※香澄視点です。
それなりに長い時間、みんなでバーベキューをしまして。
一旦、とりあえずこのくらい、という形で用意していたお肉が無くなり、まだ食べたいなら休憩スペースの冷蔵庫から取り出してくる必要がある……という段になり、自然と、バーベキューは終わりとなりました。
元々、その大分前から、脱落していた人もいたので、むしろ、よく焼いた分を食べ切ったなと、思わなくもありません。
特に、あたしは割と早期に脱落した側なので、最後の方まで食べていた奈々実さんや宙羽さんは……すごいと、思いました。
……それで、今。
暑さと満腹、それから、やや回復してきた疲労で、まだ少しぐったりとしながら。
あたしは、波打ち際から少し離れたところにある日陰で、休憩をしていました。
……とりあえず、今日学んだことは、やはり、夏の日差しの只中でバーベキューをすると、すごく暑い……と、いうことです。
始めたばかりの時は、テンションが上がっていたこともあり、気にならなかったのですが、少し経って、お腹がいっぱいになってきたところで、暑さがつらく感じるように、なっていきました……。
……ただ。
今回学んだのは、そういった、ネガティブなことだけでは無く。
──例えば、串で刺してマシュマロを焼くと。
熱々のホットケーキみたいで美味しい、と、いうこと。
それから、なんだかんだで、みんなでひとつのものを食べる、というのは、やはり楽しかった、というのも……まあ、そうと言えるでしょう。
……ですが、とにかく今は、お腹がいっぱいです。
一応、バーベキューが終わってから、1時間ほどが経過しているみたいですので、満腹による脱落組の中でも、回復している人も結構いるみたいで、例えば、水無川さんや天柄さんは、海で泳いで、競走……?みたいなことをしているみたいですし。
それから、雪菜さんと有栖さんは、『ビーチファントムビルド』を始めるみたいです。
……あたしも、そろそろ疲れが取れてきましたし、ぐったりと休憩して1日が終わってしまっては勿体ないですし……見に、行ってみましょうか。
どうやら、一緒に特に何かを言うでもなく、同じ日陰で休憩していた、理音さんや舞さん……つまり、天岳姉妹、ということになるのですが……も、同じような考えのようでして。
……自然と、ちょうど同じタイミングで。
3人揃って、立ち上がりました。
……それで、それが。
なんだか、少し、おかしかったので。
……これまた自然と、3人揃って、顔を見合わせまして。
理音さんと、舞さんが、吹き出すように、笑いました。
……。
それで、雪菜さんと有栖さんによるバトルが始まる頃には。
気が付けば、あたしたちだけでなく。
かき氷で大食い大会を始めて、頭痛によって両者ダウンしていたはずの奈々実さんや宙羽さん、海で泳いでいた水無川さんや天柄さんも。
観戦に、集まっていまして。
全員が見守る中、試合が、始まりました。
──コイントス……は、少し難しいので、ジャンケンでの、結果。
先攻となったのは、有栖さんで、雪菜さんが、後攻のようです。
……。
……そうして、白熱した試合もまた、気が付けば終わりを迎えまして。
試合は、相次ぐ【ひび割れた氷塊】の生成により、中々盤面にエンティティが召喚できず、それをトリガーとした効果の発揮が難しかったこと。
それから、つい最近『カードの成長』によって変化した、【氷晶の銀世界エターナルブリザードドラゴン】の新しい効果のひとつである、『自分の盤面のエンティティを破壊する効果』により、有栖さんの盤面のエンティティが、中々盤面から退かせられなくなったことによって……。
──雪菜さんが、勝利を収めました。
……珍しく、感情を、表に出して。
すごく嬉しそうに、胸を張って勝利を宣言する雪菜さんと、それから、本気で悔しそうにする、有栖さんの姿が。
あたしには、ほんの少しだけ。
……まるで、照りつける日光よりも眩しく光っているかのように、感じました。
……えっと、それで、それから。
他の人も、『ファントムビルド』をし始めたり。
あたしも巻き込まれて、バトルをすることになって。
……相変わらず、気が付いたら勝ってしまっていたり、と。
時間が経つのはあっという間で、気が付けば、あんなに眩しく強い光と熱をあたしたちに浴びせていた太陽が、沈み始めているようでした。
「──よし!じゃあ、これはボクたちで用意したんだけど……じゃーん!花火です!」
有栖さんの言葉に、雪菜さんが頷き。釣られるように、あたしも小さく、頭を下げました。
あたしたちで用意した花火は、主に、手に持って楽しむタイプのもので。
人数がそれなりであることを加味して、結構いっぱい入っているやつを6袋分ほど用意したのですが……。
「あ、それウチらも用意したでー」
「……うん、だけど被っちゃったね」
……天岳姉妹も、同じようなものを用意してきたみたいで。
それで、さらに、それから。
「──私の持ってきたやつの方が……袋が小さい……?そんな……」
同じく大量の袋を持っていた宙羽さんも、何やらショックを受けているようでした。
ちなみに、と、言いますか。
……一応、ここで花火をしてもいいかどうかの確認は、有栖さんがしてくれていまして。
その際、「使ったものやゴミを集めるためのバケツは用意して欲しい」という回答を受けた、というお話を聞いていましたので、あたしたちの方で、いくつかバケツを用意して来たのですが……。
どうやら、他の花火を持って来たみなさんも。
同じ考えで、いくつかのバケツを持って来た様子で……バケツの数も、かなりのものになっています。
「……まあ、とりあえず、順番に開けて行ってみればいいじゃろ。多分余るじゃろうが……その時は、また別な時にでもやればいいじゃろうしな」
……暗くなってきたことで、ネコミミキャップのネコミミの部分に謎の発光機能があることが発覚した水無川さんが、場をまとめます。
確かに、花火にはバーベキューのお肉や野菜のような消費期限、みたいなものもあまりないでしょうし、急いで使い切る必要も、ないでしょう。
せっかく1番に言い出したから……と、いうことで、あたしたちの用意した、花火の袋が、開封されまして。
「……では、火に関しては、こちらをお使いください。安全装置は付いていますが、注意を忘れないようにお願いします。……あとは、花火から花火へと火を移すのは、危険ですので、やらないようにお願いします」
……あたしはすっかり忘れていましたが、その、花火の火について。
それについては、どうやら、天柄さんが、バーベキューの時にも使っていた火をつける器具を、貸してくださる様子みたいです。
「──それでは、好きなものを取って、ください」
花火の袋を開封した、雪菜さんが、そう言いますと。
有栖さんやあたしといった、近くにいた人から、花火を選んで、順番に、取っていきまして。
……それぞれの手に、まずは、1本、花火が行き渡ったようです。
それで、まずは、火をつける器具を持っている天柄さんが、最初に火を、つけまして。
……それから、また、順番に。
それが回って来た人から、手元の花火に、火をつけていきます。
──そうして、少ししまして。
赤、黄色、青、緑……と、みんなの手元の花火が色とりどりの光を、発しています。
全員の……つまり、9本もの花火が、全て灯されている、ことにより。
すっかり日が沈んでしまった夜の砂浜が、色とりどりに、照らし出されまして。
夜の星空の下。
そこは、なんだか……とても、幻想的な光景と、なっていました。