『サイヤ人の境地』
セルが宇宙から帰って来たかと思ったらベビーを連れて帰ったのも記憶に新しい頃。俺達は再度CPに集まった。前回いなかった人達も今回は参加している。
つまむものの準備を終え、早速話に入る。まずはドラゴンボールについてだ。
「まぁこっちは問題ないな。俺の中に入れれば大丈夫なのは確認済みだ。マイナスエネルギーも浄化されてるし、安心してドラゴンボールは使える」
『お~!』
「ひゃ~!未来のオラ達が苦戦した邪悪龍っちゅうのがこうも簡単に解決するなんてなぁ」
「そりゃいいことだけどよ、海は大丈夫だったのか?なんかあったってことしか知らなくて、クリリン達と噂してたんだが……」
「……まぁ、支障はない、はず…多分」
「実はよ、兄ちゃんの中にドラゴンボールを入れてみたら兄ちゃんの目がさ───ぐえぇッ!?」
「ご・く・う~?」
「鮮やかに〆やがったな兄貴…」
悟空に回していた腕を解き、一息ついて全員と取り決めを作っておくことにした。まぁとても簡単な取り決めで、ドラゴンボールを使う場合は俺、ピッコロ、デンデやネイルに相談してから使うこと、使った後は必ず俺の中に収納してマイナスエネルギーが無くなるまで置いておくこと。大まかかつ簡単な約束事なのだが、何故かブルマさんが前みたく頭を抱えていた。なんで?なんかにドラゴンボール使おうとしてたんか?
……ブルマさんのことは置いて次の話に。次は前回どうしようかと決めかねていたことだ。
「どうする?超サイヤ人4……」
「―――――!」
超サイヤ人4。俺が見た夢の中で確認できた、超サイヤ人3のさらに上の姿であり、超サイヤ人の究極形態と言える境地。通常の超サイヤ人とは違って黒髪で、体はさらに筋肉質になり、上半身を紅の体毛が覆った姿。だがその姿になる条件として、超サイヤ人に成れるサイヤ人が大猿となった上で理性を保つことが絶対条件となる。
現状、大猿に成れるのは俺、父さん、ラディッツ、ナッパ、一応母さんの5人だ。成れない面子は今も尻尾が生えておらず、大猿になることはできない。只一人を除いて。
「悟空、覚悟はできたか?」
「……う~ん……!」
前々から悟空は超サイヤ人4になりたいと言っていたものの、尻尾が存在していない状態だった。しかしその尻には尻尾が生えていた名残が存在し、無理矢理引っ張れば尻尾が復活する。ただし未来の悟空でも泣き叫ぶほどの激痛を伴うため、さすがの悟空も躊躇っているようだ。まぁ注射が大嫌いな悟空だし、一部分だけに激痛が走るのが嫌なのはわかる。
しかしすでに悩みぬいていたのかは不明だが、とうとう油汗まみれの顔で頷いた。めっちゃ顔が青くてブルーベリーみたいに見えたのは内緒。
「よし、ならさっさとやんないとな……ラディッツ!手伝ってくれ!父さんは頼んでたやつを」
「あいよ!」
「なんでこんなのを持って来いって言ったのかわからなかったが、こいつのためか……。カカロット、耐えろよ」
「……いやデカすぎんだろ……」
父さんの方に乗るペンチの大きさは、おおよそ大人二人分はあるだろう背丈を誇る。このために特注で作ってもらったのだ。
あまりのデカさにクリリン達が驚愕し、さすがのベジータも驚きを隠せない顔で悟空を見送り、悟飯やナッパ達が今まで見たことがないほどに肩を落とした悟空に黙祷を捧げた。
そして長いようで短い、
◇◆◇◆◇
ブルマさんに用意してもらった部屋から退出し、少し涙が滲んだ眼をした悟空と共にみんなと合流した。サイヤ人の血が流れている面々が悟空の肩を叩いて労うのを見つつ、先程までの尻尾抜きの構図を思い出す。まず悟空が超サイヤ人3となった父さんに抱き着き、悟空の尻尾の名残を掴んだペンチプレスを超サイヤ人2となった俺とラディッツで思いっきり引っ張る形で始まったそれは、夢で聞いたそれよりはるかに簡単に終わった。逆に良すぎたくらいで、勢い余って悟空の尻尾を抜き切ってしまうところだった。
その時の悟空の様子は……まぁ、うん。しいて言うなら、途中までは初めて聞く音量で叫び、なんとか終わったころには絞め殺されそうな鶏みたいな声で呻いていた。どうも神様がかけていた魔法が生えようとする尻尾を止めようとしていたようで、引っ張る力と留める力の引き合いでやばいぐらいの激痛がケツに走っていたらしい。尻尾が生えていたままでよかったとここまで思ったことは無い。
悟空の尻尾も生えたので次は悟飯をと思っていたが、何故か辞退された。事情を聞くに、尻尾が生えた影響がビーデルさんにあるかもしれないため当分は遠慮したいとのこと。それは仕方ないということで悟飯を飛ばし、ベジータの番となった。
「ベジータの場合は尻尾が完全に無いらしいし、ドラゴンボールに願おうか。元々叶えたい願いはあったし」
「どっちでも構わん。オレはなれさえすればいいんだ、痛みなどで躊躇うものか」
「そういやなんでベジータには尻尾が完全に無いんだ?切ったぐらいなら悟空と一緒だろ?」
「多分神様の魔法のせいじゃないか?まだ悟空の尻尾が完全に無くなる前に生えないようにしたせいで名残が残ったままだったけど、ベジータの場合はヤジロベーに切られて以降は何にもしなかったしな」
「あー、そういやヤジロベーのやつがベジータの尻尾を切ってから何にもしてなかったな!悟空とベジータの違いはそこなのかな」
「わからん。孫のやつとベジータのやつにはその程度しか違いはない以上、海の考察もあながち否定できんものかもしれん」
「まぁ尻尾残ってたら悟空みたいな方法で生やしてたから、よかったっちゃ良かったかもしんないけどな。…さぁて、早速やるか」
現れた神龍に頼んだところ、無事ベジータの尻尾は生えた。これで悟空とベジータ共に大猿に変身できる。そして残った願いを使い、ある存在の復活を願った。それは……
「────約束通り生き返らせてくれたみたいだな、カイ」
「さすがに守らないと不義理だろ?ターレス」
ニヤリと笑う顔は悟空そっくりで、肌が浅黒い程度の違いだ。元々叶えたい願いというのは、地獄で取引をしたターレスの復活だった。本来なら一年以内の死者しか蘇れない地球のドラゴンボールだが、ちゃんと考えている。
「ありがとなムーリさん、願いも叶え終えたから送るよ!」
「何故地球に呼ばれたのかと思っていましたが、このために呼ばれたのですな。力になれて幸いだ」
俺の横にいたナメック星人は現在の長老さんであり、今回のターレス復活のためにわざわざ地球に来てもらった方だ。まぁ俺の瞬界移動を使ったので特に時間も掛からず、向こうも了承してくれたのでここまでスムーズに事が進んだ。
ムーリさんとポルンガを新ナメック星に送り、地球へと帰る。報告も終わり、超サイヤ人4の準備も整えて願いも叶えた。さぁてと、超サイヤ人4への変身に取り掛かるとするか……!
『贅沢な組手』
ぶつかり合った拳同士の余波が山を抉り、大地を陥没させる。溜めが一切ない気弾の爆破が空間を軋ませ、相対する存在を浅く傷つけていく。紅の体毛に覆われた体に小さな焦げ跡が付くも、これといったダメージにはなっていない。それはもう片方の存在も同様なようで、致命的なダメージを負えば分裂するピンクの体には一切ダメージが見受けられない。そもそもとして分裂自体していないようだ。橙色の道着についた煤を払いながらも、ピンクの体の持ち主───ブウは楽しそうに笑う。それは紅の体毛を持った戦士───超サイヤ人4となった悟空も同様に笑みを浮かべる。
「さすがは超サイヤ人4と言ったところか。どれほどやれるのか楽しみだったが、これは想像以上だ」
「オレもさ、ブウ。超サイヤ人4相手にここまでやるとは思ってなかったぜ……」
「フッフッフ……この宇宙において史上最強の魔人となった私が弱かったとお思いかな?」
「思っちゃいねぇが……ベジットの時を思い出しちまったからな」
「……あぁ、私がもう一人の私に吸収されていた時に戦っていたのか。なら残念だったな。今の私はさらに強くなったピッコロとゴテンクス、孫悟飯を吸収している。そしてなによりも……サタンの作ったお菓子でおなかいっぱいになっているんだ!昔の私だと思っていたら足元を掬われることになるだろう!!」
「……ふっ。こいつは思ってた以上にキツイ相手かもな?」
闘志を漲らせた悟空だったが、真後ろからギャリック砲が飛んできたために回避を取る。当然同じ直線状にいたブウにも向かうものの、ギャリック砲が当たる箇所を中心とするドーナツ状に体を変えたことで素通りさせた。
飛んできた方向に目を向ければ、悟空のような紅の体毛に身を包んだベジータに、一部分が邪悪さに満ちた体に変化したセルが空中戦を繰り広げていた。どうやらセルが放ったギャリック砲をベジータが殴って逸らしたせいで悟空達の方向に飛んでしまったようだ。
ベジータとセルの戦いはかなり不規則に広がっていく。超サイヤ人4となったベジータの激しい攻撃がセルへと向かうも、そのすべてが霧に包まれるようにして避けられる。実体がそこにあるというのに攻撃を向けた箇所だけが透け、体全体を捕らえるようにして放たれた爆破の煙に混じるようにしてセルが姿を現す。その体に傷は一切存在しない。だがそれはベジータも同じだった。どうやらセルが攻撃する瞬間は実体を維持せざるをえないという弱点に気づいており、セルの攻撃が飛んでくる瞬間を今か今かと待っているのがわかる。セルもそれに気づいているようで、フェイントにフェイントを重ねることで隙を作り出そうとしているようだ。
「おっと、危ない危ない……少しでも選択肢を間違えれば、丸焦げになってしまいそうだな…」
「ちっ、ちょこまかと霧になって避けやがって……素直に吹き飛べばいいものを!」
「無茶を言うなベジータ。いくらヒルデガーンの力を100%引き出せるようになったとはいえ、超サイヤ人4となったお前の攻撃は痛いものでね」
「嘘をつくな!貴様のことだ、例えダメージを負ったとしても霧になることでダメージの分散程度、容易いことだろう」
「さすがはベジータだ。花丸をくれてやろう」
「いらん!」
拒否の言葉と共に放たれたビッグバンアタックが変形したセルの尻尾により切り払われ、お返しとばかりにデスビームがベジータ目掛けて乱射される。が、こちらも弾かれてしまい大地を貫くだけで終いとなる。するとセルの体が消え、風切り音が鳴ったかと思うとブウの横に移動した。瞬間移動だ。悟空も同様に瞬間移動でベジータの横に現れた。
「そちらはどうかな?魔人ブウ」
「絶好調だよ、セル。戦いはこうでなくては」
「ベジータ、行けそうか?」
「舐めるなよ、オレもヤツも消耗などしていない。何十回繰り返そうと最後にはオレが勝つ…!」
「へへ、さすがはベジータだな…さて、と。こっからはダブルバトルといこうじゃねぇか!」
「足を引っ張るなよカカロット!」
「オメェもな!」
赤色と紫色の光が衝突し、近くの山脈が粉々に砕け散っていく。大地も地震と勘違いするほどに揺れるのを感じながら紅茶を口に含み、サタンが作ってくれたクッキーを流し込む。ブウが絶賛するのもわかる美味さだな。
「んーやっぱお菓子作りはマークの方が上手だな。今度教えてもらってもいいか?」
「海さんもお菓子作りに興味があったんですか?ぜひぜひ!」
「前に食べさせてもらったものとは別の菓子ですが、どれも絶品ですね……良ければ私もよろしいでしょうか?」
「えぇ、構いませんとも!」
界王神様とサタンが談笑するのを見ながら、少し前のことを思い出す。悟空とベジータの尻尾を生やした後、俺達は早速超サイヤ人4になるための準備を進めた。やることと言っても、ブルマさんに装置を作ってもらった上で暴れても大丈夫な場所を探すぐらいしかしなかったけど。
本当に大変だったのは準備を終えてからだった。満月の夜になり、まず最初に俺ということで大猿に変化すると初っ端から理性が飛んだ。大猿になった時の全能感、ただただ周りを破壊したいという衝動が同時に襲ってきた。暴れ散らかしては魔口砲を乱射しまくるし周りで時間稼ぎをしてくれてたみんなをぶっ飛ばそうとしたりと、夢で見た通りの行動をしていた。
悟空にラディッツ、安全をしたうえで見守ってくれてたパンジとリンが何度も名前を呼んでくれたおかげで少しだけ自我を取り戻し、最後は父さんのマジの全力の拳骨を喰らって理性を完全に取り戻した。喰らった拳骨の痛みが全然引かなくて悶えまくってたけど、無事に超サイヤ人4に至ることが出来た。
直に超サイヤ人4になる経験をしたおかげで理性を保つきっかけを掴むことが出来たのは幸運だったな。というのも、成った俺自身から見ても周りから見ても親しい人が呼びかけ続けることがきっかけになるのだと考えられる。
黄金の大猿の姿はいわば本来のサイヤ人の姿であり、体の奥底に存在する獣性だ。それは異端なサイヤ人の俺でも変わらない。実際戦いが楽しいと感じはするし、サイヤ人の血が流れているのは確か。
そこに超サイヤ人という感情が怒りに振り切った末に至るパワーが加わることで、大猿という獣性と超サイヤ人という理性が混ざり合う。親しい人の言葉が大猿に対抗する力のきっかけになるのは、直に感情に触れることが出来るからなのかもしれない。夢の中の悟空もパン───恐らく、悟飯とビーデルさんの間に生まれる孫娘。俺視点で言うと又姪───の言葉に、新ツフル星から見た地球という故郷を見たことがきっかけで、ベジータは悟空とのやり取りをきっかけとして超サイヤ人4に至った。
このことに気づいてからは、悟空の時には俺らと孫一家、ベジータの時は俺らとベジータ一家が呼びかけ続けることで理性を保たせた。父さんに関しては母さんのビンタ一発で理性を保たせてたから被害0だったっけ。ラディッツナッパは……どちらもイレーザさんとヴァイオレットさんの呼びかけでだったかな?今日はいないだけで三人はすでに覚醒済みだ。
「それにしてもサイヤ人というのはホントに……破壊神とやり合えるレベルの存在がぽこじゃか誕生するのはおかしいじゃろう」
「んなこと言われてもなぁ……。そもそも俺と悟空にラディッツは、戦い続けただけで戦闘力10000に至った父さんと他のサイヤ人と少し違った感性の母さんの血を引いてるし、ベジータは王族だろ?ナッパも上級戦士だしな。素質自体はみんなあったと思う」
「……あやつもそうなのかのぅ」
「ターレスは……知らん。下級戦士とは言ってたけど」
「何か言ったか?」
「ターレスって下級戦士だったよなっていう確認」
「何をおかしなことを……カカロットのやつと同じ顔のパーツであることが証明だろうに」
「だからって戦闘力6000は下級戦士じゃなくね?」
「王子様達に揉まれただけさ」
そうそう、言い忘れていたが今回はターレスもついてきている。ターレスには超サイヤ人になるための穏やかな心を持ってもらうためにお茶してもらうのと、今地球にいるパワーレベルを直に経験してもらうという目的でサタンのお菓子を食べながら優雅に紅茶を飲み、超サイヤ人4悟空ベジータVSブウセルの戦いを見学している。下級戦士って自分で言ってんのに、飲む作法を覚えるのは馬鹿早かった。「カイが作った野菜もそうだが、地球の食事レベルは宇宙で突出しているな……」なんて感想も出てたっけ。
「そういえばじゃが、何故ブウに孫悟飯達を吸収させたんじゃ?組手の相手ならばお前さんとバーダックがおるじゃろうに」
「あぁそれは……」
「私が頼んだんですよ。ブウさん、悟空さん達が強くなったのを知って自分も戦ってみたいって思ったらしく…」
「じゃあせっかくだしあの時のリベンジ戦ってことで悟飯達を吸収してもらったんだよ。今頃ブウの中で3人一緒に見学してんじゃないかな。セルは100%引き出せるようになったのもあってか、便乗してついてきた」
「あやつもお主等同様化け物じゃな……あやつを作ったというドクターゲロは本当に地球人なのかも怪しいわい」
「永久エネルギー炉を作り出したと思ったら、宇宙の帝王レベルを捻り潰す人造人間を作り出すやつですし……」
霧で悟空とベジータを包み込み、四方八方から小さな元気玉を投げまくるセルに目を向ける。霧の外からは高速移動をしながら周回軌道を描いて気弾を放ち、元気玉を当てるためのアシストをしながらダメージを与えようとするブウがいるため、中にいる悟空とベジータはかなり不利なように見える。
すると霧の隙間から光が漏れ始め、一瞬の硬直が生まれたセルとブウ目掛けて赤いかめはめ波と黄緑色の極光が放たれて二人を飲み込む。霧が晴れて姿を現した二人は背中合わせの状態で何かを話していた。
……んー。内容的には多分、「少し焦ったか?ベジータ」「抜かせカカロット。この程度でへこたれるオレではない」って感じかな?ちょっと煽ってんじゃねぇよ悟空。
「それにしても、セルという方とブウさんは相性がいいんでしょうか?超サイヤ人4へと覚醒したお二人相手にあそこまで戦えるのは、ただただ凄まじいとしか……」
「俺も知らないっす。でも今はピッコロと悟飯を吸収してるんで、紳士的な人となりってところで波長が合うんじゃないすか?」
「ブウさん、親近感が湧くって言ってはいましたけど……どこでそう感じたのかは本人もわからんそうです」
まぁブウって子供っぽいところがあるから、詳しいことはブウのみぞ知るってことだ。ちなみに話題となったブウは耳が痛くなるレベルの咆哮を放ち、声と共に震えた空間が砕け散った。そして悟空が飲み込まれて消えた。あれ大丈夫か?
と思ったら違う場所から空間を砕いて悟空が現れた。超サイヤ人3の時みたいな無理矢理穴を開ける要領で脱出みたいだ。
「あぶねぇあぶねぇ。変なところに飛んじっちまったぜ」
「さすがだな悟空、少しばかりは足止めが出来ると思っていたんだがな」
「そう簡単にゃいかねぇさ」
「そのようだ、な!」
「ふ───ッ!!」
ブウと悟空の気合砲が相殺し合い、辺り一帯に風が吹き荒れる。舞い上がった悟空の髪が目元を覆った瞬間にブウが突っ込み、返り討ちにしようとした悟空をその場に留めることに成功した。ベジータと取っ組み合いをしていたセルがそれに気づき、ブウに当たることも厭わずにかめはめ波を打ち込んだ。すぐさまベジータが妨害したことで少しは逸らすことが出来たものの、さすがの悟空も少し効いたようで体中からプスプス煙が上がっている。元に戻ったブウは一切ダメージが無いあたり、やっぱり不死身ってずるいところあるよな。
「さすがに効いたぜ……」
「彼がすぐに汲み取ってくれて助かったよ。少しでも痛手を加えられなければ、私の面目も立たないのでね」
「そうか?オレにはよくわかんねぇな」
「まぁ、自己満足に近いものなのでね。……さぁ、終いとしようか」
「あぁ…この一撃で決めてやる!」
ブウの片手から巨大なエネルギー玉が出来上がったかと思えば、相対する悟空はそれぞれの手のひらにかめはめ波を用意して一つに融合させた。かめはめ波の態勢ではあるものの、かめはめ波同士の融合という一工程を加えたことでその力強さは通常のそれではない。赤く、重厚感を感じさせる音が聞こえる。
離れたところで戦っていたベジータとセルも終わりが近いのを理解したのか、向こう側も大技の準備に入った。
セルはかめはめ波を、ベジータはファイナルフラッシュの構えを取る。そして四者同様のタイミングで臨界点に達し──────
「吹き飛んでしまええええええッ!!」
「かめはめ────波アアアアアアッ!!」
「ファイナル!フラァァァァァァッシュ!!!」
「10倍!!かめはめ波アアアアアッ!!!」
衝突した気功波が拮抗し、少しの弛みを作り出したかと思えば相手ごと飲み込んで爆発を引き起こした。最後まで立っていた二人は……悟空と、ベジータの二人だった。
◇◆◇◆◇
「はぐっんぐっ!んめー!やっぱし兄ちゃんの飯も最高だな~!」
「そう言ってくれると嬉しいもんだ。ほれ、カツ丼のお代わり」
「うひょ~!!」
「サタン、オレの分のお菓子、お代わり!」
「はいはい、少しお待ちを!海さんと一緒に作ったプリンアラモードもお出しするので、楽しみにしててくださいね!」
「やった~!」
「ベジータ、やはり霧による回避に頼り切りだと思うか?私自身、この回避能力の高さは利点ではあると思うのだが…」
「微妙なところではある。貴様の霧による回避の厄介さは認めざるをえんものだが、霧の状態では攻撃が出来んというのは少し、な」
組手が終わり、感想会を開いてみた。飯を食いたい勢の悟空とブウはひたすら目の前の料理を口に詰め込み、セルはベジータと意見交換をしていた。吸収されていた悟飯はターレスと談笑し、子供達はサタンの出すお菓子を食べて遊んでいた。ピッコロだけターレスに複雑そうな視線を送っている。まぁ、昔殺し合った相手だからさもありなんとしか。
あ、ターレスに聞くことあったの忘れてた。
「一応うちの社員ってことにしてるけど、ターレスって何かしたいことってある?要望があるなら聞きたいんだけど」
「要望?……なら、宇宙船を用意してほしい」
「宇宙でなんかすんの?」
「なぁに、宇宙を旅しようかと思ってね。ついでにお前の農作物を売りさばけば、良い利益になるだろう?」
「ついでに売りさばくのかよ。別にいいけど、ちゃんと報告しろよ?」
「言質は取ったぜ……」
少し腹黒い笑みを浮かべながら肉を口に運んで食いちぎる様は、どこからどう見ても悪役の風貌だった。たまに思うけど、悟空が悪人になった時はターレスみたいだったんかねぇ?そうだった場合、悟空と殴り合ってたかもしんないな……。ま、考えるだけ無駄か。今は今だし。
それとご報告をば。ドラゴンボール超編なのですが、漫画版の入手が叶いましたので個人メールの方と活動報告で挙げられたリクエスト2話を上げてから超編に入ろうかと思います。時々日を置いてから投稿してしまいますが、暖かい目で見守っていただけると幸いです。
これからも楽しみにお待ちください。