最初に見えたのは、飛行機が墜落する瞬間だった。咄嗟に助けようとしたけど、出てきた三人組の様子がほけっとして無事そうだったのでほっとくことにした。なんかちょっとだけ悪そうな気配もしたし、べつにいっか。
大きな城から見えるのは、予想通り大猿となった悟空だった。この地球には俺と悟空しかサイヤ人がいないから特定しやすい。これでもしラディッツとかだったら固まる気がするな。
というかよく見たらあれブルマさんじゃね?てか建物に挟まってね?やばくね?
すぐそばに見たことのない男性と豚とかわいい猫っぽいのがいるのも見えるし、多分悟空が旅の途中で出会った人たちなんだろう。だったらすぐに助けないとな。
すぐそばに降り立ち、様子を確認する。どうやらブルマさんは建物に挟まった程度の様子で、圧迫されているわけではなさそうだ。ならあの建物をぶっ壊せばいいな。
男性は前歯がかけているけど、今さっきできたものじゃなさそうだ。…せっかくの伊達男っぽさがあの前歯で消え去ってる気がする。口には出さないけど。
他の二人……二匹?も特に怪我はなさそうだ。
でも一応聞いとこうか。
「大丈夫ですか皆さん!どこも怪我はないですか?」
「え?あ、あぁ。俺たちは怪我はしてない。だけどブルマが挟まってしまってな…」
「ていうか、あんたいったい誰なんだ?空飛んでたし、悟空のやつと同じ尻尾生えてるし…」
「!!そ、孫くんのお兄さん!!」
「「「えぇ!?」」」
?…あ、ブルマさん以外の人たちとはあったことないからこの反応も当然か。悟空のやつ俺の話してなかったのかな?まぁそこはいいや。
「すみません、俺のことはこれが終わったら話すので先に要件を済ませましょう。今って何時ですか?」
「えっ?ま、まだ9時ぐらいだと思いますけど…」
「…となると朝まで持つのは厳しいか。だったら尻尾を…」
多分俺一人なら朝日まで持つけど、ブルマさんたちを放って戦うのは危険すぎるし、ここら一体の地理がわかんないからどこかに誘導するのも厳しいし…。やっぱり尻尾をちぎるしかないな。
悟空のやつまた月を見たんだろうし、ちょっとしたお仕置きをしないと多分また同じことをやらかすだろうから少しの痛みは耐えてもらおう。
問題は、ちぎるのが難しいことなんだよな。多分悟空のやつも反発するだろうし、容易じゃないだろう。
ならどこかに刀とかがあったらいいんだけど…。
「えっと、そこのあなたは…?」
「俺はヤムチャだ。ちょっとした事情で悟空のやつについてきたんだが、今はこのありさまだ。それとこの豚はウーロン、こいつは俺の相棒のプーアルだ」
「ウーロンだ」
「プーアルです」
「ヤムチャさん、ウーロン、プーアルさんですか。ヤムチャさんって刀みたいな大きな刃物ってもってますか?あと悟空のやつにはちゃんと言い聞かせます…」
「おい待てなんで俺だけ呼び捨てなんだよ!ヤムチャとプーアルのやつにはさん付けなのに!」
「エロガキっぽいので」
「うぐぅ…」
「そんなことはどうでもいい!実は俺たちの荷物がピラフってやつにとられたから、手元にはないんだ、すまない」
「どうでもよくねぇよ!」
「ウーロンうるさい!」
ウーロンがいじけちゃった。まぁほっとこう、すぐ復活しそうだし。それにしても荷物を取られたってことは、あの城の中にあるのか?悟空が暴れてるから迂闊に飛び込めないな…。
「実は悟空の尻尾を切るかちぎるかすれば、元には戻るんです。でもどっちも難しいならどうするべきかな…」
「そ、そういえばヤムチャ様、あいつ尻尾が弱点だったじゃないですか!?」
「はっ、そうか!なら尻尾をどうにかすれば…いやまて、お兄さんってあの状態の悟空をどうにかしたんですよね?その時ってどうやって…」
「あのときですか?地底湖に誘導してひたすらヒット&アウェイを繰り返してました。結果的に気絶させられたんですけど、元に戻った理由は朝になったことですから、今は難しいです。なにか切れるものがあればな…」
「切れるもの…ならお兄さん、少しの間だけ、悟空を止めることってできませんか。俺たちに策があります」
「わかりました。少しだけ止めればいいんですね」
「おねがいします!!」
「ちょっとお兄さん!この建物のことなんとかしてよー!」
「すみません、今すぐは無理です。そろそろ悟空が―――」
――――ガアァァァアアァァァ!!!
「ヒイイイィィィィ!!?や、やっぱり大丈夫です!頑張って!」
「すぐ何とかしますから、もう少しだけ待っててください!」
「よし、プーアル!鋏に変化するんだ!それなら悟空の尻尾も切れるはずだ!」
「はいっ!」
悟空に向かって突撃する瞬間、後ろのほうでボンッ!という音とともにプーアルさんが大きな鋏に変化するのが見えた。なにその技術!?初めて見たぞ!
てかあっぶね、俺も満月見るところだった。さすがにもう一匹大猿が増えたらどうしようもないから気をつけないとな。
さぁて、引き受けたからには悟空を止めないといけないんだよな。尻尾がつかめたらいいんだけど…悟空のやつ、俺が来てからすっごい警戒してんだよな。もしかして大猿の時だけあの夜のこと思い出してんのか?そんであんとき倒せなかった俺が来たから警戒してる…最悪か?
いや最悪じゃねえな。悟空も強くなってるけど、俺も強くなってる。だから尻尾じゃなくて鳩尾を本気でぶん殴れば少しの間は動けないだろう。だったら―――
「悟空の内に潜り込むのが最適!ハアッ!」
――グオオォォォォォォアァァァ!!!
悟空が振り下ろした腕を避け、内に入り込む。だけどすぐに殴り掛からず、そのまま股を潜り抜ける。
案の定、自分の腹に向かって殴り掛かるのが見えた。あのままつっこんだらサンドイッチになってたや。
それと、あの状態の悟空は魔口砲を撃ってくる。それもなんとかしないといけない。耐えればいいんだけど、悟空や皆さんを心配させるわけにはいかない。となればあれが欲しい。悟空が持っていた、如意棒が。
真後ろにあった満月が悟空で見えなくなるのを確認しつつ、城に向かって走り抜ける。少し手前あたりで止まり、息を吸う。多分だけど、俺の予想が正しければこれで来るはず―――!
「来い!!如意棒!!」
瞬間、城の外壁やその他もろもろを吹き飛ばしながら赤い棒状の物が突っ込んでくる。手を広げて待てば手元に収まり、確かにその存在を主張する。
地球に来てから出会った摩訶不思議な道具の一つ、じっ様から悟空に託された如意棒だ。
それにしても…
「やっぱり来てくれたな、如意棒」
実は俺、ある疑問を如意棒に抱いていたのだ。それはこの棒、生きてるんじゃね?というものだ。
考えてみてほしい。まずただの棒が伸びろ!というだけで伸びるものだろうか。俺は思わない。そこで考えた。如意棒は喋ることはなくともちょっとした自意識を持ってるのではないだろうか、と。
そして自意識があるのならば、たまに使っていた俺のこともわかるはずだ。だから呼んでみたのだが、やっぱり来てくれた。
というか誰がこの子を作ったんだろうか。もし自意識を持ってるとするこの子を作れるやつがいるのなら、そいつは神様かなんかだろう。本当にいるのなら多分強いだろうし、手合わせ願いたいな。
如意棒を片手で持ち、我流の構えをとる。くしくもそれは、如意棒を使った悟空の構えと似通ったものだった。
「よ~し!気分上がってきたぜ!行くぞ!!」
―――グオオォォォアァァァアアア……!
悟空のパンチを如意棒で受け流しながら、一気に回り込んでいく。
俺を仕留めるためか、悟空の口にエネルギーが溜まっていく。魔口砲だ!!
「フウゥゥ…―――!!!」
如意棒を前に構え、その時を待つ。エネルギーが臨界点に達した瞬間、悟空から巨大なエネルギー波が飛んできた。
一気に如意棒を回転させ、簡易的なシールドを作り出す。力を込めたため、無事魔口砲をやり過ごせた。さすがにあれをもろに喰らったら今の俺でも全身やけどが確定しちまうな。
というか弾き飛ばした魔口砲の余波で城が余計ぶっ壊れた。やっべ。
すばしっこい俺を嫌がった悟空が両手でアームハンマーを作るのが見える。あれはそのまま打たすのはまずいな!
「頼んだぞ…!伸びろ、如意棒!!」
伸びた如意棒をすぐさま悟空の右肩に突き立て、体のバランスを崩す。
「もう一本!!」
―――ガアアァァ……!!?
すぐさま如意棒を戻し、今度は顔面を突く。そして大きな隙が生まれたので、拳を握り込んで一気に距離を詰める。狙うは、腹!
「これで終いだ!ダアァァッ!!」
―――グオオォッッ…!!
「ヤムチャさん!!今です!!」
「応!!ップーアル!今だ!!」
「はいっ!!」
ジャキン!!という音とともにヤムチャさんがつかんでいた尻尾が切られ、シュルシュルと悟空がもとに戻っていく。
なんとかなったな…。
ちなみに如意棒が生きてるかどうかは実際はわかりません。原作でそんな話出てないのでこの世界ではもしかしたら生きてるかも?ぐらいで見てください。
それと主人公のカイの容姿ですが、自分はゼノバース2で使っていたサイヤ人のアバターの姿をイメージしています。
それと次回から日記形式に戻ります。日記形式にすると文字数が少なく感じて物足りなく感じる自分がいます‥‥。早くマジュニアあたりまで行きたいなぁ。