ドラゴンボール ~もう一人の兄~   作:龍玉

55 / 104
兄対兄

 

 俺とクウラの圧によって浮き上がった岩を隠れ蓑にして接近する。その途中でデコイ代わりの気弾をあたりに散らばせることで攪乱もしておく。あいつがフリーザみたく気が読めないかどうかはわからんからな、手は打っておいて損はない!

 

「なに?やつはどこへ…」

 

「こっちだァ!!」

 

「グオォっ!?」

 

 俺とクウラの距離が縮まった瞬間に岩を飛び出し、その顔面目掛けてストレートを叩き込む。帰ってきた感触はとても固いの一言。やっぱり界王拳は10倍以上じゃないと痛手は与えらんないな…!

 

 

「10倍っ!界王拳だあああぁぁッッ!!」

 

「ぐっ、貴様ァ…!」

 

 突進することで一気に海面に叩きつけ、そのまま岩山に放り投げる。崩れ落ちた岩山から夥しい数の光線が撃たれ、すべてギリギリでしか回避できなかった。腕とか足が少しチリチリするな。

 もう一度追撃しようとした瞬間、クウラが急に明後日の方向に振り向き、その場から飛び上がったと思うとクウラがさっきまでいた場所で大爆発が起きた。

さらに空中にいるクウラめがけて一対の気功波が放たれ、そのまま滝つぼまでクウラを押し込んで爆発を起こした。

 どちらも見覚えがあるものだ。

 

 

「俺を忘れんじゃねぇぞ、クウラぁ!!」

 

「俺のウィークエンドを喰らったんだ。ダメージは与えれてるだろう…!」

 

「ナッパ!ラディッツ!」

 

 先ほどまでの怪我が消え、二人ともより重厚な気配とともに俺のそばまで飛んできた。

そうか、悟飯が持ってきてくれてた仙豆を食ったのか!

 そう俺が納得した時、滝つぼから笑い声が聞こえてきた。まるで疲労を感じないその声は、どこまでも自分の力に対する自信が裏付けされているように思える。まさかあいつ、まったくダメージがないのか…!今のラディッツの全力を喰らって、効いてないってことかよ…。

 

 

「ふっふっふ…。さすがにやるな、貴様ら。血を出したのは久しぶりだな…。我が弟フリーザから生き延びただけはある」

 

「っあの野郎、ピンピンしてやがる…!」

 

「俺達も瀕死の状態から復活してパワーアップしてるんだぞ!?なんなんだあいつ…!」

 

「帝王の血は、伊達じゃないってことだな」

 

「――だが、ここからが本当の地獄だ。その地獄をみて、お前たちがどんなに泣き叫ぼうと俺は容赦しない…。お前たちを八つ裂きにするまではな」

 

「なんだと…」

 

するとクウラがその人差し指を立てて、俺たちに宣言する。

 

「…あと一回」

 

「…あと一回、なんだ?」

 

「あと一回、俺は()()()()()()()()()()()んだ」

 

「「「なっ…!?」」」

 

 

 

「光栄に思うがいい。俺の究極の変身を見るのは、お前たちが最初で最後だああああッッ!!!」

 

 

 クウラから放たれる凄まじい気によって、あたりの風がすべてめちゃくちゃになっては消え、そしてまた吹き荒れる。俺も、ラディッツも、ナッパもその吹き荒れる気に耐えるほかない。

 

クウラの姿が変わっていく。白い甲殻らしき部分が盛り上がり、防具のような形をとる。

 

 腕と頭の甲殻らしき部分からは突起物が生成され、武器にすらなりそうなほどその形状は暴力的だ。

 

 顔のシャッターのような部分がカシャンと機械的な音を立てて閉まる寸前に、クウラが口を開いた。

 

 

 

「さぁ、始めようか!!」

 

 

 

 背筋に氷を投げつけられたような悪寒と痛み。意識は完全に距離を取ることを最優先事項に置いていた。

 

 

「っやばい!逃げろっ!!」

 

「くう!?」

 

「くそったれ!!」

 

「逃げられると思うなよ…!」

 

 瞬時にとびかかってきたクウラの逆方向の空中に移動してクウラを探すが、その姿が見えなくなっていた。

 どこに行ったのか知るために気で探った瞬間、直感に従って回避をした俺の真横にいたラディッツとナッパの姿が掻き消えた。唯一聞こえたのは、何かが飛んでくるような音と二人の呻くような声。

 

 岩山に叩きつけられた音と海面へ何かが衝突し、その波間がめくれ上がった様子が確認できたのはほぼ同時だった。

 

 

「…ッみ、見えなかった…!界王拳は、10倍にした状態なのに…!」

 

 俺の今の素の戦闘力を数値化するなら、多分だけど900万は超えているだろう。あいつに対抗しようと、少しでもこの体は瀕死の状態から回復する間にパワーアップしようとしたはずだ。希望的観測かもしれないが、それぐらい強くなったはず。

 つまり10倍を使った状態なら、もしかしたらフリーザにも勝てるかもしれないってぐらいに強くなってるはずなんだ。その状態でも、あいつの動きが見えなかった。何かが飛来する予感と音に気付いた瞬間に働いた直感に従わなかったら、あのまま岩山に叩きつけられるか海に殴り落とされていた…!

 

こうなったら、一気に加速して一撃をくれてやる!

 

「か、界王拳ッッ!!20倍だあああぁぁぁッッ!!!」

 

「…ほう?さすがはサイヤ人だな、楽しませてもらえるぜ…」

 

 

 勢いをつけながらクウラの死角を作り出そうと、周りを高速移動しながら徐々にクウラに接近する。

 絶対にぶっとばす、そう思った瞬間にクウラが俺のいた方向を向いたかと思うと、裏拳で俺を攻撃してきた。

 あまりの一撃に意識が途絶えかけ、すぐさま持ち直して界王拳を使って逆から殴り掛かるもすかす。そしてまったく同じ姿勢のクウラが直滑降で俺を踏みつけた。この一撃もかなり効く…!

 

「くそっ…!距離を―――うっ!?」

 

「なんだ、やはり貴様は超サイヤ人にはなれないのか。まさか、それが本気か?」

 

「…はっ、はっ!!」

 

嘘だろ、さっきまであそこにいただろ…!なんで俺の後ろにいやがる!!

 

「っどっか行きやがれ!」

 

「遅い!」

 

「うおあああああっ!?」

 

 体を反転させて回転蹴りを放つもまたかすりもせず、どこから攻撃されたのかも理解できず地面を転がる。さっきまでいた場所からあまりにも遠い。どんなスピードでぶっ飛ばされたんだ…。

 

「さぁ、とどめを刺すか…ん?」

 

「はぁっ!はぁっ!俺はまだ死んでねぇぞ、クウラ!!」

 

「貴様は、ナッパか。タフな奴だ…」

 

「俺も、いるぞ…!」

 

「ラディッツもか。サイヤ人はしぶといな」

 

 ふ、二人とも…。今のままじゃ、絶対に勝てない!なのにわざわざあいつの真ん前に行くなんて何を考えてんだ…!?

 

 だが待て、あの二人が無策で行くわけがない。ならなにか策があるはず。それこそ、フリーザ相手に時間稼ぎをした時みたいに…。…まさか、元気玉か?フリーザの時もあいつに致命傷を与えられる可能性があった技は、それしかなかった…!そうか、二人は時間稼ぎのためにあいつの前へ!

 ならすぐに確認しないと…!

 

『二人とも!すまない、俺に少しだけ時間をくれ!』

 

『当たり前だ!ラディッツから聞いたが、今はテメェしかあれを作れないんだろ!?早く作りやがれ!』

 

『死んでも時間を稼いでやる…!さっさと作れよ兄貴!』

 

『…ッ!任せろ!!』

 

よし!読み通りだ!なら作るしかない、元気玉を!!

 

 だけどナメック星以上のものを作らないといけない。じゃないとあいつを倒すなんて無理に決まってる。しかもフリーザ以上の認識範囲があるだろうクウラに当てるには、あの大きさじゃすぐバレる。となるとあの時よりも小さくしないといけないから、あの時以上の元気玉のエネルギーを圧縮しつつ集める必要がある!…難しすぎんだろ!?あれボールサイズでもかなり操作がむずいんだぞ!?

 だけどやるしかないか…!

 

「――――大地よ、海よ、地球の周りに浮かぶ星々よ、そして生きているすべてのみんな…。俺に、ほんのちょっとずつだけ、元気を分けてくれ…!俺のためじゃなく、みんなのために!」

 

両手を空へ掲げると、あたり一帯の雰囲気が変わる。

 

 大地が震える。海が沸き立つ。空に浮かぶ月や火星、水星などが淡く光りだす。

 目に見えず、気を探ろうとしても淡くぼんやりとして捉えずらい何かが、俺を優しく包んでいる。

 

 

「――なんだ?地球の様子が変わった…?」

 

「フライデーボンバー!!」

 

「アームブレイク!!」

 

「ちぃっ!!鬱陶しいぞ貴様らァ!!」

 

「ぐうぅ!?」

 

「があ、あ…!」

 

 

 俺の頭上に現れ、膨張しようとする元気の塊を優しく手のひらで包み、胸の前へ持っていく。そして溢れ出さないよう、細心の注意を払いながら右手に移動させていく。光は収まり、集めたすべての元気がそこにある。

 

……できた。ナメック星のとき以上の威力を圧縮した元気玉が…!あとはあいつに、ぶつけるだけ…!

 

――海よ、悪の気を読み取るんじゃ…

 

 思い出すのは界王様の言葉。大事なのは、あいつの悪の気を読むこと。悪の気悪の気悪の気…!

 

 

「―――読めたあッ!喰らえ、元気玉だーッ!!」

 

 

「っなに!?ぐ、ううううぅぅぅぉぉぉおおおおおッ!!!」

 

 放り投げた元気玉は尾を引きながらクウラに飛んでいき、気付いたクウラが咄嗟に元気玉を掴みとった。

 

 

「はあああぁぁぁぁッッ!!!」

 

「オオオォォォォォッッ!!!」

 

 絶対に命中させようと気合を入れてんのに、まったく届かない…!くそったれ!フリーザでも死にかけた元気玉をなんで押し返せそうなんだよバケモンがァ!!!

 

 

「ッッハアァッ!!」

 

「――ぁっ…!げ、元気玉が…押しのけられ…!?」

 

「貴様アアアァァァッ!!」

 

「げふッ…!?」

 

 

顔にクウラの蹴りが入り、後ろにあった岩山にめり込む。身動きが取れない。

 

「なにやら時間稼ぎをしていると思っていたが、まさか秘策を持っていたとはな…!油断していたぞ。だが次はない!!貴様は絶対に嬲り殺しにしてやらねばならん…!」

 

「…う…あ…ごふっ!?」

 

もう一度蹴りが叩き込まれ、意識が朦朧とする。目の前が真っ暗だ。

 

「フリーザもあのエネルギー弾で死んだのだろう。やはり超サイヤ人は伝説の存在だったか」

 

「……ぁ」

 

「貴様をこの星とともに宇宙のチリにしてくれる!そして理解したぞ…。この世に俺に敵う人間はいない。俺が、宇宙最強だ!!」

 

 

 ただ手を動かしただけでめくれ上がった地面の揺れで、岩山から落ちて地面に俯せに寝転がる。

 

 

 

動けない。なにもできない。

 

 

 

 そう思っていた時、ふと俺の横に鳥が落ちたのが分かった。その体は先ほどの衝撃で傷ついたのか、空へ飛ぼうと藻掻いても浮き上がることがなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

不意によぎるのは、倒れたみんなの姿。

 

「…ックリリン…悟飯…ピッコロ…ナッパ…ラディッツ…!!」

 

 鳥が、動かなくなる。治療をしないともう死んでしまうだろうその命は、みんなの未来を暗示しているようだった。両手で包み、少しでも延命しようと気を分け与えようと振り絞っても、もうひねり出す気力がだせず、少しずつ死んでいくのがわかる。

少 しずつ、手の中の温かさが消えていく。じっ様が死んだときのように。

 

 

 

「ふ、ぐう…ッ!くそっ…!ごめん、みんな…。俺が、弱かったせいで…!」

 

 

 

 

 もっと俺が強ければ、みんなが傷つくことはなかった。もっと俺が強ければ、動物たちが森を壊されてしまうこともなかった。

 

 

 

もっと俺が強ければ、あいつに負けることもなかった。

 

 

 

 

「――くそったれ!!ちくしょう、ちくしょう…ッ!!」

 

 

 

涙が流れ、地面を濡らす。

 

 

 

 

 

――そして、その胸の内から、俺自身を焼き焦がすような怒りが芽生えた。

 

 

 

「くっ…!」

 

 

 

 

 どこから湧いてくるのかわからない力で、立ち上がる。目の前が真っ赤に染まり、周りがわからなくなった。だけどもう、どうでもよかった。

 

 

 だって聞こえてきたから。やつの笑い声が。

 みんなを傷つけて、どうとも思ってない存在が、いたから。

 

 

 

 

 

 

 

 

―――プツンッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッッァァァアアアアアアアアアアッッ!!!!」

 

 

 

 

 

その声に、大猿の雄たけびが轟いたような気がした。

 

 

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 異変はすぐに起こった。先ほどまでクウラの溢れるパワーによって浮かび上がっていた多数の岩がその場に停止し、地面に落下していく。

 

その予兆ともいえる嫌な予感は、すでにクウラも気づいていた。

 

 

「な、なんだ?何が起こったというのだ!?」

 

 あたりを見回すと、先ほどまで己に立ち向かった末に倒れ伏したサイヤ人の姿が目に入った。

 だが、その身から感じる気配は先ほどのものとは思えない。さらに特徴的なのは、その髪だった。

 

 見る人が見れば、それは小麦畑のような黄金の光を放っているように見えたかもしれない。また別の人が見れば、クリーム色に近いような色をしていたように思えるかもしれない。

 

 よく見ると、右手に何かがいた。小さく、弱弱しい鳥だった。すでに衰弱し、死が間近だと推測できるそれは、少し光ったように思った瞬間元気に羽ばたく。

 

先ほどまでの衰弱っぷりが嘘のように空を駆け巡る。

 

 しかしクウラにとってそんなことはどうでもよかった。自身が倒したと思っていた男が立ち上がり、こちらを見ている。

 

その瞳には、翡翠色の眼光が宿っていた。

 

 

「ッあ、あの変わりようは…!!ッッ!!止めだあああぁぁぁッッ!!」

 

 

 その手を振りかぶり、星ごと壊さんとした腕が止まる。何かに掴まれ、動かすことができない。

 掴んでいた者の正体は、先ほどまで地上にいた孫海だった。ならば振り払うこともできるはず、そう思って力を込めてもびくともしない。さっきまで瀕死だったやつのパワーじゃない。

 

「な、なに…!?」

 

「いい加減にしろよ…。この星をめちゃくちゃにしやがって…。フリーザといいお前と言い、いったいいくつの星をめちゃくちゃにしたら気が済むんだ?」

 

「ッ馬鹿な…!!」

 

 その無防備ともいえる体に拳を叩き込んでも、海が呻くこともなければ仰け反ることもない。不動、その言葉の意味を生身で表していた。

 

 海の体から黄金の気があふれ出し、どんどんパワーが上がっていく。すでにクウラは狼狽えることしかできなかった。

 

 

「お前はもう謝っても許しはしないぞ、このクズ野郎ッッ!!!

 

「ガハアッ!!?」

 

 海から放たれた圧をまともに喰らい、怯んだ瞬間を狙いすました拳が頬を打つ。さらに追撃とばかりに鳩尾に膝蹴りが叩き込まれ、クウラの肩が震える。息が漏れ、ただ後退することしかできない。

 三人で襲い掛かってきた時以上のパワー、今の自分が追いつけるかわからないスピード、何より大猿にしか変身できないにも関わらず、少しだけ逆立った黄金の髪を携えてこちらを睨みつける姿。

 

そこから導きだされたのは、たった一つの答え。

 

 

「…ふ、ふっふっふ…なるほど。弟が貴様の弟に負けたわけだ。恐らくだが、貴様の弟もなったんだろう。伝説の超サイヤ人に…!」

 

「……そうだ」

 

「はっはっは!!まさか伝説の戦士が俺たちの前に現れるとは…だが!!」

 

 界王拳だけで受け止めれば、ナメック星の時のように炭すら残さず消し飛ぶ威力の気功波を弾き飛ばし、二度目の気功波を瞬時に地上へ移動することで回避する。

 

 そしてクウラに目を向けた海が目にしたのは、投げ込まれれば地球など跡形もなく消し飛びそうなほどに巨大な気弾だった。

 

 

「なっ…」

 

「ハーハッハッハ!!貴様の用心深さが仇となったな!俺は弟と違うといっただろう!!」

 

 

 驚きはしたものの海は焦らなかった。ただただ冷徹なまでにその気弾―――スーパーノヴァを見つめ、左手に槍のような気弾を作り出し、体をひねる。

 

 

「この星ごと、消えて無くなれええええぇぇぇッッ!!!」

 

 

「―――馬鹿野郎が、消えてたまるかってんだ。…約束したんでな」

 

 

 地球が滅ぶかどうかの瀬戸際だというのに笑いが漏れた海。その瞳は、スーパーノヴァの奥にいるクウラのみを見据えていた。

 熱く滾らせた闘志とともに、力強く踏み込むその衝撃で、地面が大きく砕けちる。

 その手から、元気玉以上のエネルギーと速さで槍が投げられた。

 

 

 

「貫け、タイラントランスッッ!!!!!」

 

 

放たれた一槍に、地球を破滅させんと太陽のごとき気弾が落ちる。

 

 衝突してもわかるほどに象と蟻以上の大きさに差のあるその二つは、あたり一帯に衝撃波を放ちながらぶつかり合う。

 絶対に負けんと歯を食いしばる二人。帝王の一族のプライドと、今も持てているか不安なほどに小さなサイヤ人のプライド。巨大な悪と、ただただ地球を守りたいという小さな善。

 どれをとっても対照的な対決は、終わりが見えないほどにぶつかり合う。

 

戦況を動かしたのは、空に浮かぶ帝王の兄だった。

 

 片手でスーパーノヴァに力を込め続け、もう片方の手に新たな気弾を作り出す。今も落ちようとするスーパーノヴァと同等のスーパーノヴァが作り出され、振りかぶって地面に降りていく。

 

 

「孫海!俺は貴様を我が宿敵と認め、貴様を絶対に殺すとここに決めた!!ゆえに!この二つ目の俺の全力が、死に行く貴様への手向けだあああッッ!!!」

 

 

「ちぃッ!!」

 

 今も押し合いを続ける一つ目のスーパーノヴァに二つ目が加わり、情勢が一気にクウラに傾き始める。今もその星と例えてもおかしくないエネルギーを貫かんとする槍を押し込み続け、あと少ししたら地上に接するほどとなった。

 

 

「ぐ、うう!!」

 

 

「ハッハッハ!!よくやったと言いたいところだが、この俺が、宇宙最強だ!この星が終われば、あとはどこかに生き延びている孫悟空を殺して、サイヤ人は滅亡する!!ハッハッハッハッハ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

―――かぁ…めぇ…!!!

 

 

 

 

「―――ッ!?この声は、まさか…!」

 

 

 

 

―――はぁ…めぇ…!!!!

 

 

 

 

 

「き、貴様まさか!俺のスーパーノヴァに負けていないとでもいうのか!?」

 

 

 

 

 スーパーノヴァと地面に挟まれながら、海は片手で落ちてこないように抑えていた。もう片方の手には、片手にしては十分なほどに込められた気。後ろにあった右足を前へと踏み込ませ、もう一度大地を砕きながらその手を天へと翳す。

 

目の前の絶望をぶち破ろうとする、最高の一手だった。

 

 

 

 

「波アアアアアアアアアァァァァァァッッッ!!!!!」

 

 

 

 スーパーノヴァと押し比べをしていた槍を先端に組み込みながら、二つ一気に空へと打ち上げていく。驚愕したクウラは回避を取ることもできず、押し込まれ続けるスーパーノヴァとともに宇宙へ放り出された。

 

 

「が、あああああッ!この程度で、俺がやられるとでも…!!ッは!?」

 

 

 闇を突き進む光に押され続けるうちに、その背中から凄まじい熱を感じた。振り向けば、そこに灼熱の星があった。元気玉を受け止めたときに脳裏をよぎった情景の中に存在した星。太陽が爛々と、こちらを手招きしているのかと錯覚するほどに光り輝いていた。

 

 

「なにいいいぃぃぃッ!!??」

 

 太陽とスーパーノヴァに挟まれ、灼熱地獄を味わい続けるクウラの脳みそは、走馬灯を映し出した。それは、惑星ベジータが消し飛んだ時のことだった。

 

 

『クウラ様、撃ち落としましょうか』

 

『放っておけ。自分で蒔いた種だ。自分で刈らせろ』

 

 

 

『フリーザも、まだまだ甘い…』

 

 

 

 

「…ッッ!あの時に、撃ち落としておけば…!!ッフリーザだけではなかった、甘かったのは…!!!」

 

 

 後悔をにじませた言葉とともに、その身が焼けこげていく。ついには、断末魔とともに太陽が爆発を起こし、太陽系全土に広がったかと思うほどの光が宇宙を照らす。

 

 

地上が闇に包まれ、また太陽が光り輝いた。

 

 

 

その光は感謝を述べるかのように、静かに倒れ伏した海を優しく照らしていた。

 

 

 






戦闘力はまた次回あたりで。
そしてこれにて、ナメック星編が終了しました。いくつか閑話をはさんで、人造人間編へと戦いは移り始めます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。