◇月★日
悟空が俺のサポーターを使うようになった。ブリーフさんに作ってもらったバンドテープみたいなやつで、まだ最初の段階の状態で俺と組手をしている。
いつもなら何もなしか如意棒を使っていたから、負荷を掛けた状態での組手はキツそうだった。
なんで急に負荷をつけるようになったか聞いたら、悟空はもっともっと強くなって、あの世にいる悟飯さんに伝えると言っていた。
思わず、動くことが出来なかった。
俺はまだ、悟飯さんが亡くなったことをひきずってしまっている。
もう2年経った。でも悟空は俺より早く立ち直っている。多分、1年ぐらい前から切り替えることが出来ていたんだと思う。そのぐらいから悟空は、修行により力を入れてる気がした。
今でも俺は、食事を作るときは悟飯さんの分まで作りそうになる。悟飯さんの墓参りもして、事実を受け止めれていると思っていたのに。
………だめだなぁ…。多分、俺は違いを知ってるからなんだと思う。
父さんと母さんは目の前でもない、手が届くわけない場所で亡くなった。
けど悟飯さんは、俺と悟空の目の前で亡くなった。静かに眠るように亡くなったあの時は、今でも覚えている。
目の前かどうか。その差異が今も引きずる理由になっているのだと思う。
…………なんとかする方法は見つかっている。今日記に書いている間に思いついた。
俺の都合に付き合わせてしまうため、悟空に一言断わってからお墓参りに行く。間違って作ってしまった食事を持って。
悟飯さんの墓に間違って作った料理を供え、手を合わせる。隣には、悟空が一緒に手を合わせていた。悟空も行きたいと言っていたので、2人で来たのだ。
俺が事実を受け止めるには、これが一番だと思った。いつも俺が昼食や晩ご飯を作っていたから、この2年間の間も間違って余分に作ってしまっていた。それを悟飯さんのお墓に供えることで割り切ろうとしたのだ。
悟飯さんの死を、もう引きずるのではなく、背負っていくのだと。
じゃなきゃ、あの世にいる悟飯さんに心配されちゃうから。
追記:
悟飯さんのお墓の横には、母さんと父さんのお墓に、トーマさん達のお墓がある。何も入っていないお墓だけど、形だけでも弔いたくて建てたのだ。
悟空にはそれとなく伝えると、そちらもお参りするようになった。記憶がなくとも、なにか感じるところがあったんだと思う。
あと何故か父さんと母さんのお墓参りをし始めてから肩が重い。具体的にいうと2人分くらいの体重が乗ってるみたいに重い。もしかして父さんと母さん俺に取り憑いてる???
いやでも重いぐらいで特に苦しくはない。どっちかというと楽に思える。なんなんだ……?
⦿月◯日
今日はまたブリーフさんのところに野菜を届けた。頻度はそこまでではないけど、今でも続けている。
なんでも、うちで作っている野菜を使った料理が出た時、娘さんがすごく喜んでくれるらしい。生産者の冥利に尽きる話だ。
ちなみに結構前から野菜とお金でやり取りしている。最初は定価以上の金額でいいと言われていたものの、俺からしたらブリーフさんには恩があるし、今はそこまでお金が欲しいわけでもないから定価以下の金額で支払ってもらっている。
悟空からは俺の好きにしてほしいと言われてるし、特に問題は無い。
そうそう、西の都に来た時、なんだか優しそうな少年と出会った。多分俺より年下の子だと思う。
道場に通ってるらしく、師範っぽい人と一緒に行動していた。
どんな動きをするのかとか、型を見せてもらったりしたお礼に野菜をあげて帰った。また会えたら嬉しいな。
ps.ブリーフさん達に悟飯さんが亡くなったことを伝えた。電話で話したことがあったし、そもそも悟飯さんが有名なこともあったからブリーフさんも悟飯さんのことは知っている。
ブリーフさん達は悟飯さんが亡くなったことを悲しんでくれただけでなく、お供えものも渡してくれた。お墓の位置があまりにも遠いため、失礼かもしれないが俺が代わりに供えてほしいと頼まれた。
本当は武天老師さんにも伝えたかったけど、どこに住んでるか悟飯さんからは聞けていないので、手紙も送れていない。今の俺じゃ地球中を探そうとしたら何十日とかかるため、武天老師さんへの報告は諦めた。
◇月⦿日
世界一の殺し屋とかいう変人に出会った。ぶっ飛ばした。
今日は野菜の遠征販売を試みようと思い、南の都までひとっ走りしてきた。天下一武道会という大きな大会が開かれる場所なだけあり、結構な数の人が行き来する都市だった。
流石に無許可で売るわけにはいかなかったので、警察の方に許可をもらってから移動販売を行った。荷車を持ってきていたので、そこに積んで色んな人に売っていった。
こちらでも定価以下で売っていたこともあり、都市内を一周する内に全部売り切れた。
時々強盗らしき人たちが襲ってきたので嬉々として返り討ちにすると、いつの間にか襲ってくることが無くなった。
ちぇっ、つまんねぇの。ただ、帰る時に警察の人から撃退した功績から表彰を受けた。悟飯さんに報告しようかな。
売り終わってお金と荷車をホイポイカプセルでしまい、何処かでご飯を食べようと転々としていると、見覚えのある2人が酒場に入っていくのが見えた。西の都で出会った2人だ。
せっかく会えたことだし、野菜が売れたことを自慢しに行こうと酒場に入ると修羅場に出くわした。
師範さんらしき人が変な男性の変な髪型を笑った瞬間、その男性からナイフみたいな殺気が漏れ出し、止めようとした少年もろとも吹っ飛ばす瞬間だった。
すぐに2人を受け止めて、前に出た。
吹っ飛ばすのはまだわかる。それは馬鹿にしちゃった男の人の責任だし、それだけだったら俺は何も言わない。
だけど目の前の男は、ずっと殺気を向けている。後ろの男性だけじゃなく、少年にもだ。男性は気絶しているけど、少年はまだ起きている。血だらけだしどこか怯えているように見える。
なんでずっとピリピリしているのか男に聞いた。馬鹿にしちゃったのは今の一撃で許してやればいいのに。
そしたらその男は、世界一の殺し屋である自分を笑ったのなら、それは命で支払ってもらわなければいけないとかほざきやがった。
思わず、なんだコイツ。世界一の殺し屋ってそんな短気なヤツなのかと思った。
向こうは少年達と邪魔した俺を殺すまでは止まらなさそうだし、俺は彼らに死んで欲しくない。なのでまぁ、戦うのは確定していた。
それに世界一の殺し屋とやらの実力が気になるから、少しワクワクしてきていた。
始まりは向こうのローキックからだった。はっきりいえば俺はガキだから、すぐに殺せると侮ったのだろう。しかも俺の後ろには少年達がまだ座り込んでいた。多分、死にはしないだろうけど動くことができないのだと思う。避ければ彼等に当たり、トドメが刺される。
だから俺にできたのは、応戦。蹴ろうとした足を引っ掴んでからの、一回転。勢いをつけた一本背負いで投げ飛ばす。
思いっきり地面に叩きつけてやろうと思ったけど、嫌な予感がしたから投げ飛ばすだけに済ました。
そしたら予想通り、投げ飛ばされながら俺を蹴り飛ばそうとしていたみたいで、予想が外れたのか素直に飛んでいった。
投げはしたから少しはダメージが入ってるはずだけど、あんまりそうは見えない。やっぱりそれなりに強いみたいだ。
向こうは驚いたみたいで、ガキがここまでやるなんてな、なんて呟いていた。
少し嬉しくなって、死んだ悟飯さんのおかげてここまで強くなれたって言った。
そしたら向こうは嘲るように、
「その死んだじいさんは馬鹿な教え方をしていたみたいだな。この桃白白様のことを教えていなかったのだから。
そしてそのお粗末な武術もまともにな…!」
と言ってきた。
思考が冷たくなっていくのを感じた。
桃白白だとか殺し屋とかほざいてたがもうどうでもよくなった。
瞬きもできない内に懐に飛び込み、その腹にグーを叩き込む。思わず蹲ったそいつの目にチョキを突き立て、悶えさせる。
「てめぇは、その笑ったじっ様の技でぶっ飛ばしてやる…!ジャン、拳!パー!!」
張り手の形で、手のひら全体を叩きつけそいつを都市外にまでぶっ飛ばす。
吹っ飛ばした瞬間、どどん波と叫んで気弾が飛んできた。狙いは少年達ではなく、完全に俺に変わっていた。おかげで分かりやすい。
飛んできた光線を殴り飛ばして無力化した。こんなの一度見せてもらった本気の父さんのタイラントランサーに比べたら、屁でもない。
悟飯さんの技で命を奪いたくなかったから、多分生きてるだろう。光線撃ってきてたし。ただまぁ最後の瞬間、俺に対する恐怖心を感じた。
あれはトラウマになってるだろうな。
あいつが星になって消えるのを確認し、すぐさま2人の様子を確認する。
少年は意識があるけど、師範らしき人は気絶している。
2人を担ぎ上げ、病院に運搬した。そこの先生は急患だと察してくれたみたいで、すぐに処置を施してくれた。
もう大丈夫だと判断し、留守番をしてくれてる悟空のもとに帰ろうとした時、少年から名前を聞かれた。少年はマークというらしく、どうしても俺の名前が知りたいんだとか。
特に隠してるわけでもないから、孫 海と名乗ってその場をあとにした。
ちなみに診断料として今日の収穫の半分を病院に出しておいた。結構な額あったし、先生から遠慮されたぐらいだから大丈夫だと思う。余った額は寄付として置いてもらうことになっている。
キレちゃったりしたけど、ちゃんとした武術家(多分)と戦えたし、野菜は全部売れたから満足だ。
追記:
悟空に世界一の殺し屋とかいうやつと戦ったことを伝えるとすっごい嫉妬された。兄ちゃんだけずるいだとかなんとか。
今の悟空じゃまだ勝てないだろうなぁなんて考えながら、膨れた悟空のほっぺをつついて遊んだ。
今の主人公の戦闘力は300以上ではあります。あまり正確には考えられてないです。
戦闘描写なんですが、日記形式のときはあっさりとしたものになります。
追記
次回から時間が飛んで原作に入ります。