ドラゴンボール ~もう一人の兄~   作:龍玉

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地球へ

 

 

△月⦿日

 

 

 

 日が経ったから感情も治まった。ここのところこういうことばっかで嫌になる。

 

 昨日、惑星ベジータから飛び出してから丸一日経った後、ポッドの中に備わっていた通信機器から誰かの話し声が聞こえてきた。聞いたことのない声だったけど、男の人の声をしていて渋かった。

 

 多分全体通信の状態で話していたからかもしれないけど、ほかにも声が聞こえてきた。気になったから、カカロットが起きないように音声を小さくしたうえでチャンネルを合わせてみたところ、惑星ベジータについて話していた。

 

 なんでも、惑星ベジータに隕石が衝突してしまったため、消滅したんだと。

 

 声が出なかった。通信のほうでは驚くような声が流れて、誰から聞いたかを問いただしていた。そしたらフリーザ様がそう仰ったとか言っていたけど、あまり記憶に残らなかった。頑張って思い出そうとしてやっと思い出せたぐらいには、そっちよりも前半のほうに気を取られてた。

 

 通信を切ってから、呆然として無気力な状態だった。惑星ベジータが、消滅?父さんは、母さんは無事なんだろうか。ラディッツは、父さんのチームの人たちは……?

 

そんなことを考えて考えて、考えて、考えて………。

 

 

ふとした時に、カカロットが身じろぎして少しだけ泣いた。

 

思わず抱きなおして落ち着かせたらすぐに寝に入った。

 

安心して、頭がすっきりして……思い至ってしまった。

 

父さんと母さんは、死んじゃったんだって。

 

 それに気づいてしまってからはずっと泣いていた気がする。ずっと泣いて、でも声を出しちゃうとカカロットが起きてしまうから、歯を食いしばって涙を流していた。

 

 ずっと泣いてたから疲れがたまって、そのあとは寝てしまった。

 ひどく冷たい宇宙の中、ポッドの中は嫌に快適だった。カカロットが寝続けるぐらいには整っていたから、俺も悪くない目覚めだった。おかげで頭が冴えたような気分だった。それも相まって昨日の通信の違和感を感じ取ることができた。………母さんたちが死んだことも再確認してしまったけど。

 

 まず隕石についてだ。惑星ベジータはかなりの大きさの惑星で、小さな隕石ぐらいじゃ消えたりはしない。壊れるにはそれ相応の大きさの隕石が衝突するはずだ。

 そんな大きな隕石をサイヤ人の研究者の人たちが見つけられないことがあるだろうか?いや、絶対に見つけられるはずだ。そもそも大きな隕石ぐらいなら複数人のサイヤ人で逆に消し飛ばすことだってできるはず。

 

 それに、その消滅について言っていたのがフリーザってのが気になる。

 ただフリーザについては俺は全く知らない。話を聞いてた限りじゃ俺たちサイヤ人の上司にあたる存在で、チビ助ってことぐらいしか知らない。それとフリーザの部下の人たちがよく伝説の超サイヤ人のこととか聞いてたっけ。

 

 俺はよく知らないからフリーザって言って呼び捨てにしてるけど、あの父さんですらフリーザ様って言ってた。だとしたら、フリーザってのは父さんから見てもかなりの実力者ってことだ。じゃなかったら父さんが様なんてつけるはずがないし。

 

 そんな奴が、自分の部下にあたる存在が消し飛ぶってのに何もしないことなんてあるのか?……確証がないから断言できない。

 

 ………もしかして母さん、父さんから何か聞いてたからあんなに焦ってたのか?父さん、最後はフリーザの命令で惑星ミートに向かってたし、そこで何かがあったから母さんに伝えて、カカロットのポッドの中に俺を詰め込んで無理やり飛ばした、のか?

 

 でもそうなってくると、父さんは惑星ミートで何を知ったんだ?

 

わからないことが多すぎる。今日はここまでにしておこう。

 

 ps.そういえばラディッツは一度帰ってきたぐらいでほぼ惑星遠征のしっぱなしだったはずだ。だったらあいつは生きている……!もしかしたら通信で話してた男の人と一緒にいるかもしれない。話しぶり的にサイヤ人ぽかったし。あ、でもそうなるとベジータ王子も生き残ってるのか。

 

 

△月☆日

 

 

 レーダーに地球が映り始めた。もうそろそろつく頃だと思う。

 

 着いてからはとにかく衣食住をどうにかしないといけない。カカロットはまだ歩けるかわかんないぐらいだから俺がなんとかしないと…。一応カカロットは俺が抱っこしても嫌がらないし、それにキャッキャッと笑いかけてくれるから、紐でも作って背負ってしまえば移動も簡単だ。

 弟がかわいくて癒される。

 

住処はカカロットが歩けるようになるまでは洞窟にでも住もう。雨風がしのげるし、川の近くにできてることもあるし。

 望ましいのは原住民の人の居候になることだ。畑の作業や特訓のおかげで俺は労働力にもなるし、頑張れば住まわせてもらえるかもしれない。

 

 衣服に関しては……原住民の人から分けてもらうか、最悪の場合腰蓑で済ませてしまおう。

 

 問題は食糧なんだよなぁ……。

 最悪の場合、俺は断食でもしてればいい。頑張れば一日は耐えれる。でもカカロット用のご飯をどうにかしないといけない。本当にどうしよう……。

 

というか、衣食住の前に一番やばいことがあった。満月だ。

 

 今から行く地球には衛星軌道上に月があるらしく、満月の夜に直視すると俺たちサイヤ人は大猿に変身してしまう。そうなれば最下級戦士のカカロットはおろか、俺まで暴れ始めて生き残る以前の問題になってしまう。

 

 俺はカカロットにサイヤ人の生き方を押し付けたくない。俺自身は生まれたときの刷り込みを拒絶していたぐらいにはサイヤ人の誰かから奪うような生き方が好きじゃない。そんな生き方を続けてしまうと、同じ生き方をするサイヤ人以外からは孤立する未来しか見えない。

 

 カカロットがサイヤ人の生き方に進むというのなら俺は止めたい。ただのエゴかもしれないが、母さんに託された以上はカカロットが幸せに生きれるようにするための責任が俺にはある。戦うのが好きぐらいなら俺もそうだけど、奪うのが好きだと考えるようになってしまうと俺はもう真正面からぶつかるしかない。

 

 だから大猿になるのは本当に避けたい。戦いが必須だというならあれは切り札になるけど、普通に生きるってなったら問題しかない。地球に住む人たちはサイヤ人と同じ人型ではあるけど、そこまで好戦的ではないって話だ。

 大猿になったらどう考えても排斥されるのがオチだ。そうなってくると闇落ちまっしぐらな生き方に近づいてしまうだろう。

 

 こうなってくると山奥かどこかに落ちるのが最適だな。そこなら大猿になっちゃっても被害が少なく済む。

 

 というか大気圏に突入するときの振動に俺って耐えれるのか?多分俺が酔う理由ってめちゃくちゃ揺れるせいなんだと思うけど。

 

 あ、地球が見えてきた。それと同時にゆれがはんぱなくいややっぱおれこれむりじゃ

 

 

 

△月☆日 ver2

 

 

はきそう。だれかにひろわれた。たすかった。

 

 

 

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