※宙羽視点です。
……3ターン目、私の番。
カードを引いて、手札の枚数は6枚。
私が『ファントムビルド』をする時、やることはほとんど変わらない。
……今回は、コストを1支払って【彼方への探査】を使用する。
自分の手札のカード全てが、このターンの間だけコスト-1されるけど。今は、あまり意味がない。
カードの効果で出てきた【虚無を翔ぶ探索者】で、また攻撃する。
──当然のように、ダメージは0。
そうしたら、今回は。
……お互いにカードを1枚引いて。
それから、自分の領域にある【宙の先】を破壊して、そこに【宙の先】を新たに設置する。
【宙の先】には、被破壊時に自分のソーサラーの体力を1回復する効果があるから、これで、私の体力は23。
「……終わり」
これで、ターンを終了する。
それで、ターン終了時。また、私の盤面の【虚無を翔ぶ探索者】が、自身の効果によって、盤面から除外されて。それから私はカードを1枚捨てて。
……今度はコストが2になった【彼方への探査】を手札に加える。
そして、一方で。
……香澄も、カードの効果を介して、手札にカードを加えていく。
──【不可避の一矢】。
やっぱり、コスト2のマジックとしては優秀だし、毎ターン手に入るのも強い。だけど。
香澄の手札のカードの枚数が、今加えた【不可避の一矢】で、10枚になったから。
……ターン開始時のドローで手札に加わるはずだったカードは、手札ではなく墓所へと捨てられる。
「……【不可避の一矢】。対象はソーサラー」
まるで、さっきのターンを反復しているかのような、繰り返し。
……私に、3のダメージが与えられる。
「──【サダルメリク】」
……だけど、今度は。
さっきのターンには出てこなかった、エンティティ。
コストは1で、召喚時にカードを1枚引いて、それから1枚デッキに戻して。さらに、被破壊時にカードを1枚引く効果。
コストだけじゃなくて、攻撃力も体力も、両方1。
……まあ、もしも体力が10あろうと100あろうと。【宙の先】がフィールドにある限り、それだけじゃ、関係ないけど。
……それが、盤面に出現して、召喚時効果を終えたと同時に。
私の盤面の、【宙の先】の効果で。
それ……【宝瓶の魔女サダルメリク】は、『これは自分のターン終了時、破壊される』という効果を、付与された。
……つまり、あのエンティティは。
ターンの終了時に、自壊する。
となると。……実質的に。
あのエンティティがやったことは、カードを1枚引いて戻したことだけ。
そして。
「……ターンを終わる」
香澄がターンを終了して……実際に、【宝瓶の魔女サダルメリク】が破壊されて、その被破壊時効果が、発揮された。
つまり、カードを1枚引いた。
これでまた、香澄の手札の枚数は9枚。
……また、同じことが繰り返されるから。
──少なくとも、デッキの1番上のカードは捨てられることになる。
……そして、私の番。
カードを引く。手札は7枚。
「……【彼方への探査】」
コストは2で、また【虚無を翔ぶ探索者】が、盤面に現れる。
「【虚無を翔ぶ探索者】で攻撃」
0のダメージ。お互いにカードを1枚引く。
……私の手札は7枚、香澄の手札は10枚。
【不可避の一矢】が入れる隙間が無い、上限枚数の手札。
あとは、【宙の先】が破壊されて、私の体力を1回復して21に。
……それから、一応。墓所にある【宙の先】の枚数が、2枚になった。
「……終わり」
──私はそのままターンを終える。
ターン終了時の効果が同じように働いて、手札のカードの枚数は7枚。
……それから、今手札に加わった【彼方への探査】のコストは3。
──手番が移る。
「……随分と、退屈そうに振る舞うのね」
手札に加わるはずだったカードを2枚、立て続けに墓所へと送る羽目に遭いながら、香澄はふと、そんなことを言う。
……別にマナー違反というわけでもないはずだけど、『これ』を指摘されるのは何度目だろう。
別に、今更嫌な気がするということもないから、どうでもいいけど。
「……【星辰の争乱】」
そして、そんな言葉を発しておいて。
……特に何も思っていなさそうな雰囲気で、香澄はマジックカードを使用した。
コストは、4。
効果は、自分の領域に【ターモイル・プラネット】というフィールドカードを設置して、それからデッキと墓所からランダムな《分類:星辰の魔女》を持つエンティティを2枚ずつ手札に加える効果。
……ただ、手札の枚数は、使用したマジックカードの分を除いて9枚だから。
デッキからのカード1枚だけが、手札に加わり。
……その他は、結局墓所へと送られる。
──だけど、ひとつ問題が発生した。
それは、領域に設置された、【ターモイル・プラネット】の効果。
……まず、『お互いのソーサラーは、自分の盤面のカードが自分のカードの効果によって破壊された時、体力を1回復する』……これは、特に問題ない。
次、『ターン中に1度まで、お互いのソーサラーは自分の召喚するエンティティが『召喚時、自分の盤面のカードを破壊し、その後猛進を持つ』を持つものとして良い』……これも、あまり関係ない。
最後。『お互いのソーサラーはお互いのターン終了時、自分の墓所のカードをランダムに1枚デッキに加えることができる』……これは、少し面倒。
……何が、面倒か。
それを説明するために、まずは私のデッキについて、少し説明する。
……そのために。
そのさらに前に、『ファントムビルド』のルールについて。
『ファントムビルド』の、デッキ、について。
……デッキが、0枚になったら。どうなるか。
答えは、『その状態で、カードを引こうとしたら敗北となる』。
つまり。あまり意識されることは多くないけど、デッキはソーサラーのもうひとつの体力と言っていい。
……それで、今度は私のデッキについての説明。
『お互いにカードを引く』効果が、頻発するような構造になっている。
……そして同時に、自分のデッキを補充する手段も、少なくない。
だから、私のデッキの勝ち筋は。
領域に、【宙の先】を設置して、それから、『同一のフィールドカード』が30枚以上墓所にある状態で、10ターン目以降の自分のターンを迎えること。
──そして、相手のデッキを、無くしてしまうこと。
これで、私のデッキについての説明は終わり。
つまり、あのカードがあると、私が勝ちに辿り着くまでが遅くなる。
……まあ、別に、デッキ切れでの勝ちが狙えなくなるほどではないけど。
……これまでの【不可避の一矢】の連射といい、向こうも向こうで、早い試合展開を狙っていそうで。
早さ比べになると不利になりそうな状況を作られてしまったということが、面倒。
……と、いうのが。
私が思った、面倒、という言葉を具体化したもの。
──改めて、思う。
……やっぱり言葉は、圧縮するに限る。
いちいち毎回、わざわざ事細かに言語化して説明するなんて、無駄でしかない。
「──ターンを終了する」
香澄は、ターン終了の宣言と共に。墓所のカードを1枚、ランダムに、デッキに戻す。
……対して私は。
その効果が任意での発動であることがわかっているから、その効果を使う権利を放棄する。
……【宙の先】というカードが、今墓所からデッキに加わったら、普通に損をするだけ。それから、デッキの枚数にも、困ってない。
──ターン終了時の効果が終わって、手番が移る。
私の番。5回目。
カードを引く。
……手札は8枚。
「……コスト3。【彼方への探査】」
また、【虚無を翔ぶ探索者】が、盤面に現れる。
……それから、手札のカードのコストが、-3される。
「──コスト2。【音速の壁】」
……ただ、今度は。
私はそのまま攻撃してのターン終了ではなくて。
カードを1枚、使用した。
【音速の壁】
コスト5。マジック。《分類:軌跡の終点》
お互いのソーサラーは、『猛進』、『拙速』、『神速』のいずれも持たず、また、レジェンダリーでもないエンティティカードがあるなら、その中から1枚を捨てる。その後、お互いのソーサラーは、カードを2枚引き、手札に【虚無の記録】を1枚加える。
……元のコストは5、だけど。
【彼方への探査】のコスト減算で、2コストで使った。
──私の手札には、そもそもエンティティカードが存在しないから、カードを捨てることはしない。
だけど、一方で。香澄は1枚、カードを捨てた。
……そして、2枚ずつカードを引く効果。
これで私の手札は9枚になって、香澄の手札には、そもそも空きがさっき捨てた1枚分だから、残りの1枚を、手札に加えず捨てるだけ。
そして、最後に、1枚。
……お互いの手札に、【虚無の記録】を1枚加える。
私の手札はこれで10枚。……香澄は手札に加えず捨てる。
【虚無の記録】
コスト0。マジック。ファントム。《分類:軌跡の終点》
自分の手札に《分類:軌跡の終点》を持つカードがあるなら、その中から1枚を選んで、このターンの間、それのコストを+1する。
自分の手札のカードを2枚捨てる。その後、カードを1枚引く。
……あとは、いつも通り。
【虚無を翔ぶ探索者】で攻撃したら、ターンを終える。
お互いにカードを引いて。そして、私の体力が22まで戻って。
……あとは、墓所にある【宙の先】の枚数が3枚になって。
それから手札にコスト4の【彼方への探査】が加わって、手札は10枚。
香澄はターンの終了時に、また墓所のカードをデッキに戻す。
……手札は10枚。【不可避の一矢】は捨てられる。
──これで、また。
私のターンの、全ての効果処理が終わった。