ。
……コストが10で、今出てきた時で、2コスト。
つまり、計算上、最初のターンから持っていた……と、いうことなのでしょう。
それで、【グレートマンモス】の効果によって、お互いの盤面に【ひび割れた氷塊】が、また3枚出現し。
……同時に、【侵食の大地】の効果で、【グレートマンモス】に、被破壊時効果が付与されます。
「……【オーロラ ・スカイ】を、使用します」
それから、なんとさらに、【ひび割れた氷塊】が奈々実さんの盤面に現れ、奈々実さんの盤面は完全に埋まってしまいました。
【オーロラ ・スカイ】
コスト3。マジック。《分類:氷晶の銀世界》
お互いの盤面に《ひび割れた氷塊》を2枚ずつ出現させる。その後、お互いのソーサラーは、自分の盤面の《分類:氷晶の銀世界》を持つエンティティの数だけ体力を回復し、カードを1枚ずつ引く。
「……これで、ターンを終わります」
……そして、ターン終了時。
いつも通りの手札枚数調整で、雪菜さんがカードを捨てて。
それから、【グレートマンモス】によって、雪菜さんの盤面のエンティティは全て攻撃力0になり、代わりに『防衛』を獲得しまして。
さらに、【吹き荒れる銀世界】の効果で、奈々実さんの盤面の中で唯一《分類:氷晶の銀世界》を持たない【憤怒の原生イーラ】が、合計6のダメージを受けて、破壊されたことで。
盤面に、【原生の捕食者】が1枚だけ、現れました。
……あとは、奈々実さんの盤面に《分類:氷晶の銀世界》を持つエンティティが4枚ということで、【銀世界の主エターナルブリザードドラゴン】のコストも-3で、そのコストは17になりまして。
……こうして、また、手番が移っていきました。