16号とセルの戦いが始まった。パワーもスタミナもセル相手に16号が上回っているおかげで、かなり16号も戦うことができている。それにあいつが完全な機械タイプっていうのもあるおかげで、俺みたく気を吸収されることもなかったから逆にセルの尻尾を引きちぎってしまうぐらいだった。
といってもセルにはピッコロの細胞もあるから、すぐに再生されてしまったけど…。
そして16号が自分の腕をロケットにみたいに発射してセルを怯ませ、隕石でも落としたのかと思うほどの勢いでセルを地面に埋めてしまった。追撃とばかりに、その腕を外してエネルギーを溜めて…あれやばくね?
「18号、飛んでくれっ!」
「えっわ、わかった!」
「ヘルズフラッシュッ!!」
両腕から放たれたエネルギー波によって間欠泉が噴き出たように島中からエネルギーの余波が漏れ出し、そこら中が穴だらけになった。やっぱりあいつ、強い…!もし本当に俺と悟空のことを殺しに来てたら、何もできずに死んでたかもしれない…。
「ッ!18号、何をしている!早く逃げろ!」
「もういいじゃないか、やっつけちまったんだから。ねぇ孫海?」
「…いや、まだだと思う」
「え?」
「孫海の言う通りだ!今のでダメージは負っただろうが、あの程度で死ぬような相手ではないぞ!!17号、お前も早く逃げるんだーッ!」
額に冷や汗を流しながら16号が18号に退避を促す。だけど18号は逃げようとしないし、17号もその場にとどまっている。
「冗談じゃない!痛い目に合わせれたんだ、一泡吹かさずに逃げてたまるか!ダメージを負ってるんだろ、この俺の手で止めを刺してやる!!さぁ、出てきやがれ!!」
「っは!!17号後ろだーッ!!セルがいるぞ!!」
「なっ――」
「17号ーッ!!」
「し、しまった……ッ!!」
「お望み通り、出てきてやったぞ17号!!」
なんとか動ける体で17号へ向かおうとした瞬間、17号を飲み込んだセルの体が光りだす。細いその体が大きく膨れ上がり、気が爆発的に増えていく。16号と戦ってい時と、ピッコロと戦っていた時なんか比べ物にならないぐらいに…!
「ッ16号、18号!俺のもとに集まってくれ!瞬間移動で悟空たちのもとに逃げる!!」
「わ、わかった!」
「頼むぞ、孫海!貴様も早く逃げろーッ!!」
「…ぐっ…!」
体を反転させて俺の肩に触れた16号とすぐ近くにいたから同じタイミングで俺に触れられた18号を確認し、悟空の気を探す。悟空の家、いない。俺の家、いない!あたり一帯に気を張り巡らせても、いない…!…まさか、天界か!くそっ、さっき気づいたときにもっと早く確認するべきだった!
早く、早くしないと、間に合わない―――!
「すまないが、本当に逃げられると思っているのか?」
「―――あ、え?」
腹に、なにかが刺さってる。熱い。痛い。口から血が漏れた。気の操作が覚束ない。
気付いたら、16号と18号が向こうにいる。投げ飛ばされた。
いたい。
「おっと、殺す気はなかったんだが…。間違えてしまったな…」
「ッッセエエェェルウウウウゥゥゥッッ!!!」
セルの声がかすれて聞こえて、16号の声が聞こえた。
やばい。むかし、はらを撃ち抜かれたのと、おなじ感覚だ。
しぬ、かも。
◆◇◆◇◆
「兄ちゃん!!目ぇ開けてくれ、兄ちゃんッ!!」
「兄貴、死ぬな…っ」
「海おじさん…!大人の僕、途切らせないでね…!」
「分かってる…!この人を、二度も失ってたまるか…!!」
天津飯がセルを足止めし、悟空がなんとか三人を天界に運んだあとのこと。現在進行形で海に気を分け与え、延命を行っていた。
もともと余っていた仙豆を半分にすることでピッコロと海の傷は軽くではあるが治まった。そしてピッコロはなんとか持ち直し、現在は減少した気を回復させようと瞑想を行っている。
問題は海の方だった。腹の傷がふさがったと思ったが、すぐに気が大きく減り始めたのだ。傍から見たらピッコロも海も同等程度に重症だったが、ピッコロは持ち前の再生能力があったためぎりぎりのところで持ちこたえていた。
だが海はすぐに再生するような能力はなく、すでに峠を越えてしまっていたところだった。ぎりぎり生きているのは、仙豆によって少しだけこちら側に引っ張られたからだろう。
その為半分の仙豆でもその傷を深いところまで癒すことはできず、現在もまた生死の境を彷徨っていた。
「カカロットォ!持って来たぞ、仙豆エキスだ!!」
「!!ナイスだナッパ!兄ちゃん、ゆっくり飲んでくれ…!」
「ん、ぐう…げほっげほっ…。………すぅ、すぅ…」
「…なんとか、なったか…」
ナッパの持ってきた仙豆エキスをなんとか飲ませることに成功したところ、仙豆エキスの苦さも相まって負荷がかかりすぎたのか、仙豆と違ってそのまま睡眠状態に入ってしまった。しかし先ほどまで減少し続けていた気はもとに戻り、総量が増加するのを感じる。どうやら生死の境を彷徨った状態から復活したことで、パワーアップしたようだ。
「よ、よかった…。大人の僕、お疲れ様です」
「こっちのオレもよく頑張ってくれたな。あとは起きるのを待つか…。父さん、どうしますか?」
「天津飯もピッコロも起きたけど、ベジータ達がまだ出てきてないからな…。大人の悟飯、すまねぇが兄ちゃんのことを見ててくんねぇか。元々ベジータ達が出てきたら、今度はオラとこっちの悟飯で一緒に精神と時の部屋に入るつもりだったからな…」
「構いませんよ、僕も見守るつもりだったので」
その後ベジータとトランクスが精神と時の部屋から退出し、セルと戦い始めても海が目覚めることはなかった。
◆◇◆◇◆
ベジータが超サイヤ人の壁を越え、セルを圧倒し始めたときに未来悟飯は目を覚ました。睡眠をとっていたのは、先ほどまでの救出活動により疲労がピークに達していたためである。
目の前で自分の恩師が死にそうになるその光景は、無自覚のままに未来悟飯の精神を蝕んでいた。その傷が治癒し、なんとか蘇生に成功してやっとその心の傷が治ったほどである。
それほどに、父と母から継いだともいえるほどに心優しき戦士はトラウマを抱えていたのだった。このことは未来の海が死んでから弟子として鍛えていた未来トランクスにも伝えていない。
ミスターポポから運んでもらった部屋で体を起こして周りを見渡して、違和感に気づいた。
いない。自分の目の前にいるはずのこちら側の叔父の姿がいない。
「っ海おじさん!?ど、どこに…!」
部屋を飛び出してあたりを見回し、神殿内部を駆け回りながらその姿を探す。様々な部屋の内部を確認しながら進んでいくと、一つだけ異様な扉があった。
ふと目に入ったが、ここは神殿の入り口から自分たちがいた部屋に向かう通路の途中。通ったときにこんな扉があっただろうか。
しかし確認しないわけにはいかないので、中に入ることにした未来悟飯。そしてついに海を見つけた。
「海おじさん、急に起きてどうしたんですか!オレに一声かけてくれてもよかったのに…」
「…………」
「…おじさん?」
声をかけても反応が返ってこない。なんならこちらに意識を裂いた様子もない。
おかしく思った未来悟飯が回り込んで様子を見ると、何かの台座の前で立ち尽くしているのが分かった。その上には、何か埃をかぶったボールのようなものが七つあった。
「―――」
「っ!?な、なんだ!?」
その一つに海が手を翳したかと思うと、少しだけ赤みを帯びた雷が小さく海の体に発生した。思わず飛びのいて様子を確認していた未来悟飯を置いて、急に海が出口を飛び出す。
驚きながらもその後ろをついて歩く未来悟飯は、海が外に向かっていることに気づいた。
「海おじさん、どうしたんですか!さっき何をしたんですか!?」
「……」
(……なんだ、この雰囲気。海おじさんだけど、少し違う気がする…でもおじさんではあるような…)
いつの間にかピッコロが見ていた横にたどり着き、ピッコロのように下界を見下ろす海。その姿はすこし年季の入ったような慣れた様子が見て取れた。
「起きたのか、海。悟空たちは精神と時の部屋に入っているから、次はお前と未来の悟飯が―――」
「……」
「…どうした、海?様子がおかしいぞ…」
「………そうか」
「「?」」
やっと口を開いた海の口から聞こえたのは、どこか安らいでいるような雰囲気のある言葉。続きを聞こうとして耳を澄ましたピッコロと未来悟飯は、なんとかその続きを聞き取ることができた。
「よかった、ちゃんと
「…俺の願い?海、どういうことだ」
「ピッコロさん、さっきから海おじさんの様子がおかしいんです」
「なんだと?おい海、なにかあったのか。……おい、孫海!」
いくら声をかけても微笑んだまま下界を見つめる海に少し怒った様子でピッコロが肩を揺さぶると、少し呻いて目をぱちぱちとさせる海。周りを見回す海に不思議に思ったピッコロと未来悟飯はあることに気づく。さっきまでの雰囲気が薄れて消えている。いつもの海の雰囲気だ。
「…?え、ここ神殿?16号と18号は?」
「何を寝ぼけている、お前が気絶して人造人間達は二人で逃亡したんだ。今はセルとベジータが戦っている状況だ!」
「……?……あれホントだ!?ベジータがめちゃくちゃ強くなってセルと戦ってる!?」
「「は?」」
「え、なに二人とも。あ、もしかして悟飯が俺のこと見守ってくれてたのか?助かった、あんがとな!」
「え?ど、どういたしまして…。…海さん、覚えてないんですか?」
「?覚えてないって、何が?」
ピッコロと未来悟飯が共にさっきまで海が口にしていたことを聞き出そうとしても、本当に知らない様子の海が首を振って記憶に無いと言う。自分はさっき目覚めたばっかで気づいたらここに立っていた、と。
「海さん、さっき変な部屋の中で台座に乗ってたボールみたいなのに触れたときも様子がおかしかったですし…」
「…ボールゥ??触った覚えはないんだけど…」
「待て悟飯。そのボールは何個あったか覚えているか?」
「え?えっと、確か…」
どこか焦った様子のピッコロ。それに不思議がりながら、未来悟飯が記憶を探る。
「確か、七つあった気がするんですけど…」
「…!!!悟飯、海!その台座があった場所まで案内しろ!」
「えっあっはい!」
「いやだから俺記憶に無いんだって!?」
来た道を戻る未来悟飯を先頭に駆け出すピッコロと海。
神殿内部に入り、さっきまであった通路にたどり着いた未来悟飯。しかしさっきまであった部屋は跡形もなく消え去っていた。
「あ、あれ?さっき確かにここにあったのに…」
「お?ここ俺が昔来た場所じゃねぇか!もしかして悟飯、あの部屋に入ったのか?」
「は、はい。といっても、海おじさんに付いて行っただけなんですけど…」
「いやー懐かしいな!まだ神様がいたときに俺ここ通ってその部屋に入ったんだよ。悟飯が見たのって多分ドラゴンボールなんじゃないか?」
「そうなんですか?」
「そうそう。でさ、なんか声が聞こえたなぁって思って俺も台座を見たときにドラゴンボールがあったんだよ。でもすぐに悟空が呼びに来たから何もせず帰ったんだけどな」
「へぇー。そうだったんですか」
「……その、ドラゴンボールは」
「ピッコロ?」
「そのドラゴンボールは、黒い星だったか」
「あーそういや黒い星だったな!こんなんあったけって思ってたけど」
「……そんなはずはない」
否定の言葉をピッコロが口にしたので、思わず未来悟飯と海がピッコロを心配して様子を見る。なぜか、脂汗とも冷や汗とも思える水滴がピッコロの顔を伝っていた。
「…そのドラゴンボールは、究極ドラゴンボールと言われるものだ。俺と神のやつが分離する前に作り出したドラゴンボールであり、その能力は通常のドラゴンボールを凌駕する…。作った者の能力に依存せず願いを叶えられるからだ。だがそれには代償が存在し、一年以内に揃えなければ叶えた者のいる星を消滅させる恐ろしいものだった…」
「え゛ッ。そんなやべぇのに俺触ってたの?まったく記憶無いんだけど…」
「オレ、初めて知りました…」
「知っていないのもおかしな話ではない。なぜなら神が神となり、俺と分離した後にそのドラゴンボールは
「「………え?」」