さて、なにから説明したものか…。あぁ、まずは自己紹介が必要かな?
ご存じの通り、私がセルだ。まぁピッコロには説明したが、私は未来から来た。…すべて本当のことを言ったわけではないがな。…なんだその目は。当たり前だろう馬鹿正直に説明するものがいるか?貴様も私から情報を得ようと演技していたのだからお相子だ。
…なんだトランクス?なに?「セルのいた世界での自分と悟飯さんはどうした?」…まずはそこから説明するか。
知っての通り、私はトランクスと孫悟飯の乗ってきたタイムマシンを使いこの時代にやってきた。といっても、二人の了承を得たわけではないがな。
トランクス、孫悟飯、貴様らは確かに未来へ帰ることに成功し、17号と18号を破壊した。それにより世界に平穏が訪れ、お前たち二人が戦うことも無くなり三年の月日が経った。
私は生まれ、コンピュータによって最強の生命体になることを目的とされてから現状を把握し…あることに気づいた。
―――無理では?と…。
言わせてもらうがな、最初はタイムマシンを盗むことで過去に戻り、完全生命体になることも考えはした。
だが常に孫悟飯はタイムマシンを見張っているしトランクスに至っては燃料をすべて見つからないように隠したからな?絶対に孫海からなにか助言でもされたんだろうなと諦めたよ。戦いを止めているのに維持だけは欠かさず行っていたから戦闘力はすでに私を上回っているしな‥‥。
そもそも”悪用しようとする者がいるかもしれない”なんて用心するのは貴様かピッコロか天津飯程度だからな。…なんだ孫悟空、ベジータ、不服そうだな。ベジータに至っては私を完全生命体にしようとわざわざトランクスを妨害しているのだから何も言えんだろう貴様は。文句を言うな。
それはともかく、私は諦めてぐだぐだと過ごしていた。孫海の細胞の影響で私はコンピュータの使命を無視するようになり、畑を作って健やかに過ごす計画すら立てていた。とてもいい時間だった…。
…あぁ、言い忘れていたな。私がフリーザとコルド大王の細胞があるにも関わらず、このような思考をするようになった原因は孫海、貴様だ。
何を意外そうな顔をしている。貴様の細胞はとにかく化け物だったんだぞ。
ドクターゲロは細胞を入手し研究した。孫悟空、ベジータ、孫海、ピッコロ、フリーザ、コルド大王…すべてを組み合わせ、バグが起きないかを確かめた。
だがバグは起きなかったため、ドクターゲロはコンピュータに製造を任せ自身を改造した。細胞の突然変異に気づかずにな…。
フリーザやコルド大王、ベジータの細胞が私の体の半数を占めたとき、貴様の細胞は孫悟空の細胞と融合しその数を劇的に増殖し始めた。そしてついには三人の細胞を二人の細胞が凌駕し始め、私が誕生した。
私の体から悪の気と善の気が混ざったように感じたのはこれが原因だ。
…「なにそれ知らない」?なぜ貴様自身が自分のことを理解していないんだ。
まぁいい。とにかく私は少しでも力をつけようと、人が激減したために繁殖していた野生動物を吸収するなどして力をつけていった。だがそれでも完全生命体には程遠い。トランクスと孫悟飯が過去へ人造人間を倒したことを報告しに行こうとしたときも静観の念を感じながら遠目に眺めていたよ。
そして、やつが来た。
二人がタイムマシンに乗り込もうとしたときに遠くの都市が爆発を起こし、異変の原因を確かめるために二人は時間旅行を中断して都市に向かった。私は隠れつつ、その光景を見ていたよ。
孫悟飯とトランクス、お前たち二人が物量によって押しつぶされていく姿を。
私が生まれ、お前たちが過去へもう一度行こうとしたとき、まるで太陽が食われたかのように地上に闇が広がった。それが影と気づいたときには、お前たちはある存在と戦っていた。
孫海、孫悟飯、ラディッツ、ナッパ、ピッコロ、クリリン。お前たちなら聞き覚えがあるだろう。
クウラという名前について。
…やつはその体をメタリックに染め、機械の体を使って地球に侵攻し始めた。太陽を隠していたのはクウラが乗ってきた宇宙船とも星とも言えるものだったのだ。
メタルクウラと名乗っていたその存在を孫悟飯たちはなんなく破壊したよ。戦闘力自体は欠かさず鍛錬をしていた二人の方が上だったからな。
だがそれで終わりではなかった。10体、20体、30体と悍ましい数のメタルクウラがその日以降何度も二人を襲った。何度も何度もやってくるメタルクウラに二人は限界を迎え、ついには倒れ伏した。…時に住民を守ろうと身を挺したことも理由の一つだろうな。
…そうだ、私のいた地球に戦うものはいなくなった。私以外は…。
私は考えたよ。無尽蔵に戦い続け、星のエネルギーを吸い始めたやつを打ち勝つには何が有効打となるのかを。そして気づいた。やつは機械でできている、ということはその体に自壊プログラムを打ち込めば、星食いを行っている宇宙船ごと破壊できると。
二人がいたころは宇宙船は大気圏よりもさらに上に存在し、地上から破壊しようとすればその姿を眩ませる宇宙船。しかもその途中にはメタルクウラがうじゃうじゃといた。ゆえに二人が本体に向かうこともできなければ、私が向かうこともできなかった。そのころの私はメタルクウラが複数人居れば負けるほど弱かったのでね…。
だが、地球に足を食いこませたことで近づくことのできた本体に自作の自壊プログラムを挿入することに成功した。
なにやらクウラの顔の一部を組み込んだ巨大な顔がいたが、私は無視して脱出した。
そして、ついにメタルクウラを一体も残さず破壊することに成功した。地球の終わりという代償を持ってな…。
…そうだ、私は間に合わせることができなかった。すでにやつによってエネルギーを吸いつくされた地球は活動限界を迎え、形を維持することが困難となり爆発寸前だった。
だが私は諦めなかった。すぐさまタイムマシンに乗り込み、その体を小さくして過去へ飛んでくることで星の爆発を搔い潜り、生き延びることに成功した。
…私がこの時代に来た目的それはただ一つ。私のような未来を辿るなと、伝えに来たのだ。
…あぁ、クリリン。お前の言う通りだ。ただ伝えに来ただけならば、何故お前たちに害意を与えるような振る舞いをするのかわからない。
簡単な話だ。ただ単純に伝えたところで、素直に対策をしてくれるものがいるかわからなかったからだ。
わかっているだろう。ただ強い存在が来るだけならば、「楽しみだ!」となってただただ鍛えるのみなのがサイヤ人だ。なんなら敵に塩を送る可能性すらある。孫海とピッコロ、天津飯といったしっかりと対策を立てれる存在が生き延びるかはわからず、そもそも私の来た世界にトランクスと孫悟飯が来るかもわからない。…孫悟空?孫悟空も立てれる存在ではあるが、特効薬を私が持っていなかったため数に入れることはできなかった。
勿論、完全生命体になることでメタルクウラを撃退することも考えたが、もし吸収に失敗した場合は私の世界の二の舞となる。リスクを考え、私はそれを諦めた。事実この世界では今の私と同等レベルの16号が存在していたから、私の懸念は正しかった。
そこであることを考えた。例えメタルクウラが襲来したとしても大丈夫なほどに孫悟空たちが強くなれば、対策も必要なくなるのでは?と。そのためには私が悪であると印象付ける必要もあるし、そうなってくるとやはり完全生命体となることで危機感を煽る必要もある。リスクを考慮しつつも私は動き出した。
…私がジンジャータウンの人々を吸収したのは、それが原因だ。すまなかったとは思っている。セルゲームを終えた後、私はドラゴンボールを集め、蘇らせるつもりでいる。幸いにもドラゴンレーダーはとある三人組から拝借したのでな、自力で集めることはできた。
……私はそれを目標に動き始め、ついにここまで来た。
トランクスと孫悟飯は来てるし、16号とかいう見たことも聞いたこともない人造人間が居たり、私のいた世界では来なかったパラガスとかいうやつが居たりと紆余曲折したものの、私は目的を達成した。例えメタルクウラがやってきても、なんとかなると言えるほどの戦力が今この場にいる。宇宙船が逃げたとしても、孫悟空と孫海ならば瞬間移動で追いつくことも可能だ。
これをもって、私の目的は達成したと結論付けた。
…これが、私の真実だったというわけだ。満足したかな?
◇◆◇◆◇
セルが話し終え、誰も喋らなくなった。当然だろう、トランクスと悟飯のいた世界も絶望だというのに、セルのいた世界はもう地球も滅んでいるのだから。
…まさかセルがその未来を防ぐためにこの時代に来たとはな。…でもまだわからんことがあるんだよな。
それはクリリンとかトランクスたちも同じようで、質問したそうにセルを見ていた。
「何か質問があるなら、答えるつもりでいるが」
「…じゃ、じゃあさセル、俺達がみた地下室のセルはどうしたんだ?地下室に行ったときに、セルがいるもんだと思ってたのにいなかったからさ」
「あぁ、この時代の私なら今は私の腹の中だ。もしも死にかけたときは私と同化し、傷を癒す手はずだった。意識はないが、反応は返ってくるから了承も取ってある」
「そ、そうなのか」
「…なら、俺からも一ついいか」
セルが腕を組み、顎で続きを促す。すでにこの場に戦いという雰囲気はない。ベジータやナッパもさすがに真実が気になってはいたのか、同じように腕を組んでセルを見ていた。
「オレと悟飯さん、それにクリリンさんたちと地下室に行ったときにあるものを見た。セルのいたであろうポッドのさらに奥の部屋に位置する、三人分の人造人間のポッドを…」
「ッ!!そ、そうだ!あのポッドには、外から穴があけられていた!セル、お前がやったのか!?中身は今どこに…?!」
全員の視線が未来の悟飯、トランクス、セルの三人を行き来し、またセルに集中した。
そしてそのセル本人は……怪訝そうにトランクスを見ていた。
「…三人の人造人間など、私は知らないが…」