ドラゴンボール ~もう一人の兄~   作:龍玉

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第23回天下一武道会、開幕

 

 

 悟空とともに下界へ戻り、会場へ向かう。悟空は頭に布を巻いており、見慣れない人は悟空と気づかないんじゃないだろうか。

 俺は編み笠をかぶっている。おかげで傘を差さなくても雨に濡れなくて済む。

 

 

「…!兄ちゃん、みんなだ!」

 

「お?…お~ほんとだ!三年ぶりだなぁ」

 

 ヤムチャさんや天津飯さんとかは見えないけど、ブルマさんたちはいた。たまに下界を見ることがあったから新鮮味がないと思ってたけど、リアルに会うと全然違うなぁ。

…それに、じい様もちゃんといる。神龍、サンキューな。

 

 

「オッス!じいちゃん生き返ったんだな!みんなも元気そうだ!」

 

 

「お久しぶりです、皆さん。三年ぶりですね」

 

 

…あれ?みんな俺達ってわかってないな。ていうかそれもそうか、めちゃくちゃ背ぇ伸びたからわからないんだ。

 

「悟空、頭の布とってあげたら?みんなわからないんだと思う」

 

「お?そうなんか?よし、ちょっと待ってろ…どうだ!まちげぇねぇだろ!?」

 

「ほ、本当に悟空だ…!」

 

「悟空君たち、ほんとに大きくなりましたねぇ…」

 

「ランチさんたちはそこまで変わってませんね?」

 

「いやお前らがおかしいだけだよ…」

 

「こりゃたまげたわい…」

 

 

 その後、クリリンたちと合流して驚かれたり、観客席にいた先生と会ってまた驚かれたりしながら、予選会場に向かった。

 

 そこでは全員考えることは同じのようで、亀仙流の道着を着て少し談笑した。どんな修行をしてたのか~とか、俺が使ってたリストバンドすごく使いやすかった~とか。

 

 そして、ピッコロに出会った。まだ何も会話をしていないが、神様の言ってた通りのことを考えてんだろうな…。

 

 

「…で、さっきの子は誰なんだ?」

 

「し、知らねぇって…オラ初めてあったもん」

 

「あんな可愛い子のこと忘れるとか悟空まじか!?」

 

「…よし、悟空記憶見せてくれ。俺調べられるわ」

 

「あそっか!兄ちゃん記憶見れんだったな、頼む!」

 

 

 あと少ししか時間はないので、さっさと見ていく。といっても結構俺も悟空といたけど、あんな子知らんし…子供の時かな?

 そう思って探ると、確かに一人悟空といい雰囲気になっている女の子がいた。というか悟空お前、何変なことしてんだよ…それじっ様がどうやって女の子か男の子かどうか見分けるために苦心しながら教えたやつじゃねぇか。それであの子も嫁に行くって、わっかんねぇもんだな…。

 

「悟空、あの子牛魔王の子だよ。あと大人になったら嫁に行きたいって言ってた…」

 

「うっそだろ!?じゃああいつ、チチだってのか!?…あと兄ちゃん、嫁ってなんだ?」

 

「なんだって!?牛魔王の子!?」

 

「というか、嫁ぇ!?」

 

 騒ぎつつも、予選が始まった。あと悟空には嫁について伝えると、約束したんだから守んなきゃいけないなって思ったらしく、試合が始まったら嫁にもらうらしい。直球すぎんか??

…まぁでも、試合終わったらキスとかしてあげな?俺夫婦になったらすることってそれぐらいしか知らんけど。

 

 

予選はみんなバラバラになった。俺とヤムチャさんだけ同じブロックになったけど。

 

「まさか、海と同じブロックとはな…よろしく頼むぜ」

 

「修行の成果、しっかりと見せますね」

 

 

みんな順調に勝ち進み、あとは餃子だけ…となったとき、なんと餃子が負けてしまった。

 

 

相手は、昔俺と悟空に敗北した殺し屋、桃白白だった。

 

 

「天さん、ごめん…負けちゃった…」

 

「強くなったな、餃子。確かに修行を積んでいるようだ」

 

「パ、白白さん、どこにいってたんですか…」

 

「武者修行だ。私は殺し屋から足を洗った…。罪は消えなくとも、一人の武人として生きようと考えずっと力をつけて来た。その代償として、このサイボーグの体となったがな…」

 

 なんでも、自分が殺した者の遺族達に頭を下げ、その怒りを受け続けたのだとか。事実、あのときのような殺気は感じられず、穏やかな気配を桃白白からは感じる。本当に変わったな…。

 

「孫悟空、そして孫海!私はこの時を待っていた。貴様らからこの天下一武道会という大舞台で勝利をもぎ取るチャンスを…!貴様らは絶対に予選に残れよ…。そして天津飯、貴様の修行の成果も見せてもらおうか!」

 

「!…はい!!」

 

「あぁ、楽しみに待ってる!」

 

「俺も楽しみだぜ、桃白白…」

 

そしてついに、俺とヤムチャさんの試合となった。

 

 

「ついに来たな、海…」

 

 

「あぁ、待ってたぜ、この時を…」

 

 

 試合が始まり、構えをとる。―――意識は、空のように大きく、されど透き通らせる。ヤムチャさんの動きが、すべて見える。

 

 

「一撃で、終いだ!」

 

「いや、終わらないよ…」

 

 

 ヤムチャさんの狼牙風風拳をすべて捌き、胸に三撃突きを放つ。距離が空いた瞬間、ヤムチャさんが気弾を作り出した。

 

 

「ぐ、ハァッ、ハァッ!やっぱり海は強いな…!だから、奥の手を使わせてもらう!喰らえ、繰気弾!!」

 

 

「ッ!気弾を操作してるのか…!」

 

「すげぇ!ヤムチャさん、あんなことまでできたんだ!」

 

「あぁ、あんなに気弾の操作ができるなんてびっくりだ!」

 

 

 ハハッ!さすがだなヤムチャさん!パンチも重かったし、気の操作もここまでできるなんて…!

 

 

「だから、早めに返してやらないとッ、な!!」

 

「なに――!?」

 

 

「縦横無尽に飛び回る気弾をつかんで、ヤムチャさんに放り投げた!?」

 

「おー!兄ちゃんもすげぇな!まさかあの一瞬だけつかんで投げるなんて」

 

 

放り投げた気弾はヤムチャさんでも制御がつかず、衝突して場外へ飛び出る。俺の勝ち!

 

 

「げほッ、ハハ…完敗だ。また鍛えなおさないとな…」

 

「いい筋してるんだし、神様のとこに来ますか?ヤムチャさんなら神様も教えてくれると思うぜ」

 

「本当か!?ぜひ教えてもらいたい!」

 

 

「ヤムチャさんだけいいなぁ。俺も行きたい…」

 

「頼めばクリリンも行けると思うぞ?兄ちゃん、神様に頼んで新しい如意棒作ってもらったらしいし」

 

「本当か!海ー!俺もいいかなー!?」

 

「構わないと思いますよー?」

 

 

さて、本選出場が決まったことだし、誰と当たるのかね?

 

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

 

 

第一試合、悟空とチチさんの試合が始まった。

 

が、始まって早々悟空がやらかした。

 

 

「おめぇ、チチなんだってな!や~懐かしいなぁ…忘れててすまんかった」

 

「!!やっと思い出しただか!そうだべ、おらは牛魔王の娘、チチだ!」

 

 

 始まってからここまではよかった。挨拶も早々にチチさんが攻め続け、悟空は避けつつ会話を楽しむ。そして約束をここで持ち出してしまった。チチさんがとびかかり、悟空が待ち構えていた時に。

 

 

「そんで、嫁にもらいに行くって言ったもんな。そんじゃ、結婚すっか!おめぇのこと、好きだしな!」

 

 

「…へっ!?」

 

 一応悟空には嫁に来る人は悟空のことが好きじゃなかったら来ないという話とともに、悟空はどうなのか聞いた。これで別にとか言い出したら絞める覚悟で待つと、悟空自身思い出してからよく考えると少し気になる女の子だとは思ってたんだとか。まぁ、サイヤ人が好きになる相手の性格の気が強いって部分はありそうだしな。あと悟空相手にもしっかりと意見を言えるって部分もあると思うから、そこも無意識に好きなんだと思う。じゃあ大丈夫かとは思ったんだけど…。

 

 多分、もともとチチさんも結婚はするつもりでここまで来たんだと思う。だけど悟空がいきなり好きとか言い出すから、バランスを崩したチチさんが倒れかけて、で悟空もまさか崩れると思ってなかったっぽくて受け身が取れなくて…。

 

まぁ、その、キスをしてしまった。

 

 

「「―――」」

 

 

『あ……』

 

 

「…ぅえっ?」

 

 

「……おら、き、棄権するだ…。それと悟空さ、末永く、よろしくお願いします…」

 

 

 観客の人たち、思わず黄色い歓声を上げる。知り合い全員呆然。俺も顔を抑えて天を仰いだ。

 

 

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 そんなことがあった次の試合、俺の試合が始まる。相手はどこにでもいそうなおじさんだった。

 

 

「いやぁ~…すっっっごく気まずいっす。弟が祝福されてうれしい限りなんすけど、まさかあんなハプニングが起きるなんて…」

 

 

「ハハハ…まぁ、よかったじゃないですか。こんな晴れ舞台で結婚する人が出るなんて、おめでたい話ですし」

 

 

「それはそうなんすけどぉ…なんていうか、ニマニマしちゃって気合入んないんですよぉ…」

 

 

「本当にうれしそうですね…」

 

 

「まぁ、はい。そら嬉しいですよ。弟が結婚したんですから、神様」

 

「!?…気づいておったか」

 

 

「ヤジロベーさんが負けたあたりで、あぁこの人わざとしてんだなって気づきました」

 

 

 

 だって怪しすぎますもん。あの動きに無駄がなければ、隙も無かった。で頑張って記憶を見ようとカマかけたら見事にはじかれたんで、あぁ神様なんだなって。あれできんの最初から見せないように気を張った悟空ぐらいしかできなかったんで、そのレベルとなると限られますし。

 ちなみになんで悟空が気を張ってたか問いただすと、俺のデザートを間違って多く食ってしまったからとゲロった。

 ヘッドロック決めたよね、本能的に。

 

 

「なんでその体に…憑依?してるんですか。普通に変装すればよかったのに」

 

「そうはいかんくてな…私にも事情がある。ここで勝たせてもらう」

 

「…ピッコロのこと、封印でもするつもりですか?殺せば、神様も死んでしまうから」

 

「ッ!?なぜわかった…!」

 

「いえ、知りませんでした。カマかけです。でもまぁ、ポケットのふくらみ的に魔封波だと思ったんで…そんなに俺たちが信頼できませんか?」

 

 

「…いや、お前たちが信頼できないのではない。たしかにポポに修行を任せていたから実力がわからない部分はあるが、お前たちなら確かにピッコロに勝てる。しかしこれは私自身の問題だ…」

 

 

…うーん。

 

 

「気に食わないっす」

 

 

「!?」

 

 

 

 

「悟空、海のやつら何を話してんだ?」

 

 

「ん?兄ちゃんなら神様と話してんだ」

 

「は?神様?でもあのおっさん、普通の人じゃないか!」

 

「でもまぁ、兄ちゃんがそういうんだからそうなんだと思う。兄ちゃんもちゃんと調べたって言ってたし」

 

 

 

 神様、俺達強くなったんだぜ。悟空も、クリリンも天津飯もヤムチャも…。ピッコロにだってそう簡単に負けないくらいに。

 

 

「たとえこれが神様の問題だとしても、もう地上に存在する問題だ。ならそれは、地上の人が切り開く問題なんだと思う。神様も言ってたじゃないですか!地上の人は神に頼ることなく、自分の力だけで切り開いてほしいって」

 

 

「そ、れは…」

 

 

「だから神様。一勝負お願いします。俺も、負けたくないんで」

 

 

「…どのみち、おまえさんに勝たなければ先には進めん、か」

 

 

笑って返す。

 

 

『それでは、第二試合!始め!!』

 

 

「「よろしくお願いします」」

 

 

 始まりは向こうから。首元を狙う手刀を躱し、一本背負い。だけど受け身を取られて逆にこっちも投げられる。距離とられちゃったな…。というか、やっぱ借り物なんだろうな、あの体。そうなると無理に傷つけられねぇ…。

 

 太陽拳を瞬間的に発し、一気に接近して足払い。飛び上がりながら体をつかみ、場外めがけて放り投げる。しかし舞空術によってぎりぎり場外に行かない。押し出そうと爆風のみ強い中身がない気弾を放ち、さらに押し込む。

 しかし突き手によってすべて破壊され、その場に静寂のみ残る。やっぱ強いな神様。傷つけないとか無理だわ。

 

 

「あ、あのおっさん、孫海といい勝負してるぞ!」

 

「なんなんだ、あいつ!?」

 

 

 多重残像拳で後ろに回り込み、回転して足を振り下ろすも回避されて会場を揺らすだけで留まる。返す刀でもう一度回転しつつ逆足でもう一度振り下ろす。神様は反撃しようと回避しつつ接近するけど、態勢を崩して反撃ができない。今の蹴りは攻撃メインじゃなくて舞台を揺らすことメインで打ったから、人の体で動いてる神様じゃ耐えられない。

 すぐさま首を絞めにかかり、腕を首で組むも寸前に腕を差し込まれてうまく締めれなかった。脇腹に肘鉄をもらい、さらに一気に爆風を放たれて少し吹っ飛び、飛び蹴りを喰らう。手で着地しつつ四つん這いになり、体中に力を込めて雷のようなスピードで神様へ突っ込む。

 

向こうも着地したところだったようで、俺のミサイルヘッドをもろに喰らう。

 

 ちぇっ、傷つけないようにしたかったけど神様がかなり抵抗するからあきらめた…それでもあまり有効打にならないな。今のも中心点をずらされて横に吹っ飛んでるし。

 

 

「かはっ…まさかここまでやれるとは…」

 

 

「神様のもとで怠けずちゃんと鍛えてますから」

 

 

 微笑んだかと思うと、さらに加速して服をつかみにかかってきた。振り払って両手で抑え込みにかかるが、逆に今度は俺が振り払われ、腕が上方向へ飛ばされる。つまり、完全な無防備。まっず―――!!

 

 

「ずあっ!!!」

 

「ごおぉ…ッ!?」

 

 

 腹に突き手をもらい、屈みかけたその瞬間に肘で顎を殴り飛ばされ空中に飛ばされる。空中で勢いを殺して着地し、息を整える。いやーしんど…。

 

 

「今ので倒れもせず、意識が揺らぎもせんとは…ポポのやつ、どのような修行を…?」

 

「さぁ…?自分は愚直にこなしてただけなので」

 

向こうは息が上がってる。あの人の体が限界を迎えたんだろう。なら、ここで終いにしよう。

 

 

 一気に近寄り、迎撃せんと右ストレートを放とうとする神様の目の前で、勢いよく手を合わせる。あまりの力の衝突に一瞬だけ音が消える。急にしてくると思ってなかったようで、神様が固まる。

 

「ここぉッ!!」

 

「な――!?」

 

 腰に抱き着くようにして突進し、舞空術で一気に加速。稲妻のような軌道を描いて地面めがけて突撃し、神様を離して離脱。瞬間、すさまじい音ともに神様が地面に激突した。

 

『じょ、場外!!シェン選手の場外です!!勝者、海選手!!みなさま、二人に盛大な拍手を!!』

 

 

「…フゥーー…。俺の、勝ちです」

 

 

「…はッはッは…。この体を借りたとしても、まさか私が負けるとは…」

 

 

「そんじゃ、見守っててください。俺たちの、試合」

 

 

「…ああ、お前たちに、託した」

 

 

…さて、ほぼフルパワーの悟空と疲れた俺。どっちが勝つかなんて明白だけど…あきらめる理由にはなんないしな。負けたくないし、やるだけやるかぁ…。

 

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

 

次の試合は、天津飯さんと桃白白の試合だった。どちらも技は磨かれており、桃白白は天津飯の動きについていけている。しかしパワーは天津飯に分があったようで、拳の打ち合いではすべて天津飯さんが勝っていた。桃白白は苦しそうだったけど、楽しそうだった。

 

 

「くくく…ただ武のみに身をゆだね、殺しから身を退けるとここまで楽しくなるものなのか!」

 

 

「ピッコロ大魔王との戦いを経て、私はあなた様を超えたと思っていた。しかしまさかこんなにも強くなっておられるとは…」

 

 

「老い耄れの悪あがきよ。事実貴様のほうが実力は上だ。癪だがな…」

 

 

 師匠と弟子の戦いは、弟子の勝利で終わった。しかし桃白白は晴れやかな顔で舞台を去った。どこまでも上を目指す、武人の顔をしていた。

 

 

「あのバカな兄貴は禊中だ。それが終わったら顔を出してやれ。あいつも寂しい思いは嫌だろうからな…。私もまた、禊の旅に出る。それではな」

 

 

「…はい。また餃子とともに会いに行きます。桃白白様、またどこかで」

 

 

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

 

 そして、ピッコロ対クリリンの戦いは、舞空術や持ち前の器用さを駆使したクリリンが意表を突くことができたものの、それでもピッコロが強く、負けてしまう。

 

 

試合が一巡し、俺と、悟空の試合が始まる。

 

 

 




桃白白はカイにぶっ飛ばされて修行をし直し、自分を見つめなおすことで殺し屋という武術から反する行為を恥じるようになり始めました。
そして悟空とカイに負け、自身が腐っていたことを自覚し禊の旅に出始めました。その道中の傷が深くなり続け、サイボーク化し旅を続ける…というのがこの世界の桃白白の生き方となりました。前の伝言は旅に出る直前に天津飯に伝えました。

鶴仙人は大会前に桃白白に天津飯たちを殺すよう指示したため、ボコボコにされて性根を叩き直すため桃白白の旅に巻き込まれてます。
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