※宙羽視点です。
コイントスをして、先攻は私。そして、後攻は香澄になった。
……まず、最初の手札は。
悪くない。──初動で使いづらいカードが2枚程あるから、それは引き直すけど、それ以外は、いい感じ。
手札の引き直しを終えて。改めて、手札となる5枚のカードを見て。
……それから、向こうを、見る。
向こう側を見たら……何度か見たことのある、香澄の青い目が、ちょうどこちらを見ていた。
……正面から見るのは初めてで、印象としては、何だか不思議な感じ。
「……じゃあ、ターンを始める」
私がそう言ったら。
「……わかった。わたしも、それで構わない」
──彼女は淡々とした返事を返して、頷いた。
一応。香澄は、既に学校で何度も『ファントムビルド』をしたことがある。
……だから、彼女がバトル中に、人格が変わったように、態度が大きく変わることは、有名な話。
──ただ、なんて言うか。
私と今の香澄で、お互い無口系の……キャラ被り、してる。
……。
と、いうのは、少し冗談。
だけど、実際、口数が少ないタイプなのは、一緒。
……まあ、別にどうでもいいけど。
実際、さっきバトルを仕掛けたのは。どうせ時間を潰すなら……まあ、壁と『ファントムビルド』やるよりはマシかなって、思っただけだから。
──それで、まずは1ターン目。
「コスト1のマジック。【望遠の瞬き】」
【望遠の瞬き】
コスト1。マジック。《分類:軌跡の終点》
自分の手札の中から、このターンの自分の使用可能コストよりも高いコストの、レジェンダリーでもファントムカードでもないカードを全て複製し、デッキに加える。その後、お互いはカードを1枚引く。
今使った【望遠の瞬き】を除いた、手札のカード4枚を全部複製して、デッキに加える。
それから、私たちは。お互いに、カードを1枚ずつ引いた。
「……終わり」
「……そう。なら、手札の公開を宣言する。──【ルクバト】」
宣言と同時に、ケンタウロス……?みたいなヒトが、弓を構えながら、幻影としてうっすらと姿を現した。
……効果は、相手のターンの終了時に、専用のマジックカードを生成して、手札に加える効果。
で、マジックカードの方は、2コストで任意対象に3ダメージ、もしくは自壊。自壊したら、コスト3回復。
加える枚数に制限はあるみたいだけど、それまでは毎ターン加えるみたいだし、すごく面倒。
……まあ、香澄が強いのは知ってたし、カードの効果が面倒なのも、わかりきってた話。
カードの効果が強い、というのは。
……もう、そういうもの、としか言いようがなくて。
そこに、考えるような事柄はない。
──香澄が、ターンの終了を宣言した。
だから、カードを1枚引く。
「……コスト2、【文明の到達】」
ターンが始まって、ノータイムで。
最初の引き直しの時点で手札にあった、マジックカードを使用する。
【文明の到達】
コスト2。マジック。《分類:軌跡の終点》
自分はカードを1枚捨てる。その後、お互いのソーサラーは、自分のデッキから最もコストの低いカードを1枚加える。
捨てるカードを、1枚。選んで、捨てる。
……それから、私たちは、またデッキからカードを引く。
今回は、無作為に引くのではなく。
『最もコストの低いカード』を、手札に加える。
つまり、サーチ。……特定のカードを探しに行く、ということ。
──そして、私がこのカードを使って引いてくるカードは、決まっている。
「……コスト0。【彼方への探査】」
私のデッキで、最もコストが低いのは、0コストのカード。
そのカードは1枚しかなくて、そして、勝利効果へと繋がる……つまり、レジェンダリーと呼ばれるカード。
【彼方への探査】
コスト0。マジック。レジェンダリー。《分類:軌跡の終点》
自分の盤面に【虚無を翔ぶ探索者】1枚を出現させる。その後、このターンの間、自分の手札の《分類:軌跡の終点》を持つカード全てを、これのコストと同じ値だけ減算する(最小値0)。
マジックカードの使用と同時。私の盤面に、1枚のエンティティが現れる。
──それは、いわゆる、アンドロイド……というような。
機械の身体に、機械の翼を持つ。……ヒト型の、物体。
……そして、それは。
盤面へと出現すると同時に、自身のコストを1だけ加算した。
【虚無を翔ぶ探索者】
コスト0。エンティティ。ファントム。攻撃力0、体力1 《分類:軌跡の終点》
『神速』
出現時、この試合中に出現した自分の【虚無を翔ぶ探索者】の枚数(これを含む)と同じ値だけ、これのコストを加算する(最大値10)。
攻撃後、これが破壊されておらず、さらに、自分の盤面に他のエンティティが存在していないなら、自分の領域にあるフィールドカードを破壊し、【宙の先】を1枚生成して自分の領域に設置する。
自分のターン終了時、自分の手札のカードを1枚捨て、その後、これを除外する。
これが盤面から離れる時、自分の手札に【彼方への探査】を1枚加え、そのコストに盤面から離れるこれのコストと同じ値だけ加算する(最大値10)。
今出てきたエンティティ……【虚無を翔ぶ探索者】は、攻撃力は0だけど、『神速』を持っている。……だから。
「……そのまま【虚無を翔ぶ探索者】で、ソーサラーに攻撃」
香澄に、0のダメージが与えられる。
……つまり、ダメージはない、ということ。
──だけど。
攻撃後に発動する効果が、ある。
……効果は、連鎖して。
──空間が、書き換えられる。
……地面も、空もない。暗闇の中へと、放り出される。
【宙の先】
コスト0。フィールド。ファントム。《分類:軌跡の終点》
お互いのソーサラーは、自分の盤面にエンティティが出るたびに、それが『神速』を持っていないなら、それに『これは自分のターン終了時、破壊される』を付与する。
お互いのソーサラーは、エンティティがソーサラーに対して攻撃する度、カードを1枚引く。
自分のターン開始時、それが10ターン目以降で、自分の墓所に同一のフィールドカードが30枚以上あるなら、この試合に勝利する。
被破壊時、自分のソーサラーを1回復する。
今設置されたフィールドカード、【宙の先】は。
エンティティのソーサラーへの攻撃へと反応して、お互いにカードを引く効果があるけれど。
今出てきたのは、【虚無を翔ぶ探索者】の、攻撃後。
……つまり、カードを引く効果が働くのは、最初からこれが設置されている、次のターンから。
これで、今やることは終わり。
「……ターン終わり」
私は、ターンを終えて。……カードを、1枚選ぶ。
選んだカードは、【虚無を翔ぶ探索者】の効果によって捨てられて、さらにその、【虚無を翔ぶ探索者】は、除外される。
……それから、【虚無を翔ぶ探索者】は、盤面を離れるときに、自分の手札に【彼方への探査】を1枚加えて、そのコストに、自分自身のコストと同じ値だけ加算する、から。
──私の手札に、コストが1の【彼方への探査】が、加わった。
……これで、やっと。
私のターンが完全に、終わって。
香澄のターンに、移っていく。
……はずだけど、その前に。
手札で公開されている、【人馬の魔女ルクバト】の効果で。
香澄の手札に、【不可避の一矢】という、マジックカードが加わった。
……そうして、お互いの、ターン終了時効果が全て発動しきって。
2ターン目の香澄の番が、始まる。
……香澄は、ターン開始と同時に、カードを引く。
手札のカードの枚数は、9枚になった。
「……【不可避の一矢】。対象はソーサラー」
──青い瞳の香澄は、迷いなく。
先程手札に加えたマジックカードの使用で、コストを使い切り。
「……ターン終了」
そのまま、あっさりと。ターンの終了を、宣言した。