ドラゴンボール ~もう一人の兄~   作:龍玉

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うりふたつ

 

 

 ラディッツを捨て、悟空とピッコロの三人で会議をする。話題は、少ししたら来るもう一人のサイヤ人だ。

 

 

「どうする?悟空。俺は迎撃するつもりだが、今のラディッツよりも強いとなると俺じゃ厳しい…」

 

「オラも戦いてぇ。どんな奴なんか気になっからな!ピッコロはどうする?」

 

「今この場で貴様らを殺してやりたい気分だが…危機が続くのならばやむを得ない。まだ手を組んでおいてやる」

 

「よし、この三人でかかればワンチャンスは生まれるな。後はどれぐらい強いかだな…」

 

「兄ちゃん、このサイヤ人…オラの兄ちゃんのことも知ってんだろ?どんな奴がいたかとか覚えてねぇんか?」

 

 

「俺が知ってんのはパートナーを組んでるって聞いた二人組のサイヤ人だ。だからラディッツの言うもう一人ってのがわかんねぇ…」

 

「どのみちそいつを殺さねばどうにもならんだろう…ッ!!さ、さらに強い気配が近づいてくる…!」

 

 

 遠い空の奥だが、確かに感じる。ラディッツや悟空、ピッコロとは比べ物にならない奴が…こっちに来ている…!

 

 

「あっちの荒野だ!今すぐ向かうぞ!筋斗雲ーー!」

 

 

「何をしている、孫海!そいつは放っておけ!」

 

 

「すまん。話しておきたいことがあるから、先に行っててくれ」

 

「ピッコロ、早く行くぞ!兄ちゃんもすぐに来いよ!」

 

「…早く済ませろよ」

 

 

二人が新たなサイヤ人のもとに飛んでいくのを見送り、ラディッツに近寄る。

 

 

「ぐ、うぅ…!なんだ、兄貴…!俺はお前らに力を貸さんぞ!」

 

「そんなのはどうでもいい。ラディッツお前、惑星ベジータがなんで消えたか知ってるか」

 

 

「なにを言ってやがる。惑星ベジータは親父やお袋とともに巨大隕石の衝突で滅びたんだろうが!」

 

 

…あぁ、ラディッツは知らないのか。母さんが焦っていたことに。父さんが惑星ミートに出ていたから惑星ベジータにいるわけないし、あの父さんがそんな隕石に気づかないはずがないことに…。

 

 

「なぁラディッツ。俺さ、悟空と…カカロットと地球に来たのはさ、母さんが守ってくれたからなんだ。そして母さんに命を繋げてくれたのは、多分父さんだ」

 

 

「は……?」

 

 

「惑星ベジータの消滅は、隕石の衝突なんかじゃない。多分もっと人為的で、その理由はとても軽いものだと思う。おかしいと思わないか?サイヤ人の科学力はかなりのものだ。隕石の接近だって気づくはずだ。それに、もしほんとだとしてもサイヤ人が集まって隕石を破壊すればいいのに、それすら行われなかったてさ…」

 

 

 ラディッツの近くにブルマさんと先生が共同して作った回復スプレーを置いていく。試作段階だけど、効果は期待できる。

 

 

「…父さんと母さんを殺したのは、フリーザだ。そんで多分、父さんは反抗したんだと思う。あんな気に食わない奴への反骨精神が服着て歩いてるような人だし、何もしないわけがない。憶測だけどな…」

 

 

「なッ!?」

 

 

「俺やカカロットがここまで強くなったのは、俺がフリーザを見据えて鍛えていたからだ。いつかやつの首に手をかけられるように…。カカロットやみんなには、まだ伝えてないけどな。まだまだ時間が必要だから…」

 

 

「なにを、言って…」

 

 

「俺が来るサイヤ人に反抗する気なのも、そいつらと一緒でも勝てる気がしないからだ。ずっと星を制圧してたんだろ?てことはフリーザのもとに居るのと同義だ。それじゃ勝てない…。そいつらが一緒に戦ってくれるような、良いやつだったらよかったのにな。じゃあ、俺は行くよ。死ねば俺はこの世界から消えるかもだから、それは避けたいしな」

 

 

「……」

 

 

「またな、ラディッツ。迷惑をかけないなら、好きに生きろよ」

 

 

 ラディッツから離れ、悟空たちのもとへ向かう。もう戦っている気配がする!急がないと…!

 

 

 

 

 

 

「…………くそっ!俺は、俺はどうしたらいいんだ…」

 

 

「くそっくそっ!……親父、お袋…」

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

 

 荒野にたどり着き、現状を確認する。

 悟空はすでに傷を負っており、ピッコロも焼けこげた部分が目立つ。

 

 

 そして二人が相対する存在は、少し髪形が違ったり肌黒いぐらいで、悟空の瓜二つの存在だった。

 その気配は、少しの恐怖を覚えるほどに大きい。

 

 

「も、もう一人の、サイヤ人…!」

 

 

「…ほぉ、戦闘力1031か。カカロットとピッコロとやらが1029と1001であることを考えると、確かにラディッツのやつが敗北したのも理解できるな」

 

 

「兄ちゃん気い付けろ!こいつ、恐ろしく強ぇ…!」

 

 

「ちっ!防御を固めても上からダメージを通して来やがる!バケモンが…!」

 

 

「お前、誰だ!俺はお前みたいなサイヤ人聞いたことないぞ!!」

 

 

「くっくっく…そうカリカリするな、カイ。だが自己紹介は必要だなぁ…お前たちはどうやら仲間になるつもりはないようだし、冥土の土産に教えよう…俺はターレス。お前たちとおなじ下級戦士のサイヤ人だ…」

 

 

言うや否や、威圧感が増して俺を襲う。本当にコイツ、下級戦士かよ…!

 

 

「あいさつ代わりにお前も少し遊んでやろう。さぁ、どこを見ているんだ?」

 

「は?――ゴハァ!?」

 

 

 目で、追えない。いつの間にか後ろに回り込まれ、腹に一撃を貰う。あまりにも重すぎる…!

 

 

 

「げほっげほっ!―――グゥアアッ!!」

 

 

「ハッハッハ!なんだ、良い蹴りをするじゃないか…だが少しパワーが足りないなッ!!」

 

 

「ガァァァッ!!?」

 

 

 蹴りを三連撃で放つが、すべて素の状態で耐えられる。余裕のある動きで放たれた右フックは、避ける暇なく顔面に命中する。まるで効いちゃいないし、今の一撃だけで首がもげそうだ…!

 

 

「く、くそ…!かばいたかったのに、オラも耐えれる気がしねぇ…!へへ…初めてワクワクしないし、ちょっと怖くなってきたや…」

 

「ハァ、ハァ…おい、孫悟空、孫海!何か秘策はないのか…!」

 

「へへへ…すまねぇけど、オラには無ぇな…」

 

「俺も、体づくりばっかしてたから…くそ、こんなことなら悟飯もいれば…!」

 

「くそったれ、俺は真面目に修行して新技を開発したってのによ…」

 

「な、なんだって…!?」

 

「本当は孫悟空を殺すためだったが、この際不満は言ってられない…!いいか、これは長い時間のタメが必要だ!貴様らで時間を稼げ!」

 

 

「なんだ、作戦でも立てているのか?なら手土産をくれてやらないとな…」

 

「!!全員、避けろォ!!」

 

 

「「なにっ!?」」

 

 

 

「サドンストーム!!」

 

 

 ターレスの手から紫色の気弾が発射され、俺たちめがけて飛んでくる。全員散らばり、難を逃れた――かに見えた。

 

 

「言っておくが、その気弾は少し特殊でな。お前らに当たるまで追尾し続けるぞ?」

 

「嘘だろ…!?」

 

「ヤベッ!!」

 

「グオォ!!?」

 

「「ピッコロォ!!」」

 

 

 俺はすべての気を体の前面に集中させて防御し、悟空は気弾で誘発させて難を逃れたけど、技を準備しようとしたピッコロは遅かった。

 その左腕を盾にして生き残ったけど、肩から先に腕はない。

 

「ハッハッハッ!!俺の気弾を喰らって生きているとは、なかなかやるじゃないか…だがもう限界のようだな」

 

「く、くっそ…!」

 

「ハアァァァァ!!喰らえ、ターレスゥゥゥゥ!!」

 

「兄ちゃん!?」

 

「懲りずに格闘か…」

 

 

 ターレスに突撃し、今度は太陽拳を放つ。しかし目の前にやつはいない。反射で後ろに蹴りを放つが、飛んできた蹴りに押し負けて地面に転がる。加勢に来た悟空を上空へ吹き飛ばし、アームハンマーで地面へ落とすと、落ちた衝撃に合わせるように膝を突き立てる。悟空の口から血がこぼれ、目は白をむきかけている。

 助けねぇと、悟空にとどめが刺されちまう!

 

「ッ!?戦闘力2335!?さっきのカカロットも2330まで跳ね上がった…こいつら、戦闘力を変化させられるのか!」

 

 

「かめはめッッ!!波アァァァァ!!」

 

「フンッ!!」

 

 

 全力のかめはめ波を放ち、意識をこちらに向けると同時にダメージを与えようとした。だけどターレスは目の前に紫のシールドを張り、かめはめ波を、防いだ…!

 

 

「ぜ、全力の、かめはめ波が…」

 

 

「…少しは効いたぜ?」

 

 

 呆然とし、ターレスのエネルギー波をもろに浴びて吹っ飛び、地面に倒れ伏す。体を動かすことが、できない。

 

 

「あいつらが何かする前に、始末させてもらおう…。まずはお前からだ、カイ…!」

 

「ぴ、ピッコロまだか!?」

 

「ま、まだできちゃいない…!!やつを貫くにはまだ全然足りん…!」

 

 

 目の前で、怖気を感じるエネルギーを感じる。くっそ、せめて撃ってくる瞬間に、暴発狙いで特攻するしか…!

 

 

 

 

 

 

「サタデークラッシュッ!!」

 

「ッ!!ちっ…」

 

 

 

 

 

 

命の危機を感じる光が消え、威圧感が遠のく。そして、今の声は…。

 

 

「ラ、ディッツ…?」

 

 

「…ッ」

 

 

「弱虫ラディッツが、何の用だ」

 

 

「え…?な、なんでオメェが…」

 

 

(しめた!今ので溜まりきった…!あとは隙さえできれば、やつを貫ける…!)

 

 

「答えろ!!なぜ俺に攻撃した!!!」

 

 

「…フンッ!兄貴とお袋の甘さが移っただけだ!」

 

「…ならば、死ね!!」

 

 

ターレスとラディッツが格闘戦を広げるうちに悟空へ近づく。

 

「悟空、ラディッツでもあいつの足止めは難しい…!俺達でヤツを止めるしかない!」

 

「…なら兄ちゃん、オラに任せてくんねぇか」

 

「悟空…?」

 

「オラなら、まだ一回なら死んじまってもドラゴンボールで生き返れる。だから兄ちゃん、ほんの一瞬だけあいつの意識を集めてくれ!」

 

 

「…ッ!…わ、かった…」

 

「へへ…すまねぇな、兄ちゃん。こんなこと頼んじまって…」

 

「うるさい。さっさとするぞ」

 

 悟空に顔を向けず、息を整える。…わかってたんだ。どのみち誰かが特攻しないと、あいつに勝つチャンスは生まれないって。それが、今できるのがラディッツか悟空、俺は、たぶんできない。あの紫の猫さんが言ったことが本当なら…。

 

 

「カラミティブラスター!!!」

 

「が、はぁ……!」

 

 

「ッ!!いくぞ悟空!」

 

「おう!!」

 

 瀕死のラディッツと入れ替わるようにターレスへ掴みかかる。防御は無視だ!足と手のみに気を集中させろ…!

 

 

「ッ!?カイお前、どこからこんな力を!?」

 

「言うと思うか!?」

 

 足の気を額に移動させ、ターレスへ頭突きを連続で放つ。しかしカウンターで腹に蹴りを入れられ、胃液が逆流し、血が混じった胃酸が口を飛び出す。だけど、これで少しはひるむだろ!?

 

 

「ゴ、アァ!!」

 

「ぐあぁ!?」

 

 

「今だアァァァ!!」

 

 

「!?カカロット、何をする!?」

 

「ピッコロ!!やれえぇぇぇぇ!!」

 

「ま、待て―――!!?」

 

「待たせたな…!さぁ喰らいやがれ!!魔貫光殺砲!!!

 

 

 

 

 悟空ごとターレスをピッコロの光線が貫き、戦いの終結を知らせるように二人の体が地面に落ちた。

 

 

 

 




明日から投稿が遅れるかもです。
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