攻撃と攻撃がぶつかり合い、あたりの木々を揺らしながら空を駆けていく。
海はサウザーの気で作り出した剣を腕で受け止め、プロテクターの無い部分を重点的に攻めていく。ラディッツはネイズとスピード対決に挑み、あたりを飛び交う電撃を回避しながらネイズに突撃しては回避するを繰り返す。ナッパはドーレとの力勝負をはじめ、頭突きを放つことでダメージを与えていく。
「っ貴様ら、本当にサイヤ人か!?あの野蛮な猿どもとは思えないパワーとスピードだ…!!」
「他の二人は知らんが、俺はちょっと異常かもな!」
「テメェ、電撃を避けながら俺についてくるなんてっ!?」
「兄貴たちに追いつくには、何かを特化させるのが大事なんでな!」
「こ、の…!単細胞の、サイヤ人が…!」
「ぎひひひひ…。その単細胞に力負けしてるのはどこのどいつだ?」
三人のサイヤ人に対して痛手を喰らい続ける機甲戦隊。しかしクウラ機甲戦隊の戦闘力が低いわけではない。個々人の戦闘力は、ピッコロを相手にしても持ちこたえるほどに強力だ。親衛隊を名乗るほどの実力はある。
しかし相手は、ナメック星にてフリーザとの戦闘を紙一重だとしても乗り越えたサイヤ人達。時期が悪いとしか言えなかった。
すると、機甲戦隊全員が川辺に落とされ、態勢を整えたときだった。何かに驚いた様子で機甲戦隊が集まり、共に降りてきた三人の後ろを見ている。
それに伴い、三人は何かに気づく。ナメック星の時のような恐ろしい気配が現れ、それが川の中心からこちらを見ている。
「く、クウラ様…!」
「「「!?」」」
後ろを振り向けば、そこにいた。
本来の姿となったフリーザのような体。しかしその皮膚は紫を基調とし、何より背が高い。あのチビのフリーザとは大違いの背丈だった。
それよりも三人に共通する予感。それはたった一つのこと。
―――フリーザ以上の、底知れない強さ…!
「…ッ」
「くっ…」
「テメェが、クウラ…!」
「……」
睨み合い、膠着する。しかし緊迫したそこに投げ込まれた声があった。悟飯だ。
「おじさーん!」
「!?っ悟飯、来るなー!」
「…サイヤ人は皆殺しだ」
クウラが悟飯に目を向けた瞬間、その双眼から一切の予備動作なしで光線が放たれる。
咄嗟に気づく海の脳裏によぎるのは、自身が自爆を行おうとして胸を貫かれた光線。もしもあれが悟飯に命中したら―――?
逡巡は一瞬すらなく、その体は飛び込んでいた。
「っう!?」
「おじさん…!?」
「兄貴!?」
「まずいぞ!あの野郎モロに受けちまった!」
紫の道着が焼けこげ、その衝撃で体を回転させる。痛む体に鞭を撃ちながらエネルギーを溜めてクウラめがけて気功波を放ち、川に着水する。
「ラディッツ!目くらましだ!!」
「くそったれー!!」
それを見た瞬間に動き出すのは二人のサイヤ人。ナッパがその体から目が痛くなるような光を放ち、その場にいる全員が顔を背けた瞬間にラディッツがその場で気弾を爆破させて土煙を起こす。
機甲戦隊がいち早く視界が戻りあたりを見回しても、サイヤ人の姿は影も形もなかった。
「くそっ逃げられた!」
「だがクウラ様の破壊光線を受けたんだ。あの川に落ちたサイヤ人は死んだだろう」
「となると、あと二人のサイヤ人を殺しちまえば終わりか!」
「愚か者め。俺の破壊光線を受け、あの態勢からあれだけの気功波を放ったんだ。やつは生きている…」
「で、では…」
「逃げた猿どもだけでなく、川に落ちた猿も探し出せ!!」
「「「はっ!」」」
機甲戦隊が三人を探している一方で、海は悟飯によって川から運び出されており、洞窟内で安静にしていた。
「おじさん…」
「ぐっ…す、すまないな悟飯…」
「僕も、危なかったことに気付かなくてごめんなさい…」
仕方のないことだと海が慰めていると、入り口から聞き覚えのある声が二つ聞こえてきた。そちらを見れば、逃亡に成功した様子のラディッツとナッパがそこにいた。
「兄貴、大丈夫か!」
「…こりゃひでぇな、カイの背中が丸焦げじゃねぇか。なんつー威力してんだ…」
サイヤ人の血を引くものが集合してさてどうしようかと頭を悩ませていた時、外から轟音が鳴り響いた。海以外の三人で外を見に行けば、そこは火の海とかしていた。
上空を見れば、先ほどまで戦っていた機甲戦隊が気弾を放ち続けて森を破壊していた。その爆撃は地面を揺らし、森の動物たちが逃げる姿も目に映る。
「さぁ出てこいサイヤ人ども!」
「出てこなければ、この森ごと吹っ飛ばすぞ!」
「あいつら…!」
「待てナッパ!このまま出れば、クウラと鉢合わせる…!今は耐えろ…!」
「だけどよ!――っ!?伏せろ!」
ナッパがラディッツと悟飯を抱え、海のもとに飛び込む。その姿は崩れた岩山に巻き込まれ、見えなくなった。
夜になり、隠れていたクリリンたちによって掘り出された海の姿はボロボロだが、なんとか命を保てていた。
しかし放っておけば死んでしまいそうな重体。その為悟飯とハイヤードラゴンによってカリンからの仙豆を取りに行くこととなった。
◆◇◆◇◆
クリリンとラディッツ、ナッパが交代を繰り返しながら見張りを行っているその後ろで、俺は横になっていた。
崩れてしまった洞穴の中で、クリリンたちに助けられた動物たちが俺の周りに集まっている。クマや鹿、ウサギに鳥たちの体温を感じて、その温かさに直に触れている。…少しだけ気が楽になったような気がする。
「っ海!?しっかりしろ!」
「…あぁ。大丈夫だクリリン。まだ死んじゃいないさ…」
「よ、よかった…」
まずいな、傍から見たら死んでそうなぐらいに俺弱ってんのか。くそ…仙豆ドリンクとかを入れてるカプセルは家におきっぱだからな…。まずったや…。
「クリリン、ラディッツ、ナッパ。すまないが、少しだけ眠るよ…体力の削れ具合がちょっとやばそうだ…」
「わかった。だけど海、絶対に死ぬんじゃないぞ!」
「おいナッパ、気をちゃんと抑えてろよ。この坊主ほどあんたは気の操作が上手かないんだから」
「馬鹿にしてんのかテメェ…」
「おいおい二人とも、喧嘩すんなよ…」
いつも通りだな二人とも…。はは、これなら安心して眠りにつけるかな。
―――周りの動物たちが俺を心配したような、縋るような目で見ている。大きな動物も、小さな動物も分け隔てなく。
…悟飯、早く来てくれ…。
◆◇◆◇◆
「――、――い!――ずだ、食べてくれ!」
口に何かが入れられる感覚とともに、目が覚めた。
背中から広がる痛みが綺麗さっぱりなくなり、体力が満タンになった!よっしゃあ、治った!
「ふー。死ぬかと思った!」
「海!よかった、間に合ったんだな!」
「おじさーん!」
悟飯が抱き着いてくるので抱きしめ返す。そしてあたりを見回すと、二人いない。
「クリリン、二人はどこに?」
「悟飯があいつらに見つかっちまって、それに気づいた二人が助けに向かったんだ。多分、今も戦ってる。…くそ!俺ももっと強かったら…!」
「クリリン…」
「クリリンさん…」
…そうか、クリリンも悔しかったんだな。
「こんなところにいたのか…!」
「「っ!?」」
「ッ!!うおおおおぉぉぉぉ!!」
「クリリン!?」
おそらくスカウターか何かでここを見つけたであろうサウザー。それに気づいたクリリンがサウザーに突撃し、二人とも外へ飛び出した。
急いで飛び出すと、最初に目に入ったのはクリリンが岩山に叩きつけられる瞬間だった。
「が、はぁ…!か、海…」
「クリリン!」
「クリリンさーん!っクッソー!!」
「待て悟飯!ッ!?」
悟飯を止めようとした瞬間、俺のすぐ横に誰かが地面と衝突した。よく見れば、どちらも尻尾が生えている。
「げほっ、げほっ‥!くそ、やっぱりフリーザの兄貴も化け物か…!」
「いってぇな…」
「ナッパ、ラディッツ…!」
「うあああぁぁぁ!?」
「ッ悟飯…!」
気配を感じて上を見ると、そこにはピッコロを抱えたクウラがいた。
「ピッコロ…!」
「こいつもお前の仲間か…」
「ふ、ははは!馬鹿な奴らだ。そこのガキを庇いたてしなかったら、少しはまともに死ねただろうに…!」
「受け取れ!」
「ッピッコロー!」
クウラがピッコロを離し、受け止めようとした瞬間だった。気弾が放たれる音がしたかと思うと、目の前でピッコロが爆発した。
空を飛び、地面に落ちるその姿からは、生きているか死んでいるかがわからない。
呆然としている俺の頬に誰かの拳が当たった。だけど今は、そんなことどうでもいい…。
「――テメェ、ピッコロまで、手にかけやがって…!」
「はっ!戦いのために生まれたサイヤ人に、仲間を思う情があるのか?」
「俺は、地球育ちのサイヤ人だッッ!!」
気を全開まで解放してすぐそばにいたサウザーを吹っ飛ばし、クウラを睨みつける。クウラは不敵な笑みをこちらに向けていた。
「そうか、貴様はあの時のボールにいた孫悟空の兄か…。いいだろう、超サイヤ人とやらの兄の力、見せてみろ!」
「お前だけは!絶対に許さねぇぞ!!」
ネイズはラディッツのサタデークラッシュ、ドーレはナッパの超魔口砲で吹っ飛びました。