カードのテキストが長すぎます!   作:ピンノ

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※宙羽視点です。



93話 虚無あるいは希望

 

 ……5ターン目。香澄の番。

 ターン開始時のドローで、また、デッキの1番上のカードが捨てられる。

 

 「……【カストル】」

 

 一瞬、その青い瞳を手札の上で走らせて。

 

 ……召喚されたのは、コスト2のエンティティ。【双児の魔女カストル】というカード。

 召喚時に、自分の盤面に【双児の魔女ポルクス】を出現させて、それぞれに『ライフリンク』を付与する効果が働いた。

 

 ただ、その2枚のエンティティカードの両方は、『神速』を持ってない。

 ……だから、私のフィールドカードである【宙の先】の効果によって、その両方に、『これは自分のターン終了時、破壊される』という効果が付いた。

 

 「……次、【アルレシャ】」

 

 ……そして、さらにコスト2のエンティティカード、【双魚の魔女アルレシャ】の召喚。

 

 召喚時に、自分の盤面に【双魚の魔女アルレシャ】を出現させてそれぞれに『ライフリンク』を付与するカード。

 

 ……これも、『神速』は持ってない。

 だから、【宙の先】の効果も機能する。

 

 「【レグルス】」

 

 ──最後の1コスト。

 召喚されたのは、大剣を携えたヒト型のエンティティ。

 

 ……名前は、【獅子の魔女レグルス】というみたい。

 

 召喚時に、自分の盤面のエンティティ全てを破壊して、その合計コストの半分……つまり、2が4枚のその半分。──4だけ、自身の攻撃力を加算する。

 

 元の攻撃力が1だから、合計は5。

 

 ……あとは、攻撃力の数値と同じ値だけ、ダメージ減衰効果も持っている。

 つまり、5のダメージ減衰。

 

 まあ、『神速』も破壊効果への耐性もないなら、そのダメージ減衰には意味がないけど。

 

 ……そして。

 

 ──召喚時効果で自分の盤面のエンティティ全てを破壊したことで、被破壊時効果が一気に働く。

 

 まず、【双児の魔女カストル】の効果。

 ……カードを1枚引く。

 

 次、【双児の魔女ポルクス】。

 ……【双児の魔女カストル】を1枚デッキに加える。

 

 最後、【双魚の魔女アルレシャ】2枚。

 ……どちらも同じ。デッキからコストの最も低いカードをランダムに1枚引く。

 

 ──最終的に。

 

 香澄の手札のカードは10枚。

 

 ついでに、このターンで減ったデッキの枚数は、ターン開始時のドローも含めて3枚。……だから残りは。おそらく、24枚。

 

 ……最後に、【獅子の魔女レグルス】にも【宙の先】の効果付与が働いて。

 

 「……ターンを終了する」

 

 香澄は、ターンを終えた。

 

 【獅子の魔女レグルス】が自動的に破壊されて、その被破壊時効果……『相手のソーサラーにこれの攻撃力と同じ値だけダメージを与える』というものが、働くから。

 

 ……私は5のダメージを受けて、残り体力が17になった。

 

 そして、ターン終了時。

 

 ──また、【ターモイル・プラネット】の効果で、墓所のカードが1枚デッキに還る。……デッキの枚数は、これで25。

 

 0枚にするには、やや遠め。

 ……ターンの終了処理は、これで終わり。私のターン。

 

 ターンを開始するけど、カードは引けない。

 ──手札の枚数が10枚だから、自動的に墓所へと捨てられる。

 

 「……【虚無の記録】」

 

 捨てられたカードは、まあ、どうでもいい。

 ……元々、私のデッキは。

 

 ある程度、自分のカードを捨てることも前提みたいなところがあるから。

 

 ……それで。

 今私が使ったカード。

 

 コストが0でカードを1枚引くことができるけど。

 

 ……効果の代償に手札を2枚捨てて、それから自分の手札の《分類:軌跡の終点》を持つカード1枚を、このターンの間コストを+1することになる。

 

 一見すれば、デメリットの方が大きいカード。

 

 ……実際、私のデッキには、これを相手の手札に押し付けるカードが、それなりの枚数入っている。

 

 だけど、同時に。

 ……これを押し付けるカードは、大体、『相手の手札に加える』のではなく、『お互いの手札に加える』。

 

 ……それは、このカードの妨害性能が高く、相手に押し付けるだけでは強すぎるからその辻褄合わせ……ではなくて。

 

 私にとって、このカードには、大いに使い道がある。

 

 まずひとつ。

 ……私のデッキには『お互いにカードを引く』効果が多いから、よく手札の枚数が上限に達する。

 

 そんな時はこれを使えば、手札に空きができる。

 

 それからふたつめ。

 ……それは。

 

 ──手札のカードを1枚、選択する。

 それのコストをこのターンの間だけ、+1する。

 

 それから、カードを2枚選んで。……捨てる。

 

 コストを増やしたカードは、もちろん。

 

 「……コスト5。【彼方への探査】」

 

 私の盤面に、【虚無を翔ぶ探索者】が1枚出現する。

 

 本来、今のこのカードはコストが4、だったけど。

 さっきコストを1加算したから、コストは5になっている。

 

 ……そして。

 【彼方への探査】の効果で、自分の手札のカード全ては、『これのコストと同じ値だけ減算する』から。

 

 一気に、手札の7枚のカード全てのコストが5減算されることになる。

 

 「……コスト0。【見果てぬ希望】」

 

 コストが減ったことで、0コストで使えるようになったマジックカードを、まずは使う。

 

 【見果てぬ希望】

 コスト3。マジック。《分類:軌跡の終点》

 お互いのソーサラーは、『次の自分のターン開始時、デッキからコストの最も高いカードを1枚引く』を持つ。相手の手札に【見果てぬ希望】を1枚加える。

 

 

 ……ソーサラー付与の効果は機能した。

 だけど、相手の手札に【見果てぬ希望】を1枚加える効果は。

 

 残念ながら相手の手札が10枚だから、押し付けられず。

 ……まあ、本命はソーサラー付与の効果の方だから、別にいいけど。

 

 私のデッキは、相手の手札を増やすカードが多い。

 ……そして、手札が10枚なら、引いたカードは、捨てられる。

 

 最後に。コストが最大のカードは、コスト変動を前提としたタイプのレジェンダリーなことが、結構ある。

 ……実際、香澄のレジェンダリーのカードも、コストが50……とかだったはず。

 

 ──既に手札にあるなら別だけど。

 そうでないなら、勝ち筋をひとつ直接的に潰し得る。

 

 ……そういう、カード。

 

 まあ、香澄のデッキには【ターモイル・プラネット】の墓所回収があるから、完全に潰し切ることにはならないかもだけど。

 

 「……もう1枚。【見果てぬ希望】」

 

 もちろん、これもコスト0。

 仮にレジェンダリーを潰すことにつながらなくても、デッキ切れを狙うという視点で見ても、価値がある。

 

 ……こんなカード、何枚使ったっていい。

 まあ、相手からしたらそんなことないのかも知れないけど。

 

 ──カードバトルは、やられて嫌なことをやるのが基本。

 

 「……コスト1。【人造の智慧】」

 

 一応、このターンはこれで最後。

 ……まだ使えるカードはあるけど、勿体ないからまだ取っておく。

 

 

 【人造の智慧】

 コスト6。マジック。《分類:軌跡の終点》

 自分の盤面に、エンティティが1枚だけ存在するなら使用できる。

 自分のエンティティ1枚を選択し、それの攻撃力を-5する(最小値0)。その後、それに『これは『防衛』や『挺身』を無視して攻撃できる』と『これは2回攻撃できる』と『攻撃時、お互いの手札に『【虚無の記録】を1枚加える』を付与する。

 

 

 ……選択するエンティティは、もちろん【虚無を翔ぶ探索者】。

 

 「……【虚無を翔ぶ探索者】でソーサラーに2回攻撃」

 

 【虚無を翔ぶ探索者】の攻撃力は相変わらず0だから。1ターンに2回攻撃しようと、ダメージはない。

 

 ──けど。

 

 ……私の手札に、2枚の【虚無の記録】と。

 それから、2枚のデッキからのカード。……4枚増えて、手札の枚数は8枚になった。

 

 そして、【宙の先】も破壊されて設置され直す流れが2度起こり。

 ……私の体力は19まで回復して、墓所にある【宙の先】の枚数も、これで5枚。

 

 ……さらに。

 

 香澄の墓所にまた【虚無の記録】が2枚捨てられ。それから、デッキのカードも2枚、墓所へと捨てられる。

 

 「……ターン終わり」

 

 私の盤面の【虚無を翔ぶ探索者】が除外され。

 

 ……そして、手札のカードを1枚捨てて。

 その代わりに、コストが5の【彼方への探査】が1枚加わる。

 

 ──その一方。

 

 香澄が、墓所のカードを1枚デッキに戻して。

 ……デッキのカードは残り24枚。

 

 そして、また。

 【不可避の一矢】が、手札に加えられず捨てられていく。

 

 ……これで

 私のターン終了時の効果は終わり。

 

 向こうのターンが始まる。

 

 ターン開始時のドロー。そして、【見果てぬ希望】の効果。

 ……デッキのカードは一気に3枚減るから。

 

 ──これで、残りは21枚。

 相手側が墓所からカードを回収できる今の状況で。このルートで勝ちを狙うのは。

 

 ……やっぱり、どうしても時間がかかりそう。

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