ドラゴンボール ~もう一人の兄~   作:龍玉

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不意打ち、そして敗北

 

 

 

 

「なぁ悟空。あの飛行機からなんか悪いやつの気配がする」

 

 

「えっ?どこどこ?どこに…あ!あれか!」

 

 

 悟空とともに飛行機のすぐ横に並び、様子を確認する。乗っているトラは小さな子供を引っ掴んでおり、何かを叫んでいた様子だ。

 そして、その飛行機の側面には、見覚えのある赤いリボンマーク。

 

レッドリボン軍だ。

 

 

「兄ちゃん!」

 

 

「おうッ!」

 

 

「ッ!?お、お前ら、あのガキ二人――!?」

 

 

 

 悟空が筋斗雲とともに突撃し、俺は少年をトラから奪い取る。

 

 

 

 飛行機が墜落していくのが見えた。あいつら、もうこんなところまで…!

 

 

 

 子供を地面に下ろし、悟空が来るのを待つ。その間にかなり大きい人がやってきた。雰囲気的にこの少年のお父さんだろう。

 

 

「オッス!オラ、孫悟空!」

 

 

「こんにちは、孫海です。お二人とも、ご無事ですか?」

 

 

「あぁ、私は大丈夫だ。そして息子を助けてくれてありがとう」

 

 

「ありがとうございます!」

 

 

「オラたち、レッドリボン軍のやつらをやっつけるついでに助けただけだよ」

 

 ふとお父さんの手を見ると、そこになんと四星球があった!そうか、この人が持ってたからここにあったのか!

 

 

「悟空!あれ、あれ!」

 

「え?…あー!四星球!おじさんそれちょうだい、お願い!」

 

 

「君たちもこの球が欲しいのか。一体それはなんなんだ?」

 

 

「これはですね―――」

 

 

 

 ドラゴンボールの説明をすると、二人は納得した様子だった。別に俺たちは四星球が手に入ればいいので、願いがないことを伝えると四星球を渡してくれた。やりぃ!やっと帰ってきてくれたな!四星球!

 

 それと悟空がすぐ近くにある塔に興味を持ったらしい。するとお父さん――ボラさんが説明してくれた。

 

 なんでもこの塔はカリン塔と呼ばれる聖なる塔で、これを自力で登りきると頂点に住む仙人様からある聖水をいただけるとのこと。その聖水の力はすさまじく、なんと何倍もの力が得られるとのこと。そしてボラさんは一族でこの塔を守る番人なんだとか。へ~。

 

 

「自力でか…筋斗雲はだめかもなぁ。筋斗雲の力で登ってるって判断されそうだし」

 

 

「兄ちゃんの空を飛ぶのはどうなんだろな?」

 

 

「ぎりぎりアウトじゃない?多分塔をつかんで上がるのが試練っぽいし、宙に浮いてたら楽勝だろうしなぁ」

 

 

天下一武道会までの間に上るのはありかもしれん。いい鍛錬になりそうだし、本番でいいパフォーマンスができそうだ。

 

 

 

 

 

 

「カカロットを守れ!カイ!!」

 

 

 

 

 

 

――――どどん波!!!

 

 

 

 

 

 

 

 不意に聞こえたそれに、誰も反応できていなかった。悟空もボラさんも少年も、誰も。

 俺だけがそれに気づいた。当たれば俺以外死ぬ、その一撃に。

 

 咄嗟の判断で、悟空をかばう。飛んできた光線は、頭に向かう一撃で俺も耐え切れず吹っ飛んでしまう。

 

 悟空がこちらを見るのがわかる。遠くから何かが飛んできて、嬉しそうに笑う声が聞こえる。この時を待っていたと。

 

 

そして意識が無くなり――――目が覚める。

 

 

戦いは、すでに終わっていた。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

 

 

「お、起きた!悟空さん、お兄さんが起きた!」

 

 

「ほんとだ!兄ちゃん、兄ちゃんっ!」

 

 

 最初に目に入ったのは、俺を起こそうとするウパ君と悟空だった。

 悟空の服の胸には、穴があいている。

 

 

 

 

「っつつ…。ご、悟空、その穴は…?それにあいつは、桃白白のやつは…!?」

 

 

 

「桃白白には、オラ負けちった…。頭ががーってなって、それで…」

 

 

「悟空さんの服の穴は、あいつが撃った光線で空いた穴です。でも悟空さんがもってたドラゴンボールのおかげで、悟空さんが助かったんです!」

 

 

「そうだ兄ちゃん!オラ、じいちゃんに助けられたんだ!」

 

 

「じいちゃんが…?そうか…そりゃよかったな。ところで、ボラさんは?」

 

 

「あ……」

 

 

「…ウパの父ちゃんは、あいつに殺されちゃった」

 

 

「―――ッ」

 

 

息が止まる。なんだって?ボラさんが…?

 

 横を見れば、盛り上がった土がある。そこに、ボラさんがつけていた首飾りが飾られていた。

 拳を握りこみすぎて、血が垂れる。俺が、俺がしっかりしていたら、ボラさんは……。

 

 

「兄ちゃん、ドラゴンボール使おう!ドラゴンボールなら、ウパの父ちゃんも生き返れる!!」

 

 

「ッ!!そ、そうか!その手があったか!!」

 

 

飛び起きて体の状態を確認する。あいつ頭に当たったからって油断してたな?頭以外怪我一つない。

 

 

 

「そんでさ兄ちゃん、オラカリン塔を登ろうと思う。もっと強くなってあいつにリベンジすんだ!」

 

 

「カリン塔に?そうか、聖水!なら俺も登る。油断してたのは俺だ。俺も強くなって、今度は油断しないようにしないと…!」

 

 

「お二人とも、お気をつけて!」

 

 

「おう!ウパも隠れておくんだぞ、あいつ多分またこっちに来るはずだ」

 

 

「はい!」

 

 

 

 ウパに見送られながら、二人で塔をよじ登る。目指すは頂点、仙人様が住まう場所だ。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 昼を過ぎ、ずっと二人で登っているがまだてっぺんは見えない。一度悟空が落ちそうになったけど、ぎりぎり俺の尻尾をつかむことができて復帰できた。ブルマさんと会う前にはすでに尻尾の弱点は克服してたから助かった…。最悪の場合、二人一緒に地面と激突してたかもしれない。

 

 

「そうだ悟空、俺飛んでいけるか試してみるよ。行けそうだったら悟空を乗せていけば時間短縮だ」

 

 

「あ、そうか!それがあった!」

 

 

 悟空より先に行っていたから、二人でいったん止まる。さて、舞空術がオッケーならかなり早くなるけど…結果は――――

 

 

 

 

 

―――舞空術はいかんぞ。ちゃんと塔をつかんで登るんじゃ。

 

 

 

 

「うおっ!?」

 

 

「な、なんだ今の声?!」

 

 

 急に頭に声が響いて思わず手が滑り落ちそうになる。あっぶねぇ…!!

 

 

「兄ちゃん、今のって…」

 

 

「多分、上にいる仙人様だろうな…。本当にいたんだな。ならさっさと行くか!」

 

 

「うん!」

 

 

 二人で一気に駆け上がり、ほんの少しだけ先が見えてきたような気がする。夜の間は俺が悟空を背負って登り、少ししたら交代して今度は俺が眠るのを繰り返し…明け方。

 ついに、塔の先端が見えた。

 

 

「悟空!見えたぞ、てっぺんだ!」

 

 

「よお~し、ラストスパートだ!」

 

 

 さらにスピードアップし、穴に向かって飛び移りついに中に入れた。あとは、仙人様にあって聖水をもらうだけだな。

 

二人で上に向かうと、そこに不思議な存在がいた。

 

 

 猫だった。古そうな木で作られた杖を持った猫だった。気配はとても静かで、かなりやれる人…猫?だった。

 モフモフしてそうだな…。

 

 

「お前さんら、まさか一日もかからず登りきるとはな。チビたちのくせに」

 

 

「おめぇだってチビじゃないか」

 

「ほっとけ」

 

 

「…もしかして、仙人さま?」

 

 

「ほう、よくわかったの。そうじゃ、わしがこの塔に住む仙人、カリンじゃ。仙人というより仙猫様だがな。ほっほっほ。あと毛は触らせんぞ?」

 

 

「ちぇっ」

 

「兄ちゃん、プーアルのこともモフモフしてたもんな。好きなのか?」

 

「なんか触り心地よくて…」

 

 

 モフモフはできなかったものの、なんとか仙人様には会えた。というわけで聖水――超聖水をもらおうとしたところ、なんとカリン様の妨害をかいくぐって聖水を手に入れなければいけないらしい。悟空がいったん挑戦したところ、かすりもしていなかった。やっぱできるなあの人。

 それにさっき俺と悟空の考えていたことを読めていたり、じい様が来ていたけど3年かかった話を聞く限り、かなり難易度が高いな。

 

…動きを読め、か。

 

 

「悟空!次は俺にさせてくれ!」

 

 

「わかった!兄ちゃん、頑張れよ!」

 

 

「ほう、次はカイか。ふっふっふ、お前さんはいつまでかかるかのう?」

 

 

「…………」

 

 

 

「……ほう?」

 

 

 気配を感じるのを、カリン様だけにする。

 ここは空気が薄い。さっきも悟空がそれでバテていた。仙豆とかいうありがたーい豆のおかげで体力も全部回復しているから、そっち方面は大丈夫だけど…最小限の動きで捕えなきゃ、俺もすぐにバテるだろう。

 

 多分、カリン様はその最小限の動きってのが巧いんだ。俺や悟空よりも断然。

 

だから―――意識は、カリン様だけに限定させる!

 

 

「ッ行きます!」

 

 

「ほっほっほ!来い!」

 

 

 最短距離で近づき、カリン様が離れる分だけ距離を詰めていく。飛び上がったカリン様の下に着き、降りてくる瞬間を狙って壺を取りにかかるも、俺の頭に杖をあてて体が持ち上がり、避けられる。

 それを何度も繰り返す。逆に俺がとびかかったり、残像拳も使って取りにかかるけど、すべて避けられる。

 

 

「ほっほっほ、油断大敵じゃぞ?」

 

「えっ?―――いってぇ!??」

 

 

「ぐぎゃあ!??」

 

 

 集中しすぎて悟空の頭に衝突してしまう。天井を蹴ってスピードをつけてたから尚更いったい!!ごめん悟空!

 

 

 そして案の定、まだ空気の薄さに慣れておらず体力切れを起こしてしまう。でも、一瞬触れることはできた。やっぱりこの感覚が大事なんだ。

 

 時々悟空と交代し、少しの休憩をはさんでは挑戦する。そしていつの間にか夜を迎え、朝を迎えた。

 

 

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

 

 

昼頃、今は俺が挑戦している。悟空は観戦中だ。

 

 

「ここっ!」

 

 

「むうっ!?」

 

 

「行けー!兄ちゃんそこだー!」

 

 

 残像拳が横に残っている状態でカリン様に襲い掛かり、双方から壺を狙いに行く。かなりしんどいが、こうまでしないとカリン様は心が読めるからなかなか手が届かない。

 

 そしてもう一度カリン様だけに意識を集中させる。

 考えるのは、1秒、いや2秒先の動き。何パターンもある動きの内、1パターン以外の動きができないようにカリン様に接近する。それを察したカリン様が柱に飛びついて回転し、一気に俺から距離を取ろうとする。

 それも、読んでる!!

 

 

「ッ取ったぁ!」

 

 

「なんと…!?まさか一日で…」

 

 

「いやったぁ!!兄ちゃんさすがだ!」

 

 やっぱりそうだ、俺と悟空も最初の時点でカリン様とは近い実力があった。なんなら上回ってたかもしれない。でもカリン様はそこに俺たち以上の動きの繊細さを持っていたから、動きに粗雑さのあった俺たちじゃ届くわけがなかった。なら…!

 

 

「悟空!カリン様が1秒後にどんな動きをするのかまで考えるんだ!そんで、壺まで最短距離で取りに行け!」

 

「わかった!兄ちゃん、サンキューな!」

 

 

「ほっほっほ…さすがはカイじゃのう。じゃが、悟空はそう簡単にとれるかのう?」

 

 

「へへっ!オラ、兄ちゃんがどんな風に取りに行けばいいのかもちゃんと見てたからわかってるもんね!」

 

 その言葉は正しく、一日前なんかとはくらべものもならない動きでカリン様を追い詰める。この調子なら、今日中にはとれるかもな。

 ちなみに俺は飲んでいない。悟空が取れるまでは飲まないつもりだ。

 

 

そして、夕方。

 

 

「捕ったどー!!」

 

 

「こりゃ驚いた…。まさかカイには一日で、悟空のやつには一日半で取られるとはのう…」

 

 

 

悟空もついに超聖水を取ることができた。

 

 しかし中身はただの水であり、それ自体にすごい力はないんだとか。やっぱりそうか。

 

 

 悟空はぶーたれてたけど、カリン様の説明で気を取り直した。

 力が何倍にもなるというのは聖水の力でなるのではなく、塔を登り、カリン様から壺を取ろうとすることで成長するものとのこと。実際俺たちの動きは以前とくらべものもないぐらい良くなり、もう桃白白に負けることもない。

 多分あいつも強くなったんだ。いくら冷静じゃなくなった悟空だからって、ちょっとやそっとじゃ負けたりしない。

つまり俺にぶっ飛ばされたあの時からずっと、ずっと強くなってきたんだ。俺にも勝てるように。

 

だけどもう負けない。もうあの時の俺たちじゃない…!

 

 

「ほっほっほ。やる気は十分のようじゃな。さぁ、下界におりて修行の成果を見せてくるといい!」

 

「あぁ!ありがとなカリン様!いってきます!」

 

「お世話になりました、カリン様!またここに来ますね。今度は、野菜とかもって!」

 

 

「楽しみにしとるぞ!」

 

 

 

 悟空と二人で空を舞い、一気に地面へと向かう。今度は、負けないために。

 

 

 地面に降りると、まだあいつは来てないようだった。服を悟空に消し飛ばされたって話だから、それでだな。

 

 

「あっ!悟空さん、海さん!!もう頂上に行けたの!?聖水は、もう飲めたの!?」

 

 

「ウパ!あぁ、オラも兄ちゃんも万全だ!ちゃんと聖水も飲めたしな!」

 

 

「ウパ、あいつはまだ来てないのか?」

 

 

 やはりまだのようで、ウパが横に首を振る。そうか、なら時間はある、か…。

 

 

「よし、悟空!あいつが来るまでに組手をして、練度をあげるぞ!」

 

 

「よーし、望むところだ兄ちゃん!」

 

 

「お、お二人とも、その前にご飯食べませんか?もうこんなに暗いですし」

 

 

 あ、忘れてた。今もう夜中なんだった。

というわけでウパと一緒にご飯を食べ、三人で眠る。そして朝に悟空と二人で組手をしてさらに実力を上げようとする。

 

 

そんな日を繰り返すうちに、ついにあいつがきた。

 

 あの時も着ていた桃色の服と、マークの師範さんが笑っていた髪形のままだ。だけど気配が段違いに違う。

 

 

 

「アロ~~~ハ~~~。まさか生きているとはな、孫悟空。そして、孫海」

 

 

 

 




ちなみに桃白白は飛んできている途中で海に気づいたため、超遠距離からのどどん波を放ったことで少し狙いがずれて悟空に飛んでいきました。

またカイに負けたことがかなり悔しくて、トラウマ克服のため殺し屋業を一時期休んで修行を行っていました。その最中にカッパー将軍とカイの戦いがあったためレッドリボン軍は桃白白を呼ぶことができず、カイが暴れた跡を指をくわえてみていたという裏事情があったりします。

多分今の桃白白は老いたピッコロ大魔王ともいい勝負すると思います。

追記

言葉遣いがおかしいところがあったので、修正しました。
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