※宙羽視点です。
……5ターン目。香澄の番。
ターン開始時のドローで、また、デッキの1番上のカードが捨てられる。
「……【カストル】」
一瞬、その青い瞳を手札の上で走らせて。
……召喚されたのは、コスト2のエンティティ。【双児の魔女カストル】というカード。
召喚時に、自分の盤面に【双児の魔女ポルクス】を出現させて、それぞれに『ライフリンク』を付与する効果が働いた。
ただ、その2枚のエンティティカードの両方は、『神速』を持ってない。
……だから、私のフィールドカードである【宙の先】の効果によって、その両方に、『これは自分のターン終了時、破壊される』という効果が付いた。
「……次、【アルレシャ】」
……そして、さらにコスト2のエンティティカード、【双魚の魔女アルレシャ】の召喚。
召喚時に、自分の盤面に【双魚の魔女アルレシャ】を出現させてそれぞれに『ライフリンク』を付与するカード。
……これも、『神速』は持ってない。
だから、【宙の先】の効果も機能する。
「【レグルス】」
──最後の1コスト。
召喚されたのは、大剣を携えたヒト型のエンティティ。
……名前は、【獅子の魔女レグルス】というみたい。
召喚時に、自分の盤面のエンティティ全てを破壊して、その合計コストの半分……つまり、2が4枚のその半分。──4だけ、自身の攻撃力を加算する。
元の攻撃力が1だから、合計は5。
……あとは、攻撃力の数値と同じ値だけ、ダメージ減衰効果も持っている。
つまり、5のダメージ減衰。
まあ、『神速』も破壊効果への耐性もないなら、そのダメージ減衰には意味がないけど。
……そして。
──召喚時効果で自分の盤面のエンティティ全てを破壊したことで、被破壊時効果が一気に働く。
まず、【双児の魔女カストル】の効果。
……カードを1枚引く。
次、【双児の魔女ポルクス】。
……【双児の魔女カストル】を1枚デッキに加える。
最後、【双魚の魔女アルレシャ】2枚。
……どちらも同じ。デッキからコストの最も低いカードをランダムに1枚引く。
──最終的に。
香澄の手札のカードは10枚。
ついでに、このターンで減ったデッキの枚数は、ターン開始時のドローも含めて3枚。……だから残りは。おそらく、24枚。
……最後に、【獅子の魔女レグルス】にも【宙の先】の効果付与が働いて。
「……ターンを終了する」
香澄は、ターンを終えた。
【獅子の魔女レグルス】が自動的に破壊されて、その被破壊時効果……『相手のソーサラーにこれの攻撃力と同じ値だけダメージを与える』というものが、働くから。
……私は5のダメージを受けて、残り体力が17になった。
そして、ターン終了時。
──また、【ターモイル・プラネット】の効果で、墓所のカードが1枚デッキに還る。……デッキの枚数は、これで25。
0枚にするには、やや遠め。
……ターンの終了処理は、これで終わり。私のターン。
ターンを開始するけど、カードは引けない。
──手札の枚数が10枚だから、自動的に墓所へと捨てられる。
「……【虚無の記録】」
捨てられたカードは、まあ、どうでもいい。
……元々、私のデッキは。
ある程度、自分のカードを捨てることも前提みたいなところがあるから。
……それで。
今私が使ったカード。
コストが0でカードを1枚引くことができるけど。
……効果の代償に手札を2枚捨てて、それから自分の手札の《分類:軌跡の終点》を持つカード1枚を、このターンの間コストを+1することになる。
一見すれば、デメリットの方が大きいカード。
……実際、私のデッキには、これを相手の手札に押し付けるカードが、それなりの枚数入っている。
だけど、同時に。
……これを押し付けるカードは、大体、『相手の手札に加える』のではなく、『お互いの手札に加える』。
……それは、このカードの妨害性能が高く、相手に押し付けるだけでは強すぎるからその辻褄合わせ……ではなくて。
私にとって、このカードには、大いに使い道がある。
まずひとつ。
……私のデッキには『お互いにカードを引く』効果が多いから、よく手札の枚数が上限に達する。
そんな時はこれを使えば、手札に空きができる。
それからふたつめ。
……それは。
──手札のカードを1枚、選択する。
それのコストをこのターンの間だけ、+1する。
それから、カードを2枚選んで。……捨てる。
コストを増やしたカードは、もちろん。
「……コスト5。【彼方への探査】」
私の盤面に、【虚無を翔ぶ探索者】が1枚出現する。
本来、今のこのカードはコストが4、だったけど。
さっきコストを1加算したから、コストは5になっている。
……そして。
【彼方への探査】の効果で、自分の手札のカード全ては、『これのコストと同じ値だけ減算する』から。
一気に、手札の7枚のカード全てのコストが5減算されることになる。
「……コスト0。【見果てぬ希望】」
コストが減ったことで、0コストで使えるようになったマジックカードを、まずは使う。
【見果てぬ希望】
コスト3。マジック。《分類:軌跡の終点》
お互いのソーサラーは、『次の自分のターン開始時、デッキからコストの最も高いカードを1枚引く』を持つ。相手の手札に【見果てぬ希望】を1枚加える。
……ソーサラー付与の効果は機能した。
だけど、相手の手札に【見果てぬ希望】を1枚加える効果は。
残念ながら相手の手札が10枚だから、押し付けられず。
……まあ、本命はソーサラー付与の効果の方だから、別にいいけど。
私のデッキは、相手の手札を増やすカードが多い。
……そして、手札が10枚なら、引いたカードは、捨てられる。
最後に。コストが最大のカードは、コスト変動を前提としたタイプのレジェンダリーなことが、結構ある。
……実際、香澄のレジェンダリーのカードも、コストが50……とかだったはず。
──既に手札にあるなら別だけど。
そうでないなら、勝ち筋をひとつ直接的に潰し得る。
……そういう、カード。
まあ、香澄のデッキには【ターモイル・プラネット】の墓所回収があるから、完全に潰し切ることにはならないかもだけど。
「……もう1枚。【見果てぬ希望】」
もちろん、これもコスト0。
仮にレジェンダリーを潰すことにつながらなくても、デッキ切れを狙うという視点で見ても、価値がある。
……こんなカード、何枚使ったっていい。
まあ、相手からしたらそんなことないのかも知れないけど。
──カードバトルは、やられて嫌なことをやるのが基本。
「……コスト1。【人造の智慧】」
一応、このターンはこれで最後。
……まだ使えるカードはあるけど、勿体ないからまだ取っておく。
【人造の智慧】
コスト6。マジック。《分類:軌跡の終点》
自分の盤面に、エンティティが1枚だけ存在するなら使用できる。
自分のエンティティ1枚を選択し、それの攻撃力を-5する(最小値0)。その後、それに『これは『防衛』や『挺身』を無視して攻撃できる』と『これは2回攻撃できる』と『攻撃時、お互いの手札に『【虚無の記録】を1枚加える』を付与する。
……選択するエンティティは、もちろん【虚無を翔ぶ探索者】。
「……【虚無を翔ぶ探索者】でソーサラーに2回攻撃」
【虚無を翔ぶ探索者】の攻撃力は相変わらず0だから。1ターンに2回攻撃しようと、ダメージはない。
──けど。
……私の手札に、2枚の【虚無の記録】と。
それから、2枚のデッキからのカード。……4枚増えて、手札の枚数は8枚になった。
そして、【宙の先】も破壊されて設置され直す流れが2度起こり。
……私の体力は19まで回復して、墓所にある【宙の先】の枚数も、これで5枚。
……さらに。
香澄の墓所にまた【虚無の記録】が2枚捨てられ。それから、デッキのカードも2枚、墓所へと捨てられる。
「……ターン終わり」
私の盤面の【虚無を翔ぶ探索者】が除外され。
……そして、手札のカードを1枚捨てて。
その代わりに、コストが5の【彼方への探査】が1枚加わる。
──その一方。
香澄が、墓所のカードを1枚デッキに戻して。
……デッキのカードは残り24枚。
そして、また。
【不可避の一矢】が、手札に加えられず捨てられていく。
……これで
私のターン終了時の効果は終わり。
向こうのターンが始まる。
ターン開始時のドロー。そして、【見果てぬ希望】の効果。
……デッキのカードは一気に3枚減るから。
──これで、残りは21枚。
相手側が墓所からカードを回収できる今の状況で。このルートで勝ちを狙うのは。
……やっぱり、どうしても時間がかかりそう。