ドラゴンボール ~もう一人の兄~   作:龍玉

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地球を懸けて

 

 

 初撃に悟空の頭を狙った蹴りがセルに放たれるも、容易く腕で弾いてそのまま払いのける。開いた距離を詰めながら悟空とセルの攻防が始まり、セルが蹴り上げられた。

 

 空中で悟空とセルの回避と殴り合いが何度も交差し、ともにダメージを負いながら悟空が先に地面へと落とされた。

 

 だけどセルも同等程度にダメージを負っている。ブロリーとの戦いがいい経験になってんな。

 

「これぐらいで準備運動はいいだろう。さぁ、フルパワーで来い」

 

「そうするとしようか」

 

 悟空から気が解放されてあたり一帯に風が吹き荒れる。それに対抗するようにセルからも気が解放され、風と風がぶつかり合って熱気がこちらまで飛んできた。

 

「くそ…ブロリーとの戦いがなければ、俺もあのレベルまでは行けなかった…」

 

「仕方ないさ。逆にあの経験があったとはいえ、すぐに壁を越えれたのは凄ぇと思うけどな」

 

「俺のプライドが許さんのだ!貴様らに先を越される気持ちがお前にわかるわけないだろう!」

 

そりゃ俺はお前じゃないし。

 

「やはり、超サイヤ人と俺たちの差は大きいな…界王拳でもあの域に達するのはまだまだ先か」

 

「やっぱり、もっと修行を積む必要があったかな…」

 

 天津飯とヤムチャが冷や汗を流しながらぼやいた。確かに俺達サイヤ人の成長度合いはおかしいけど、クリリンも含めた三人の成長度合いも普通におかしいからな?素の実力でフリーザレベルに達せてるんだから、もっと修業したら17・18号レベルまで行けると思うけどな。

 

 

 視線を悟空に戻すと、セルを殴り飛ばして地面に叩きつけるところだった。しかも尻尾を掴んでぶん回したうえで叩きつけてやがる。殺る気満々じゃねぇか。

 

「やはり実力が近いもの同士の戦いは良い…!私の中にあるサイヤ人の細胞が喜ぶ感覚がするぞ」

 

「そうか。オラもこんな戦いは好きだ」

 

「くっくっく…。なら、これは好きかな?―――かぁ…めぇ…はぁ…めぇ…!」

 

「ッ!?や、やめろ!そんなパワーでかめはめ波を撃ったら地球が!?」

 

あいつも殺る気満々じゃねぇかくそったれ!?

 

「こっちだセルーッ!!」

 

 

「波アアアアァァァッッ!!」

 

 

 飛び上がった悟空めがけてセルの巨大なかめはめ波が放たれ、遠い空を突き抜けていった。だけど悟空が瞬間移動で避けたようで、かめはめ波の姿勢のままだったセルを蹴り飛ばした。

 あっぶね、最悪の場合俺がバリア張って逸らすつもりだったけど悟空が何とかしてくれたな。

 

「…一つ聞かせてもらおう、それが瞬間移動か。前に私に会いに来たときも同じような現れ方をしていた」

 

「そうだ、これが瞬間移動だ。…オラからも聞きたい。オラが飛び上がらなければ、そのままかめはめ波を撃って地球を破壊していたか?」

 

「さぁ?どうだろうかね…。だが貴様は飛び上がるしかなかっただろう。例え孫海がその後ろで私のかめはめ波を逸らそうとしていたとしてもね…」

 

「…なるほどな」

 

「言っておくが、私は地球のことなどどうでもいい。どうせ破壊しようとした場合は、そこで見ている者たちが一斉に妨害をしようとして無理だろうからな」

 

「……」

 

「さぁて、私も瞬間移動とまでいかずとも速さには自信があってね。ご覧に入れよう」

 

 いうやいなやセルが悟空を殴り飛ばし、攻撃をすべて回避しながら悟空へ打撃を加えていく。このラッシュを耐えきった悟空によってセルが上空に蹴り飛ばされ、空中で回避とパンチの応戦が繰り広げられる。セルが殴れば悟空が避け、悟空が殴ればセルが避ける。

若干悟空の方が有利かな。あいつ瞬間移動を併用しつつ回避してるからセルよりもうまく避けてるし、ついでと言わんばかりに死角に飛んでるからセルは悟空以上に気を張らないといけない。

 

…ん?なんか喋ってんな。それにセルがこっちに手を向けてる…。…まさか。

 

 

「ッみんな、リングから離れろおおおおッ!!」

 

「やっぱりか!?」

 

その場を飛んだ瞬間にリングが消し飛び、奈落が出来上がった。

サタンたちは…16号が助けてくれてるな、よし!

 

 

「これで、地球すべてがリングとなった。ここからは降参するか、死ぬかのどちらかで勝負が決まる」

 

「なるほど、とことんやりたいってことか」

 

 今度はセルの気弾から始まった。あたり一帯の山々を粉々に砕きながら追いかける気弾を悟空が避け続け、空中でその気弾すべてを弾き飛ばした。…飛ばした気弾もまた地球を砕いてんな。はた迷惑すぎる…。

 

「かぁ…めぇ…はぁ…めぇ…」

 

「!?貴様、そんなところで撃てば地球が壊れるぞ!?」

 

 悟空がかめはめ波を撃とうとするも、セルが制止するように呼び掛けていた。普通逆じゃね?なんでセルが心配してんだよ。

 

「ご、悟空のやつフルパワーでかめはめ波を撃つつもりだ!」

 

「カイ!お前もカカロットにやめるように言わないのか!?」

 

「まぁ、何したいかは分かったし」

 

「なんだと…!?」

 

 俺の予想通り、悟空の姿が掻き消えてセルの前に現れた。セルはまさか瞬間移動してくるとは思ってなかったようで、無防備な体を悟空の眼前で晒していた。

 

「ッしまッ――――ッ!!??」

 

「波アアアアアアアアッ!!!」

 

 

 爆破が起き、目の前が煙でいっぱいになった。あたりが見えたころに確認できたのは、息が上がった悟空とセルの首と両腕が吹っ飛んだ姿だった。

 

「――ご、悟空が、セルを倒したぞッ!!みんな!」

 

「……」

 

「み、みんな?」

 

「おいヤムチャ、よく見てみろ。セルの気はまだまだ残ってやがる…」

 

「…ほ、ほんとだ…!?」

 

 

「…おいセル、早く起きたらどうだ。まだ死んじゃいねぇだろ」

 

 悟空がそう言うと、セルの体が起き上がって力み、首と両腕が生えてきた。遠くで見ていたサタンたちからのうめき声が聞こえてくるのがわかる。見たことないからそう思うのも仕方ないな。

 

「――ふうっ!いやはや、これは驚いたな…。まさか瞬間移動とかめはめ波を組み合わせるとは…」

 

「だとしても、ピッコロの細胞があるオメェを倒すには足りなかったけどな…。ブロリーと戦って少しは強くなったって思ってたんだ…。オメェもまだまだパワーを隠してたな?」

 

「…フッフッフ。どうだろう?戦えばわかることだろう…!」

 

「わかってるさ!」

 

 

「っ今度は地上戦か!」

 

「悟空…!」

 

 共に顔を狙ったラッシュ、ラッシュ、ラッシュ。足はともに大地についており、退くことを絶対に選ばない戦いが繰り広げられる。

 

 痺れを切らして飛びかかった悟空めがけてセルが蹴りを放ち、岩山に悟空が突っ込んでいく。がれきを吹っ飛ばした瞬間に悟空がセルめがけて気弾を連射して視界を覆いつつダメージを与えていく。

 

「だだだだだッ……!!」

 

「ッずあああああああッ!!!」

 

「…ッ!ちぇっ…」

 

 緑の気で彩られたバリアーがセルから出現し、俺達の前まで広がり続けたそれは悟空の気弾を完全にシャットアウトした。

 だけど二人とも息が上がってきている。悟空も、セルも…。…唯一セルだけが、本気を出していないことを除けば問題がなかったんだけどな。

 

「はは、ハハハ…!孫悟空、仙豆を食え!そうすればより素晴らしい戦いができる!」

 

「……」

 

 

「そうです、クリリンさん!仙豆を悟空さんに――」

 

「いや、しなくていいよ。トランクス」

 

「!?か、海さん…!?」

 

「そいつの言う通りだトランクス。余計なことはするな…」

 

「と、父さんまで…!でも、このままじゃ悟空さんは死んでしまうんじゃ…!」

 

「…確実にな。あ、頭に来るが認めてやる。カカロットのやつは、確かに俺達の上を行く力を持っていた…!だがセルのやつは、そのカカロットの1歩2歩先を行ってやがる…!…あいつの秘策に期待しておくんだな…」

 

 

「ふふん、どうした孫悟空。本当にプライドが邪魔して仙豆を食うことができないのか?せっかく私を倒すことができるかもしれないのにな…」

 

「……へへ、参った!」

 

『!?』

 

 さっきまで高まっていた気が収まり、通常の超サイヤ人に戻った悟空から聞こえた言葉は負けを認めるものだった。

 

その場にいた()()を除いた全員が驚きを隠せなかった。あのセルもだ。

 

「孫悟空、その言葉が意味することをわかっているのか。貴様の負けは、地球の終わりと同義だぞ」

 

「オラが負けても戦えるやつはまだいるさ。ならまだこのゲームは終わってねぇ。違うか?」

 

 

「カカロットのやつ、何を言ってやがる…!あいつより強いやつはこの場に居ない…!」

 

「カカロット、考え直せ!プライドなどもういい!今すぐ仙豆を食うんだ!」

 

 

「ラディッツ兄ちゃん、大丈夫だ!…オラはオメェと戦ってみて理解した。オメェの本気は、ブロリーといい勝負をするって」

 

 その言葉にもう一度驚くみんな。ベジータなんかは開いた口が閉じていない。そりゃそうだよな、あんな奴と同レベルかもしれないなんてふっつーに考えたくないもんな。

 

「オラの予想が正しければ、オメェに勝てる奴はここに()()いる。もしもその三人が負ければ、オラには何も出来ねぇ」

 

「三人、だと…?私よりも強い存在が三人もいるというのか」

 

「そうだ。じゃあ次に戦うやつをオラが指名してもいいか?」

 

「…フッフッフ…では指名してみるがいい。その存在しない者たちの誰かをな…」

 

 

「だ、誰のことを言ってやがるんだ、悟空のやつ…!ヤムチャさん、天津飯さん!誰のことかわかりますか!?」

 

「わ、わかるわけねぇよ…!」

 

「だがあそこまで自信満々に言うのであれば、それだけ信頼できる相手なんだろう。もしかしたらベジータのことを言ってるかもしれない」

 

「だけどよ、カカロットのやつは三人って言ってやがるんだぞ?もしかしたらカイのことを言ってるかもしれねぇぜ!」

 

「…兄貴は、カカロットのやつと同等程度の実力だ。間違ってもセルに勝てるとは思えない…。本当にブロリーといい勝負をするというのなら…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…へへ。

頼んだぜ、兄ちゃん!!

 

 

 

『何ィっ!?』

 

 

 

「…ん。わかった」

 

 

そんじゃ、やるとしますかね…。

 

 

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