ドラゴンボール ~もう一人の兄~   作:龍玉

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感想にて知ったんですが、昨日は8/31、野菜の日に悟空が覚醒した話を投稿してたんですね…。
まじで気が付きませんでした。「最近ゲームにはまって手がつかねぇな~。できそうなときに投稿すっか!」というスタンスでやってたので、偶然重なりました…。

いつも誤字報告、感想、お気に入り、評価ありがとうございます。これからも楽しみにお待ちください。


覚醒、伝説の超サイヤ人

 

 

 飛ぶ、飛ぶ、限界まで。他の面々と比べて戦闘をそこまでしていないためにラディッツの体力は安全圏内にある。だというのに、胸の内が冷え切ったかのような悪寒が途絶えることが無い。

 

これがただの杞憂であってほしい。そう思いさらに加速させる。

 

目に入ったのは、海面に浮かぶ禿頭と重力を無視しているとしか思えない髪だった。

 

「ナッパ!?それにベジータ!!」

 

「……げほっ」

 

「な、なんて怪我だ…ナッパがここまでやられたということは、フリーザか…!」

 

 

すぐさま回収し、近くの陸地に置いて安全を確保する。

 

 瞬間、爆発したと勘違いするほどに巨大な気が現れた。すわフリーザかと思うも、それに比べて覚えがある。

 

 

「…ッカカロット…?いやしかし…」

 

 自身の弟の気配。だが違うような気もする。胸騒ぎが強くなった。急がねばという思考がラディッツを支配する。

 

 

「カカロットーッ!!ッ!?お前、その姿…!?」

 

「…ラディッツ」

 

「お、おじさん…!」

 

 

 飛び上がり、向かった先にはやはり弟のカカロット、いや悟空がいた。だが気配があまりにも違うし、その髪は金色に光っている。

 

 傍には悟飯もいたが、クリリンは遠くで気絶しピッコロは気配があまりにも薄い。

そしてそこに、海の姿はなかった。

 

 

「カカロット、兄貴は…カイは…!?」

 

「………ッ」

 

 顔を背け、凄まじい怒気とともに悟空の変化に困惑しているフリーザを睨んだ。それは、何が起こったかの答え合わせには十分すぎて。

 ラディッツに海が死んだことを確信させるものだった。

 

「まさか、そんなはずが…!」

 

「――ラディッツ。悟飯とクリリン、ピッコロを連れて、今すぐ逃げてくれ」

 

「お、お父さん…!?」

 

「オレの理性がちょっとでも残っているうちに、早く消えてくれ!!」

 

「ッ!!行くぞ、悟飯!!」

 

「おじさん…!」

 

 ピッコロを背負い、クリリンと悟飯を片手で抱える。ベジータとナッパも回収せねばならないが、ピッコロの上に乗せればまだいけるだろう。

 

 

「カカロット…絶対に、死ぬんじゃないぞ…!」

 

「わかってる、だが早くしてくれ。ピッコロが死ねば地球のドラゴンボールが消えて、取り返しのつかないことになる。オレも何とかして地球に戻る…!」

 

「でもお父さん、どうやって…!」

 

「ゴチャゴチャ言うな!!オレを困らせたいか!!」

 

 

 その言葉からは、自分たちを心配する感情と理性が飛びかけていると思える怒りが感じられた。

 

 もう何も言わなくなり、悟空を見守るようになった悟飯を再度抱え治して浮き上がる。

おそらくだが、ここに戻ることはもうないだろう。

 

「っありがとうお父さん…ありがとう…」

 

「カカロット、いや悟空…お前に任せてすまない。だが、親父とお袋、兄貴の仇を取ってくれ…!そして絶対に生きて帰ってこい!!」

 

 体を反転させ、一気に加速する。向かうはナッパたちを置いていた場所だ。

 しかしそれを狙うように、フリーザの指先が光る。

 

「はーっはっはっはっ!!このまま逃がすわけがなかろう!!」

 

「―――いい加減にしろ、このクズ野郎…!!」

 

「うっ…!?」

 

 動きが見えなかった。いつの間にか、悟空がフリーザの腕をつかんでその指先を逸らしていた。

 先ほどまでのパワーと思えないその力は、フリーザに恐怖という感情を無自覚に芽生えさせた。

 

「罪もない者を次から次へと殺しやがって…か、カイまで……!!」

 

「ッ!!な、なぜ貴様にそこまでの力が…!ま、まさか、貴様…!?」

 

 

「おじさん…」

 

「…なんだ」

 

「ベジータが言ってたことは、本当だったんだね…」

 

「…あぁ」

 

 

「お父さんは、なれたんだ…!超サイヤ人に!!」

 

 

 

「オレは怒ったぞッ!!フリイイィィザアアァァァァッッ!!!」

 

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

 

「悟飯、お前に俺の気を分ける!これでピッコロとクリリンを背負うんだ。俺はナッパとベジータを運ぶ!」

 

「わかりました!あ、でもブルマさんはどうしましょう…!?」

 

「ブルマ…お前たちと来ていた地球人か。ならピッコロとクリリンを置いてからでいいだろう。こいつらの方が重傷だ、少しでも安全な場所に置かねばいかん。その後にブルマとやらを連れてくればいい!」

 

「は、はい!」

 

 後方で余波だけで死んでしまいそうな戦闘が始まったころ、ラディッツと悟飯は気絶した面々を背負って宇宙船に帰還した。出迎えたネイルとデンデがすぐさま処置に入ろうとした瞬間、目が眩んでしまうような光が目の前を駆け抜けた。

 

それは、先ほどまでいた場所から放たれた。

 

「っ悟空…!!」

 

「お、お父さん…!」

 

「悟飯、さっさとブルマとやらの場所に行くぞ!そいつはどこに!?」

 

「えっと、あっち側だったと思います!」

 

「お二人とも、どうか気を付けて!」

 

「なにか嫌な予感がする、私もついていこう!」

 

 

 嫌な予感が途切れないまま、処置をデンデに任せてすぐさま悟飯の指さした方向へかっ飛んでいく。そこには、いきなり揺れ始めた星に驚愕の隠せない水色の髪をした女性がいた。

 

 

「ぎえええぇぇぇ!?何よこれぇ!?て、ああああ!悟飯君!あと海君の弟のサイヤ人!それにピッコロに似たナメック星人!?」

 

「ラディッツだ!覚えておけ!」

 

「行きますよブルマさん!ここに居たらまずいです!」

 

「ちょ、ちょっと!孫君たちはまだなの!?フリーザは!?ドラゴンボールは!?」

 

「ドラゴンボールは最長老様がピッコロと同化したことで石となった!おそらくピッコロから最長老の座が継承されなければ、使うことはできん!」

 

「悟空はフリーザと戦っている!兄貴は、ッ死んだ…!もう生き返らないっ!!」

 

「はっ……!?」

 

「とにかく宇宙船に急ぎます!多分、急がないとまずいことに…!」

 

 理解できないといった顔でブルマが呆けるのを努めて無視し、悟飯がブルマを抱えたのでラディッツとネイルは一足先に宇宙船に向かい、飛び立つ準備をする。

 

三人は直感的に理解したのだ。この星は、もうすぐ滅びるのだと。

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

 界王星にて。界王はナメック星が吹っ飛んだと思えば神が生きていたのでピッコロがまだ生きていると考え、ナメック星を見ると吹っ飛んでおらず、ドラゴンボールがまだ使えるなどと一喜一憂していた。

 

そして現在、ある相談事を神と話していた。それは、どうやって皆を生き返らせるかだ。

 

「つまり、生き返らせたものはその場で蘇るということか…」

 

『はい。なので海が言い残した通りに願いを叶えると、蘇ったナメック星人たちがナメック星に取り残される可能性が…』

 

「うぅむ…」

 

 そう、生き返らせること自体はできるのだ。しかしこのまま願ってしまうと、あと数分で滅んでしまうナメック星にナメック星人たちが取り残されてしまう。

 

 ナメック星のドラゴンボールは念のためネイルたちに回収してもらったためすぐに使うことができるはずだった。だが、今は石の状態で機能が停止している。

 

 もしもこちらが機能しているのならば、地球産で蘇らせた後にナメック星産で転移させるということができた。しかしナメック星産が機能していないため、願いを変えなければいけない。

 

 まず転移を、となったら一年後までドラゴンボールが使えず、ナメック星で死んだ者たちが蘇らない。蘇りを、となったら今度はナメック星に取り残されて二度目の死を迎えるだろう。

 

界王が悩み続けている間、様子を見ていた天津飯があることを思いつく。

 

「界王様、二つを同時に叶えることはできませんか?」

 

「天さん?」

 

「ど、どうなんだ?それは…」

 

「…いや、ありかもしれん!少しいいか神よ!」

 

『何でしょうか』

 

「【フリーザ一味とベジータに殺された者たちを蘇らせてくれ】ではなく、【フリーザ一味とベジータに殺された者たちを蘇らせたうえで、ナメック星にいるものたちを地球に転移させてくれ】というのは叶うだろうか!?」

 

『そ、それはどうでしょうか…。二つの願いを混合させて一つにするというのは、なにぶん初めてですから…』

 

「構わん!急いで叶えてくれ!ナメック星が滅ぶ寸前なのだ!」

 

『そ、そうだったのですか!?わかりました。少々お待ちを…』

 

「考えましたね、界王様」

 

「あぁ、一種の賭けだがな…」

 

 なんとか知恵を振り絞って願いの文章を考えた界王が一息つく。そしてナメック星の様子を見ようとした、その時。

 

 

 

『変えてくれ!その願い!』

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

(オレとフリーザを除いた者たちに変えてほしい…!)

 

『ご、悟空、聞いておったのか…だがなぜおまえさんも含んどるんだ?フリーザだけ残しておくのはわかるが…』

 

(兄ちゃんの、カイの仇を取りたい!)

 

 

 それは、ナメック星にてフリーザと死闘を繰り広げていた悟空からの念話だった。目の前では100%へとパワーを上げていくフリーザがいる。

 その気は、超サイヤ人となった悟空に匹敵すると思えるほど高まっていく。

 

『な、なにを言っとるんじゃ!そもそもなぜフリーザにとどめを刺さん!?それに海ならドラゴンボールで――』

 

 

「カイはドラゴンボールで蘇れない!カイの欠けた魂じゃ、あの世に行くことができずにこの世との境で消える…!魂が無いんじゃ、ただの死体が蘇るだけだ!!」

 

念話で話していた言葉が口から漏れ出し、さらなる怒りが体中に充満する。それは体を飛び出し、金色のオーラとなって星を震わした。

 

『な、なんじゃと…』

 

「ッカイは、オレの大切な兄ちゃんだ…!兄ちゃんのことが大好きだった…!ずっとオレと強くなって、飯を食って、一緒に笑っていたかった…!!そ、そんなカイを炭すら残さず!!この世から消したフリーザは、そのプライドごと木っ端みじんにしなければ気が済まないッッ!!!」

 

『っ…。そうか…。わかった、願いを変えておこう…』

 

 

「貴様、さっきから何を言ってるんだ…。虚空に話しかけ始めて、気でも狂ったのか?くっくっく…」

 

「…狂ってないさ。ナメック星のドラゴンボールが使えないから、地球のドラゴンボールで何とかしようとしていたから、そこに少しお願いをしたのさ…」

 

「な、なんだと…!それにこの星のドラゴンボールが、使えない…!?」

 

「そうだ…!貴様がピッコロと戦っていた時、すでにナメック星のは石になっていた!お前がこの星でしようとしていたことは、その時点でご破算となっていたのさ…!」

 

「そ、そんな…!ち、ちくしょおおぉぉぉぉ…!ちくしょおおおおぉぉぉぉっ!!」

 

 凄まじい悔しさが滲んだ顔とともに、その体から溢れるパワーが頂点に達する。この場にいるだけで凄まじい圧が襲ってきていた。

 

「ッ!!それが、貴様のフルパワーか…」

 

「そうだッ!これで、貴様を消し炭にしてくれるわ!あのサイヤ人のように!!」

 

「…あのサイヤ人のように?…カイのことか…」

 

 脳裏に浮かぶは、記憶を失ってからも自分を優しく見守ってくれていた大好きな兄の姿。いつの間にか兄より強くなっても、どこまでも自分と同じレベルで強くなるからいつ追い越し返されるかわからなくてドキドキしたし、ワクワクした。

 

 そしてその兄は、紫の極光に飲まれて消えた。自身を案ずる言葉と、かすかに微笑みかける姿で。

 

 

 

―――カカロット。元気に、生き延びてくれよ。お前の兄ちゃんの、願いだ

 

 

 

「ッッッカイのことかアアアアァァァァッッ!!!」

 

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

 

――さぁ願いを言え。どんな願いも一つだけ叶えてやろう

 

「えーと。フリーザ一味と ベジータに殺された者たちを 蘇らせたうえで 悟空とフリーザを除いて ナメック星にいるものたちを 地球に転移させてほしい。これ 遠くの星だけど 願い 叶うか?」

 

――わからないが、少し待ってほしい。やってみるが少々複雑なのでな…

 

「わからないじゃ こまるが やってもらうしかない。たのむ 頑張れ」

 

 

神龍が現れ、願いを聞き届ける。希望を叶えんと、その体をくねらせるのだった。

 

 

 

それは、すぐに現実となった。

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

「っな、なんだ…!?ここは、どこだ!?」

 

「ナメック星じゃない…私たちはどうやってここに…!?」

 

 

「え?え?どうなっちゃ…た…?」

 

「どこなのよ、ここ…」

 

 

「…ここは、地球、か?」

 

「おいベジータ!変なことになっちまってるぞ…!」

 

「見ればわかる…」

 

 

 

「……兄貴…」

 

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

 

――成功した

 

「よかった…」

 

――だが孫海には蘇りを拒否された

 

「え なぜ?」

 

――自分は蘇れない。ならば、弟を見守ってからあの世に向かうとのことだ

 

「だ、だけど神様 言ってた。海 あの世に行けない。魂が 消える…」

 

 

――孫海はすでにあの世に向かえるはずだが…

 

 

 

 

「…え?」

 

 

 

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