ドラゴンボール ~もう一人の兄~   作:龍玉

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目覚め、そして命運をかけた戦いへ

 

 

 

 

 

 白かった。すべて白くて、何もなかった。意識も、感覚も、記憶もない。

 自分は、何者なんだろうか。ここはどこなんだろうか…。

 

自分は、死んでしまったのだろうか。

 

 

 

 不意に、後ろから何かが来た。二人ぐらいの…大人だ。多分、そうだ。

 

 

そして、自分に近づいたかと思うと…。

 

 

 

「この、バカ息子!!」

 

 

「いってぇ!!!?」

 

 

「ちょ、バーダック!?」

 

 

「いくら疲れているとはいえ、あんな雑魚に負けるとはな…テメェを現実で殴り起こしたくて仕方なかった!」

 

 

「もう!そんなこと言ってる場合じゃないって!」

 

 

「大体ギネ、お前は騒ぎすぎだ!いくら心配だからって、耳元で騒ぐんじゃねぇ!」

 

 

 

頭に拳骨を落とされた。瞬間、自意識も感覚も、記憶も戻ってきた。

 

 

あれ、俺はあの化け物に…あれ?

 

 

ふと目の前の二人に目をやる。

 

 一人は、少したれ目ぎみの髪がぼさぼさした女性だ。見覚えが、ある。

 もう一人は、悟空とほぼ同じ顔をしている。だけど悟空よりすこし目が鋭いし、その頬には十字傷がついている。昔星を攻めたときに付いたって言ってたっけ。頭に巻いた赤いバンダナは初めて見たけど、見覚えが、ある。というか拳骨に覚えがありすぎる。

 どちらにも、尻尾が生えている。

 ま、さか。

 

 

「と、うさん?母さん…!?」

 

 

「…チッ。なんだ」

 

 

「…ふふ、久しぶりだね、カイ!」

 

 

 父さんはぶっきらぼうに、母さんは少し嬉しそうに返事をしてくれる。

…じゃあ、ここはつまり…。

 

 

「…俺、死んだ?」

 

 

「ううん、死んでないよ。まだ眠ってるだけ。そろそろ起きそうだけどね」

 

 

「けっ。オレの血を引いてんだ。その頑丈さは折り紙付きだ」

 

 

「そっか…悟空、いやカカロットのこと、泣かせちゃったな…」

 

 

「だったら早く目覚めやがれ。こんなところにいても意味が無ぇ」

 

 

「も~バーダック!せっかく喋れるのにせっかち!」

 

 

「そんな目で見るんじゃねぇよ!」

 

 

「…ハハッ、本当に父さんと母さんだぁ…」

 

 

 目の前のやり取りは、小さいころ見たそれとそん色変わりない。やっぱり死んじゃったんだろうけど…話せるなんてなぁ。

 

 

「…じゃあ、行ってくるよ。さっさと起きないと、父さんにぶっ飛ばされて目覚めそうだ」

 

 

「よくわかってんじゃねぇか。さっさと行きやがれ」

 

 

「カイ、気張るんだよ!!それとカカロットとラディッツのこと、お願いね!」

 

「ラディッツ!?そうか、あいつ生きてんのか…!わかった!あいつに会ったら野菜口に突っ込んで無理やり地球に住まわせるよ!行ってきまーす!」

 

 

 

「カイ!」

 

「っとと、父さん?」

 

 

「―――フリーザに気をつけろ」

 

 

「!!…うん、わかった」

 

 

 

 父さんと母さんに手を振り、いつの間にか暗闇となっていた空間を走り抜ける。向かう先は、光の見える方向へ。

 

さっさとカカロットのこと、安心させなきゃな!

 

 

 

 

 

 

 

「あ~あ。行っちゃった。でもカイ元気そうだったね!たまに作ってくれるご飯もおいしいし!」

 

 

「……」

 

 

 

「…やっぱり心配?三人のこと」

 

 

「うるせぇ」

 

 

「ふふっ!素直じゃないんだから、バーダックってば…」

 

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

 

カメハウスにて、一人の人間が静かに孫海を見守っていた。

 ピッコロ大魔王に挑み、すでに大勢の人が犠牲となった。テレビで国王となった大魔王を見るに、すでにやつに挑んだ戦士たちも、やられてしまったのだろう。

 

「…海君」

 

 

 自分は、ただ見ていることしかできない。医療に従事し、人を癒すことが精いっぱいだ。彼らのように誰かを守ることは、できない。

 

 この家にはもう自分しかいない。他の人たちは、ピッコロ大魔王が行おうとしている大虐殺から大事な人を守るため、家を飛び出した。

 

 

 目の前で眠る少年と出会ったのは、自分がまだ病院に勤務して少ししかたっていないときだった。彼の弟とともに崖に落ち、大けがを負っていた。

 その次は大やけどに動かない左腕。もう無理はしてはいけないといったが、少年は誇らしそうに言った。

 でも、ボロボロになるまで頑張ったおかげで、大事なものは守れました、と。

 

 少年は、たとえ血だらけになろうと大事なものを守るため立ち上がるのだろう。それを自分は、帰ってくるのを待つことしかできない。

…ただ自分は、やれることをやるだけだ。それが今は、彼の目覚めを見守ることだ。

 

 

「早く、目覚めておくれ…みんな、君が起きるのを待ってるんだ。弟さんも、心配してるよ…」

 

 

 

 その言葉に反応したのか、少年の体が動く。急いで点滴を引き抜き、様子を確認する。

 

 すると一気に飛ぶように起き上がり、自身の様子を確認する。

 

「―――ハァッ!?ハァ、ハァ!治っ、た!!」

 

「か、海君!?もう完治して…!?」

 

「あ、病院の先生!診てくれてたんですか、ありがとうございます!じゃあ俺、行ってきます!!」

 

 

「ちょっと待って!!」

 

 

「っとと!?ど、どうしました?」

 

 

「…ちゃんと、帰ってくるように!」

 

 

「〜〜っ!!ハイッ!!」

 

彼もまた家を飛び出し、彼らが向かった方へ飛んでいく。

 

そして先生は祈る。どうか、彼らに勝利を…。

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 

「あっちだな、戦ってる気配だ!!」

 

 

 道中、恐らくブルマさん達らしき飛行機を過ぎ去り、一気に加速する。

 

 瀕死から復活したときに戦闘力が上がるサイヤ人の特性のおかげで、かなりのスピードで飛ぶことができている!これならすぐ着くぞ!!

 

 

 キングキャッスルという世界の中心ともいうべき建物が見えて、その直ぐ側で光線が飛び交う。悟空と天津飯さん、そしてあれがテレビで言ってたピッコロ大魔王か!

 

 悟空のやつ、かなり強くなってる…!それに少しだけ、大猿の気配もする…。ピッコロ大魔王を追い詰めてるし、かなり優勢だ!

 

 

 っ!?かなりの威圧感がピッコロ大魔王から…それに悟空の如意棒が飛ばされた!?

 

 

 

「これで、終わりだぁぁぁぁぁ!!!」

 

「し、しまった!!」

 

「ま、マズイ!」

 

 

 

 

 

 

 

「さぁせるかぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

 

 

父さん!!技、借りるぜ!!

 

 

 

「タイラントッ!ランサァァァァ!!」

 

 

「ぐおっ―――!!?」

 

 

「ッ!?い、今の攻撃…ま、まさか!!」

 

 

 

 悟空の直ぐ側に降り立ち、如意棒を回収して悟空に投げ渡す。なんとかあいつの攻撃を阻止できた!

 

 

「悟空!遅れてすまん、さっさと片付けて飯食いに行くぞ!」

 

 

「に、兄ちゃんッ!!よかった、生きてたんか!!」

 

 

 少し悟空が涙ぐんでる。父さん達に叩き起こされたかいがあったな、ちゃんと安心させられた。

 

 

「まだまだ死んでられないさ!天津飯さん!時間稼ぐから、早く逃げてくれ!」

 

 

「す、すまない海。俺は身を隠させてもらう…それと、無事でよかった」

 

 

 サムズアップで返し、悟空と構える。悟空は足を怪我してるし、俺がまた前目に戦わないとな。

 

 

「悟空、行けるか?」

 

「おうっ!やる気満々さ!」

 

 

「〜〜ッ!!貴様らぁ!!このピッコロ大魔王をコケにしおって!!」

 

 

「お前に殺された人達や、じいちゃんや餃子の敵だ!オラ達は絶対にお前を許さねぇ!!」

 

 

「ッ!…そうか、じい様と、餃子が…。2人の命を、何も知らぬ人達を!そして、悟空を傷つけやがって!!」

 

 

 

 悟空と構え、ピッコロ大魔王を睨みつける。ピッコロ大魔王は狼狽えたかと思うと、急に卵みたいなのを吐き出す。な、なんだ?

 

 

「ハァッ!ハァッ!しゃ、癪な話だが、貴様ら2人を相手にする余裕はない…!故に、こちらも数を揃えさせてもらう!」

 

 

 卵から何かが生まれる。でてきたやつは、直ぐ側で死んでるプテラノドンみたいなやつみたいだった。だけどトサカが逆向きで、邪悪さがピッコロ大魔王と変わらない。

 

 

「貴様の名は、バラライカだ!わしをサポートするんだ!」

 

 

「仰せのままに…」

 

 

 

 

「兄ちゃん、行くぞ!」

 

「あぁ!アイツラに風穴開けてやんぜ!」

 

 

 

 

「国王様、あれを!」

 

「あれは、新しい少年…?いや違う!そ、孫海君だ!ということは、彼の側で戦っていた少年は、彼の弟君か…!」

 

 

「国王様、早く退避を!地球の運命は彼らに託すしか…!」

 

「…私達は、逃げるしか無いのか…!くそっ…!」

 

 

 2対2、未だ街が残る戦場で、大魔王と亀仙流の俺達が対峙する。

 じい様達の敵だ。ここで、勝負を決める!!

 

 

 





カイがタンバリンにやられた時のバーダック夫妻

「わぁぁぁ!?か、カイが!バーダック、カイがぁ!」

「うるせぇ!?そんな騒ぐんじゃねえよ!トーマの奴らに揉まれてタフになってるし、それにオレたちのガキなんだ。あんなんで死ぬようなタマじゃねぇよ!」

「うぅ~!あたしたちがあいつのことぶん殴れたらなぁ!」

「ちっ、死んでから過保護になってんじゃねぇか?」

「バーダックだってカイが気絶したときは慌ててたじゃないか!表面上いつも通りだったけどさ!」

「ギネ!んなこと言うんじゃねぇ!」

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