カードのテキストが長すぎます!   作:ピンノ

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※宙羽視点です。



94話 減速あるいは促進

 

 「──まず、【ルクバト】の召喚」

 

 ──6ターン目。

 香澄が召喚したのは、コスト1のエンティティ、【人馬の魔女ルクバト】。

 

 ……あのエンティティの召喚はこの試合の中では初めてだけど、公開効果を持ってるから、あのカード自体は既に見てる。

 

 元々のコストは、11。

 ……相手のターン終了時、毎回【不可避の一矢】を1枚手札に加えて、それから自分自身のコストを-2する。

 

 あとは、その後自分自身のコストが0以下なら、盤面に自分自身を出してそのまま破壊する……という効果も持ってたはず。

 

 本体の攻撃力と体力は両方1で、さっきの、手札にある時に働く効果以外には、特に効果を持たないエンティティ。

 

 それを、わざわざ召喚してきた。

 ……試合中の自壊の回数を稼ぎたいだけなら、別にコストを払う必要はない。

 

 ……まあ、狙いは何となく予想できなくもないけど。

 

 

 「──次、【アンタレス】の召喚。効果対象は【ルクバト】」

 

 ……それで、次に召喚されたのは、コスト4のエンティティ。

 香澄が宣言した通り、召喚時効果で【人馬の魔女ルクバト】が破壊された。

 

 ……それで、【天蠍の魔女アンタレス】自体は。

 『致命』と『猛進』を持っていて、それから召喚時効果で『被破壊時、【天蠍の魔女アンタレス】を1枚盤面に出現させる』を持つ効果と、それから『これ以外の盤面のカード1枚を選択し、破壊する。破壊したカードが《分類:星辰の魔女》を持っていたなら、これは『受けるダメージを-2する』を持ち、コストを2回復する。』という効果を持っている、カード。

 

 ──『猛進』と『致命』はどうでもいいとして。

 

 ……召喚時効果は、そこそこ面倒。

 

 【宙の先】の効果が発動するのは、『盤面にエンティティが出るたび』。だから、今召喚した【天蠍の魔女アンタレス】は当然として、その後、効果で後から出てくる【天蠍の魔女アンタレス】にも。結局、自壊効果は付与される。

 

 ──ただ、もしターン終了時の自壊で破壊されて、それから出てきて……みたいな感じになるなら。

 

 そしたら、1ターン分攻撃できる可能性がある。

 

 攻撃力は2だから、そこまでのダメージではない。とはいえ、今の速度比べの状況では、小粒だからとあまり無視し続けるのは多分良くない。

 

 ……だけど、これは今出てきた【天蠍の魔女アンタレス】をそのまま盤面に残すのなら、という仮定の話。

 

 多分、あっちの狙いはそうじゃない。

 ……だから。今の仮定には、あまり意味がないと思う。

 

 「──【アルレシャ】の召喚」

 

 ……予想を裏付けるように、新たにエンティティが召喚される。

 

 コスト2のエンティティカード、【双魚の魔女アルレシャ】。召喚時効果で自分自身と同じエンティティを出現させて、『ライフリンク』を付与。

 

 この試合の中だけでも、既に1度見た流れ。

 

 ……なら、きっと。

 

 「……【レグルス】を召喚」

 

 ──やっぱり、予想通り。

 

 【獅子の魔女レグルス】の召喚時効果で、盤面のエンティティが一掃されて。

 【獅子の魔女レグルス】の攻撃力は、また前と同じように。

 

 ……4加算されて5になった。

 

 ──そして、それから。

 【天蠍の魔女アンタレス】の被破壊時効果で【天蠍の魔女アンタレス】が盤面に出現。あとは、【双魚の魔女アルレシャ】2枚の効果で、香澄がデッキからコストの最も低いカードを合計2枚引いた。

 

 これで、手札の枚数は8枚。

 ……それから、デッキの枚数が、19枚。

 

 「……ターンを終了する」

 

 ──香澄が、ターンの終了を宣言して。【宙の先】の自壊効果が付与されている2枚……【獅子の魔女レグルス】と【天蠍の魔女アンタレス】が破壊される。

 

 ……効果で出てきた【天蠍の魔女アンタレス】には、被破壊時効果は無いから、特に何も起こらないけど。

 

 【獅子の魔女レグルス】の被破壊時効果、『相手のソーサラーにこれの攻撃力と同じ値だけダメージを与える』効果で、私に5のダメージが飛んでくる。

 

 ……これで、私の体力は残り14。

 ギリギリ、半分よりは多い……という程度。

 

 そして、ターン終了時。

 

 香澄は【ターモイル・プラネット】で墓所のカードをデッキに戻すから。

 ……香澄のデッキ枚数は、残り20枚。

 

 ……これで、ターン終了時の処理も終わり。

 

 ──私の番。

 

 ターン開始時、【見果てぬ希望】2枚分の効果で、手札のカードが2枚増える。

 ……元々、手札の枚数は8枚だったから、この効果だけで、手札は10枚。

 

 だから、ターン開始時のドローで引くはずだったカードは捨てられる。

 

 それで、今は7ターン目。だから、使えるコストは7。

 ……一度、手札のカードを見る。

 

 「……【虚無の記録】を2枚使う」

 

 結局この動きになりそうかな、という動き……つまり、安定した行動を選択する。

 【虚無の記録】を2枚使ったことで、任意のカード1枚へのコスト+1が2度働いて。

 

 ……そして、カードが合計4枚捨てられ、2枚ドロー。

 手札の枚数は、これで6枚。

 

 「……コスト7。【彼方への探査】」

 

 当然、コスト加算の選択先はこのカード。

 ──本来、まだコストは5だけど、これでコスト7で使える。

 

 ……だから、つまり。

 私の手札の残り5枚全部のコストが、これでこのターン中-7になる。

 

 「……コスト0。【音速の壁】」

 

 ……まずは、無難なカード。

 これの効果で、お互いに『『猛進』、『拙速』、『神速』のいずれも持たず、また、レジェンダリーでもないエンティティカード』という制約の中から1枚を選んで、そして捨てる。

 

 ──ただ、私の手札には該当するカードが無いから捨てることはなく。

 香澄の方だけが、カードを捨てる。

 

 ……それから、お互いにカードを2枚引いて。

 追加で【虚無の記録】を1枚手札に加える。

 

 これで、私の手札の枚数は、【虚無の記録】1枚を合わせて合計8枚。

 ……その一方で、香澄の手札は今ので10枚。デッキが18枚。

 

 「……コスト0。【文明の到達】」

 

 ……これは、【彼方への探査】を手札に持ってくる時にも使ったカード。

 

 自分だけカードを1枚捨てて。

 ……それから、お互いに最もコストの低いカードを1枚引く。

 

 「……あとは、これも。コスト0で【無限への未知】」

 

 ──このターン、最後のカード。

 そして、これは元のコストがちょうど7のカードでもある。

 

 【無限への未知】

 コスト7。マジック。《分類:軌跡の終点》

 お互いのソーサラーはカードを1枚引き、手札に【虚無の記録】を1枚加える。それから、この試合中に自分が【無限への未知】を使用したのが1度目なら、お互いは手札のレジェンダリーでないカード全てのコストをそれぞれの自分のターン終了時まで+1する。

 お互いのソーサラーは手札の枚数が上限でないなら、さらにカードを1枚引く。

 

 

 ……私の手札に、カードが2枚増える。

 そして、コストが+1。

 

 ただ、このコスト増加は『自分のターン終了時まで』だから。

 ……次の私のターンが始まる時には、元に戻ってる。

 

 問題があるとすれば、香澄の方。

 ……香澄の手札のカード10枚にも同じように、『自分のターン終了時までコストを+1する』効果が働いている。

 

 ……さっきのターン、【双魚の魔女アルレシャ】の被破壊時効果……つまり、『コストの最も低いカードを引く効果』が2度働いてた。

 

 香澄のデッキなら、それは【宝瓶の魔女サダルメリク】と【獅子の魔女レグルス】の2枚のうちのどっちかが対象になるはず。

 

 つまり、多分。

 ……香澄は次のターンも、また【獅子の魔女レグルス】の効果でダメージを狙いたかったはず。

 

 だけど、あの手のカードを複数枚組み合わせることが前提のカードは。

 コストが加算されると、多分ちょっとやりづらい、と、思う。

 

 ……コストを加算する効果は1度きりだから、本当はもうちょっと慎重に使いたいところではある、けど。

 

 この辺りで、動きを鈍らせて猶予を稼ぎたいと、思ったから。

 

 

 ──後は、それからさらに。

 カードが2枚増えた後の私の手札のカード枚数は9枚だから、さらにカードを1枚引いて。

 

 

 「……【虚無を翔ぶ探索者】で攻撃」

 

 このターンに使うカードを使い終えたから、あとはいつも通りに盤面の【虚無を翔ぶ探索者】での攻撃を済ませる。

 

 【虚無を翔ぶ探索者】の効果での一連の処理により、お互いに手札の枚数は元々10枚だったから、それぞれカードをそのまま捨てて。

 

 そして、私の墓所の【宙の先】はこれで6枚。それから、体力は残り15になって。

 

 ……そして、ターンを終わり。

 

 私が手札のカードを1枚捨てて、その穴にコストが6になった【彼方への探査】を1枚加え。

 

 一方で、香澄が墓所のカードをデッキへ回収し。

 ──香澄のデッキ枚数は、これで残り17枚。

 

 

 ……あまり、早くはないけど。

 だけど勝負は、確実に終わりへと向かっている。

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