ドラゴンボール ~もう一人の兄~   作:龍玉

42 / 104
大猿大進撃!!

 

 

 界王拳を使っていた時とは違うパワーの満ち足りを感じながら、目の前のベジータを見る。これでもパワーはまだ届いているように思えない。エリートなだけあるな…。

 

 

「―――大地よ、海よ、そして生きているすべてのみんな…。このオラにほんのちょっとずつだけ、元気を分けてくれ…!オラのためじゃなく、みんなのために!」

 

悟空が元気を集めだした。あとは溜まり切るのを待つだけだ。

 

 

 

『この、最底辺のゴミクズどもが…!舐めやがってぇ!!』

 

『大猿じゃなかったら負けていたやつが何言ってんだ?』

 

『黙れ!!貴様もこの場でひねりつぶし、カカロットも叩き潰してくれる!!』

 

『そうかよ…ならお前は、それを背に背負ったまま戦うといい!!』

 

 俺も魔口砲を口に溜めて最大火力で放つ。その方向はベジータでも、ナッパでもない。月に向かって放たれていた。

 

 

『ッ!?貴様ッ!!』

 

『わざわざ今の状態でパワーボールを使ったとて、また俺たちが大猿になってパワーボールを破壊すればいい。そうなればお前はただただ体力を消費するだけだ…!』

 

 

 大猿にならなければ俺と悟空が界王拳で勝てることがわかっている以上、ベジータはなおのこと月を守んなきゃいけないし、パワーボールを作れば大幅に気を削ぐだけじゃなく守る必要のあるものを増やすだけ。

 

 つまり、ベジータは俺から月を守りつつ悟空を攻撃しなきゃいけない。でも俺はベジータを狙わずずっと月を狙ってれば向こうが勝手に体力を使ってくれる。俺に狙いを定めてももともと時間稼ぎのつもりだからどんと来いってぐらいに立ち向かうだけだ。

 問題は、ナッパのほうだけど…。

 

 

『ガアァァァァオアァァァァ!!』

 

 

『くそっ!!弱虫ラディッツのやつに、このナッパ様が押し負けるだと!?』

 

 

 よし、さすがに死にかけの状態での大猿化は少しの疲労を持ち越していたみたいで、ラディッツと拮抗している。今も掴み合いながらナッパの顔面にヘッドバットかましてた。あそこに悟飯たちの援護も入るから、なおのこと安心できる。

 あとは、時間を稼げば悟空が何とかしてくれる!

 

 

『さぁ、来いよベジータ!!王子のプライドなんか捨ててかかってこい!!それともなんだ、負けるのがこわいのか?』

 

 

『こ、の…!!人の神経を逆なでるのが上手いやつだなァ…!!!』

 

 

 ハハッ、頭に来てらぁ。そうだ、俺だけを見ろ。悟空なんか気にせず俺だけを狙え…。そうすればお前の勝ちはなくなる…。

 

 

『ガアァァァァ!!吹っ飛べェェェェ!!』

 

『貴様がだァァァァ!!!』

 

 

 殴り掛かると、巨体に見合わないスピードで回避して俺を蹴り上げてくる。慌ててバックステップをすると、ギャリック砲が飛んできた!魔口砲で押し返そうとするけど、まったく押し返せる気がしない…!!

 

『俺のギャリック砲に、勝てると思うなよォ!!』

 

『が、ぐぐ…!!ガァアァァァァ!?』

 

 

 耐え切れず、吹っ飛ばされて仰向けに倒れる。近づこうとする気配を感じたので、起き上がりざまに複数の火球を放ってそちらに手間取らせる。よし!隙を作り出し、タックルをかまして悟空から距離が空くようにしたぞ!!

 

 

『グオォォォォ…!!』

 

『ぐ、ぐぐぐ…!』

 

 

「悟飯、今だ!」

 

「行きます…!ハアァッ!!」

 

『う、があぁ!!?目が…!』

 

『ギャオォォォォォォォッ!!!』

 

『うおぉぉぉぉぉ!?』

 

 ナッパが目に気弾を当てられて態勢を崩したみたいで、そこをラディッツがマウントポジションでボコボコにしている。だけどナッパもやられっぱなしじゃないみたいで、ラディッツと悟飯たちに向けて光線を放ち、無理やりマウントポジションから脱した。

 けどクリリンは別の場所にいたようで、そこから気弾を平べったく、そして回転させたものを投げつけた。あれは、尻尾を切れる気弾か!

 

「気円斬!!」

 

『グオ―――』

 

「~~ッ!!外した……!」

 

 ギリギリ体をひねられ、その背中に一文字の切り傷を残すことでその気円斬は空へ飛んでいった。

 

 

『チィッ!!たかが地球人どもに何をしている!!ガァッ!』

 

「「うわぁッ!?」」

 

「クリリン!!」

 

『悟飯も吹っ飛んだぞ!?』

 

 

 クリリンと悟飯がベジータの光線で吹っ飛ばされ、姿が見えなくなる。でも気配は途切れてない…!消えかけているから死にかけだけど、死んじゃいない!

 

 

『悟空、まだか!?』

 

「あともうちょっと、もうちょっとなんだ…!」

 

『貴様ら、何を企んでいる…!まとめて吹っ飛ばしてくれるわ!!』

 

『やっべッ!!?月を―――』

 

『もう遅い!!!』

 

 

 月に向かって光線を放とうとした瞬間、空から大小さまざまな気弾が落ちてくる。さっき上を向いた瞬間に大量の気弾を放ったのか!?

 

 

「ぐあぁッ!!?」

 

『悟空ッ!?ッぐおっ!?』

 

『ハッハッハ!!兄弟諸共消し炭になるがいい!!』

 

 

 空中の気弾を迎撃しようとするものの、すべては無理だった。三つほど悟空に、残りはすべて俺が喰らった。

 

 

「ぐ、ああぁぁ…!!」

 

 

『ご、くう…!』

 

 

『えらく無様な姿だな!えぇ!?』

 

『がッ!?ぐうぅぅ!!』

 

「に、兄ちゃん!!くっそ…!!もう元気玉はできたけど、あのままじゃ兄ちゃんまで巻き添えに…!」

 

 

 腹を踏み抜かれ、手の骨を砕かれ、思わず声が漏れる。かなりやばいぞ…ここでベジータを仕留めないと、そのままナッパの加勢に行かれちまう…!!

 

 

『さぁ、大猿の姿のまま消し炭に―――ぐぅうッ!?お、俺の尻尾が…!?』

 

 

『「え…!?」』

 

 

 巨大な尻尾の落ちる音とともに、誰かの着地する音が聞こえた。そこにいたのは、先ほどまで逃げていたと思っていたヤジロベーだった。

 

「さ、さっさとやっちまえよぉ!!」

 

「き、貴様ぁ…!?」

 

『ッ!!ガアァァァァッ!!』

 

「がっはッ…!!?」

 

 

「今しかない!!元気玉だァァァァァァァッ!!!」

 

 

 人の姿に戻ったベジータへをパンチを放って吹っ飛ばし、そこへ悟空の放った元気玉が飛んでいく。よしッ!!

 

 

「な、なんだ…!?ッ!!?ぐわァァァァァァァァッ!!??」

 

 

『げ、元気玉で、空に吹っ飛んだ…。ッッ、そろそろ、俺も限界か…!さ、最後に…!ガァッ!!』

 

 

理性が無くなる前に、最後の意地で魔口砲を月に放ち、破壊する。

 

 

月が吹っ飛び、体がシュルシュルと戻っていくのを感じる。ま、間に合った…。

 

 

『ガアァァァァァァァァ……』

 

『お、俺ももとに…!ッ!?や、やめろラディッツ―――』

 

 

『グオォォォォッ!!』

 

 

 もとに戻りかけたナッパをラディッツが横薙ぎに吹っ飛ばし、岩にぶつける。向こうも何とかなったかな…。

 

 

「ハァ、ハァ、ふぅ…。悟空、よくやってくれたな…」

 

「へへへ…に、兄ちゃんこそ、化け物になってもよく暴れたりしなかったな…。そういや兄ちゃん、なんですっぽんぽんなんだ…?」

 

「あ?…あぁ、大猿になって服が全部はじけ飛んだんだ。たしかここら辺に…あった!避難セットカプセル!」

 

 

 カプセル内から服を取り出し、着替える。子供のときにじっ様からもらった服の大人バージョンだ。これで服は大丈夫だな…。

 

 

「悟空、兄貴、無事か…。大丈夫そうだな…」

 

「ラディッツ!よかった…」

 

「へへ、ラディッツ兄ちゃんも何とかなったみたいだな…。そういや悟飯とクリリンは…?」

 

「さっき回収して、ナメック星人のピッコロというやつと三つ目の人間のところに重ねておいた。どっちも瀕死だ…」

 

「ベジータの魔口砲を喰らったんだ、無理もない…」

 

 

 初めて兄弟がそろい、笑いあう。張り詰めた気も緩んできたし、さっさと病院に行くか…。

 

 

 

 

 

「ギャリック砲ッッ!!」

 

「デラックスボンバーッッ!!」

 

 

 

不意に飛んできた光線に、俺とラディッツが飛ぶ。岩山に、叩きつけられた。

 

 

「兄ちゃん!?ッうぐぅ!!?」

 

「貴様らぁ…この俺を、コケにしてくれたな…!!」

 

「へへへへへ…ぐふっ…」

 

 

 陰から悟空がベジータに首を掴まれ、腹への膝蹴りを喰らっているのが見える。ナッパはその後ろでうずくまってる。

 

 イッテェ…!!ただでさえ大猿の時にダメージ喰らったのに、あいつガチでギャリック砲とかいうのぶっ放してきやがった…!ラディッツは…生きてる!でもいま出たら悟空が人質になる。あいつはもう復活できないから二人で出ることはできない…。

 

 どうする、どうする?今この場で二人まとめて吹っ飛ばす方法はないか!?

 俺とラディッツは死にかけ、悟飯クリリンピッコロ天津飯は瀕死で気絶、ヤムチャと餃子は病院搬送、他の援軍は無理!ヤジロベーはさっきの余波で吹っ飛んだ!!どうしようもねぇ!?

 

考えろ考えろ…!なにか不意打ちまがいのことができないか…!?死にかけの状態で…!

 

 

……天下一武道会の時、ピッコロは全員が勝ちを確信した瞬間に悟空を貫いた。これだ!!

 

(ラディッツ!!ばれないように気をためてナッパを狙うんだ!俺はベジータを!!)

 

(!?あ、兄貴!?な、なんで声が…)

 

(神様と修行してたらできるようになった!いいか、あいつらは気を読めないんだ。だから俺の合図で一気に気を解放して、あいつらをぶっ飛ばすぞ!!)

 

(そういうことか、わかった…!)

 

 

 あいつらが油断する瞬間、それは悟空を殺そうとした瞬間。その刹那の際に今出せる最大火力をぶつける!!

 

 

「ただの死では許さん…貴様だけはなぶり殺しにしてくれる!!」

 

「ッ!?ぎ、ああああああああ!」

 

「へっへっへ、次は足だ!!」

 

「ぐうぅぅぅぅ…!!」

 

 

(兄貴、早く撃たないとカカロットのやつが死んじまうぞ!?)

 

(うるせぇ!!俺だって早く撃ちたいよ…!!)

 

 腸が煮えくり返る気分だ…!!もう発射準備はできてるんだ、あとはチャンスを待つだけなんだ…!!

 

 

「くくくく…腕は折れ、足も同様…。これで貴様はもう動けまい。貴様を殺し、残りの地球人どもを皆殺しにしてくれる!!」

 

 

「あの世で楽しみに待ってるんだな…!!」

 

 

「が、はぁ…ッ」

 

 

!!飛び上がった!!悟空を巻きこむ心配はない!!

 

 

「死ねぇ!!カカロットッ!!ギャリック砲ッ!!」

 

「ハァァァァァァァァァッ!!カパッ!!」

 

 

(ラディッツ!!)

 

(おう!!)

 

 

 全力の半分ぐらいしか無理だけど、十分だ!!

 くずれた岩陰を吹き飛ばしながらやつらに手を向け、一気にぶっ飛ばす!!

 

 

5倍界王拳!!かめはめ波ァァァァッッ!!!

 

 

サタデークラッシュッッ!!!

 

 

「ッ!?ぐあああぁぁぁぁッ!!?」

 

 

「があぁぁぁぁぁッ!?」

 

 

 

 二人が放とうとした光線ごと俺とラディッツの気功波が飲み込み、空で大爆発を起こす。そして遠くの方で落下する音が連続で聞こえ、起き上がる様子も感じられない。ついに、サイヤ人の襲撃を乗り切った。

 

 

ハァーーー……。5倍はやっぱきつい……。動ける気がしない…。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。