17号に弄られながらドライブをしていると、また18号から質問が飛んできた。子供の名前はなんなのか、だと。…18号そういうのに興味あるのか…?ちょっと17号も興味ありそうだし。
…本当に未来の世界はこいつらにめちゃくちゃにされたのか?確かにパワーとかを考えれば、おかしくはない。でもなんていうか、人間味がすごくあるんだよな。普通の青年淑女…淑女?いやこれをギャルっていうのかもしれない。全然ギャルについて知らないけど。
そもそも16号が若干こいつらのストッパーみたいな感じになってるんだよな…俺のこと拉致したけど。
「で、で!名前はもうあるのかい?」
「あるけど」
「へぇ。どんな名前なんだ?」
「りん。林ってかいてりん」
「りん…?どんな由来なんだ?」
「由来は――」
きっかけは懐妊がわかってパンジの両親に改まって挨拶しにいったときに、花畑でパンジと一緒に名前をどうしようか悩んでいた時のことだ。
うんうん悩んでいた時に、日陰用に座ってた木からリンゴが落ちてきたのだ。落ちて来た林檎を掴んで眺めていると、パンジが「林檎からとって林はどう?」って聞いてきた。
わかりやすいし、悪くない名前だったから俺も賛成して林となった。ちなみに女の子の場合は花畑の花から連想して蘭にするつもりだった。
「林、蘭、どちらも植物に由来している」
「きっかけはパンジの言った林檎からだったけど、俺と悟空の名前も自然由来でさ。結構あってんだろ?」
「そういえばお前の名前には海、孫悟空は空が入ってるな。確かに関連性が強い」
「なんならパンジだって花の名前だしな。そう考えるともしもう一人子供ができたときは似た感じに―――?」
「どうしたのさ?」
「……ピッコロ?」
「ピッコロ大魔王か?あいつがどうした」
…今天界の方で、ピッコロと神様の気が大きくなったと思ったら、ピッコロのみになった。でもその気の大きさは今までと比較にならない。超サイヤ人になった俺達と並ぶぐらいに…。
――そうか、神様と同化したのか!いやだからって強くなりすぎじゃね?もともとピッコロも強くなってたのはあるんだろうけど。
『―――臨時ニュースをお伝えします。ジンジャータウンにて住民1万5千人もの人の姿が衣服の身を残して消え去り、調査団が派遣されて原因を探っています。また近くの刑務所に収監されていた受刑者たちも忽然といなくなり、集団逃走の可能性が―――』
「なんだ?臨時ニュース…?」
「ジンジャータウン…お前らがした、訳ないもんな…。ずっと俺もいたし」
一度車を止めてもらい、ジンジャータウンの方に気を探らせる。おそらくピッコロらしき気と、あと…??
「どうしたんだ孫海、らしくない顔して」
「わたしと17号はわかんないんだよ。16号はどうなんだい?レーダーがついてるんだろ」
「孫海の向いている方向は西の都の郊外に当たる。おそらくジンジャータウンだろう。とても巨大なパワーが二つ睨み合っている…。片方は17号、お前に匹敵する」
「なんだと…?ふっ、馬鹿馬鹿しい。俺に匹敵する奴なんて存在しないんだ。いくぞ、16号」
「でも確かに大気が震えたね。何かが戦ってるのは本当なんじゃない?そうだろ孫海。…孫海?」
「…ッ。き、気持ち悪い…なんだ、この気は…」
「は?」
ピッコロと相対している存在から、複数の気配が混ざったような気を感じる。
悟空、ベジータ、俺、フリーザ、フリーザの父親の気が同時に感じる、変な感じだ…。
「…17号、確かにお前は強いかもしれない…。でも、変に嫌な気配がまとわりついてるんだよ。警戒していて、損はないと思う…」
「…ふぅん?」
興味をなくしたのか、そのまま車に乗り込む17号。それに続いて俺も乗り込むが、さっき感じた歪な気配が忘れられない。あんな存在は、いままで感じたことがなかった。
…敵は、こいつらだけじゃなかったのか?
◆◇◆◇◆
同時刻。セルとピッコロの初戦が終わり、セルが逃げ切ってしまったあとのことだった。未来悟飯、未来トランクス、クリリンの三人は、この次元のセルの誕生を防ぐためにゲロの研究所に向かっていた。
道中で修業を行っていたラディッツ、ナッパとも合流し五人で研究所の地下に降りたとき、それを見つけた。
巨大なコンピュータ、何かが入っていたであろうポッド、少し暗いがまだ奥があることを示す通路…。
「こ、コイツがそのコンピュータか…!」
「…?…!?四人とも、見てください!おそらくですが、ここにセルがいるはずなのに…!」
「な、何もいねぇぞ!?どういうことだ、ピッコロのやつがセルって野郎からここにいたって聞いたんだろ!?」
「た、確かにピッコロさんから聞きました…!嘘を言っている様子でもなかったし…。…!こ、これは…!」
「…17号…17号!?まさか、あの二人の設計図か!じゃあこれをブルマさんに見てもらえば…!」
「弱点が見つかるかもしれない…!」
「お前たち、こっちに来てくれ!」
設計図を見つけ、希望を見出した未来トランクスたちに向けて声をかけたラディッツのもとへ向かうと信じられないものが目に入った。
少し暗かった通路の先、何かの部屋。先ほどのコンピュータと同規模の機器と、3つの保存用のカプセルらしきもの。それぞれに
「見ろ。このカプセル、やつらより先に作られた人造人間どもなんじゃないか?」
「…でも、中身がないです…」
五人の前に鎮座するカプセル。それらすべてに穴が開いており、すでに空なことが把握できた。
問題は、その開いている穴が内側からではなく
「中から開いているんだったら、この中にいた人造人間が出てきたってことだろ?考えたくないけど…」
「だけど、これは外から開けられたものです…目覚めて出てきたわけじゃない」
「だけどよ、ここに来るとしたらゲロって爺と他の人造人間ぐらいだろ?ならおかしくねぇか、爺がわざわざ壊すつもりで穴を開けるつもりは無ぇだろうしよ。人造人間どもも…」
「ナッパの言う通り、それならスイッチなりなんなりで開ければいい。そもそも人造人間どもは目覚めてから俺たちをボコボコにして、兄貴を拉致ってずっと移動しているはずだ」
「ピッコロさんからも、海さんが連絡が入ったと言ってましたから何かまずいことがあったなら報告をくれるはず…」
「…じ、じゃあいったい誰が、こんなことをしたんだよ…」
「とにかく、一旦ここを出ましょう。何もできないように爆破して、母さんに設計図を見てもらわないと!」
奥の部屋も徹底的に破壊し、すべてが粉みじんになった末にクリリンの気弾とナッパのジャイアントストームによって地下深くまで根こそぎ破壊した後。
未来トランクスはベジータのもとへ、クリリンはブルマのもとに設計図を届けに向かい、未来悟飯とナッパとラディッツは一度悟空の様子を見るために飛行機へと向かうこととなった。
◆◇◆◇◆
「17号、そろそろ着くんじゃないか?」
「あぁ、さすがは孫海が選んだ車だな。1日と経たずに着いたぞ」
「俺は喜べばいいのか悲しめばいいのかわからんな…」
「喜んでいいと思うぞ」
…お前やっぱり天然な部分あんだろ16号。俺からしたら悟空を狙われてんだからなんとも言えないんだよ。ほんとにこいつらが悟空を殺す気なのかわからんくなってきたけどさぁ…。
「――お前ら、どうやってここを!」
「ほう、ピッコロじゃないか。なんでここにいるのやら」
「孫悟空はここにはいないようだ…」
「そうか」
「悪ぃピッコロ、止められなかった…」
「…癪な話だが、お前が無理だと判断したのなら何も言わん。よく生きていたと言えるほどだ」
いやまじでごめん…。あと俺が生きてんのは16号の気まぐれと目の前の二人が遊びたかったからだと思うんだけど。
「っ鶴の!桃白白!構えておけ!!」
「ついに来たのか…!」
「こやつらが、人造人間…」
「じっ様たちじゃないか…!」
3人ともかなり強くなってる。クリリン達ともやり合えそうだ。だけど人造人間たちと渡り合えるかはわかんないぞ…。
「下がっていろ老い耄れども。俺が相手をする…。向こうの誰もいない島に行くぞ」
「……くっ…」
「やれやれ、こりないやつらだ…」
クリリン達をおいて、ピッコロと人造人間たちが移動した。ついでに俺も付いて行くことになった。
「今度は素直に吐くことをおすすめしようか。お前を殺そうとすれば、孫海がお前を連れて逃げるだろうからさっさと喋ってくれると嬉しいんだが」
「ふん、この前のように簡単にいくと思うなよ…。戦うのは、お前ひとりか?」
「当然だろう。お前ごとき本来俺が相手をするまでもないんだ。それとも、孫海の力でも借りるかい?」
「いらん。俺の手でお前を破壊してやる」
…17号のやつは気づいてない。パワーだけでみても、今のピッコロは17号を上回っている。さっきの爆発したかと思うほどの気を見たから確証を持って言える。今のピッコロは、17号に勝てる。
そしてついにピッコロと17号の戦いが始まった。16号がピッコロの変化に気づいて「ピッコロじゃない」とぼやく一場面があったりもしたが、序盤はピッコロが17号を圧倒しその体に傷を負わせいく。
ついには飛んだ17号の周りに多数の気弾を設置して逃げ場を無くし、集中させた気弾の爆破を喰らわせて島を破壊しながらダメージを与えていった。
本当にピッコロは強くなった。多分、仙豆で回復したから上がっているだろう俺のパワーでも今のピッコロには敵わない。こうなってくると向こう側はなにをしてるんだ?
ベジータとトランクスの気が感じられなくなったりもしたけど…。でも、悟空の気がかすかに感じるような気もする。そうか、やっと起きたのかあの寝坊助。
場所を移したピッコロと本気になった17号の戦いは、あたり一帯を破壊しながら白熱する。どちらも生傷を作りながら戦っているけど、少しずつ17号に戦況が傾き始めた。悲しいことだが当たり前と言えた。
ピッコロは17号よりも強かったけど、あいつは無限のエネルギーを持ってるから疲れがピッコロを襲う。そうすれば元々あったリードなんてないもんだ。
…これ以上熱くなったらピッコロが殺されちまう。今は移動するついでに人造人間たちと距離を取ったから、瞬間移動をしてもあいつらに追いつかれることはない。
準備をしておくか…ん?なんだこの気は…。いや、まさか…嘘だろ…!?この邪悪と善が混ざり合ったような気のやつは、あのジンジャータウンでピッコロと戦ったやつじゃねぇか!?
「っ!!二人とも、戦いを止めろ!!ジンジャータウンでピッコロが戦ったやつがこっちに来てるぞ!!」
「なにッ!?」
「なんだと…?」
二人に声をかけた瞬間、すぐ近くの岩山にそいつが現れた。さっき感じた気と、斑模様の緑色が基調面の化け物。第一印象はまるっきりセミだったが、その中身がやばい。善の気と邪悪の気が混ざり合って、感じるこちらからしたら吐き気がするようだ。
「せ、セル…!くそっ戦いに熱中して接近に気づかなかった…!!」
「なんだ、あのへんな奴は…」
!?17号も知らないのか!?じゃああいつはなんなんだ…。
「……なんだあの人造人間は。私も知らない奴だ…。まぁいい、とうとうこの日がやってきたのだ…。17号と18号を吸収し、合体することで完全体となる日が…!ハアアアアァァァッッ!!」
「ぐうっ!?」
なんつー気だ…!それにあいつ、少しだけ超サイヤ人の気を感じるぞ…!?ほんとになんなんだあいつ!?それに、17号とピッコロ以上の気も感じる…!
「き、貴様…いったい何人の命を犠牲にした…!!」
「ふっふっふ…。浅いな、ピッコロ。私は気づいたのだよ、人間を吸収することは非効率だとね」
「な、なんだと…」
「確かに私は人間を吸収した。だがそれは特に鍛えられた肉体を持った悪党のみだ。悪の気を持ったものは私の身によく馴染むのでね…。あとはそこらで闊歩している恐竜やドラゴンを吸収してしまえば、人間を吸収するよりもより早く、容易く強くなれる…」
「では、ジンジャータウン以降なんども刑務所の襲撃があったのも…」
「さてね?」
「…何者か知らんが、邪魔だ。とっとと消えろ。俺は今そいつと遊んでいるんだ」
「ッ!!海!17号と18号と共に逃げろ!そいつは17号を殺して自分に吸収するつもりだ!!」
「なんだと!?」
ということは、今以上の化け物が生まれる可能性があるのかよ!!勘弁してくれ!!
「っ17号、俺の手を――!!」
「邪魔をするな、孫海!」
瞬間移動で17号の傍に立った瞬間、脇腹に何かが刺さった感覚があった。咄嗟に超サイヤ人となって防御を固めたけど、勢いは殺しきれずそのまま16号達のもとへ飛んで行ってしまう。途中で16号が抱き留めてくれたからなんとか止まることができた…。
「げほっ…さ、サンキュー16号…」
「今のお前とやつの力に差がありすぎる。ここで休んでおくんだ」
「くそったれ…俺一撃でやられてばっかだなぁ…」
刺さった瞬間、気を吸われた感覚もあった。初めて俺の意思とは違う力によって気が無くなったせいで、体の気の操作が覚束ない。しかも吸いきれなかったと感じたのか、抜いた瞬間に尻尾の連打を喰らって意識が朦朧としている。…ちくしょう、瞬間移動で逃げようと思ったけど、どこに誰がいるのかわかんねぇ…!
17号がセルに狙われてその体に尻尾が突き刺さるかと思ったその時。ぎりぎりでピッコロがセルを吹っ飛ばすことができたおかげで難を一時的に逃れた。そしてピッコロから語られるのは、あいつの生態。
やつはドクターゲロが作ったコンピュータによって作り上げられた化け物で、17号と18号を吸収することで完全生命体になるらしい。つまり、今の化け物みたいな強さでも未完成、ということだ。
もし二人を吸収されたら…終わりだ。
「はっ。なにが完全生命体だ。完全な人造人間ならここにいるじゃないか。いまここでそれを証明してやる…」
「逃げるのだ17号ッ!!」
『!?』
「敵の戦闘力はあまりにも大きすぎる、そいつを完全体にしてはならない!そいつの目的はもはや孫悟空の死ではなく、全宇宙を滅ぼすつもりだ!!」
「…やれやれ、やっとまともにお話をしたと思ったらこのオレに逃げろだと?馬鹿にするなッ!!」
17号がとびかかり、呆気なく地面に沈む。それを止めようとしたピッコロも、セルによって殴り飛ばされてボロボロになり、圧縮した気功波を放つもセルには一切効いていなかった。
「ッ逃げろ17号ーーーっ!!!」
「じゃあな」
ついにはピッコロの体が爆破され、気が極小の小ささまで減ってしまった。
「…確かに逃げた方がよさそうだね」
「あぁ。孫海を連れてうまく逃げてくれ。恐らくやつにエネルギーを初めて吸われたせいで、体の操作が覚束ない状態だ」
「…言いたくないけど、すっごい吐きそう…」
「あんたは、どうするの?」
「セルを破壊する。戦う時が来たのだ、孫悟空との前に…」
戦うって、は?16号はそう言うと俺を18号に渡し、セルのもとへと歩いていく。その顔はとても穏やかで、でも覚悟を決めた男の表情だった。
「な、なにすんだよ16号、やめなって!殺されちゃうよ!」
「…お前たちは、良いやつだ。人間も動物もいたずらに命を奪わなかった。一緒に旅ができてよかった…」
「じゅ、16号…」
「…孫海。お前とも旅ができて、楽しかった。二人と共にお前といるうちに、俺のコンピュータにバグが発生した。俺はお前たちを抹殺するために生まれた存在だというのに、お前のことを殺したくないと考え始めたのだ…」
「な、なんだって…」
「…生きろ、わが友よ」
呆然と16号を見送る。あいつ、今なんて言ったんだ?友…?俺のことを、友達って思っててくれたのか?
「がはっ!!」
「さて、そろそろ吸収させてもらおうか…。わたしの目的のために」
「ッ誰が、お前なんかに…!」
「では、いただくとしようか…ん?――ぐおっ!?」
「ッ!?じゅ、16号…!?」
「早く逃げるんだ、17号…」
「今の俺とやつの戦闘力は、ぎりぎり5:5程度しかないのだ。おそらく、俺では殺しきることができない」
…16号と、セルがぎりぎり五分…!?やっぱりあいつ、17号と18号よりも強かったんだ…!!
海の子供の名前はとある読者さんからの案よりいただきました。ありがとうございます!