カードのテキストが長すぎます!   作:ピンノ

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※香澄視点です。



76話 埋没あるいは展開

 

 「むぅ……中々やりにくい相手だねぇー……」

 

 奈々実さんが、口を尖らせながら、9ターン目を迎えます。

 

 雪菜さんの【ひび割れた氷塊】が1のダメージを受けますが、【ダイヤモンド・ダスト】の効果で体力が増加していますので……。

 

 それの残り体力は2に、なったようです。

 

 

 ……そして、一方。

 またも盤面は埋められ、おまけに雪菜さんの盤面にはコストが0の【ひび割れた氷塊】しかないので。奈々実さんのフィールドカードは、またもターン開始時の効果を発揮できません。

 振り返ってみると、【侵食の大地】がターン開始時効果を発揮できたのはここまでで1度だけ……ということになります。

 

 口を尖らせ、文句の1つも言いたくなるのも、無理はない……のかも知れません。

 

 ただ、そんな中でも、『破壊された《分類:原生の侵食》を持つエンティティの合計』のカウントを33まで稼ぎ。

 そして、盤面をコントロールして上手いこと自分の盤面に《分類:氷晶の銀世界》を持つエンティティを残さないようにすることで、少なくとも、まだ次のターンは【銀世界の主エターナルブリザードドラゴン】の召喚ができないようにできているのは、むしろ、さすがと、言うべきことなのではないでしょうか……?

 

 

 ……そんな奈々実さんは、一度肩をすくめて切り替えると、カードを引いて。

 手札の枚数は、合計9枚に、なりました。

 

 

 「……うーん、とりあえず、盤面の攻撃できるエンティティ全部で、ソーサラーに攻撃するよー」

 

 ……まず、最初に総攻撃が行われまして、雪菜さんの体力は、一気に10も、減少しました。

 10という数字は、かなり大きなダメージ……ではありますが、既に盤面に元々あり、お互いにとって、最初から計算済みのダメージだったためか、両者共に、そこに対してのリアクションは特に無く。

 

 数字の割に、淡々とした、淡白なダメージ処理でした。

 

 

 「それでー……うーん。まずは【相食む原生】を【飛来する捕食者】と、【原生の捕食者】1枚に対して使うよー」

 

 おそらく、【憤怒の原生イーラ】が手札へと加えたカードの残り……でしょう。

 

 あれは、ダメージを伸ばすことにも使えるカードではありますが……。

 

 それは、お互いの攻撃力分のダメージを与え合った上で、なおかつ破壊されなかったエンティティが存在した時にのみ機能する使い方ですので。

 今回のような、体力が1のエンティティばかりの時では、そういった使い方は、できないようです。

 

 ……あとは、対象として選択できるのが、自分の盤面の《分類:原生の侵食》を持つエンティティだけだから、1つ前のターンでは使わなかった……と、いうことでしょう。

 

 選択した2枚が破壊されて。

 奈々実さんの盤面に、2枚分の穴が空き、同時に、『破壊された《分類:原生の侵食》を持つエンティティの合計』が2増えて……35に、なりました。

 

 これでエンティティカードが召喚できます……が、先程の【ホワイトアウト】の効果で、今のターン開始時に引いたカード以外は、コストが+2されているので、どれを選ぶかは、ある程度慎重になる必要がありそうです。

 

 

 「うーん、じゃあ、ここはこれ……【色欲の原生ルクスリア】、かなぁー」

 

 コストを8支払い、奈々実さんは、エンティティの召喚を行いました。

 

 ……それは、おそらく、【原生の幼樹】が、進化した姿……といったような、感じでしょう。

 

 それは、巨大な束ねられたタコやイカの触腕のような、あるいは、葉っぱを全部取り去ってしまった大木のような。そんな見た目を、していました。

 

 

 ……そして、それが、盤面に現れると。

 

 空いているもうひとつの盤面の穴に【適応した捕食者】を1枚、出現させまして。そして、エンティティの召喚に反応し、【侵食の大地】が、それに被破壊時に【原生の捕食者】を1枚出現させる効果を、付与しました。

 

 

 【色欲の原生ルクスリア】

 コスト6。エンティティ。攻撃力0、体力8《分類:原生の侵食》

 お互いの盤面で破壊された《分類:原生の侵食》を持つエンティティの合計が20枚以上でないなら、これはカードの効果で出現できない。

 召喚時、自分の盤面に【適応した捕食者】1枚と【飛来する原生】を1枚出現させる。

 攻撃時、攻撃相手がエンティティなら、そのエンティティに『被破壊時、自分の盤面に【原生の捕食者】を1枚出現させる』を付与する。その後、それの攻撃力と同じ値だけ、これの体力を加算する。

 自分のターン終了時、自分の盤面の《分類:原生の侵食》を持つコスト4以下のエンティティ全てを破壊し、この効果で破壊した枚数と同じだけ、これの体力を回復する。

 相手のターン開始時、お互いの盤面に【原生の幼樹】を2枚ずつ出現させ、それら全てのターン終了時効果を1度ずつ働かせる。その後、自分の手札に【原生の繁茂】を1枚加える。

 

 

 ……見たところ、召喚時効果で盤面に出現させるエンティティは、本来2枚だったようですが。盤面に空きがなかったせいで、1枚しか出てこなかった……と、いうことみたいです。

 

 あとは、本来のコストが6なのに対して、コストを8支払って召喚しているところを見ると、これは、少なくとも今引いたカードではない、ということみたいですね。

 

 ……えっと、それで。

 あとは、本体の性能を見た感じ……ですと。

 

 とりあえず、攻撃力は0と、極めて低く、その分なのか、体力がやたらと高いのが、特徴的です。

 

 そして、ターン終了時や相手のターン開始時など、特定のタイミングで働く恒常的な効果を多く持つので……つまり、盤面に存在することで仕事をするタイプのエンティティ……みたいですね。

 

 

 えっと、《原生の侵食》デッキが、破壊された《分類:原生の侵食》を持つエンティティの数を増やすデッキである以上、そういう視点ではとても強いカード……かも知れませんが。

 

 ──今このタイミングで、これを選んだのは、何故なのでしょうか。

 

 

 ……その、盤面を埋めてしまうので、もしまた【ダイヤモンド・ダスト】などで《分類:氷晶の銀世界》を付与されたりしたら、苦しそうな気がしますが……。

 

 

 ……しかし、そう思って見ていますと。

 

 「なるほど。これは……かなり苦しそうだね」

 

 という、有栖さんの、小さな呟きが、聞こえてきました。

 

 

 ……それで、ちらりと辺りを見渡して見ますと。

 

 天柄さんや、水無川さんといった他の生徒会の面々も、難しそうな顔で、何やら計算している様子です。

 

 

 そして、当の本人……雪菜さんもまた、難しそうな表情で、額にしわを寄せて、考え込んでいるようです。

 

 

 ……ううん、えっと。

 おそらく、何か見落としている点がありそう……です、かね……。

 周りについていけていない感じがするのは少し悲しいですが、まあ……見ていれば、きっと、わかること……なのでしょう。

 

 ……その、おそらくは……。

 

 

 「うーん、これでよし、かなー……。使えるコストもないからー……ターンを終わるよー」

 

 

 ……奈々実さんが、ターンの終了を、宣言しまして。

 

 ターン終了時、奈々実さんの盤面の【原生の捕食者】2枚と【適応した捕食者】1枚が破壊され、付与されていた被破壊時効果により、盤面に【飛来する捕食者】が1枚、出現しました。

 

 つまり、これによって『破壊された《分類:原生の侵食》を持つエンティティの合計』は+3、ですので、38……になりまして。

 

 それで、ターン終了時の効果は終わり……ターンが雪菜さんの方へと、移ります。

 

 ……いつもの通り、雪菜さんが3枚のカードを手札に加えて、手札の枚数を9枚にした……と、同時。

 

 まず、奈々実さんの盤面の【ひび割れた氷塊】が、1のダメージを受け、体力が2に、なりました。

 

 ──そして、それから。

 突然、お互いの盤面に、2枚ずつの、【原生の幼樹】が現れまして。

 

 ……それらは、それぞれ自分の盤面へと【原生の捕食者】を合計2枚ずつ出現させ、そして、そこに、『防衛』を付与しました。

 

 

 ……もっとも、奈々実さんの盤面には空きが2枚分しか無かったので、【原生の捕食者】は出現できず、【原生の幼樹】が2枚出てきただけに終わりまして。

 

 それから、雪菜さんの盤面には、空きが4枚分ありましたので、【原生の幼樹】が2枚、【原生の捕食者】が2枚、盤面に現れた形に、なりました。

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