ドラゴンボール ~もう一人の兄~   作:龍玉

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いつも誤字報告ありがとうございます。
それとアンケートなのですが、自分もこのお話を書きたいところがまだまだあるのでこちらの一区切りの着くところまでこちら最優先で書こうと思います。
アンケートに参加してくださった皆様、ありがとうございました。


力戦奮闘

 

 

「わざとあいつに気を送り込んで、爆発させる?」

 

「そうだ。俺が考えた作戦は、これだ」

 

 ブロリーが向こうで彗星を眺めているうちに、俺たちは悟空たちと作戦会議をしていた。

 

 作戦は至ってシンプル。俺、ラディッツ、悟飯の気を最初っから悟空に渡し、残りの気を倒れたみんなから分けてもらうのだ。

 十分なまでに溜まったら、それをブロリーの中に打ち込んであいつの体の許容範囲の量を上回わせることでわざと自爆させるのだ。ずっとあいつは気が高まり続けているけど、その許容限界は緩やかに伸びているから、そう簡単に高まる気に対応できるわけじゃないんだろう。じゃなかったら高まった気のせいでぜぇぜぇ言ったりしないだろうし。

 さらにいうと、あいつの体に入れる気はあいつへ分け与えるのを目的にするのではなく、爆発させたいという思いの籠った気だから、もし爆発させれなくてあいつがそれすらも飲み込んだとしても気の操作はぐちゃぐちゃになるはずだ。敵意の籠ったエネルギーだし、そう簡単に支配できるわけがない。

 しかし悟空が気を集めている間、俺たちは最低限の気とともにブロリー相手に悟空が十分なパワーを得るまでの時間稼ぎを行う必要がある。あまりにも博打すぎる話だが、こうでもしないとあいつ相手に勝てるヴィジョンが沸いてこない。

 

「ここで大事なのは、ラディッツはスピードに特化、俺はパワー、悟飯がその中間に位置する状態で挑むことだ。特に悟飯が一番重要なポジションにある。それは――」

 

「ラディッツおじさんがとにかくブロリーの攻撃を避けつつ、おじさんがあいつとパワーで勝負する必要があるから。だけどスピードではブロリーに勝てないし、パワーを無くしたら有効打が無くなり、じり貧に陥るからですよね」

 

「そうか。とにかく中間で動けてそこそこあいつに妨害のできる存在がいないと、兄ちゃんももラディッツ兄ちゃんも勝てない。スピードだけじゃ意味ないし、パワーだけじゃ遅くて負ける。となれば、スピードもでて軽くでもあいつにダメージを与えられる悟飯が一番あいつにとって邪魔な存在になるんか!」

 

 つまり、前面を俺とラディッツが保ち、あいつからの攻撃を妨害できる悟飯がずっとブロリーに嫌がらせをする。当然ブロリーは悟飯を真っ先に狙うはずだ。三人の中で一番倒しづらいけどいたら一番厄介な存在なんだから。だけど俺とラディッツでそこを妨害し、悟飯のもとに行かせないようにする。これによって均衡を保ち、悟空の時間を稼ぐ寸法だ。

 

「はっきり言って俺達が生き残るかもわからないし、悟空が集めたパワーでも勝てるかわからない博打だ。でもあいつ相手なら悪くない博打だと思う。どうだ?」

 

「なるほどな。俺は構わない」

 

「オレも行けます」

 

「オラもこれならいけそうな気がしてきた!頼んだぞ、兄ちゃんたち!」

 

「任せとけ!」

 

「お前はベジータのやつの説得を頑張るんだな」

 

「お父さん、お願いしますね!」

 

 作戦会議を終え、悟空は全員にパワーを分けてもらうように懇願し始めた。そして俺とラディッツ、悟飯は準備を進めていく。

 

 全員が超サイヤ人を維持できるだけの気しかないから、無駄遣いはできない。

 

 

「ハアアアァァァッッ……!!――ぐ、ぐぐ…!!」

 

「「ハアアアッッ!!」」

 

 超サイヤ人となってその体を膨張させていく俺と、一息の間に超サイヤ人へ変わり準備を済ませたラディッツと悟飯。準備は、できた。

 

 崩れた岩山を飛び出し、腕を組んでこちらを見下ろしてたブロリーへ向かっていく。

 

「フン!たかが三匹の雑魚が策を弄したところで、俺に勝てる確率が上がると思っていたのか?」

 

「どうだろうな。俺達にもわかんねぇよ!」

 

 手始めに、大振りではあるが右フックを放って俺に注目させる。ラディッツはいつでも乱入できるように俺の少し後ろをついてきているから、最悪の場合俺にタックルしてもらって強引に避ける手はずだ。それに――

 

「フハハハ!その鈍重な攻撃が当たると―――グウッ!?」

 

「魔閃光…!今度は、まともに喰らってくれたな!それに!」

 

「俺の攻撃も、当たる!」

 

「チ、イッ!」

 

 魔閃光で軽くダメージを与えつつ視界を遮る。瞬間的に俺も気を消すことでブロリーから俺が一瞬だけ消えるようにすることで、回避の選択肢を選びづらくした。目論見は成功して、初めてブロリーに防御を取らせることに成功した。

 

たとえスピードを殺したこの姿でもやつにダメージを与えられるのか、というところは悟空からも心配された。だから博打を撃っても俺たちが生き残るかわからないといったのだ。

 

 これまたシンプルだ。超サイヤ人を維持できるだけの気を体で回しつつ、いつもなら防御用にも回していた気をすべて拳と足のみに集中させることで、筋肉だるまのブロリーにもダメージが通るようにしているのだ。

 そのかわり、あいつの攻撃一発でKOになる可能性は爆増しているから絶対にラディッツと悟飯の妨害が無かったら俺は三秒くらいで死んでると思う。さっきから精神がひりつく感覚が凄いぜ!

 

「ガアアッ!!」

 

「させるかぁッ!!」

 

「うお――」

 

 防御の状態から強引に俺の腕を払いながら態勢を崩してきたところを捕まえようと両腕を伸ばしてきたが、常に機会を探っていたラディッツによって無理やり離脱させられる。マジの目の前を過ぎた両腕が空かされた瞬間、こちらにブロリーがとびかかってくる。俺はラディッツに連れられてる状況だから回避はできないし、それはラディッツも同じ。

 だけど、俺達だけで戦ってるわけじゃない。

 

「爆力、魔波ッ!!」

 

「邪魔を、するなァッ!!!」

 

「うわっ!?」

 

 飛びかかってきたブロリーめがけて見覚えのある気功波が放たれ、その進行方向を塞いだ。さっき以上のパワーで放たれたそれはブロリーにも危機感を覚えさせたのか、あいつも回避行動を取った。

 多分だけど、少しだけ悟飯のやつキレてるのか?でも返し刀で放たれた気弾に驚いたあたり無自覚のようだ。悟空の言ってたことが証明されちまったな。

 

 ラディッツと離れ、もう一度攻撃を加えんとストレートを放つがブロリーもまた同じくストレートを放ち、ぶつかり合った拳が大気を揺らす。

 

 しかし俺以上のスピードと同等のパワーを持ったブロリーに軍配が上がり、向こうの攻撃が俺の拳を打ち抜いた。

 もう一度ラディッツが俺ごと避けようとするのを気功波で牽制しつつ、嗜虐めいた笑みと共に俺の腹に気弾を押し付けてきた。

 脳裏に死がよぎる。

 

「魔貫光ッ!!殺砲オオオオオッッ!!」

 

「ッ死に損ないがぁッ!!」

 

 死ぬ、そう思った瞬間に悟飯の死に物狂いで放ったであろう魔貫光殺砲がブロリーへと突き進み、クロスした腕によるブロリーの防御の前に呆気なく霧散した。だけどその腕には跡が残り、俺はギリギリ命を繋げることができた。

 だけど俺に残るのは焦りだった。本来なら悟飯の魔貫光殺砲はブロリーを無抵抗の状態で浴びせたかったからだ。

 精神と時の部屋にいる時に悟飯が魔貫光殺砲を練習していたことを知っていたから、なら格上殺しに適格な技として温存しておこう、というのが俺達の考えだった。

 でももう甘えたことは言ってられない。悟飯がなんとかしてくれなかったら俺が赤い薔薇を目の前で咲かせることになってただろうから。

 

 

 

 

 そして、なんども俺たちの攻防が繰り返された。俺が攻撃し、ブロリーが反撃しようとするけどそれを悟飯とラディッツが防ぐ。逆に悟飯とラディッツを狙おうとした瞬間に俺が掴みかかったり攻撃を加えることで妨害する。

 何度も攻撃を繰り返すことで、ブロリーの身体に傷が目立つようにもなってきた。

 

 だけど時々俺にも攻撃が命中するし、悟飯とラディッツにも攻撃が飛んでしまった。ぶっ倒れたいぐらいに意識がぐらぐらしたのを気合で耐えたものの、限界だった。一番やばかったのは、ブロリーの気が膨れ上がったかと思うとバリアが作り出されて攻撃を防がれるわ地面に叩きつけられるわ、ついでと言わんばかりに放出された気弾に悟飯とラディッツが巻き込まれたことだろう。あれのせいで二人ともボロボロになって動くことができなくなってるし、俺はもう超サイヤ人を維持できないレベルでラッシュを叩き込まれて岩山に埋まった。なんとかラッシュを喰らう前に普通の超サイヤ人に戻って防御は成し得たけど、多分腕の骨にヒビいってるし足もまともな動きはできないだろう。

 

 首を掴まれた感覚がしたかと思うと、岩山から引きずり出されて吊り上げられる。

 首が締まり、空気が漏れた。

 

「が、はっ……」

 

「しぶとい雑魚どもだ…。よくやったと褒めてやりたいところだが、もう終わりだな」

 

「ッぐ、えう…!?」

 

 首の骨に力が加えられ、痛みが走る。瞬きをする間に俺の首は折られ、そのままあの世に逝くことになるのだろう。

だからこそ、笑ってしまう。今のブロリーは俺のみに意識がいっている。…いや、言い方が悪かったな。()()()()()戦っていた相手のみに意識がいっている、が正しいか。

 その笑いは、現実でも出てしまっていた。おかげでブロリーが不審に思ったようで、顔をしかめている。

 

 

「何がおかしい」

 

「…ふ、ふふ、はっはっはっは…お前の、負けだ…!」

 

「なにぃ…?」

 

 やっとブロリーも気づいたみたいで、俺の首から手が外れた。そして地面に落ちた瞬間に遠くの方でとてつもなく大きな気が沸き上がった。

 

 

「……ったく。遅ぇよ、悟空…」

 

「カカロットォ……!?」

 

 そこには、いつもの超サイヤ人と違う、ブロリーのような淡い緑色の輝きを持った逆立った髪を持った悟空がいた。

 

 

「―――オラはオメェを、絶対に許さねぇッッ!!!」

 

 

「――な、なんてやつだ…!クゥゥッ…!ッカカロットォォォォッッ!!」

 

「ブゥロリィィィィッ!!」

 

 彗星の引力によって惑星の岩盤ごと持ち上げられる地面を蹴り砕きながら飛び上がる両者。ブロリーと悟空の左腕が、共に交差した。

 

 

「カカロッットォォォォッッ!!!」

 

 

「吹き飛んじまえぇぇぇぇぇッッ!!!」

 

 

 

 ()()()()()()…ほんの一幕だけ染まった腕が瞬いた時、ブロリーの体に膨大な気が注ぎ込まれ―――空中で爆発した。

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 遠くの星が彗星に飲み込まれ、爆散する姿を見ていた。周りを見渡せば、共にいびきをかいて眠る二人の戦士に、疲れ果てて眠りに落ちる瓜二つの戦士も居れば、それを労わるように見守る神様みたいな戦士も居る。静かに宇宙を眺めて何かを考える王子とその息子も居たし、無理やり詰め込まれたせいでそこらで雑魚寝をする人たちと親友と師匠も居る。

 

 俺の背中に体を預けて眠っている悟空の頭を撫でていると、くすぐったかったのか身じろぎして少しだけ微笑む。今は、どんな夢を見てんだろうな。なぁ父さん、母さん。

 

「…ほんと、少しの間だけしか休めねぇな。悟空…。ほんと、お疲れさん」

 

「か~……うぅん…。兄ちゃ~ん…ぐー……」

 

 もうすぐ地球に着く。一日過ぎれば、次の戦いが待っている。

 

地球の運命を決める、セルゲームが。

 

 

 

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