現代から異世界に転生し、ドワーフとして頑張って最高の剣を神様に奉納することで、現代っぽい世界に再転生をさせてもらった。20歳になったら、持ち物をアイテム袋に入れて送ってもらえる特典付きである。
まあ、あくまでも現代っぽい世界で、この世界にも魔物はいるのだが。
大型の魔物が多く、怪獣って呼ばれてる。ビルほどでかいのも珍しくない。
よくこんなんで文明を築いたな。ほんとすげぇわこの世界の奴ら。
通信教育で勉強して資格を取り、怪獣の解体に携わりつつ、材料を集め、研究を進める。
今は、人間なのでドワーフの極意は使えない。
でも人間なので、この世界の人間特有の魔力は使えた。
あと、魂由来の魔法は使える。
荷物が届けば、向こうの魔法も使えるようになるはずだ。
無論、制限はつくがな。
今、習得しているのはタウント。怪獣を挑発する術と、テイム? 魔物と同調し、死骸を操る力だ。ネクロマンシーといってもいいかもしれない。探知魔法も使える。
この世界の人間は、テイムで魔物の死骸を従えてスーツに応用しているようだ。
大いに参考になる。
今日は、20歳の誕生日。アイテム袋が届いたので、ようやく設備が整う。なので核を買い取り、明日から作業をする事になっている。
ちなみに借金だ。アイテム袋には金貨があるが、換金方法も考えないとな。
「洞掘 刀、お前の作った小刀、メチャクチャ作業しやすいぞ」
「刀さん、設備もないのにこれは凄いですよ」
「これくらいは当然だ。何せ俺は世界一の鍛治師なんだからな」
「将来は妖刀テクノロジーに匹敵する会社を作るんだっけ?」
「ああ、それが目標だ。今日付で起業で、10年後には伝説を打ち立てる!」
「向こうは平安時代からある企業だぞ? 無理だって」
「いいじゃねーか、夢はおっきく! で、社名は?」
俺は胸を張って答えた。
「ドワーフ工房妖精宴よ! って事で、今日は俺の奢りだ! お祝いに酒盛りしてくれ!」
「「おお!」」
それから、もうドワーフでもないのに飲みすぎて、俺はへべれけになった。
「俺、送りますよ」
「うげえええええええ」
「うっわ吐いた!」
「刀さん、鍵は?」
「ヒィック。これだ」
「やたら豪華ですね」
あっ 間違えた!
魔法の鍵を誤って渡してしまい、俺は焦る。
鍵を開けると、俺の工房に繋がってしまった。
小さなアパートには絶対に入らない、広いよく整えられた工房。
明らかに異世界の工房である。
俺も転生してから入るのは初だ。
弟子からの贈り物が中央に山ほど積み上げられていた。
「……」
「あー。内緒にしてくれるか」
「社員にしてくれるなら」
そんなわけで、社員が増えた。
朝。ガンガンする頭を抑え、俺は差し出された水を飲む。
「大丈夫ですか? 刀さん」
「オメェは……」
「葛城 銃也です。中三で社員です」
「ジュース飲んでたからガキだろうとは思ってたが……中卒で就職はいいのか……?」
「チャンスの女神には前髪しかないんですよ」
「そりゃそうだが」
うーん。ま、人手は必要か。もうすぐ4月だし、ほぼほぼ卒業と見ていいだろう。
それに、学業は将来の為のもの。こいつ確か、剣を作りてぇって言ってたし、俺の元で働けるなら、絶対学校に行くより働いた方がいい。何せ俺は掛け値なしに異世界で一番に輝いた鍛治師なのだ。
「わかった。俺も男だ、前言を翻すようなことはしねぇ! 今日からよろしくな!」
「はい、よろしくお願いします!」
「ここは俺の工房だ。俺は生前ドワーフでな。ピカイチの剣を作って、転生を許されたのよ」
「おお……。どんな剣を作ったんですか?」
「お前が資格を得たら予備の方を見せてやるよ。あいつは気難しくてな。優れた剣には魂が宿るのよ。今のお前が触ったら細切れにされっちまう」
「へぇ」
「そうだな。お前、剣は打ちたいか。売りたいか。俺の会社でなにがしたい?」
「自分の作った剣で怪獣をぶった斬りたいです! 後、販売もですが、経営の勉強もしたいです! 俺、刀さんの小刀を見たくて現場に遊びにきてたんです! あとできるなら魔法も覚えたいです!」
「欲張りセットか。全部叶えてやってもいいが、その代わりこき使うからな。まずは、魔力のない状態で剣を見るか」
「はい!!」
俺は剣を見せて回る。そして、当たり障りのない出来の魔法剣を突っ込んだ樽を並べたエリアを指差した。
「この辺の刀は数打ちだな。この樽の商品を売り歩いてこい。怪獣には届かないだろうが、好事家にでも売れるだろ。そうだな。まずはこれを売って、金を稼いでこい。今の工房はドワーフ用だからな。人間用に改造せにゃならんのよ。お前さんの給料も用意しねぇとだし、借金を返さないとだし、研究費もいる。資金は多けりゃ多いほどいい。目標金額はあえて言わねぇ。お前の経営の腕って奴を見せてもらう。出来るか?」
「剣のコレクターなら、たくさん知ってます! 任せてください」
「買い叩かれんなよ。あと、これを買った客に。お前も一つ舐めていい」
瓶の中の飴を一つ舐めて、残りの瓶をそのまま渡す。
「これは……?」
「魔力覚醒薬だ。魂に刺激を与えて、魔法を使えるようにすんのよ。劇薬だから二個は食うなよ。1日じっくり様子見とけ。これを舐めた後に剣の交換がしたいといったら一回に限り応じてやれ。魔力の相性もあるからな。後、そっちの樽から護身用に一振りやる。好きなのを選べ」
「はい!」
「それとこれは合鍵だ。一応護身用に洗脳を防ぐ腕輪と結界を張るペンダントをやるからつけていけ。俺はまだ二日酔いが酷いから寝る。全部売れるまで戻ってくるな、あっこれ領収書」
そうして、俺は銃也を見送ると、ベッドに戻って眠った。
たとえ持ち逃げされても、薬を一瓶ととっておきではない剣を二樽なら、取り返しがきく。
まあ、銃也は持ち逃げなんぞしないと思うけどな。
厳しいとは思うが、世界一の鍛冶師に師事すんだ、テメェのやる気と器量を見せてみな。
グゥ。
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