桃白白が、やってきた。
こっちもあっちも油断なく見詰めあい、空気がピリピリしだした。
ウパには筋斗雲に乗ってもらうことで安全圏に逃げてもらい、上から見てもらっている。
「貴様ら、どうやって生き延びた?孫海は確実に頭に命中したはずだ。孫悟空、貴様もだ。確かに胸を射抜いたはず…」
「へん!オラ、懐にいれておいたドラゴンボールのおかげで助かったんだい!」
「たかだか脳が揺れた程度で死ぬわけねぇだろ。それに、あの時は気ぃ抜いてたからな…もう二度とお前にやられるもんか」
「ほう…ならば試してみるか!どどん波!!」
一気に桃白白の気配が強くなり、その指先から光線が飛んでくる。あの時苦し紛れに飛んできたやつとはケタ違いのエネルギーを感じる!
だけど、二度もやられると思うなよ…!
両手を顔の前にクロスして防御の構えをとる。そして今度は体全体を力ませ、より耐えられるように。
腕に命中したどどん波はその場で掻き消え、煙だけが残る。
…強い。というより、巧い。パワーそのものはこっちのほうが上だと思う。俺も悟空も、ずっと体を鍛えていたし、動きだってカリン様のところでよくなった。
だけど技術は向こうに分があるんだ。さっきのどどん波、まるで抉り取るような感覚だった…それに、今のが本気じゃない。
「やはり貴様は強いな。ガキのくせに、生意気だ」
「今度は、オラの番だ!」
如意棒を持った悟空が突撃し、桃白白へ如意棒を振り下ろす。
桃白白はカプセルから取り出した青龍刀で初撃を受け流し、次に飛んできた薙ぎ払いを飛んで避けた。
しかしさらに飛んで来た悟空の飛び蹴りを避けることはできず、塔まで吹き飛ばされる。
すぐさま俺も追撃を加えに接近し、起き上がった瞬間の桃白白の顔面に蹴りを入れる。しかし、浅い。咄嗟に避けられたな。青龍刀を振り回されたためすぐに離脱する。
「ぐ、ぐぐ…!やはり貴様ら、三日前よりも断然速くなっているな…!?」
「おめぇこそ、あんときが本気じゃなかったんだな。オラびっくりだ」
「でもパワーもスピードもこっちが上だ。それにカリン様のところで修業したんだ、負けるわけにはいかねぇんだよ。あきらめろ」
「カリンだと?…そうか、聖地カリン。くっくっく…だとしても、貴様らのようなガキに、この桃白白様が降参するとでも思ったか…!?」
桃白白が着ていた服を脱ぎ棄て、上半身が裸になる。
「健康のための運動と考えていたが…やめだ。この桃白白、貴様らを一端の敵と認め、本気で挑んでやろう!…そして孫海、一つ謝罪をしよう。貴様の祖父の教えを笑って悪かったな」
「!……そうかよ。ならさっさとくたばってくれ」
「兄ちゃんが怒ってたの、そういうことだったんか…」
「それはできない願いだ。なぜならくたばるのは私ではなく、貴様らだからだ!!」
「来るぞ悟空!」 「おう!」
「二人とも、頑張って!!」
ウパの声援を受け、接近してきた桃白白を悟空と二人で迎え撃つ。
桃白白の青龍刀を悟空が受け流し、もう一度薙ぎ払って桃白白を飛ばせる。その瞬間に後ろに隠れていた俺が吶喊し、一気にラッシュをかける。
が、向こうは空中で急停止し、俺のラッシュをすべて躱し、逆に一撃貰ってしまう。青龍刀の一撃をもらうかと思ったが、悟空が如意棒を伸ばして桃白白を妨害したおかげで服を切る程度で済んだ。
そうだった、あいつは鶴仙流のトップの弟、舞空術が使えてもおかしくはない。頭から抜けてたな…。
「悟空、助かった」
「どういたしまして」
「貴様、まさか独学で舞空術を…やはり貴様はここで確実に始末しなければな」
まじかよ、今の一瞬でバレたのか?青龍刀を避けるためにちょっと使った程度だったのに…。
気を取り直して、悟空と構えなおす。向こうもすでに体勢は整っている。くそ、やっぱ技術でいえば向こうが上だな…。ならば。
「悟空―――」
「!わかった。兄ちゃん、気いつけてな!」
俺が悟空の前に出て、桃白白と対峙する。
ダメージを抑えることを重視しなきゃな。
「ほう?わたしの前にわざわざ立つとはな。よほど死にたがっているように見える」
「はッ!あんときの借りを返してやろうと思っただけさ。もう一度パーでぶっとばしてやんよ」
「やってみろ…」
わざとらしく手を広げてみせる。少しだけピキってんな。よしよし、そのまま正気から遠ざかってくれ。
桃白白にもう一度突撃し、もう一度わざとらしく手を広げる。
ただ今度はさすがにひっかからなかったようで、冷静に俺の残像を見破って俺に一太刀あびせてくる。顔に一字の線が走り、血が垂れる。
ちっ、天下一武道会の悟空みたいに5つ地上に残像拳を残して上と思わせたうえで下からぶん殴ろうとしたんだけどな。もしかして知ってたのか?
「フンッ!貴様程度の残像拳でわたしを騙せると思うなよ。すでに天下一武道会でみていたのだからな」
「なんだ、悟空のファンだったのか?それともチュンさんのかな?」
「ほざけ!」
青龍刀が手から消え、突き手が飛んでくる。頭、胸、鳩尾、どれも急所ばかりで一撃喰らえばきついことに変わりない。そして予想通り、よけきった俺の場所の脳天めがけて青龍刀が落ち来たので蹴り飛ばす。
コイツもいい予測すんじゃねぇか。
でも、次は俺の番―――強い殺気!!
「どどん波!!」
「かめはめ!波ッ!!」
あいさつ代わりのどどん波と違い、威力も速さもけた違い。さらに回転が加えられており咄嗟に放ったかめはめ波にも負けていない。
パワーの差を経験で埋めてきやがった…!!
―――でもいいのかい?俺ばっかりに注目して。
「伸びろ!!如意棒!!」
「ッ!?まず―――」
「今だァァァ!!!」
今のいままで気配を消し切り、完全に存在を消していた悟空の如意棒の一撃は、咄嗟に防いだ青龍刀を砕き、その勢いのまま桃白白に激突する。
そして拮抗していた俺のかめはめ波も威力を増大させ、吹き飛ぶ瞬間の桃白白を飲み込んだ。
だが桃白白の執念は強かった。
「ぐ、ううぅぅ…!!やってくれたな、ガキども…!」
「ちっ、しぶといな…!」
「オラの如意棒と兄ちゃんのかめはめ波を喰らってんのに、頑丈なやつだな!」
すると桃白白がはるか上空に飛び上がり、何かを構える。
…あれは、三角形か?
「ハァ、ハァ…!!やはり貴様らをつぶすには、これしかないようだな!!」
「なんだ、いやな予感がする…!」
「っ!!筋斗雲!!ウパと一緒に逃げろ!!」
「わっ、わっ!?悟空さん!?」
「くっくっく…逃げるがいい。もうガキもどうでもいい、ドラゴンボールもどうでもいい…!だが貴様らだけは、絶対に叩き潰してやろう!この、気功砲によってな!!」
「「気功砲……?」」
「そうだ!鶴仙流の奥義が一つ、気功砲!!使用者の寿命を著しく縮めるデメリットがあるが、その威力は貴様らが使うかめはめ波の何倍も上だ!!これで、死ぬがいい!!」
なんだと、かめはめ波の何倍も上!?だったらまともに喰らったら俺達でも耐えきれるかわかんねぇぞ…!
なら、やることは一つ!
「兄ちゃん!!」「応!!」
ダブルかめはめ波で押し返してやる!!
「「か……め……!」」
「はあぁぁぁ…!!」
桃白白の手元がぼんやりと光だし、そこからすさまじいエネルギーを感じる。
「は……め……!!」
「ッこれで、終いだ!!」
双方ともに、放つ準備は完了した。
「気功砲オオォォォォッッ!!!」
「波アアァァァァァァッッ!!!」
青白い光が天を貫かんばかりに立ち上り、天から落ちて来た空のような圧力とぶつかる。
「「ぐっ……ぐぎぎぎ!!」」
「ハアっ、ッッぁぁあアアアあアアッッ!!」
こっちも向こうも限界ぎりぎりまで力をつぎ込む。この、絶対に負けられない戦いに。
だから、その勝敗は、違いだったのだろう。光はずっと立ち上るが、圧力はずっと放たれ続けるわけじゃない。
だから……!!
「「行っけえぇぇぇぇ!!!」」
「ば、ばかな―――!!??」
桃白白の放つ気功砲をぶち破り、ついにやつへ届いた。放ったかめはめ波は空へ飛んでいったかと思えば、爆発。
桃白白の気配は、感じられない。
つまり…!
「俺と…!」 「オラの…!」
「「勝ちだァァァァ!!!」」
◆◇◆◇◆
「よーし、ウパ!すぐに全部のドラゴンボールを集めて、おめぇの父ちゃんを生き返らせてやっからな!」
「はいっ!!お二人とも、どうかご武運を!!」
「あぁ!!それじゃ悟空、行くぞ!!」
「おう!!」
向かう先は二つのドラゴンボールの反応がある場所。
つまり、レッドリボン軍の本拠地だ!!