ピッコロ大魔王が爆散し、悟空とともに地面へ落下する。建物とかに着地出来たらよかったけど、近くの建物はすでに壊れ切った後だ。
…俺が来た時に、あの一撃を撃たせたらどうなってたんだろうか。ただの力を込めた気弾で一つの街を爆破したあいつのフルパワーなら、この都ごと消し飛んでた可能性が高い。早く起きれてよかったぁ…。先生にお礼しないとな。
………てか俺と悟空、このままだったら地面に激突して死ぬくね?―――やっばい!!?
しかし無常なり、舞空術を使う体力も残ってなければ、悟空は筋斗雲を呼ぶ気力もない。終わったぁ…。
「悟空!海!無事か!?」
「て、天津飯さん?よかった、生きてたんだ…!」
目を閉じて静かにその時を待つと、落ちている体を抱えられた。天津飯さんが助けてくれたんだ。た、助かったぁ…。俺嫌だったもん、あんな激励を送ってくれた二人に最後気力が保たなくて地面に激突して死にましたって報告すんの。
悟空のほうは刀を持った男性が抱えてくれてる。最悪の場合、如意棒を呼び寄せて助けるのも考えてたけど…なんとかなったな。
「お前たち、本当によくやったな…大した奴らだよ、まったく」
「天津飯さんのおかげですよ…。あの時気功砲を撃ってくれなかったら、俺達そのまま押しつぶされちゃってましたから」
「そうだぞ天さん。あれがなかったら、オラたちおっちんじまってたぞ」
「俺は隠れて隙を伺うことしかできなかった。ほとんどお前たちのおかげだよ」
「おみゃあたちがダメだったときはオレがなんとかしようとしてたぞ?」
「よ、よく言うよ…」
少しだけ楽になったので、天津飯さんにあることを聞く。大事なことだ。
「天津飯さん、じい様は、餃子は…」
「…死んだ。そして、神龍も殺された。あいつによって…」
「そ、そんな…!?じゃあもう、みんなは…」
「……」
そう、か…。……今は、体を治さなきゃな。それと、お墓も、作んないと…。
……やっぱり、誰かが死ぬと、辛いなぁ…。
◆◇◆◇◆
その後、悟空を抱えていた男性――ヤジロベーさんにカリン塔まで送ってもらうことになり、天津飯さんとは一度別れることに。
そしてカリン塔にて治療を受け、なんとかまともに動けるようになった。悟空はカリン様特注の薬草を、俺は腕の骨が粉々に砕け散ってたので、仙豆をもらった。は~生き返るぅ…。
「そ、そうか。神龍は、あやつに殺されたのか…。たしかにあやつなら神龍を殺せるかもしれん」
「ちきしょう…!神龍が生きてたら、みんなを生き返らせれたのに…!」
「しょうがねぇよ、運命ってやつだ。病気や事故で死んだやつだって悔しさは一緒だぜ」
「…そうだな。じっ様の時と、一緒だ…」
「それはそうとはいかんのじゃ。魔族に殺されたものはあの世に行けず、苦しみながら漂うしかないんじゃ」
「そ、そんなのかわいそうじゃねぇか…!なんとかなんねぇのかよ…!」
「そうは言っても、神龍が死んでしまった以上はどうしようも…」
するとカリン様は俺を見たかと思うと、なにかを閃いた顔をする。え?なんで俺を見て?
「……いや、なんとかなるかもしれん!海、お前さん一度ここに来たことがあったじゃろう?」
「え?天下一武道会の前のことですか?き、来ましたけど…」
「もしかして兄ちゃん、リッチストンのことなんじゃねぇか?」
「……あ、そういえばあの時、カリン様伝手を使うって言ってたような…?」
「そうじゃ。そしてその者こそドラゴンボールを作った張本人、神様じゃ。このカリン塔よりもさらに上に位置する神殿におるがゆえに、通常は見ることもできん」
「「「か、神様?」」」
…そうか、神様ならリッチストンを地中から引っ張り出して草とか生やせてもおかしくない。それにドラゴンボールを作った人なら、神龍を生き返らせるかも…!
「悟空!早く行こう!俺の舞空術ならすぐに行ける!」
「そっか、兄ちゃんなら一気に行けるんか!よーし!!」
「あーこれこれ待たんか!神殿は明確には別の次元に位置しておる。お前さんの舞空術ではただ登り続けるだけでたどり着くことはできん。悟空、お前さんが持つ如意棒が必要なんじゃ。まったく、なんという幸運の持ち主なんじゃか…」
「そ、そうなんですか…あれ?悟空お前、如意棒は…?」
「ん?…あー!?ね、無ぇ!如意棒が無ぇー!」
「な、なんじゃと!?」
「ピッコロ大魔王のとこに落としてんじゃねえか?」
「いや、もしかしたら誰か拾ってるかも…!悟空、占いババ様のとこに向かおう!あの人なら、確実に見つけてくれる!」
「わ、わかった!カリン様ちょっとオラたち行ってくる!」
「よいか!すべては如意棒にかかっておる!絶対にみつけてくるんじゃぞ!」
く、くっそー!俺たちの声がデカかったら呼べば飛んできてくれるのにー!
◆◇◆◇◆
急いで占ってもらうと、カメハウスにあることが分かった。天津飯さんが拾ってくれたんだ!
悟空とともにカメハウスに向かい、ドアを一気に開け放つ。あー!!あった!!
「「「「「「「「悟空!!海!!」」」」」」」」
って、わー!?
「わー!?み、みんなちょっと待って…!」
「悟空お前、ほんとうによくやったな!」
「そうよ!ピッコロ大魔王に勝つなんて!」
「やっぱお前はすごいよ、悟空!」
「悟空ー!ほんとうによくやったなぁ!」
「ほんとですよー!」
「悟空さん、本当にお疲れ様です…!」
「本当にお疲れさまです、悟空君!」
先に突っ込んだ悟空が、みんなにもみくちゃにされるのを後ろから見ていた。あっぶね、先に入ってたら俺ごともみくちゃに…。
「海、ほんとうによくやったな」
「天津飯さん!もう体調は良くなってきたんですね!」
「君こそ、無事で何よりだよ。テレビで見てたから、心配してたよ…」
「先生…はい、なんとか生きて帰ってきました」
…そっか、街がなんとか無事だったから、テレビが映ってたままだったんだ。心配させちゃったな。でも…約束、したんで。
◆◇◆◇◆
俺もみんなにもみくちゃにされ、なんとか離してもらって如意棒を回収してカリン塔に戻ってきた。
そしてカリン様から神様に会えるものがもつという鈴をもらい、屋根に上った。ボロボロでいいのか?とヤジロベーさんが心配していたが、カリン様が別にボロボロになるから心配ないって言っていた。
どういうこと???
なんでも、向こうでテストを受けるらしい。まーじか。
「よし、二人とも行ってこい!そして神様にあってくるんじゃ!」
「はい!二人とも、行ってきます!」
「じゃあなー!カリン様、ヤジロベー!オラ達行ってくる!!」
二人に見送られ、如意棒をつかんだまま上へ上へ向かう。道中雷に打たれかけるなどトラブルが発生したものの、無事に切り抜け――
―――そしてついに、たどり着いた。神様が住むとされる、神殿に。
「兄ちゃん、梯子だ!」
「オッケー、ッよし!悟空、掴め!」
「わかった!」
二人で梯子を上がり、ついに登り切ったそこには、だだっ広い空間とターバンを巻いた黒い肌の人がいた。
…この人、気配がすごく薄い。なのに隙が見えない…。
「お、オス…じゃなくて、こんにちは…」
「こ、こんにちは…」
「こんにちは。お前たち よく ピッコロ大魔王に勝ったな」
「え!?な、なんで知って…」
「…もしかして、神様ですか?」
「ちがう。わたし ミスターポポ。かみさまの 付き人。お前たち 鈴 持ってきたか?」
「付き人…あ、悟空。鈴ちゃんともってるか?」
「あ、あぁ!ちゃんと持ってんぞ!」
ポポさんは鈴を確認すると、俺たちにテストを受ける資格があると教えてくれた。そしてそのテストは、ポポさんに勝つこと。
勇んだ悟空が挑むも、手も足も出ず赤子みたいに遊ばれた。ポポさん曰く、力はすごいけど全くうまく使えていない。ピッコロ大魔王に勝ったことで、自分が最も強いと思ってしまったんだとか。
昔、じい様が心配してたことが今起こったのか…。
「おまえ 弱い。本当に ピッコロ大魔王に 勝ったのか?」
「いちち…な、なんかうまく動けねぇ…それに、めちゃくちゃ強ぇ!」
「多分、空気が薄いんだと思う。ここは多分宇宙に近いから…」
「お前も やるか?お前 悟空と違って 慢心してない」
「え?そ、そうなんか兄ちゃん?」
「…まぁな。それとテストは…うーん」
俺は知ってる。ピッコロ大魔王すら瞬きの内に殺すだろう父さんを殺した存在がいることを。
そしてそいつは、星すら吹っ飛ばす。月みたいな衛星じゃない、惑星ベジータをだ。だから上には上がいるって思い続けられる。
そんでテストだけど…多分、今の俺達じゃ無理だ。あまりにも先読みの精度が違うし、まったく動きが読めない。さっきから悟空が戦っている時、ポポさんの動きをずっと見ていたけど…先が、見えなかった。
いい経験にはなると思うけど、今はドラゴンボールをなんとかしたいからなぁ…。うーん…!
「なぁ!ここで特訓してもいいか?」
「特訓? 無駄だと思う。でも好きにしろ」
「サンキュ!兄ちゃん、行こうぜ!」
「うーん…おぉ?おう」
「…あいつ 性格はいい」
一周ぐらいですぐにバテてしまい、倒れかける。やっぱりきついな…。
「おまえたち 無駄な動きが 多い。それなくすこと 地上でも大切」
「「無駄な動き…」」
「そう。無駄な動き。空のように静かに構え 雷よりもすばやく動くのだ。心を無にして」
悟空が言われた通りのことをしようとしてポポさんみたいな目になった。それは思考放棄なんじゃねぇかな…。
そしてポポさんの凄さを知った。彼は俺達でも見えない速度で動き、見ていないのに悟空の動きをあてた。なんでも、俺たちは目だけで見ているとのこと。ポポさんは気配やわずかな空気の動き、そして勘によって見るのではなく、感じるのが大事といっていた。
「海 おまえは 知ってる。武天老師から 学んだ 技で」
「…あ!気のことか!」
「兄ちゃん、気って?」
「じい様にある技を教えてもらった時に気づいたんだけど、俺たちの体には大きなエネルギーが体から湧き出てるんだ。多分、それが気なんだと思う。それでポポさんはこの気も感じつつ、空気や気配を読んでいるんだ」
「ほぇ~…。ポポってホントにすげぇんだな!オラワクワクしてきちゃったや!」
「ははは… おまえ あかるいやつ。どうする?勝てるのに 何年かかるか わからない。それでも 頑張るか?」
「やるさ!やんなきゃわかんないしやってみてぇしよ!」
「頑張んなきゃみんな蘇らないかもしれませんからね。それに俺も、もっと強くなれるんですからやってみたいです」
―――気に入ったぞ。会ってやろう。今すぐにな…
「!?今の声、神様か!?」
「おまえたち ラッキー よかった」
「……今の声、どっかで…」
ポポさんに連れられ、神殿へ向かう。そして中から人影が見えたと思った…
その姿は、ピッコロ大魔王と瓜二つだった。
「ピッコロ大魔王!!!」
「ッ!?悟空ストップ!!気配が全く違う!!」
「え!?…ほんとだ、あいつと全然違う!」
「あのいたずら猫め、なにも説明しておらんかったな」
「海 よく止めてくれた」
「いえ…俺も気配を読むまでは、飛び出す寸前でしたから」
そして神様から語られたのは、神様とピッコロ大魔王が生まれた経緯だった。
二人はもともと、一人の武闘家だった。そしてここの話を聞き、神様になろうとしたが、先代の神様がその奥底に潜む悪意を見抜き、神様はそれを追い出すことで神様になることができた。しかし追い出した悪意はピッコロ大魔王となり、地上の人々を苦しめてしまった。
神様もそれを悔やんでおり、俺たちにすまないと謝罪をしてくれた。そしてお礼として、願いを聞いてくれるとのこと。
「たとえ神でも人を生き返らせることはできん。蘇った神龍に頼むのだ」
「あ、ありがとう神様!」
「ありがとうございます!」
「だが、私への頼みはこれが最後だと思ってくれ。私に頼れる状況が続けば、何でもかんでも神に頼ってしまう心が芽生えてくる…私はそれを避けたい。心のどこかで神に頼る心があると、人は堕落する。自分たちの力で切り開いていかねば…それにもしものチャンスとして、ドラゴンボールがある」
もともと神様は、ドラゴンボールはこのままにしておこうと考えていたらしい。ドラゴンボールを地上の人々の勇気と希望のためにと作ったが、私利私欲で使おうとするものが後を絶たなかったかららしい。
…レッドリボン軍やピラフ、それにピッコロ大魔王自身とかな。てかそれで言ったらブルマさんとかウーロンとかそうじゃねぇか。後から聞いたけど彼氏さんが欲しいだったりギャルのパンティーだったり…。ウーロンがいなかったら世界征服されてたかもだけど。
しかし悟空や俺のような人間が少しでもいるのなら、復活させてもよいと思ったらしい。
というか神様はかなり前から俺のことを知っていたらしい。グルメス王国の一件でカリン様に頼った理由が、泣く人がいるからという理由であそこからカリン塔まで走ったという時点で悟空と同じ人間だと思われたらしい。そして理由も優しい願いだったため、神様が力を貸してくれたんだとか。
いやだって、目の前で泣く子がいるんだから走るしかないじゃん…。
……おいこら悟空、なに生暖かい目で見てんだ。お前だって関わってたら俺みたいに走ってただろ。
「…さて、神龍も蘇った。次の天下一武道会までにピッコロを迎え撃つ準備をするぞ」
「ぴ、ピッコロ!?でもあいつはオラが…」
「分身を残していたのだ。そして今も力を蓄え、お前たちを殺すその時を待っている。悟空は実の父ピッコロ大魔王の、海は自身を守ろうと身を挺したバラライカの仇のためにな…」
「そ、そうなのか…」
「兄ちゃん、オラ達絶対に強くなろう!そんでピッコロを返り打ちにすんだ!」
「あぁ!やる気出て来たぜ…!」
「私たちは戦うことはできん。お前たちに託す…!頼んだぞ!」
「「はい!!」」
そして三年間の神様による修行が始まった。
ちょっとした修行の閑話を入れて第23回天下一武道会を書こうと思います。